2022年08月29日
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カテゴリ: OPERA




***

セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)オペラ
モーツァルト:「フィガロの結婚」
Day3
最終公演

2022年8月27日(土)開演15:00 ※チケット完売
まつもと市民芸術館・主ホール

全4幕/原語(イタリア語)上演/日本語字幕付き


伯爵夫人:アイリン・ペレーズ
スザンナ:イン・ファン
フィガロ:フィリップ・スライ
ケルビーノ:アンジェラ・ブラウワー
マルチェリーナ:スザンヌ・メンツァー
バルトロ:パトリック・カルフィッツィ
バジリオ:マーティン・バカリ
ドン・クルツィオ:糸賀 修平
バルバリーナ:シャイアン・コス→経塚果林
アントニオ:町 英和

合唱:東京オペラシンガーズ


指揮: 沖澤 のどか
演出: ロラン・ペリー
演出:ローリー・フェルドマン
装置 :シャンタル・トマ
衣裳:ロラン・ペリー&ジャン=ジャック・デルモット

照明デザイン補 :リー・フィスクネス
合唱指揮:根本 卓也
チーフ音楽スタッフ:デニス・ジオーク

***

Shevaさま

27日の『フィガロ』を鑑賞するために、松本に行ってきました。3年ぶりの訪問。30周年ということでしたが、コロナということもあるのでしょう、特別な華やぎのようなものは、感じませんでした。でも、現状では海外からのアーティストを多数招聘してオペラを上演すること自体が、特別なことかもしれませんね。

オペラの公演にしては、気のせいか、自分も含め「おじさん」客多め。耳に入ってきた周りの声からすると、どうやら、皆さんのお目当ては指揮者の沖澤のどかさんのよう。私自身も、このところ、その名前を目にすることが多くなった、閨秀の誉れ高い彼女の指揮ぶりを拝見したいと思い松本まで出かけました。

沸き立つような、あのオペラの序曲の開始早々、「オッ」と思ったのは、低弦のリズムが、びっくりするくらい強調されていたこと。これから展開する物語が「狂おしき1日」のものであることを予感させ、期待が高まりました。「しかし」休憩前の前半は、こちらの大きな期待とは裏腹に、音楽が一気呵成には進んではいかず、その流れが、少々ぎくしゃくしているようにも感じられました。

今では大好きな『フィガロ』ですが、実は長いこと、この大傑作オペラに馴染めない時期がありました。問題はレチタティーヴォ。すごく退屈と感じていました。でもある時、台詞のやり取りが、非常に音楽的に聞こえ、素直に「素晴らしい」と思えたのです。レチタティーヴォも音楽、聴きどころであることに遅ればせながら気づかされたのです。以降、アリアやアンサンブル、そしてセッコのレチタティーヴォも含めて、それらの一つのまとまり(流れ)としての『フィガロ』を楽しむようになりました。今回のプロダクション全体に対して、沖澤さんの意思は、どのあたりまで及んでいたのでしょう?ソリストたちは、かなり装飾をつけて歌っていましたね。チャールズ・マッケラスが、テラークというレーベルに録音した『フィガロ』では、積極的に装飾が採用されていて、初めて耳にしたときは驚きましたが、今回の公演での装飾の扱いについては、沖澤さんの意向がどれくらい反映されていたのかな?

休憩後、オペラの後半は、大きなアンサンブルが多くなることもあってか、沖澤さんのオケやソリストを束ねて音楽を構築する手腕が良く発揮され、とても聞きごたえがありました。またオケが優秀だと、振り方によって、『フィガロ』の音楽が、色々な意味で、こんなにも大きくなるのかとも思いました。いい『フィガロ』だったとは思いつつ、沖澤さんには、『フィガロ』よりも、もっと向いているオペラがありそうな気がするのですが。何だろう?

歌手でよかったのはスザンナ役。世界でもトップランクの歌唱でしょう。同じような名前の中国出身のソプラノが、かつてのフランス大統領ミッテランの親族が監督をした映画版『蝶々夫人』でタイトルロールを歌っていて、その人かなと思ったら別人でした…ペレスが伯爵夫人を日本で歌うのは、たぶん2度目だと思います。前回は、10数年前に行われたザルツブルク音楽祭の引っ越し公演という触れ込みだったクラウス・グートのプロダクション。彼女のキャリアが、ここまで大きくなるとは、その時は想像できませんでした。今回は、伯爵夫人を歌うには、彼女の歌のスタイルや声の状態が、合わなくなっているように感じましたが。

ペリーの演出は、最初はポネルの『セビリアの理髪師』や『フィガロ』を思い出させる舞台だなと思って見ていました。3幕の2組の結婚の儀式で、村娘ではなく、バルバリーナとケルビーノに歌わせるのもポネルがやっていたことだしなどと思ったり。でもその後のファンダンゴの場面から、幕切れまでが面白かった。このプロダクションの見どころはここかな。明るさを落とした舞台で、なにやら意味ありげに、ゆったりと踊られるファンダンゴと、その後の1つの時代が終わったことを示すようにゼンマイが切れる機械仕掛け・「時計」(?)。前時代の残骸のような舞台で繰り広げられる終幕。そして、新しい時代が始まることを示すように再び動き出す回り舞台。

このプロダクションは、サンタフェの公演用に制作されたものとのことだけれども、向こうでも慣例通りに(?)、マルチェリーナとバジリオのアリアはカットされていたのだろうか?後者はともかく、昨今のようにジェンダー云々というのなら、前者は歌われてもよかったように思うのだけれども。今回のマルチェリーナを歌ったメンツァーは、これが最後の舞台になるらしいですね。モーツァルト没後200年の1991年のザルツブルクのイースター音楽祭で上演された『フィガロ』で彼女はケルビーノを歌っていました(この舞台はNHKが放送しました)。その彼女がマルチェリーナを歌って松本で歌手としてのキャリアを終える。彼女が小澤征爾の師匠カラヤンが始めた音楽祭でケルビーノを歌った翌年、1992年に松本のフェスティヴァルは始まったのですよね。第1回目に上演された『エディプス王』の演出はジュリー・テイモア。この次の彼女の大きな仕事だったのがミュージカル『ライオンキング』だったわけです。30年の時の流れですね。

ご覧になったということなので、『ミスサイゴン』についても、言及しようかと思いましたが、ちょっと長くなりすぎたので、またの機会に。

名古屋のおやじでした。

***

「名古屋のおやじ」さま、いつもありがとうございます!
お忙しい中の早速の脱稿
さすがプロは文章力が違いますね!
昨日は名古屋の芸文でもありがとうございました。
その時うかがった話が気になりました。
ケルビーノの子供を生んだロジーナはどうなっちゃうんでしょう?
想像が膨らみますねw
『ミスサイゴン』についても楽しみにしております。





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最終更新日  2022年08月29日 09時13分24秒


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