2010年04月15日
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MET Hamlet 2010 Part2

このプロダクションとリセウのとの違いは、カメラである。
カメラアングルがMETはカメラ台数が多いためか、斜めもしくはクレーンが多い。

しかもサイモンの顔のドUPばかり。
歌っている歌手の切り返しのドUPなんかあって、
すごい一人称カメラ割!と悦に入る。
よほどわかっているね、映像ディレクター!

第1幕

ハムレットが登場するが、青年ではなくもちろん中年に見える

リセウと同じではだし。
スクワットのように座り
何かを拾ってむしっている。草花のつもり?
サイモンの演技の特徴は手遊び。
とにかく何かをしていないと気が済まない。

サイモンが出てきてからは彼のドUpの瞳の色をひたすら見つめていた。
グレーがかったペール・ブルー。
光の加減で青く見えたり、酷薄そうなグレーに見えたり。

ただ悲嘆にくれていた陰鬱な哲学的な青年が
自分の疑念に確証を与えられ、変わっていく。

実は真実を知る前はそう女にも興味がなかったかのように見える

しかし晩さん会に出席できるほどおとなじゃない。
彼はまだ子供だ。

父の亡霊を見てから人格が変わる。
父の言い付けは絶対だ。
潜在的にはうっとおしい死んだ者の都合の押しつけ

それが許されない
新しい王を憎むことを強制され
実は本当に憎い母親には怒りをぶつけるなと言われる。
ハムレット王子はそれだけは自分をコントロールできなかった。

サイモンの演技がリセウと違う!と思ったのは

シーレ!(陛下!)のところ。
彼は芝居がかったポーズでお辞儀したのだ。
ブフォンのように。
そこからが独壇場だった。
キーンリーサイド独り舞台の始まりだ。
こうなるともう誰もついてこれない。

壁に頭をもたせて自らの怒りを鎮める

父さん、御辛抱を…!

旅芸人一座を前に陰謀を企む者の表情になる

私のタイミングでやってくれたまえ

役者3人とは握手する。

そして酒をがぶ飲みし始める

このモノローグのようなセリフがアリアだなんて
誰が気づくだろう

酒!
人生は陰鬱
死への時間は残り少ない
彼の見つめているのはひたすら墓の暗い穴だ。

アリアが終わっても自然に酒を飲み続け舞台を
しもてにかみてに歩きまわるハムレット
それだけでリアリティーがある
場面転換のシーンなのだが
カメラはサイモンを追っている

オフィーリアが現れても心のなごむ様子はまったくない
彼の芝居が始まる

無言芝居の前半が終わると彼は語り始める
セリフをつけるのだ
聞かせるのは王妃。

陛下、真っ青ですよ!
と言って
クローディアスが激こうした時、
彼自身の芝居が始まる

両足でジャンプし
1mの高さのテーブルに飛び乗る
バン!

ああ、 あのジョヴァンニの墓場のシーン を思い出した
墓に飛び乗って歌うジョヴァンニ

テーブルの上で食器を蹴散らし、
歌う
彼の罪を糾弾し、
人々を恐怖に陥れる

血のような色のワインを食器に注ぎ
あふれさせる
テーブルクロスを自分の体にかける
わなわなと何度も繰り返す

普通のオペラが進行する中
彼だけが異様だ。
そしてワインを頭からかぶると
テーブルの下に落ちる
(落ち方がリセウと違うけど)

カメラは真っ赤に染まった彼の横顔をとらえながら幕
ここはリセウのように
狂気を演じて見せたとはっきりわかる演技をしていたサイモンの方が好みだったな~

第3幕

生きるべきか死ぬべきか
To be, or not to be
That is the question
このあまりにも有名なセリフを歌にしようなんてどこの馬鹿が考えたんだろう?
しかもフランス語で。

ひそやかに歌うサイモン

なんかドクターアトミックのジェラルドフィンリーの独唱シーンを思い出す。

これが英語だったら!
サイモンには英語のオペラをやってほしい。
どんなにかハートに来ることか

王がポローニアスとともに走り去り、
ハムレットは剣を持ったままでいる。
王妃がオフィーリアに婚礼の支度をして連れてくる

ハムレットはすねたように、ナイフでセットの壁を刺している。
彼は何か所も穴をあけると、木片をむしり、
穴同士を星座のように線でつなぐ
ハート型にも見えるし、単なるいたずら書きにも見える
サイモンのアーティスト魂に火がついた?

このあとハムレットはオフィーリアを侮辱するが

本命は王妃だった。
いつまでも若く美しい色気に満ちた王妃
そんな彼女が別の男とよろしくやるのは我慢できない

ここのシーンが実は一番スゴイ
サイモン自身もそう語っていた

一番正気じゃないシーンは
「僕は正気です」と歌うシーンです
と応えていた
これもサイモン流でにやっとさせられる。

彼が額縁を破壊し棒きれで母を思いっきり殴打しようとするが
棒を地面に叩きつけ、全速力で走って壁に激突し、倒れる。
早過ぎてカメラ追いついてない(リセウも)

ここが彼が一番狂気に近づいたシーン
彼の怒りは行くところまで行きそうになって、
王の亡霊に止められる

見えないの?かあさん?

私に何をさせたいんです!?
言ってください!お父さん!

僕の怒りを彼が鎮めてくれた
涙が出てくる
でも必要なのは血を流すことなのに!

あまりの悲痛な彼の慟哭。

このガートルードはまさに欲にまみれた中年女性そのもので実によく演じていた
多少オーヴァーアクションだったけど…

彼は母を赦す
嵐はおさまった
しかし母には息子が恐ろしい化け物にしか見えなくなった

舞台背景を歩いていく大柄な先王の亡霊。
衣裳が邪魔そう。

墓場

いよいよハムレットは追い詰められている
もう何日も放浪している
寒いし疲れきっている
復讐は果たしていない。
頼みはホレイショーだけ。

彼はオフィーリアの死を知らず狂気に囚われた彼女に謝っている

その墓がオフィーリアの墓とも知らず。

レアティーズが現れ、決闘になり、お互いに刺し合う
レアティーズはすぐに絶命するが
ハムレットはまだ生きていてさらにむごいものを見る
今殺した男の妹の亡きがらだ

ここのポローニアスの演技もリセウと違っていた
クローディアスが汚いもののように投げ出した花を娘の遺体から払いのける
彼も相当まいっている。
息子がそこで死んでいるのも知らない。

ハムレットが叫んで乱入してくる
顔のヴェールを外す瞬間のサイモンの顔を押さえといて欲しかった。

ハムレットはオフィーリアを抱き上げる

慈悲深き神よ、私も死なせて下さい!

お前はまだやり残したことがあるだろう!

ハムレットは羽交い絞めにされたクローディアスを刺し殺す
この刺し方半端じゃなく激しかった。
しかしハムレットはレアティーズに刺された傷で虫の息だった

そしてハムレットはオフィーリアに寄り添って息絶える。

以下のセリフはなかった

先王:人々のために生きるのだ、ハムレット
神がお前を王にする

ハムレット:私の魂は墓場の中にある
それでも私は王なのか?

人々:ハムレットさま万歳、わが国王万歳!

これらはなかった

代わりに彼が息絶えた。
やはり終わり方としてはこっちのほうがましだとは思います
サイモンも 過去のインタビュー でこう言っていた

やはりね、死なないハムレットはないよね…

全幕了

おつかれさまでした

ゆっくり休んでください





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最終更新日  2010年04月16日 22時22分30秒


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