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【空ニ吸ハレシ15ノココロおばあちゃんへのラストレター】園田由紀子

テーマ：読書日記(1956)

カテゴリ：読書感想

空ニ吸ハレシ15ノココロおばあちゃんへのラストレター [ 園田由紀子 ]

この物語は、著者の母である妙子と著者の娘である理沙の
1年間の往復書簡です。

昭和4年生まれの妙子は夫を亡くした後に老人ホームを
終の棲家に選びました。
戦争を経験した世代でもあります。

平成3年生まれの理沙は、高校進学とともに慣れない
寮生活をスタートします。

思春期の女の子の多感な気持ちが手紙を通して
伝わってきます。

世代の違う二人が、新生活をスタートさせ
お互いの近況を手紙に託し伝えあう。
そして時に励ましあうそんな心温まる
実話をもとにしたストーリーです。

今ではあまり見かけない大家族の中で育った二人。
今までとは全く環境の違う寮生活や老人ホームでの暮らしを
語り合いながら自分の置かれた状況で一生懸命
前向きに生きようとする二人の心が描かれた作品です。

孫である理沙は、おじいちゃんの死の瞬間を

学んだとある日の祖母への手紙に書いています。
核家族の今では、なかなか難しい場面ですが
身内の死を通して学ぶことがあるんですね。

理沙は祖母への手紙に以下のような言葉を書いています。

集まったように、ホームにも色々な人生を
送ってきた人たちが同じ屋根の下で暮らしているんだね。
理沙たちとは比べものにならない波乱万丈のそれぞれの
人生を背負っているんだろうな

昭和、平成、令和と時は流れていきますが

口ではなかなか言えないことを伝えあう素敵な作品です。

春になったら一緒に桜を見ようね。
そんな二人の約束は果たせなかったけれども
二人の文通を通して大切な何かを私たちに
二人が教えてくれているように感じます。

令和の若者たちは、スマホ世代で文通などしたことは
ないでしょう。
でも、この物語を読めばおじいちゃんおばあちゃんに
手紙を書きたくなるかもしれません。
家族っていいものだと感じるそんな物語です。