*** FACH Francesco Foscari Fach : dramatic baritone Jacopo Foscari Tenor Fach : spinto Lucrezia Contarini Soprano Fach : spinto Jacopo Loredano bass Barbarigo, a Senator tenor Pisana, Friend and confidant of Lucrezia mezzo-soprano Attendant on the Council of Ten tenor Servant of the Doge bass ***
Cum dominus dux sit illa imago que representat dominium Venetiarum 最高位(=Cum)の支配者(=dominus)であるドージェ(=dux)はヴェネツィアの(=Venetiarum)支配権(=dominium)を象徴するイメージ(= imago)でありますように(= sit)
et ad quem tamquam ad primum omnia referuntur, et per cuius medium universum regiminem nostri status ministratur そして、あたかも最初のものであるかのように、すべてのものが誰に委ねられ、誰を通じて私たちの国の政府全体が運営されるのか
From Dennis Romano.The Likeness of Venice: A Life of Doge Francesco Foscari 1373–1457
原設定→(ドゥカーレ宮の「十人評議会の広間」Sala del Consiglio dei Dieci と思われる)ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿の一室。ゴシック様式のバルコニーから月明かりで街の一部と港を見下ろせる。右側の2つのドア、1つはドゥカーレ宮殿の部屋へ続く、もう1つは評議員たちのの入り口。左側には、十人評議会のホールと、他の2つのドア。十人委員会が招集されている。
Silenzio, mistero
合唱が歌うこの訳はなかなか秀逸 misteroを「守秘」と訳してたのだ。それで意味が通る。
15世紀、アドリア海の女王として覇権を握っていた時のこと、ベネツィア共和国は(貴族政だが)十人委員会(Consiglio dei Dieci)という政府の中枢機関によって支配されていた。
「十人委員会の公式な任務は、共和国の治安維持ならびに政府転覆および汚職の防止である。しかし、組織が小さく迅速な決定が可能なため、その職務範囲は徐々に拡大し、1457年の時点では政府の業務全般を取り扱うようになった。」from Wikipedia
他国に国家の重大な機密を漏らすことは死罪に値する
ヤコポ・フォスカリは「1445年、贈収賄と汚職のかどで十人委員会に告発され、ヴェネツィアを追われた。1450年と1456年に他の2つの審理が行われ、ヤコポはクレタ島に流刑にされ、そこで死を迎えた。」from Wikipedia
ヤコポは上下黒の現代の衣裳。再審のためにベネツァアに連れてこられた。
十人委員会の役人「ここで待っていなさい。評議会が開かれるまで」
十人委員会の役人が井出司さん。すばらしいです。
この作品の原作者(Lord Byron)、台本作家 (Francesco Maria Piave)や作曲家(Giuseppe Verdi)は現在も存在するヴェネツィアのドゥカーレ宮殿を熟知していてそれでこの作品を作ったと思われる。私も先月行ってきたばかりだが、ドゥカーレ宮殿は監獄が隣接していて有名な「ため息橋」が宮殿と監獄の間にかかっていて、護送される囚人はそこで外の世界をつかの間眺めるのである。 またこの時ヤコポが待たされていた評議会の開かれる場所の前室(宮殿の3階)からも高くなっているので窓からベネツィアがよく見えるのだ。 ここのアリアはヤコポがベネツィアに戻ってきてその光景に慨嘆する様子が描写されている。
ヤコポの登場のアリア Dal più remoto esilio- Cavatina from Act I, Scene 1 Range : F3 to G#/Ab4
Dal più remoto esilio, sull'ali del desìo, a te sovente rapido volava il pensier mio; come adorata vergine te vagheggiando il core, l'esilio ed il dolore quasi sparian per me
カバレッタ
Odio solo ed odio atroce- Cabaletta to Dal più remoto esilio Range : D#/Eb3 to A#/Bb5
Odio solo, ed odio atroce in quell'anime si serra; sanguinosa, orrenda guerra da costoro si farà. Ma dei Foscari, だが僕はフォスカリ家の人間だ una voce va tuonandomi nel core; 私の心にこの言葉が蘇ってくるのだ forza contro il lor rigore 厳しい刑罰に立ち向かう力を与えてくれる l'innocenza ti darà 私は無実だという言葉が
ドージェのアリア O vecchio cor che batte- Romanza Range : C3 to F4
O vecchio cor, che batti come ai prim'anni in seno, fossi tu freddo almeno come l'avel t'avrà; ma cor di padre sei, vedi languire un figlio; piangi pur tu, se il ciglio più lagrime non ha.
奥様がいらっしゃいました
ルクレツィアは十人委員会を批判する
二重唱
総督としての義務と親としての情で板挟みになるドージェ
奴は敵国に、内通していたんだ
あの手紙は、ヴェネツィアに帰りたい一心だったのです
かみ合わない二人の会話
di Venezia il principe in ciò poter non ha ドージェはヴェネツィアの第一人者(プリンチペ)であっても権力は持っていないのだ。
Non maledirmi o prode - Preghiera from Act II, Scene 1 Range : G3 to A#/Bb5
カルマニョーラ! 僕を恨まないでくれ
Non maledirmi, o prode, se son del Doge il figlio; de'Dieci fu il Consiglio che a morte ti dannò! Ah! Me pure sol per frode vedi quaggiù dannato, e il padre sventurato difendermi non può... Cessa... la vista orribile più sostener non so.
ルクレツィアが来る。
亡霊め
私よ
ああ
夢だったのか
来てくれたのか
パパも来てくれるかな
もうボク死にそうだし
ルクレツィアは彼を力づける
二重唱
死んだりしないわ
流刑は死ぬよりつらいよ
mi piomban le tue lagrime a crescerne il soffrir
すぐ外の運河を漕ぐゴンドラ漕ぎの歌が聴こえる。
Maledetto chi mi toglie a' miei cari, al suol natio
Speranza dolce ancora non m'abbandona il core
二重唱
perduto ogn'altro bene, dell'amor tuo vivrò 君への愛だけは失われない!
監獄に来るドージェ
お父様!
ここには父として来た。総督としてではない。
三重唱
Così furtiva palpita la gioia nel dolor! 哀しみの涙ではなく喜びの涙が激しく流れます
父と息子の二重唱
父に抱かれ安らぎを覚える息子
三重唱
それじゃ
もう行ってしまわれるんですか
そこにロレダーノが
裁きの場に連れて行くためヤコポを迎えに来る
ヤコポと嫁はロレダーノに抗議する
Ah sì, il tempio che mai non s'arresta
四重唱
第二場 Sala del Consiglio dei Dieci 十人委員会の広間
元老院の面々が集まる。
この演出では現代の議場のようにマイクが設置された登壇者が立つ台がある
Giustizia(正義)と連呼される
ドージェが来る
ドージェは総督としての振る舞いに終始することを自分に課している
ヤコポ
ロレダーノは判決文をヤコポに渡す
流刑は変わらない
sono innocente 私は無実です!
ルクレツィアがまだ小さい男の子二人を連れて議会に乱入
ヤコポはドージェに訴える。 Queste innocente lagrime ti chiedono perdono お赦しを どうか 伏してお願いいたします
ヤコポのアリア All'infelice veglio Range : D#/Eb3 to A#/Bb5
僕は行くよ 次に会えるのは天国だ コンタリー二家の娘なら泣いてはいけない 敵を喜ばせるだけだ
ここで最高音! すばらしい!
ロレダーノが現れ、敵の姿にヤコポは激昂する。
ヤコポのカバレッタ O padre, figli, sposa- Cabaletta to All'infelice veglio Range : D#/Eb3 to A#/Bb5
重唱+合唱
ヤコポ In cielo un giorno avremo merce' di tal dolor! Sposo addio!
連れて行かれるヤコポ 哀しみのルクレツィア
大拍手!
第二場
本来の設定→ドゥカーレ宮殿の総督の住居部分の部屋
バルバリーゴがヤコポの無実を知らせる証拠を持って来る
喜んだのもつかの間 ルクレツィアが来て、ヤコポの死を告げる
Più non vive..l'innocente- Cabaletta to a duet from Act III, Scene 2 Range : C#/Db4 to B6
Sorga in Foscari possente più del duolo or la vendetta ... Tanto sangue un figlio aspetta, quante lagrime versò
フォスカリ家の人間なら復讐してください! 流した涙の分だけ、血を流すのよ!
すばらしい!
そこに十人委員会が乗り込んでくる
十人委員会のテーマ音楽が流れる
話を聞こう
ロレダーノ: 息子さんを亡くされたあなたの深い悲しみに配慮し あなたを重責から解放します
なんだって? ドージェは終身制だぞ 今になって…
終身制のドージェを途中でやめさせるのはドージェに対する大変な侮辱です。
Doge morirei! Io, Foscari, non manco a' giuri miei
ドージェのアリア Questa dunque è l'iniqua mercede Range : D#/Eb3 to F#/Gb4
今になって冠を奪うのか! だったらわしに息子を返してくれ!
合唱: あきらめて従うのだ!
ドージェは指輪を渡す
もうわしは総督でじゃない
ルクレツィアが来る
お父様!
もうわしは第一人者ではないのだ
サン・マルコ寺院の鐘が鳴る
後継者マリピエールの就任を告げる鐘だ。
ドージェのカバレッタ Quel bronzo feral- Cabaletta to Questa dunque è l'iniqua mercede Range : C#/Db3 to F4
Quel bronzo ferale che all'alma rimbomba, mi schiude la tomba, sfuggirla non so. D'un odio infernale la vittima sono... Più figli, più trono, più vita non ho!