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第15話「狙われた赤子」

雲浅月(ウンセンゲツ)の叔母・雲皇后に皇子が生まれ、皇帝は上機嫌だった。
すでに問題児を装う必要がなくなった浅月も今や皇帝のお気に入りの郡主、可愛がられている。
一方、銭荘の爆破事件を追っていた容景(ヨウケイ)は腹心・上官茗玥(ジョウカンメイゲツ)に民間の爆薬製造所を調べさせていた。
すると工房が墨閣(ボッカク)という組織と関係していることが分かる。
しかも墨閣の実態は淇(キ)国人の集団で、若く美しい女頭目は慕容(ボヨウ)将軍と深い関わりがあった。
「慕容の冤罪に淇国の惨劇…目的は復讐に違いない」

冷(レイ)王は妹の冷貴妃を訪ねた。

そこで冷王は皇帝の寵愛を得るよう努力し、皇后には従順であるよう諭した。
「そうだ、お前にやった月岐(ゲツキ)の香粉を少しくれないか」

冷貴妃は兄が帰ると早速、聖陽宮へ向かった。
すると雲郡主が慣れた様子で皇后の寝宮を取り仕切っている。
冷貴妃は皇帝が雲郡主のために寝殿まで用意したと聞いたことを思い出し、もしや姪も入宮させるつもりかと揶揄した。
「そのうち容色が衰えたら皇后を追い出してそなたを後釜に置くかも…」
バシッ!⊂彡☆))`Д´)アゥッ!
浅月は叔母を辱めた冷貴妃を引っ叩き、侍女に命じて追い返してしまう。



皇帝は嫡子の九皇子・天賜(テンシ)を太子に冊立した。
焦った冷王は三皇子の生母・蕭(ショウ)妃を訪ね、皇太子を狙うと教える。
実は冷王と蕭妃は過去に少なからず関係があった。


皇帝は皇后と夕食を共にした。
その間、浅月は皇太子をあやしていたが、冷貴妃に手を上げたことを皇帝から追及されてしまう。
しかし浅月の弁明を聞くと皇帝は憤慨、むしろ浅月が宮中に留まることは問題ないと許した。
すると乳母が急に悲鳴を上げる。
「太子殿下ががが!」


命に別状はないが、知能に障害が残る可能性が高いという。
少なくとも毒は口から入ったわけではないと分かったが、原因を特定するには調べが必要だった。

皇帝は容景に調査を任せた。
知らせを受けた容景は早急に参内、すると浅月が独り途方に暮れている。
「(はっ)景世子…」
「…その時、太子はどこに?」
「ここよ」
皇太子は赤子用の寝台で寝ていた。
口に入れる物は常に検査しているので毒の混入はありえないという。
容景は早速、浅月と一緒に寝台を調べたが、ふと浅月がいつもと違う香りだと気づいた。
「ある種の香は嗅ぎすぎると昏迷したり気が触れたりする、こういった毒物は険しい山に多い
 薬草を採りに山へ入る者はその毒物を採取してろうそくの芯を作り、燃やして快楽にふける…」
すると容景はろうそくの火を吹き消した。

容景はろうそくの芯に薬物が染み込んでいたと報告した。
火がつくと無味無臭の煙が出て皮膚から吸収され、大人に影響はないが皇太子が窒息してしまったという。
「幼い子だけに効く毒です」
皇帝は悪辣な方法に激怒、すると浅月が月岐の公主・拓跋葉倩(タクバツヨウセイ)を連れて駆けつけた。
実は公主の蛇なら毒のありかを見つけられるという。
葉倩はろうそくの香が月岐特産の曼陀羅草(マンダラソウ)だと気づき、蛇の餌にも入っていると説明した。

葉倩の蛇は冷貴妃の寝宮へ入った。
蛇を見た冷貴妃と侍女は悲鳴をあげて動けなくなったが、そこへ皇帝たちがやって来る。
すると葉倩は蛇を回収し、冷貴妃の化粧台にあった箱を容景に渡した。
中には確かに曼陀羅草の粉末が入っている。
浅月は赤子を狙った冷貴妃を非難したが、覚えのない冷貴妃は困惑した。
「濡れ衣です!この粉は長いこと使ってきました!決して毒などでは…」
その時、冷貴妃は兄の冷王に曼陀羅草を渡したことを思い出し、ようやく何が起きたのか悟った。
しかし兄の仕業とは言えず、令宮送りになってしまう。



皇太子は治療のため南梁(ナンリョウ)に預けることになった。
浅月は必ず良くなると叔母を励ましたが、雲皇后は辛くてたまらないと涙に暮れる。
「あまり思い詰めず、ゆっくりお休みください…」
一方、皇帝も心を痛め、政務にも身が入らなかった。
すると三皇子が薬湯を差し入れにやって来る。
「もし外地への任務でもあれば私にお任せください」
三皇子は殊勝に振舞って父皇の反応を見たが、皇帝から早々に追い返されてしまう。

三皇子は冷王を厳しく非難した。
「父皇は私を疑っている…今回はやり過ぎだ!仮にも私の弟だぞ?!
 私は自分の力で権力を勝ち取りたい!
 昔から感じていた、父皇に見放され、期待とは無縁の息子だと…
 秦玉凝(シンギョクギョウ)との縁談も、秦家に私を監視させることが目的だろう
 それも受け入れたというのに、この有り様だ…納得いかぬ!」
すると冷王が三皇子が長年、駐屯していた鳳凰関(ホウオウカン)に治水工事の上奏があったと教えた。
「治水の監督を名目に、現地で兵力を固めては?」
冷王はいっそ挙兵してはどうかと提案した。
確かに父皇が受け入れてくれないなら、別の道を行くしかない。
三皇子はついに覚悟を決め、冷王も三皇子に命を捧げると誓った。

上官茗玥は慕容家の古い友人が鳳凰関にいると突き止めた。
その者を探せば当時の状況が分かるという。
容景は先日、水害地域の鳳凰関に食糧配給の上奏文が出されたことを思い出したが、辺境に疎い自分を陛下が派遣するとは思えなかった。
そこでひとまず茗玥が先に探りに行くと決めたが、容景が急に参内を命じられる。
実は三皇子が一足早く水害が深刻な鳳凰関を任せて欲しいと嘆願していた。
確かに鳳凰関は淇国との国境に近く機微を要する地域、すると皇帝は天逸(テンイツ)に災害救済を任せると決める。
しかし軍人の三皇子は政務に不慣れだと、容景を補佐につけた。

三皇子はおとなしく拝命して下がったが、屋敷に戻ると冷王に不満を爆発させた。
「明らかに警戒している!まさか容景も一緒だとは…」
三皇子は容景が望春楼(ボウシュンロウ)を焼いたことを知っていると明かし、すでに父皇の耳に入ったのではと疑心暗鬼になる。
しかも容景は月岐で慕容家の事件を嗅ぎ回っていた。
すると慕容と聞いた冷王は急に高笑いする。
「三殿下、景世子の出現は天の助けですぞ!ご安心を、この冷王が全て手はずを整えます」

一方、雲王府では香荷(コウカ)が宮中に入り浸りの浅月に嫉妬していた。
そこで生母に泣きつき、景世子との縁談を祖父に頼んで欲しいと訴える。
生母は身分が違いすぎると相手にしなかったが、香荷は断るなら池に飛び込むと脅した。
しかしうっかり足を滑らせ、本当に落下してしまう。
その時、ちょうど帰ってきた浅月が池に飛び込み、香荷を助けた。

皇太子の病を重く見た皇帝は四皇子に葉倩との婚姻を賜った。
葉倩は夢が叶ったと感激もひとしお、しかし浅月が好きな四皇子は喜べない。

皇帝は四皇子が婚姻に乗り気でないことを知っていた。
そこで四皇子を散策に誘い、早く身を固めて自分の地位を継いで欲しいと説得する。
月岐と婚姻を結べば両国の後ろ盾を得て大切な人も守れるようになるからだ。
実は皇帝は軽染の生母を入宮させたことを後悔しているという。
「宮中になど入らず、普通の家に嫁いでいれば苦しませることもなかった
 同じ思いを浅月にさせたいか?」

つづく


(  ̄꒳ ̄)今度は鳳凰関か〜って″鳳凰″の何かがここにあるのか?!





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最終更新日  2022.12.19 21:56:06
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