日生劇場オペラ「マクベス」2日目

100万ポイント山分け！1日5回検索で1ポイントもらえる

8271759

ホーム | 日記 | プロフィール

2023年11月12日

カテゴリ： OPERA

Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist

日生劇場開場60周年記念公演
NISSAY OPERA 2023
オペラ「マクベス」（新制作）
DAY2

作曲：ジュゼッペ・ヴェルディ
台本：フランチェスコ・ピアーヴェ
（原作：ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』）

演　出：粟國淳（日生劇場芸術参与）
管弦楽：読売日本交響楽団

2023年11月12日 (日)14：00開演
日生劇場

上演予定時間：約2時間50分（休憩を含む）

日生劇場では53年ぶりとなる、巨匠ヴェルディの名作オペラを堂々新制作！

管弦楽：読売日本交響楽団
合　唱：C.ヴィレッジシンガーズ

11月12日（日）キャスト
マクベス大沼徹
マクベス夫人岡田昌子

マクダフ大槻孝志
マルコム髙畠伸吾
侍女藤井麻美
刺客／伝令？（第一の幻影？）後藤春馬
医者／マクベスの従者／（第一の幻影？）金子慧一

第三の幻影：大木美枝

ダンサー（両日）
西田健二
吉﨑裕哉
中村駿
鈴木遼太
永森祐人
高橋佑紀
小川莉伯

美術・衣裳：アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明：大島祐夫（A.S.G）
振付・ステージング：広崎うらん
合唱指揮：須藤桂司
演出助手：上原真希
舞台監督：幸泉浩司（アートクリエイション）
副指揮：喜古恵理香・松村優吾
コレペティトゥア：平塚洋子・経種美和子

主催・企画・制作：
公益財団法人ニッセイ文化振興財団［日生劇場］

***

かつてこんなに演劇🎭的なオペラ「マクベス」があっただろうか？
サイモン・キーンリィサイドの「ドン・ジョヴァンニ」を見て受けた衝撃を思い出した。
マクベス役の大沼徹さんの入り込んだ演技と演唱に引き込まれ、物語に入り込んでしまったように思えた。

粟國さんの演出は一人称オペラ。マクベスにのみ常にピンスポットが当たっているのだ。他は全て暗闇に沈んでいる。
舞台には紗幕がかかっていて、独白の歌唱シーンのみ、紗幕の手前に出てくる。

また粟國さんはト書きやセリフを全て視覚化してみせた。

フリーアンスが弄ぶ短剣ダガー🗡️はマクベスがダンカンを殺す前に幻視するものだ。

魔女の宴で登場する幻影の眼は本当に炎🔥のように燃えている赤い眼だった。新国立劇場の修道女アンジェリカの時も書いたが、イタリア語の世界で育った粟國さんは言葉を一つも疎かにしないのだ。

バーナムの森の枯れて荒涼とした原野の古木が最初から登場し、強烈なオブジェとして存在する。

ダンサーたちは最初枯木として登場するがどんどん動き回るようになる。彼らがバーナムの森の枝なのだ。

魔女は精霊なのでフワフワ浮遊する。美しい女声ではなくあえてダミ声地声アニメ声で歌う。

シェークスピアの世界の視覚化。もう次はアムレ「(ハムレット)」しかないんじゃないかと思う。

大沼徹さんのお声はトマス・ハンプソンの声に似ていた。

レイディ・マクベスの岡田さんは昨日のワグネリアンソプラノ、強力なスピントの田崎尚美さんとは違って、リリコ・スピント・ソプラノもしくはドラマチック・コロラトゥーラ・ソプラノであった。やはり彼女も演技力半端なかった。

バンコーの妻屋さんのバス声とマクベス大沼徹さんのバリトン声とコントラストが感じられ二重唱も良かった。

昨日は全体のステージを俯瞰するため2階から鑑賞し、今日は稀代の演技派であるアクターシンガーの大沼徹さんの演技を細かく見るため1階席を奮発した。

もう…神に感謝しながら鑑賞しましたw

最後の最後にまっていたあっと驚くハプニングｗｗｗについても詳述いたします。

演技派と言えば、バスバリの後藤春馬さんもアクターシンガーで、今日は刺客を演じていましたが相変わらず細かかったですw

＊＊＊
Macbeth by Giuseppe Verdi Libretto : Francesco Maria Piave
Fach ※複数の資料参照
Macbeth Fach : dramatic baritone
Lady Macbeth Fach : dramatic coloratura　/　dramatic mezzo　/　Spinto Soprano
Banco Fach : lyric bass　/　Basso profondo
Macduff Fach : lyric tenor　/　Spinto Tenor
Dama（Lady-in-waiting）　Fach : lyric mezzo
Malcolm Fach:　Lyric Tenor

Doctor bass
Servant to Macbeth bass
Herald bass
Assassin bass
Three apparitions 2 sopranos and 1 bass

Duncano (Duncan) Silent
Fleanzio (Fleance) Silent

＊＊＊
序曲

幕が開く

第1幕　第1場
荒れ果てた荒野の禍々しい倒木が３つ

浮遊する魂のような魔女たちが空気の中に浮かび上がる
それは鬼火のよう。
縦横自在に瞬間移動するような特徴的な動き。人間の動きではない

倒木が立ち上がり、枯れ木が蠢く

ゆるい角度の八百屋舞台

戦っている兵士たち。シェークスピアの設定では、11世紀のスコットランド軍対、反乱軍とノルウェー軍の戦い。
粟國演出版の兵士の服装は11世紀の服装ではなく、20世紀初頭の第一次世界大戦の頃の英国軍の軍装かと思われる。丸みを帯びた特徴的なヘルメットは英国軍で使用されていたものに似ている。
20世紀初頭であればライフル銃を持っているはずであるがそれはなく、剣（銃剣？）で戦っている。第一次世界大戦で英国軍はベルギーを戦場としドイツ軍と戦った。

第2場

舞台の奥に現れるマクベスとバンコー、それぞれ別の敵と戦っているが背中で鉢合わせする。
二人はこの時点では一兵卒である。
しかし荒野で魔女たちに出会い、予言を聴く。

魔女は3人
巨大なのっぺらぼうの顔がついている。
地面からわいていて３つの予言を物語る

I. Salve, o Macbetto, di Glamis sire!
II. Salve, o Macbetto, di Caudor sire!
III. Salve, o Macbetto, di Scozia re!

バンコーも自分についての予言を聴きたがる。

Non re, ma di monarchi genitore!
王ではないが王の家系の祖となる

巨大なのっぺらぼうの魔女は空中に上がっていく。

魔女たち：
Macbetto e Banco vivano!

第3場

伝令たちにより
一つ目の予言が叶ったことを知るマクベス。軍功によりコーダーの領主になったのだ。

マクベスは伝令の手により、宝石の連なったカラー（男性用首飾り）を授与され、装着される。

一人薄い紗幕の前に出てくるマクベス。マクベスには常にピンスポ。独白するが、そんな彼をじっと見つめているバンコー。

二重唱：

マクベス
Due vaticini compiuti or sono
もう二つも予言が当たったぞ！

マクベス：
Alla corona che m'offre il fato
La man rapace non alzerò.
運命が俺に王冠を差し出すというのか、
貪欲に手に入れるつもりはないぞ

この時点でマクベスは地獄からの誘惑に簡単に乗らない気持ちでいるのだ。朗報に舞い上がることもせず、自らの手を汚すことはまったく考えていない。バンコーは動揺するマクベスに警鐘を鳴らすがすでにマクベスは聴いていない。

二人去る

第4場
魔女たち

第5場
マクベス居城の広間

このシーンも印象的でした！
奥の扉がさっと開いたように見える効果でマクベス夫人がバックライトで登場する。逆光だけに怖さ倍増である。どんどんまっすぐ前に歩いてくる。手紙を読んではいない。手紙を読むのは録音された音声で男性のイタリア人の声。それに夫人の声が重なるがやはり演者が読んでいるのではない録音。こういう処理がまるで映画のようなリアルな効果を生む。

Addio

レディマクベス：
Ambizioso spirto tu sei Macbetto
マクベス、あなたは野心的な性格よね
でも…悪人にはなれるかしら？

Vieni t'affretta - Cavatina
Range : D4 to C6

Vieni t'affretta! Accendere
Ti vo' quel freddo core!
早く帰ってきて！あたしが火を点けてあげるわ！

第6場

召使いがダンカン王の訪問を告げる
2日目の召使は金子さん

第7場

レディ：
Duncano sarà qui?
ダンカン王がここに？今夜？

カバレッタ
Or tutti, sorgete

レディ：
Or tutti sorgete, - ministri infernal
地獄の使者よ立ち上がれ！

第8場

かみてからマクベスが戻ってくる。

マクベス
Oh donna mia!
おい、帰ったぞ

王様に明日の陽を拝ませてはなりません

なんだって…

邪悪な美女が目線を走らせる

おわかりにならない？

Intendo!
わかってるよ…

大声で
Intendo!
わかってるとも！

でももし失敗したら？

あなたがびくびくしてなければ失敗しませんわ

第9場

バンダ（ここは沼尻さん振ってません。録音かと思われます）
ダンカン王の到着。行進していく行列のシーンだが、
玉座に座る緋色の軍服姿のダンカン王に拝謁する軍関係者、バンコーとマクベス夫妻となっている。
バンコーはそのまま玉座のしもてがわに立ち、跪くマクベス夫妻に視線を送っている。
このように生前からバンコーはマクベスに目線でプレッシャーをかけ続けていた。
玉座のかみてがわにはマクダフ、しもてがわには王の息子のマルコムがいる。
ダンカンにもマクダフにもマルコムにも笑顔はなく、暗くとげとげした雰囲気が感じられる。
ダンカンはバンコーの肩に手を起き労う。ついでマクベスもねぎらう。
ダンカンは夫人のエスコートで退出する。
バグパイプのような音声が響く中、退場する王と臣下たち。ここは沼尻さん振ってました。

第10場

マクベスと召使（2日目は金子さん）

マクベス：
Sappia la sposa mia

第11場

マクベスは短剣の幻影を見る

Mi si affaccia un pugnal!
　短剣が見えるぞ…！

本当に短剣が浮かび上がって人の手がそれを取り合っている様子が見えます。

Orrenda imago!
　恐ろしい幻だ！

ベルの音

Non udirlo, Duncano! E' squillo eterno
Che nel cielo ti chiama o nell'inferno
　ダンカンよ、聴くんじゃない。それはお前を天国か地獄から呼ぶ音なのだ！

マクベスはダンカン王の殺害を決行するためはける。

ダンカン殺害シーンはフランチェスコ・マリア・ピアーヴェの台本では描かれていませんが、粟國演出では描かれています。寝床ではなく玉座に座るダンカンの胸部を2回、突き刺します。スロウモーションのようなスピードで一撃を食らった後ダンカンが驚きの表情を浮かべます。

第12場

夫人が待っている。

第13場

マクベスがダンカンを殺害して戻ってくる。
両の手は血だらけ。

マクベス
Tutto è finito!

二重唱
Fatal mia donna!

O vista, o vista orribile!

お、俺はアーメンと言えなかった

オレにはもう眠れぬ夜しかないのだ！

バカな！

マクベス：
Udrò di Duncano le sante virtù
ダンカン王の美徳を聴くのだ

後悔と恐怖でいっぱいになっているマクベス

そんな彼に冷徹に後始末を命じる夫人。

オレにはもう、あそこには戻れない…！

夫人は自ら部屋に行く。

第14場

信じられない表情で見送るマクベス。

第15場

夫人が戻ってくる
血まみれの手を夫に突き出し、
思わず避けるマクベス

ドンドンドン！

第16場

マクダフとバンコー
マクダフは王が起きてこないので見に行く

第17場

バンコー
Oh, qual orrenda notte!

第18場

取り乱して戻ってくるマクダフ

Orrore! orrore! orrore!

ダンカン王の死が告げられる

第19場
一同が騒ぎに出てくる。
マクベスと夫人も。

王の遺骸が運ばれ安置される。

かみて側に立つマクベスをじっと見つめているバンコー。その燃えるようなもの問いたげな視線に右手を掲げて避けるようにするマクベス。マクベスは平然としていることができない。マクベスだけにピンスポが当たっている。

全員の重唱と合唱のあと、

O gran Dio, che ne' cuori penetri,

オラトリオのような部分。ベルカントな歌唱が求められます。

全員：
L'ira tua formidabile e pronta
Colga l'empio, o fatal punitor;
E vi stampi sul volto l'impronta
Che stampasti sul primo uccisor

マルコムは身の危険を感じ一人逃げ去る

第2幕
第1場

傾いだ玉座に座っているマクベス、ダンカンが着ていた赤い軍服姿になっている。頭には王冠。スコットランドの王になった。しかし暗く俯いている。
レディが来る。

どうして私を避けるの？
やったことはもうどうしようもないでしょ
マルコムは逃げたから王殺しと疑われているわ

でも予言ではバンコーの子孫が王になるって…

レディ：
確かにバンコーと息子フリーアンスは生きてるわよね

マクベス
Banco! l'eternità t'apre il suo regno
バンコーめ、おまえの王国は天国で開くがよい

マクベスは自分を叱咤する夫人の両腕をつかむと床に押し倒す。

レディ・マクベスのアリア
La luce langue
Range : B4 to G5

レディ・マクベス
La luce langue, il faro spegnesi

レディは王になると予言された者たち（バンコーとその息子）の死を願い歌う。

第3場

刺客たちの合唱
この演出では刺客ではなく宮廷警護の軍隊（親衛隊）と普通の軍隊との二帯が同じ使命を帯びて鉢合わせする演出になっている。刺客たちのリーダーはハンチング帽を被った後藤さんで彼はソリストなので合唱部分では歌わないが、あれこれ指示を出している。

Sparve il sol... la notte or regni

Trema, o Banco!
脅えて待つがよい、バンコー！

第4場

バンコーとその息子フリーアンス

Studia il passo

バンコーは息子に護身のために短剣を持たせる。そのため自分は丸腰になっている。
息子は短剣を弄んで突いたりして遊んでいる。

バンコーのアリア
Come dal ciel precipita
Range : B3 to E4

Come dal ciel precipita
空の陰が重くのしかかる…

E il mio pensiero ingombrano
Di larve e di terror.
怖ろしくてたまらない…

e di terror.

そこに刺客たちが音もなくやってきて襲い掛かる。
息子を逃がし
バンコーは追いかけようとする刺客二人を一人で押し戻す。しかし囲まれて首を刺され殺される。
その様子をフリーアンスは見てしまう。追いかけてきた刺客（後藤さん）がフリーアンスを捕まえるが息子はさきほどの短剣で刺客の腕を切りつける。その隙にフリーアンスは逃げて、刺客は追っていく。

第5場

大広間での祝宴。
左右に長いロングテーブル。白いテーブルクロス、血のように赤いグラスが多数置いてある。マクダフとその妻が上手側に陣取っている
も～どこからバンコーの亡霊が現れるがワクドキです。

左右から登場したマクベスと夫人。夫人は豪華な黒いイブニングドレス姿。
マクベスは超傲慢な態度。これがどんどん崩壊していくのが見ものとなるこのシーン。

皆さん、ありがとう！

Si colmi il calice di vino - Brindisi
Range : D4 to C6

レディ・マクベス
Si colmi il calice
Di vino eletto
さあ乾杯しましょう

第6場

マクベスが席を外し、紗幕の前へ。
訪れた刺客がバンコーの死を告げる。
暗い顔の刺客は少年を逃がしたことを詫びるそぶりもなくそそくさと去る。

第7場

宴席に戻ってきたマクベスに夫人は、

どこに行ってたのよ！主役が中座なんて。

マクベス
バンコーが来てないんだ…

テーブルの真ん中のバンコーの席に座ろうとするマクベス。しかし…

背後に現れた玉座に座っているのはバンコー
回りをとり囲んでゆらゆらしているのは例の森の枯木のような魑魅魍魎たち（ダンサー）。

バンコーの亡霊に動揺するマクベス。
も～ここからがアクターシンガー大沼徹の真骨頂。腕の見せ所。

マクベスは亡霊に脅え怒鳴りつける

Non dirmi, non dirmi ch'io fossi!
オレじゃない、殺ったのはオレじゃない！

バンコーの視線に脅えるマクベス。
テーブルの前にまで回ってきてバッターンと転びます。出た大沼氏の転び芸。
アンフォルタスでは階段で足を踏み外す演技、ダナエの愛のジュピターではとびかかってもんどりうって転ぶとかさんざん見てきましたけど
マクベスもさすがすごいです！このシーンだけで2回以上激しく転びます。
１回はテーブルの上。
まさに体を張ってます。
見よ！シェークスピア演劇とはここまでするのだ！と教えてくれている。

王の異様な姿に客たちはそそくさと帰ろうとする。

レディ：
お待ちください。一時的な発作ですわ。

マクベスは酒を一気飲みする。バンコーの亡霊が消える。

マクベス（とりつくろって）
Né Banco obliate, che lungi è tuttor
皆の衆、バンコーを忘れるでないぞ

レディがさきほどと同じ歌を歌いだす。

しかしマクベスはまた何かを指さしながらテーブルの背後に回っていく
するとまたバンコーの亡霊が現れ今度は階段を下りて近づいてくる。

マクベス
Ma fuggi! deh, fuggi, fuggi, fuggi, fantasma tremendo!
怖ろしい亡霊め、消えろ、消えろ、消えろ、消えるんだ！！

テーブルの上で仁王立ちしてまた激しく転倒する。

醜態をさらすマクベス
亡霊が見えていない夫人はテーブルの席に座り込んで、チキン野郎のマクベスに頭を抱えている。

マクベス：
（亡霊が消えて）ああ、助かった。

夫人：
いい加減にして！

三重唱
Sangue a me quell ombra

マクベス
Sangue a me quell'ombra chiede
あの亡霊は俺を殺したいのか
（聴かせどころ）
Alle streghe squarcierò.

マクベス、レディ、マクダフの重唱＋合唱

マクベス
E l'avrà, l'avrà, lo giuro!
Il velame del futuro
Alle streghe squarcierò

人々は恐ろしいマクベスとレディの犯罪を知ってしまった。

マクベスはまた魔女の予言を聞きに行こうと決意する。

テーブルの上でうずくまるマクベスをテーブルの上に仁王立ちし歌舞伎のようににらみつけるレディ。こわ～～～！

なんかもうめっちゃ最高潮になってきました。

休憩

第3幕

間奏曲。

魔女

マクベスは魔女たちにまた予言を聞こうと洞窟にやってくる。
マクベスは次々とゴーストたちを見る

大音量と共に地獄の預言者たちが現れる

手前のプロンプターボックスぐらいの位置に奈落があり、そこから幻影たちが次々せり上がってくる。

マクベス
Dimmi, o spirto

第一の幻影
O Macbetto! Macbetto! Macbetto!
マクダフに気をつけろ

APPARIZIONE
第2の幻影
女の股から生まれたものにはやられない

マクベス
マクダフお前は死ぬのだ

第3の幻影
お前は無敵だ
バーナムの森が動かない限り

喜ぶマクベス

マクベスのArioso
Lieto augurio!

それではバンコーの子孫が王になるとはどういうことなのだ

やめろ

それが知りたいんだ！

マクベスは剣を抜く。

手前の幻影は消え、バグパイプの音色が聞こえてくる
王たちの幻が現れる。
これがまたすごい。

魔女たち：
Apparite!

超巨大な王たちの幻影
目は真っ赤に燃えている。これが9体も現れて動き回る
これはダイナミックで圧倒される。

バンコーのゴーストも現れる。バンコーは大きな鏡を抱えていて、未来（の英国王家の繁栄※バンクォーを祖とするスコットランド王ステュアート家）を映し出して見せる。

マクベスのアリア
Fuggi regal fantasima
Range: C3 - F4

Fuggi, regal fantasima

　王たちの幻影よ消え去れ
　おまえはバンコーなのか？

　Muori, fatal progenie!
　死ぬがいい…

　Ah, che non hai tu vita!
　ああ、もうすでに死んでいたんだったな…

O mio terror!
怖ろしい！

　最高音は　Muori, fatal progenie!　でGですが（ブルゾンで確認）
　楽譜上はFまでなのでしょうか。

Vivran costor?

マクベスは気を失う。

バレエ音楽はカットされていた。

合唱
Ondine e Silfidi
　はカットされていた。

第4場

マクベス
Ove son io?

気が付く

伝令

レディが来る。

魔女はなんて…？

マクベス
マクダフに気をつけろと…

レデイ
それで？

それで？

それで？

ぐいぐい畳みかける恐ろしいレディ・マクベス

でもバンコーの子孫が王になると…

みんな殺すのよ！

二重唱
Ora di morte e di vendetta

vendetta！

マクダフの一族を根絶やしにすることを決意する二人。
マクベスは残酷な殺意と共に燃え上がった欲情で夫人にディープキスする。

第4幕

いよいよ合唱の見せ場

Patria oppressa!
虐げられた祖国よ

妻子を殺害されたマクダフの悲痛の歌唱

マクダフ
O figli, o figli miei!

マクダフのアリア
Ah, la paterna mano
♪ああ、父の手は
Range : G#/Ab3 to A5

第2場

マルコム登場！

Dove siam?

マルコム：
山の木を切ってかざすんだ

勇壮な二重唱と合唱
La patria tradita

第3場

医者と侍女

さまよい歩くレディのアリア
Una macchia è qui tuttora
Range : B4 to C#/Db6

レディ
Una macchia è qui tuttora
どうしても血が消えない、
くそ！消えるんだよ！

老人にあんなに血があるなんて。

マクダフ殿の奥様とお子さんはどうしたのかしら？

バンコーは死んだのよ

A letto, a letto

誰か来たわ、マクベット

andiam, Macbetto

怖ろしい罪の自白

第5場

マクベス
Perfidi! All'anglo contro me v'unite!
裏切りやがって
イングランドとつるむとは

マクベスのアリア
Pietà, rispetto, amore
憐れみも誉れも愛も
Range:　C3 - F#/Gb4

Pietà, rispetto, amore
憐れみ、尊敬、愛情
Conforto ai dì cadenti,
それら年老いてからの幸せ
Non spargeran d'un fiore
La tua canuta età.
そんなものはおまえにはない
Né sul tuo regio sasso
おまえの墓にかけられる言葉は
Sperar soavi accenti:
優しい言葉ではない
Sol la bestemmia, ahi lasso!
なんて不幸なんだ　お前の弔いの歌は　
La nenia tua sarà!
罵りの言葉だけだ

　初期の作品に特徴的な声の転がしも。
　カデンツァで最高音　F#（カップッチッリで確認）　

侍女：
王妃がおみまかりに…

侍女は反応しないマクベスに近づこうとするが

マクベスは怒りを露にし、侍女は逃げるように走り去る。

命なんて…どうでもいいんだ！

合唱
バーナムの森が動いてきます！

マクベス

Prodi, all'armi!
La morte o la gloria

戦闘

第9場

マクベスとマクダフの対決
マクダフは帝王切開で生まれた子だった

マクベスはマクダフと戦っている間に王冠が外れて落ちてしまう。
これは一日目と違うのでハプニングだと思うのですが、ここからの演技が、カメレオン俳優のサイモン・キーンリーサイドを彷彿とさせるアドリブ演技ですごかったです。
致命傷を負った大沼マクベスは落とした王冠を拾うと大事なもののように一瞬抱えて見てからそのまま倒れ、しっかり王冠を握ったままこときれます。
ここで無理やり被ろうとしたら演技的にも無理になるのでこういう演技に変更したのがほんと反射神経がすごいな～と超ビックリでした！

Vittoria!

Vittoria!

最終場

マクダフがマクベスを討ち取ったと告げる
マクダフはしかしマクベスから王冠を取るが、それをマルコムに戴冠する前に一瞬名残惜しい表情を浮かべる。そのへんの演技も秀逸でした。

マルコムの戴冠

Salve, o re!

次に王冠を被ったものもそこに幸せや平和はなさそうなエンディングで殺伐とした雰囲気が漂います。一人称オペラで描かれているのでマクベスが死んで、観客も快哉を叫ぶというよりかはどこか彼の運命に同情してしまう終わり方でした。

全幕了

Related links

ザルツブルク音楽祭2011　新演出｢マクベス」 Part1 　Zeljko Lucic

ザルツブルク音楽祭2011　新演出「マクベス」Part2 　Zeljko Lucic

2013年5月2日
東京二期会オペラ劇場マクベス　
Day 2 　今井俊輔

2015年09月21日
ロイヤルオペラマクベス最終日　Part 1 　Simon Keenlyside

2021年4月21日　春祭ムーティのマクベス　Luca Micheletti

2023年8月27日　新宿区民オペラ「マクベス」Day2 　今井俊輔

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう