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2024.07.14
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第1話

…天武(テンム)帝・蕭毅(ショウキ)が乱世を平定し、北離(ホクリ)王朝を築き上げた
北離の繁栄は200年以上も続き、明徳(メイトク)帝の時代には強大な国を誇るに至る

第6皇子・蕭楚河(ショウソカ)は優れた才能を持ち、皇太子に最も近い皇子と目されていた
しかし4年前、謀反の罪に問われた明徳帝の弟・琅琊(ロウヤ)王をかばったせいで父皇の逆鱗に触れ、青(セイ)州へ追放されてしまう
こうして皇太子の座を巡る皇子たちの激しい争いが勃発、王朝の平穏が脅かされた

一方、追放された蕭楚河は消息不明となり、今も所在は分からなかった
そして明徳20年の秋、寒水(カンスイ)寺にて住職・忘憂(ボウユウ)が死去


雪楽(セツラク)山荘は雪深い山間に立つ風情ある客桟。
ここに眉目秀麗でどこか浮世離れしている風流な老板・蕭瑟(ショウシツ)がいた。
彼がまとう外套は天啓(テンケイ)城の名店で作らせた特別な皮衣で、製作に3ヶ月、1ヶ月かけてここまで運んだという。

そんなある日、大雪で閑古鳥が鳴くこの客桟に大きな箱をかついだ青年が現れた。
蕭瑟は青年が珍しい朱色の衣を着ていたことから名家の子息だと推察したが、実際は銭がなく、麺しか注文しない。
すると今度は山賊たちがやって来た。
山賊たちは九龍門(キュウリュウモン)へ向かっている寒水寺の″お宝″を追いかけているらしい。
彼らは当然ながら銭など払う気は毛頭なく、酒と料理と金目の物を持って来いと脅して来た。
その時、ちょうど麺を食べ終えた青年が首を突っ込んで来る。
「強盗だって?そりゃ見逃せないな〜俺、雷無桀(ライムケツ)!」

↓俺ルフィー的な…w



その技から彼が江南(コウナン)霹靂堂(ヘキレキドウ)雷家の弟子だと分かる。
本人は宿を救った恩人のつもりだろう。
しかし蕭瑟は破壊した店の修理代を要求した。
「100両だ」
雷無桀は銭はないと言って帰ろうとしたが、老板は術を使って全ての扉を閉めてしまう。

「雪月(セツゲツ)城だ」
雪月城と言えば江湖の名だたる門派が同盟を組む街、江南霹靂堂もその一員だ。
…自分のものを取り返すなら私も行かねば、嘘をついている様にも見えぬ、秀でているのは武術だけで頭は空っぽだ…
そこで蕭瑟は修繕費用回収のため同行すると申し出た。
「ああ、構わないよ」
「だが利子を含めて500両だ」
(屮゚Д゚)屮 500?!

その頃、寒水寺の″お宝″を運んでいた唐蓮(トウレン)は続々と現れる刺客たちを蹴散らしながら九龍門に向かっていた。
やがて雪が激しくなり、その夜はちょうど通りかかった荒れ廟で休むことにする。
すると人の気配に気づき、咄嗟に焚き火を消して物陰に身を隠し、暗器を構えた。
しかしどうやら2人は刺客ではなく、能天気な若者を見るにただの旅人らしい。

実は荒れ廟に現れたのは偶然にも旅の道連れとなった蕭瑟と雷無桀だった。
唐蓮は2人が雪月城を目指して道に迷ってしまったと知る。
朱色の若者は雷姓だったが、無桀という名には聞き覚えがなかった。
しかし今度は本物の刺客が現れてしまう。

蕭瑟と雷無桀は女の声を聞いて外へ出た。
月姫(ゲツキ)と冥侯(メイコウ)と言えば刺客榜の9位、雷無桀は刺客集団・暗河(アンガ)の8人を除けば江湖で最も腕の立つ2人だとはしゃいでいる。
呆れる蕭瑟だったが、刺客の標的は他にいた。
すると唐蓮が旅人を巻き込まないよう、屋根を破って自ら姿を現す。
「唐蓮、今夜こそあなたを殺してあげるわ」
「え?唐蓮って…あなたが雪月城の筆頭弟子の唐蓮?!つまり俺の大師兄だ!
 俺は雷無桀!江南の雷家から来た!俺も雪月城で…」
「危ないぞ」

冥侯がいきなり襲いかかって来た。
雷無桀は冥侯の金巨刀(キンキョトウ)に目を輝かせたが、冥侯は唐蓮が手負いだと分かると攻撃を止める。
実は唐蓮は百香散(ヒャクコウサン)のおかげで命拾いしたばかりだった。
すると雷無桀が師兄の代わりに戦うと名乗りを上げる。
「あなたも雪月城の人間なのね?では遠慮なく…冥侯が動くまでもない」
月姫は腰に装着していた束衣剣(ソクイケン)を抜き出し、飛び出した。

雷無桀は月姫の軟剣を素手でつかみ、見事に避けた。
内功の強さもさることながら、雷家の無方拳(ムホウケン)や得意の火器で善戦、しかし月姫の華麗な月影(ゲツエイ)剣や倣影(ホウエイ)術に翻弄され、最後は自ら負けを認める。
しかし月姫は失笑した。
「ご冗談を…勝ち負けじゃない、生きるか死ぬかの戦いよ?」
「最初の相手がこんな強敵とは…俺は幸運だな!」
すると雷無桀は雷家の″火灼(カシャク)の術″を繰り出そうと気を高めた。
「髪が赤いわけだ」
蕭瑟が感心していると、その時、冥侯が誰かに気づいて月姫を止めた。
「月姫、行くぞ」
結局、雷無桀は術を使う前に2人が退散してしまう。

雷無桀は加勢しなかった蕭瑟を責めた。
「お前も武術を使えるだろう?」
「いつそう言った?」
「宿で気を飛ばして窓や扉を閉めたじゃないか?!」
「あれはただの仕掛けだよ」
すると蕭瑟は唐蓮に裏庭に荷物があるのか聞いた。
「賊が向かったようだ、冥侯たちもそれに気付いたのだろう」

唐蓮が軽功で裏庭に向かうと、ちょうど馬車を盗もうとしている賊を見つけた。
しかし攻撃したところ賊ではなく、司空千落(シクウセンラク)だと分かる。
そこへ遅れて蕭瑟と雷無桀が駆けつけた。
すると大師兄に送り返されそうになった千落は馬を奪って逃げてしまう。
「また会いましょう、唐蓮!」

雷無桀は今の娘が槍仙(ソウセン)・司空長風(シクウチョウフウ)の娘で雪月城の大小姐だと知った。
すると千落のせいで車が壊れ、中から黄金の棺が飛び出して来る。
蕭瑟は思わず棺を叩いた。
「(カンカン!)間違いない、純金だ」

車が壊れた唐蓮は蕭瑟の馬車で棺を運ばせてもらうことになった。
しかし唐蓮も本当に棺の中身が何か知らないという。
「師父から畢羅(ヒツラ)城の九龍門まで運べと言われただけなんだ
 それにこうも言われた、決して開けるなと…」
蕭瑟も黄金の棺の噂を耳にしていた。
「″寒水寺の黄金の棺は辺境の地を目指す
 棺の中身は大量の金銀財宝と江湖を揺るがす武術の秘伝書″だとか
 噂が広がるのは誰かが故意に流しているからだ
 恐らく中身は大師の亡骸だろうな…だがなぜ奪い合いに?(ボソッ」
「お前は何者だ?」
「私はただの情報通の客桟の老板さ…で九龍門へ向かうのか?」
「三顧(サンコ)城の美人荘へ」

″美人を三顧す、一度目は城を、二度目は国を、三度目は心を奪われる″…。
三顧城は畢羅城への経由地で商人が集う街だ。
美人荘は三顧城最大の遊郭であり、北離でも有数の賭場、言わば金が集まる場所である。
唐蓮は雷無桀に馬車の見張りを任せ、蕭瑟を連れて美人荘に入った。
ここでは大金を賭ける代わりに真珠を使って勝ち負けを計算するという。
「ここに来たのは協力者と落ち合うためだ、人の注意を引くな」
しかしその時、唐蓮に気づいた天女蕊(テンニョズイ)が真紅の衣を翻しながらが舞い降りて来た。
思わず賭け事も忘れて天女蕊の姿を拝む客人たち。
(  ̄꒳ ̄)<人の注意を引くなと言わなかったか?
すると蕭瑟は名前からして″蕊″と″蓮″とはただならぬ関係なのかと揶揄した。

天女蕊は蕭瑟に興味を持った。
普通なら賭場の広大さに目を見張り、美女たちに見惚れるはず。
しかし蕭瑟は気だるげに立っているだけだった。
恐らく山のような財宝も美女も珍しくないのだろう。
すると時間がない唐蓮は大事な話があると切り出した。
天女蕊は急に唐蓮に抱きつき、人知れず耳元で報告する。
「協力者は来ていない、でも準備はできた
 気をつけて、腕の立つ刺客が三顧城に入り込んでいる、厄介な人ばかりよ」

天女蕊は蕭瑟に賭けに参加するか聞いた。
蕭瑟は自分が所有する雪楽山荘なら真珠10箱分の価値があると言って前借りしたいという。
「いいわ」
すると天女蕊は真珠2箱を準備し、客たちに貸切になったと伝えた。
富豪の客は憤慨したが、天女蕊は見事な武功で黙らせ、実は蕭瑟が賭けるのは金銭だけではなく生死局だという。
蕭瑟は同意していないと言い返したが、そんな天女蕊の思惑を見抜いた客がいた。
「好きな男を助けたいのは分かるが、美人荘の力で場を収めるのは無理だ」
その男は唐蓮を追跡していた白髪の剣客だった。
しかし話の途中で突然、唐蓮を追って来た刺客たちが美人荘に雪崩れ込んでくる。

つづく


( ̄▽ ̄;)…全く名前を覚えられない





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最終更新日  2024.07.15 21:58:09
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