2019年06月15日
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カテゴリ: OPERA



Photo credit:Shevaibra, courtesy of the artist

徳永二男が案内する「楽器の謎!21 テノール」 宮里直樹

2019年6月15日(土)14:00開演(13:30開場)
たましんRISURUホール(立川市市民会館)小ホール

出演
徳永二男(ナビゲーター・ヴァイオリン
宮里直樹(テノール
水野彰子 (ピアニスト

日本クラシック界の巨匠、ヴァイオリニスト・徳永二男がナビゲーター


曲目
越谷達之助:初恋
山田耕筰:あわて床屋
R.シュトラウス:セレナーデ
R.シュトラウス:万霊節
ガスタルドン:禁じられた音楽
ロッシーニ:踊り
カルディッロ:カタリ カタリ
ディ カプア:私の太陽
ドニゼッティ:オペラ《愛の妙薬》より“人知れぬ涙”
プッチーニ:オペラ《トスカ》より“星は光りぬ”

ヴェルディ:オペラ《リゴレット》より“女心の歌”
グノー:オペラ《ファウスト》より“清らかな住まい”
ほか

***

ヴァイオリニストの巨匠、徳永二男さんが紹介する音楽家シリーズ、今回は今をときめく旬のテノール宮里直樹さん。

長かった。
昨日2020年の日生劇場ルチアにエドガルドで出演することが発表されたばかり。
光り輝く美声を圧倒的なパワーで解き放つ本格的イタリアンテノールを堪能させていただきました。
今日はいろんなレパートリーを歌ってくれて、すごかったです!

なかなか聞けない自分の声についてのインタビューも秀逸で面白かったです。

ピアニストの水野さんの華麗な演奏とテノールと息のピッタリあった表現力もすばらしかったです。
アンコール含め二曲も徳永二男さんが参加して豪華なトリオになったのもビックリ。

宮里直樹さんは後半のアリアパートでは
最高音
B
H
と上がっていき
最後はHigh Cを披露
どれも完璧ですばらしかったです。

宮里さんの中音域の重量感、質量感、ぶ厚さが半端ない。だからプッチーニやヴェルディの中期までのテノールなら歌えるであろう。今回もカヴァラドッシ以外は厳密に自分のFachにのっとった選曲。

***
徳永二男さんのトーク

▼越谷達之助:初恋

めっちゃゆっくりテンポ 幽玄の世界 一番はピアノで歌い、ピアニッシモの高音の伸ばしあり、二番はメゾフォルテで歌う。

▼山田耕筰:あわて床屋

ユーモラスに歌う。『初恋』とはまるで別人のように強靭な中音域!

▼R.シュトラウス:セレナーデ
Richard Strauss Staendchen

ピアノもきらめく。細かい光の粒のように
きらめく高音はB(アライサで確認)
 快活に歌う

▼R.シュトラウス:万霊節
Allerseelen - Richard Strauss

夢見るように歌う。クライマックスの声量がすごい。

▼ガスタルドン:禁じられた音楽
Gastaldon"Musica Proibita"

イタリア語に突入。

Vorrei baciare i toui capelli neri,

Fammi provar での
最高音 A(Giuseppe Di Stefanoで確認)の伸ばしがすごい!
さらに声量アップで大大声量に。

▼ロッシーニ:踊り
Rossini- La Danza
イタリア語で早口でリズミカルに圧倒的ナパワーで歌いまくる難曲。
最後のAもめっちゃ美しく伸ばす~~~!

▼カルディッロ:カタリ カタリ
Core 'ngrato

入り込んで歌う。最後のBもすばらしい!

▼ディ カプア:私の太陽
O Sole mio

これがまじすごかった!
繰り返し部分の装飾音がものすごい。
A→B
A→H→A
まさに瞠目でした!

後半

徳永さんを交えて楽しいトークが展開。
以下はメモを元に記述。

徳永さん:宮里さんのお父さんもお母さんもヴァイオリニストで妹は
宮里さん:…宝塚。(驚きのこえが上がる)

(驚いた~生粋の音楽一家育ちなんですね)

徳永:宮里さんはヴァイオリンもやっていた。したがって絶対音感がある。すばらしい音程だと思う。ところで声帯は鍛えることはできるのですか?

宮里:できない。声帯の周りの筋肉を鍛えることはできるが。

徳永:基礎練習はどういうことをやるのか。

宮里:小さいこえから大きいこえに上げていく。筋肉を暖めていく。横隔膜を意識するのは簡単です。(と観客に実践させる。)

徳永:テノールの種類を教えて。

宮里:レッジェーロ、リリコ・レッジェーロ、…僕はこのタイプです。リリコ、リリコ・スピント…これはマリオ・デル・モナコのようなこえのことです。ドラマティコ…これは僕には表現できない。役ごとに(Fach)は決まっている。ベルカントの時代があって、ヴェリズモの時代も…。僕はリリコ・レッジェーロでリリコに出たり入ったりしているような声種です。

宮里:声楽は35歳ぐらいでこえが決まる。僕のこえは毎年変わっていく。全部教えられたことを試してみるので。

徳永:言葉も大変ですよね。
(水野さんの紹介)

水野:高校の頃からピアノの伴奏をやっている。声楽は言葉があるから(入るタイミングが)わかりやすい。ドイツ語は母音にビートがあるのでそこで入る。

宮里:さすがです。(伴奏ピアニストの中には)オンビートで子音のとこで入ってしまう人もいる。

<会場の客からの質問。これが意外とユニークでおもしろかったのだ。>

Q:なぜ歌うときピアノに手を置くのか?ダンツァのときは置いてなかったが。

宮里:意外と手が邪魔なんです。テノールなんでどうしても手が前に出ちゃうんです。歌曲は手をここに置いて歌を届けたいのです。でも力が入ってくると指が立っちゃうんです(客爆笑)これは、見ないでください。表現したいときはピアノから離れて歌っている。

Q:ベルカント唱法について

宮里:ベルカントの定義は難しい。何がベルカントなのか。同級生が論文で書いていたが読んでない(笑)。ドニゼッティ、ベッリーニ、ロッシーニ(という作曲家が現れた)。19世紀になって、ハコが…ホールのことですけど…変わってきてしっかり声を出さなくてはいけない時代になって変わってきた。モーツァルトは声を大きくすることよりもフレーズが大事だった。ドニゼッティの時代になってしっかりパーンと明るい声が必要となった。おのおののベルカントでやることが大事だと思う。

Q:オペラだと演技しながら歌う。ピアノで歌う場合と違うのか?

宮里:今回は「人知れぬ涙」も「星は光りぬ」も誰かに歌いかけるのではなく、自分ひとりで歌う曲。誰かに歌いかける曲の場合…花の歌とか…は、コンサートの時にそれをやっちゃうとこっちばかり見て歌うことになっちゃうから。僕は動いたほうが歌いやすい。僕はアリアでもよく動く。

Q:ステージ上は照明が暑いとか、コンディション維持が大変だろうと思う。よくキャンセルする歌手もいるけれどもなぜなのか。そういうことが関係しているのか?

宮里:僕は今までキャンセルしたことはありません。僕は断ったことないです。いつも元気です!(客笑)

徳永:今日のように雨だと空気が重い?

宮里:そうですね。僕が汗をかいているせいかも知れませんが(笑)お客さんの服も水を吸ってるし。(笑)確かにリハーサルの時と感じが違います。

<宮里さんのお茶目でおもしろいキャラを堪能した後は、いよいよ後半の演奏開始!>

▼ドニゼッティ:オペラ《愛の妙薬》より“人知れぬ涙”
Donizetti : L’Elisir d’Amore: “Una furtiva lagrima”
Nemorino’s Act II aria

ここで宮里さんは上着を脱いで手に持って出てくる。単に暑いからではありません。役作りの一環なのです。
驚くべきことに後半になりさらに声量がアップしたのだ!やはりオペラは違う。

表現力が秀逸。声の圧倒的質量を感じる。

カデンツァでB、2回。

▼プッチーニ:オペラ《トスカ》より“星は光りぬ”
Puccini:E lucevan le stelle/Tosca

今度は上着を置いて、上着なし。
すばらしい!としかいいようのない。
ウナフルティヴァラグリマはテッシトゥーラが高くハイテノールのための曲なのだがこのエルチェヴァンレシュテッレは非常に音域が低く、入りも低いが宮里氏は中音域もぶ厚いので完璧に歌えるのだ。高い音の伸ばしが筆舌に尽くしがたく美しい。彼は9月に座間でカヴァラドッシを歌う。

▼チャイコフスキー:オペラ《エフゲニー オネーギン》より“わが青春の輝ける日々はどこに”
Eugene Onegin – Lensky's aria 'Kuda, kuda, vi udalilis'

レンスキーのクーダークーダーアリア。
これも瞠目だった!ロシア語。
レンスキーの悲しみを表現する。声もレンスキーにぴったり合っている。高く強靭な声が必要なのだ。
これをさらっているということは?NNTTのオネーギンのレンスキー、カヴァーなのかと勝手に想像する。彼はNNTTジャンニスキッキのリヌッチョのカヴァーだったのだ。

▼ヴェルディ:オペラ《リゴレット》より“女心の歌”
"La Donna e Mobile" from Verdi's "Rigoletto"

ピアニストが一人で出てくる。しもてからドゥカが登場。まさにドゥカになりきった表情としぐさ。
圧倒的な声で軽く歌う。これ大事。チェントでB またB 繰り返しのチェントでB そしてカデンツァでHです。強靭に輝く高音、すばらしい!

▼グノー:オペラ《ファウスト》より“清らかな住まい”
From Gounod's Faust, Salut, demeure chaste et pure

きました。これを最後に持ってくるとは!High Cを擁する難曲です。
ここで驚きが!徳永さんがヴァイオリンを持って登場。3人での演奏となるのだ。
宮里さんが解説「オペラではコンマスがソロを弾くのです」
ヴァイオリンもすばらしい!
A、B、そしてHigh C !すばらしい!完璧!

アンコール1
▼グラナダ

A、A、B !
輝かしく圧倒的A音にクラクラ!

アンコール2
三人の演奏で
▼アマポーラ

甘美な名曲。
甘い声。
B。
最後は High Cに上げた?

お疲れさまでした。
聴けて幸せです!
今後のカヴァラドッシとエドガルドを楽しみにしています。





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最終更新日  2019年06月16日 12時25分40秒


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