物心ついた頃はテレビの黎明期。例えばシャボン玉ホリデーとかで流れる歌謡曲に喜んでいた小学生だ。ザ・ピーナッツ、梓みちよ、奥村チヨ。それとグループサウンズだね。もっぱらテレビからそれを聞いて満足していた。 中学に入ると環境が一変する。私は歩いて通える西日暮里の私立中高に入学したのだが、ここのレベルが異常に高くて、生徒は医者や一流企業の役員の息子ばかり。下町のタバコ屋の息子なんて私だけ。すると彼らの聞いている音楽が下町育ちとは違っていて、洋楽ばかりなのよ。Beatles, Rolling Stones, Simon & Garfunkle, Bob Dylan, Beachboys 等々。まさに洗礼だった。その聞き方ももちろんテレビなどではなく、高級オーディオセットで大音量を響かせる。お坊ちゃま達の家じゃないとできない芸当だ。 下町のタバコ屋にはそんな真似は無理なので、友達に教えられたFENから流れる英語ラジオをイヤホンで聞いていた。すると聞きたい曲だけが聞ける訳ではないので、自然と音楽の間口が広くなっていった。不自由な貧乏暮らしも悪い事ばかりじゃないのよ。