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2024.07.20
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第21話

邪法を操る許文瑞(キョブンスイ)相手に劣勢を強いられた初空(チュコン)。
しかし小祥(シャオシャン)が玲瓏(レイロウ)心の霊力を解放して形勢は逆転した。
すると許文瑞は傀儡から全ての霊力を回収して対抗、弱っている初空めがけて突進する。
小祥は咄嗟に師匠の前に立ちはだかったが、驚いた初空は小祥の前に飛び出して許文瑞の剣をつかんで止めた。
その隙に小祥が背後から許文瑞を突き刺し、ついに許文瑞は消滅する。
「師父、手に怪我を?!」
「なぜ私をかばった?!まったく…ただの仙女のくせに何度も命を懸けるな!」

「師父、何の話ですか?」
「私の話を覚えているな?」

…約束してくれ、何が起きたとしても必ず生き抜くと…

初空は困惑している小祥に口づけした。
すると2人の心の臓が光り、初空は小祥に自分の心の臓を捧げて力尽きてしまう。



「師父…私を置いていかないでください」
「泣くな…これでこの前の借りを返すことが…できた…」
一瞬で白髪となり、この世を去った初空。
小祥は師匠のいない世界に何の未練もなく、初空の亡骸を抱いて崖から身を投げてしまう。



摩羅(マラ)族の錦蓮(キンレン)も修行が成功、邪風(ジャフウ)は護法が戻ってくると喜んだ。
兄と運命を共にする錦蘿(キンラ)もまた生き延びて人間界に隠れ、ある石をかくまうことにする。

銭(セン)天王の報告によれば修茗は人質として摩羅族に差し出された帝休(テイキュウ)族の皇子で、3万年前の″滄日(ソウジツ)の戦″で帝休族が滅び、天界に戻ったという。
そこで滄日の戦について調べてみると、滄海神器についての記述が見つかった。
「あ、そう言えば祥雲仙女も戻りました」
「ん?心の臓を与えたから病は治ったはずだが…」
「その後、初空戦君を抱いたまま崖から飛び降りたんです」


紅線翁(コウセンカク)は転命司で初空と小祥の物語を確認したが、感動的な最後に思わず涙が出たという。
「あと3日でお前が生まれて3100年だ、初空仙君と会う約束でもしたらどうだ?」
「私たちはただの修行の伴侶でしかないの」
すると祥雲が転生を終えたと聞いて初空が慌ててやって来た。

紅線翁は席を外した。
すると初空はいきなり祥雲の手首をつかみ、脈を確認する。
祥雲は転生後、身体が軽くなって気分も良いと報告、自分を気にかけてくれると思うと嬉しかった。
しかし初空から自分たちの転生は他の者と違うと言われてしまう。
初空は一得一失の関係を伝えるつもりだったが、祥雲は物語の話だと早合点した。
「ええ、大げさ過ぎます!邪法まで出てくるなんて!
 そもそも2人が20歳までに出会えなかったら…(はっ!)待って!
 私の絵を持って探してたって…仙君!記憶があったのですね?!」
「それは…」
その時、歴劫から戻った修茗が現れた。
初空は祥雲の追及を逃れるため、修茗に話があると言って帰ってしまう。

初空は修茗が肌身離さず持っている玉石が3万年前に滅んだ妖魔・滄海の2つの神器の1つ″天穹玉(テンキュウギョク)″だと突き止めていた。
つまり修茗が探し続けている想い人が滄海ということになる。
初空は帝休族を滅ぼした敵だと呆れたが、修茗は否定した。
「あの方はそのようなことはしない!」
幼い頃からひ弱で疎まれて来た修茗は摩羅族の人質に出され、そこで滄海と出会った。
何の憂いもなく滄海と一緒に暮らせると思っていたが、ある日、突然、全てを失ったという。
「初空、お前が殺した…あの方が蘇るなら全てを投げ出す
 私を阻む者はお前でも容赦しない!」
初空は思い詰める友を心配し、戦神としては見逃せないと訴えた。
「そうだ、お前は戦神だ、民を救うためなら愛する者にも刃を振るう
 祥雲のことも生死に関われば捨て石にするのだろう?戦神の威光を振りかざして…
 冷酷で傲慢な戦神様には私の気持ちなど永遠に分からぬ」

3万年前の記憶がない初空は転命星君から滄海に関わる文献を取り寄せた。
「そう言えば今までに転生して片方の元神が増えて他方が損なわれることがあったか?」
「元神が同源だとそうなります」
すると初空は何も聞かなかったことにして欲しいと頼み、転命星君を下げた。
…元神が同源だと?祥雲は同族ではなく関わりもなかった、なぜ同源に?…
もしや鍵となるのは祥雲の正体なのか。
一方、修茗は今日もまた痛みに耐えながら滄海のため、砕魂箭(サイコンセン)を作っていた。
…滄海の敵を討ち、当時の真相を知るためならどんな代償も払う…

紫輝(シキ)こと千謀(センボウ)は薬湯に浸かったまま目を覚ました。
すると隣の部屋で薬を作っている娘が見える。
「姑娘(グーニャン)、君が助けてくれのか?きっと聖凌山で見つけてくれたんだね
 他に誰かいなかったか?背が高くて目の下にほくろがあるんだが…」
錦蘿は兄のことだと分かったが、黙って首を横に振った。
「君の名前は?」
「…知る必要はない、あなたを聖凌山から連れ帰り数百年、経った、当時の人間はもういないわ」
「まさか…」
驚いた千謀は探しに行きたいと言ったが、霊力は半減し、思うように身体が動かなかった。

…女媧石の代わりに自分の心を差し出した錦蘿は反噬で霊力が四散、真身である花妖に戻った
聖凌山では花妖・千羅(センラ)としてずっと千謀を見守り続け、殺されて消散した紫輝が摩羅族に見つからないよう咄嗟に石に変えてかくまう
そして石に耐えず霊力を注ぎ込み、ようやく紫輝を人像に戻したところだった
しかし霊力を隠さねば再び錦蓮に見つかり、2人とも生き残れないだろう…

祥雲は姻縁閣に顔を見せない李(リ)天王を心配して探しに出かけた。
すると転命星君と出くわし、気晴らしに遊歴にでも出かけたのだろうという。
「ほら逐浪九峰(チクロウキュウホウ)だっけ、霊力を使う場がないから腕前を試しに行ったのね」
(´-ω-`)逐浪九峰って…出まかせを間に受けるとは…ボソッ

祥雲はその足で瀟雲(ショウウン)殿を訪ねた。
「仙君、まだ答えを聞いていません!記憶を持ったまま転生しましたね?」
初空は逃げられなくなり、祥雲の真似をしただけだと言い訳する。
「つまりわざと食事を作らせたり、肩をもませたのですか?」
すると初空は売り言葉に買い言葉で祥雲の耳をつかんで引っ張った。
「宋(ソン)祥雲の時、私の顔をつねったな?!その罰だ!」
しかし祥雲も負けじと初空の耳をつかみ返す。
「毒きのこで殺そうとしたわ!」
「放せ!」
「嫌です!…心の臓を狙ったくせに!」
祥雲はうっかり口を滑らせ、2人は急に気まずくなって手を離した。



言い過ぎた祥雲は初空の機嫌を取ろうと、お詫びに手作りの海棠餅を招喚した。
「海棠の花びらがあればな~残念」
すると初空がこっそり術を放って花びらを振りかけてくれる。
「やっぱり師父だわ!」
「私はもうお前の師父ではない」
「ぁ…分かっています、失礼しました」
初空の話にはまだ続きがあったが、祥雲はまた突き放されたと誤解して帰ってしまう。

祥雲は初空の気持ちが分からず、姻縁閣に戻っても悶々としていた。
すると初空が現れ、海棠餅の皿を返しに来たという。
紅線翁は皿を受け取ると、祥雲にわだかまりを解くよう耳打ちして退散した。
「私は師匠になりたいわけではない、聞かせてくれないか
 祥雲仙女として初空戦君をどう思っている?」
「それは…」
「あーっ!よく考えて答えてくれ、明日はお前が生まれた日だろう?
 明日、もう一度、答えを聞きに来る、実は贈り物もあるん…(はっ!)」
初空は驚かせるつもりがうっかり口を滑らせた。
「とにかく明日の夕刻に迎えに来る」
「ちょっと待って!小仙も贈り物があります」
嬉しくなった祥雲は思わず初空に駆け寄り、頬に口付けした。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)正しい銀髪きたわー!





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最終更新日  2024.08.23 00:13:41
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