
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist
R.レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》
2026年6月7日 (日)開場 13:30 開演 14:00
新潟県 南魚沼郡 湯沢町公民館
カニオ:笛田 博昭
ネッダ:髙瀬 結花子
トニオ:湯浅 貴斗
シルヴィオ:伊藤 尚人
ペッペ:釜屋琳太郎
ピアノ:井向 結 → 河原忠之
合唱団:CORO di YUZAWA
稽古ピアニスト:井向結 大勝千緩
***
テノールの王様、笛田博昭さんの地元、湯沢町で初めてオペラが上演された。
笛田博昭さんの十八番、「道化師」だ。
出演者は笛田博昭さん門下?ならぬ笛田博昭一座?といった様相でまさに pagliàccio そのままの設定のダブルミーニングならぬトリプルミーニング!
カニオのあまりの迫力にお客さんは完全に圧倒されていた。
笛田博昭さんも
本当にしゃくり上げて泣きながら演唱しているように感じられて。
鬼気迫るとはまさにこのこと。
終わってから舞台で笛田様が
「おかしいなあ。昨日のガラコンサートの方がお客様が盛り上がっていたなあ?」と素のトーク。
本当に可愛い人です。
すかさずピアノの河原さんが
横でBravo!と叫んで盛り上げていました。
お客さんはヴェリズモの恐ろしさをまさに体感してたのですよ。
笛田博昭様の全幕のカニオは上野と溜池で聴いているのでもう3回めでしょうか?体に入っている役でまさにこれこそ演唱と言えるでしょう。リリコスピントテノールの甘い美声の慟哭がたまりません。🥲😭
シルヴィオ:伊藤 尚人 ペッペ:釜屋琳太郎 トニオ:湯浅 貴斗
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist
座長カニオならぬ笛田博昭が率いる歌手陣は超が付く才能の旬の若手が勢揃い!
笛田博昭様がすごいのは当たり前として
彼以外の歌手もめっちゃすごかった!
特にシルヴィオの伊藤尚人さんはすごいです。
こればっかりで申し訳ないが、もう第一声で
テジエの声だ!と思ってしまった!
下が響くんですよね!
声が存在感ありすぎで
もう〜シルヴィオの方がカニオ殺してもおかしくないっていう声だった。💦
笛田さんじゃなかったら絶対殺してた💦💦
彼はドラマチックバリトンなので
もちろんトニオもできるんですが、今回すごい人がトニオをやったのです。
湯浅さん
湯浅さんはバスバリトンで先日ばらの騎士のオックスをやってその演技の上手さに驚嘆したばかり。トニオも癖のある役なのでさぞかしすごいだろうと思っていたら
やっぱりすごかった〜😱😱
ただし彼はバリトンではないので高音は無理して出すような野暮はしなかった。最初のアリア Si può
ではG♯とGは出さず、下げて歌った。
ビロードのような美声バスで歌われるトニオもいい!
ファン・ポンスを彷彿とさせる。
彼は本当に演技がすごい!トニオのコミカルな面も見せつつ、実は腹黒いというのをうまく表現していた。
多分演出は自分たちでつけたのかなとも思われるのですが
デフォルメ
いわゆる奇形の
障害を持つトニオをそのまま表現していて終始腰を折った演技でさぞかし腰が痛くなったことでしょう。お疲れ様です。
日本の業界ではバスの声が少ないのでバスの役をバリトンが歌うことがままあるが、笛田博昭一座ではその逆でバスがバリトンの役を歌っちゃうという!
面白いです。
トニオ:湯浅 貴斗 ネッダ:髙瀬 結花子
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist
ネッダの高瀬さんもすばらしい😀
彼女はリリコスピントソプラノでしょうか?
恋する乙女の瑞々しい魅力をいっぱいに発揮。
三人の男を狂わせた可憐な美女を演じました。
ペッペの釜屋さんもすばらしい声でした。パワフルなリリック・テノールで美声を聴かせました。一人だけ理性的なペッペの役にはまっていました。
ピアノ:河原忠之
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist
河原さんのピアノはやっぱりすごかった!彼もカニオと一緒に泣きながら演奏しているように感じられた。
合唱団も皆プロフェッショナルな訓練を受けた方たちだと思います。若く溌剌としていて声がよく出ていました。演技もしていました。
お疲れ様でした♪
***
FACH
I Pagliacci by Ruggiero Leoncavallo
Libretto : Ruggiero Leoncavallo
Canio Voice Part : tenor Fach : spinto
Tonio (Taddeo in the play) Fach : dramatic baritone
Nedda Fach : lyric soprano
Silvio Fach : lyric baritone
Beppe (Harlequin in the play) Fach : buffo tenor
***
湯沢町は新幹線の越後湯沢駅を降りたところにあり、長いトンネルを出たらすぐに駅がある。冬だと雪景色だが、初夏の今は一面緑の山々に囲まれている。越後湯沢駅はガーラ湯沢のすぐ隣の駅で、上越新幹線のおかげで首都圏から非常に近いのだ。
せっかくだからミニ観光もした。商店街の店には『道化師』のポスターが貼られ、まさにスター”カニオ”の『道化師』の世界そのままだった。開演前に地元の店で昼食をとると、店の方も「そろそろオペラが…」と気にしていたので、町をあげてスター”笛田博昭”の凱旋を楽しみにしていることが感じられる。
そのとおり、開場20分前に会場に着いたがすでに大行列。開演前にはほぼ満席状態になった小さな町の公民館。これぞまさに『道化師』の世界!
ピアノの演奏
河原さんの打鍵は非常に強い!
そして繊細!
一人オーケストラと呼ばれるそのままの演奏!
どんちょうが上がりかけて中途半端に止まる。これは演出だったらしく、緞帳をくぐってトニオが出てきて前口上を述べる。いきなりすごい声~
プロローゴ
Si può? Si può?(Prologo)
トニオ 前口上
口上で「道化師」の根本の主旨が語られる。
「我々役者は舞台の裏で本当の涙を流しているんです。」
Atto primo
人々が旅一座の到着を待っている。
大太鼓が打ち鳴らされる
カニオは看板役者。この劇団の主宰であり、座長。
芝居を宣伝して歌う
Un grande spettacolo a ventitré ore
今日23時からだよ!
高音もすばらしい!
飲みに行こうとカニオを誘う村人
ネッダを残して心配じゃないの?
村人の軽口に激昂するカニオ
Un tal gioco, credete mi
Canio
Range : D3 to A5
俺は女房に惚れてるんでね。
ネッダ、端で呆れ、イライラしている
ほんと困っちゃうわ。
Andiam! Andiam!
飲みに行くベッペとカニオ
一人残るネッダ
Qual fiamma avea nel guardo
Nedda
Range : D4 to A6
Stridono lassù
- Ballatella
Nedda
Range : C#/Db4 to A6
鳥の歌
拍手
トニオが不気味に拍手を続けている。
あんた いたの?
お前に気持ちを伝えたいんだ
ネッダ、笑わないでくれ
はは!今晩舞台の上で言えばいいじゃない!
ネッダへの気持ちを切々と歌う。
彼を馬鹿にするネッダ。
トニオは逆上する
トニオはネッダを押し倒し、のしかかる
ネッダはかろうじて逃げて芝居の荷物を満載した一輪車からむちを取り出してしたたか殴りつける
ギャア!
トニオは逃げていく。
シルヴィオが来る。
シルヴィオはネッダに呼びかける。
ネッダ…!
ネッダはシルヴィオにトニオに襲われたことを話す。
シルヴィオの甘い口説き
ネッダは駆け落ちまでする気はなかったが、シルヴィオの歌唱にほだされる。
二重唱
トニオが親方を連れて来る。
カニオは二人の会話を聴いている。
今夜からあたしはあんたのものよ。
おい!
逃げて!
逃げるシルヴィオ
カニオは彼を追っていく
それを追ったネッダが戻ってくる。
やってくれたわね、トニオ。
まだまだこんなもんじゃないぜ。
カニオが戻って来る
名前だ
男の名を言うんだ!
カニオはナイフを手にしている
嫌よ
ベッペが駆けつける
ペッペはカニオを羽交い絞めしてナイフを奪いそれをトニオに渡す
トニオはナイフをしげしげと見てから自分のポケットにしまう。
ペッペ:
やめてください。もう芝居の幕が上がります!
トニオ:
愛人は戻ってきます。
トニオは不気味に親方に告げます
ペッペは本番が近いので衣裳と白粉をカニオに手渡します。
カニオの名シーン
こんな気持ちで芝居しろって言うのか?
しっかりしろ。
お前はパリアッチョだろ
Vesti la giubba
- Arioso
Canio
Range : D3 to A5
衣装を着けろ
例えアルレッキーノがコロンビーナを口説いていても
笑うんだ、パリアッチョ
カニオは白粉を顔に塗りながら歌う。
そして号泣し崩れ落ちる
<休憩>
Atto secondo
幕間の間奏曲
さすがすばらしい河原さん
弾き終わって感無量の表情を見せる
いよいよ芝居の幕が上がる。
呼び込み役のトニオ
シルヴィオが来てネッダと打合せする
コロンビーナになりきっているネッダ
亭主は帰りが遅い。
劇中劇の芝居を楽しむ観客たち。
Columbina, il tenero fido Arlecchin
- Serenata
Beppe
アルレッキーノが歌う。
すばらしい!よい声です。
トニオ扮するタッデオが買い物から戻って来る
鶏肉は買ってきたの?
タッデオが鶏肉(ピーとなく鶏のおもちゃ)を渡す
甘い雰囲気のアルレッキーノとコロンビーナ。
タッデオが知らせに来る
パリアッチョが帰ってきた!
アルレッキーノはコロンビーナに薬を渡す。
これを飲ませて。
今夜からあたしはあんたのものよ。
カニオが陰で聴いている。
あの時と誓って同じセリフだ。
さあいくぞ
カニオは劇中劇の舞台に登場する
カニオはパリアッチョの芝居を始める。
男がいたな
酔ってるの?
いっときばかしな。
カニオは芝居ではなく本気でネッダを問い詰め始める
男の名を言うんだ
パリアッチョ パリアッチョ!
俺はパリアッチョじゃない!
お前を拾って育ててやったのに、
愛がなくてもいい せめて感謝の気持ちはないのか
カニオは泣いている。しゃくりあげている。
芝居を続けるネッダ
タッデオ言ってやって ここにいたのは臆病なアルレッキーノだったって。
タッデオを演じるトニオ:(皮肉っぽく)信じてくださいよ 彼女は雪のように潔白です。
まだわからんのか!
男の名を言うんだ。
ついに逆ギレするネッダ
言うもんか!
トニオはカニオにさきほどのナイフを開いて手に押し付けるようにして渡す。
目がすごい。
名前だ!
ネッダはカニオに刺される
助けて、シルヴィオ!
シルヴィオが叫ぶ
ネッダ!
シルヴィオが倒れたネッダに駆け寄る
お前か!
カニオはシルヴィオも刺し殺す
観客たちの叫び
カニオが言う
La commedia è finita!
お客様 喜劇はこれで終わりでございます。
カニオは舞台上に戻ってネッダの亡骸を抱き起す
ネッダ…!
ネッダ…!
と2回言う。これは通常ないことです(台本にないので)
気持ちがあふれた幕切れでした
***
稽古ピアニストとして尽力し、本番の日は受付や譜めくりをしていた井向結さんを、カーテンコールで河原さんが舞台上に呼んでカーテンコールに参加させた。
さすが!
皆様お疲れ様でした。
了
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