2026年06月15日
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カテゴリ: OPERA



『エレクトラ』公演関連イベント レクチャーコンサート

新国立劇場オペラ音楽ヘッドコーチ 城谷正博が拓く
R.シュトラウスの世界

オペラ『エレクトラ』レクチャーコンサート

2026年6月15日(月)19:00~
新国立劇場中劇場

所要時間約1時間半

城谷正博(解説)新国立劇場オペラ音楽ヘッドコーチ


『エレクトラ』カヴァー歌手
 清水華澄(クリテムネストラ役)
 田崎尚美(エレクトラ役)
 森谷真理(クリソテミス役)
 河野鉄平(オレスト役)

***

城谷正博氏 ※2024年撮影
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artists

新国立劇場エレクトラレクチャーコンサート

今日は本公演のカヴァー歌手たちが出演したのだが、皆日本を代表するトップ歌手 この分野の第一人者ばかりで
このメンバーで聴けるのはもしかして千載一遇のチャンスと思って駆けつけました。

城谷さんはよく台本も見ずにあれほどの分量を喋れるなんてすごい👍
木下さんの演奏もすごい😍

お腹いっぱいです!

田崎さんはこれぞワグネリアン・ソプラノという圧倒的パワー 芳醇な響き

森谷さんもすごい😍ノーブルで深淵な声。最終場面の 伸ばしが凄まじかった。



華澄さんのクリテムネストラもすばらしい😀
深く響く美声のメゾ 感情を声に載せられる演唱

オレストの鉄平さんも
声がピッタリ
暗譜で演技付きで見事なパフォーマンス

***
Fach
Elektra soprano Fach : dramatic soprano
Chrysothemis soprano Fach : dramatic soprano
Klytaemnestra contralto or mezzo-soprano Fach : dramatic mezzo
Orest baritone Fach : dramatic baritone
***
Aria
Elektra :
Allein! Weh, ganz allein!
Wie stark du bist!
Orest! Orest! Orest!

Chrysothemis :
Ich hab's wie Feuer in der Brust
***

※以下はメモをもとに概要を記述。

城谷「新国立劇場オペラ、今シーズン新制作はWozzeckとElektra。
 エレクトラは新国立劇場での上演は2004年11月以来22年ぶり。
 演奏頻度の少ない作品。その理由はエレクトラを歌える歌手が世界的に少ないことが理由。1時間45分ほどの上演時間で出ずっぱりの、難度の高い役。
 オーケストラの編成が大きい。『影のない女』と並んで。115人もピットに入れないといけない。上演の難しい作品。今日はその予告編。ハイライト。
 『ばらの騎士』や『サロメ』と比べると難解な部分が多い。1906年に作曲を始め、1909年にドレスデンで初演。
 フーゴー・フォン・ホーフマンスタール(作詞)との共同作業の第1作目。ホーフマンスタールとの共同作業は『アリアドネ』『ヘレナ』など6作品ある。二人の往復書簡があるので制作過程がわかる。
 『サロメ』(100分)はセンセーショナル。『エレクトラ』も1時間45分の1幕もの。題材が似ている。ギリシャ神話をもとにしている。『エレクトラ』は心理劇として描ける面白さがある。無意識、トラウマ…それらをRシュトラウスは音楽化したいと。そこが『サロメ』と差別化できる点。『グントラム』『火の欠乏』はヴァーグナー風味でこんにち殆ど上演されない。
 (ヴァーグナーの)ライトモティーフの技法を継承している。ライトモティーフとは例えば『スター・ウォーズ』の”ダースベーダーのテーマ"のようなもの。それをさらに進化させた。深層心理やトラウマをどうやって音楽で描くか(ということをRシュトラウスはやろうとした)
 アトレウス家は悲劇の一族。トゥエステス家との因縁…
 (『エレクトラ』登場人物の人間関係の説明)
 (冒頭の音を自らピアノで弾く)
 レラファーがドーンと鳴る。これは『アガメムノンのテーマ』と言われている。Rシュトラウスはつかみが凄いんですね。
 (『ばらの騎士』の冒頭を弾く)
 (『サロメ』の冒頭を弾く)
 つかみの天才と思っている。侍女たちのシーンの後、エレクトラが登場する。
 (ここでピアノの木下氏を呼び込む)
 (ここで会場の聴衆に『アガメームノーーーン』と歌わせる(笑)ソプラノの声も聴こえる(1オクターブ高い))
 (エレクトラ和音を弾く。2人でピアノ2台で実演。2つの和音を重ねると不協和音になる。)
 これ(エレクトラ和音)が(作品中)100回は出てくる。これが出てきたらエレクトラに何か起こったと思ってください。」

エレクトラの田崎さんを呼び込む
*** 
《実演》
Allein! Weh, ganz allein!
エレクトラ(田崎尚美)

Agamemnon! Vater!

お屋敷の馬も犬も殺すわ。

und glücklich ist, wer Kinder hat, die um sein hohes Grab so königliche Siegestänze tanzen!

 高音が何か所かあり
 最高音はC6

Agamemnon! Agamemnon!
お父様!

 (演奏ここまで。田崎尚美さんの圧倒的パフォーマンス!)
***

城谷「最後はエレクトラ和音で終わったのわかりました?」
 (城谷氏、クリソテミスの人物像を説明。)エレクトラのモノローグと違い、クリソテミスのはEs-dur(変ホ長調)で、明快で明るい。いかにもRシュトラウスという(曲調)

***
《実演》(二重唱)
Ich kann nicht sitzen und ins Dunkel starren wie du
クリソテミス(森谷真理)
エレクトラ(田崎尚美)

Ich hab's wie Feuer in der Brust

もう窒息しそうなのよ
同情してくれる?

エレクトラ:
誰をさ!

クリソテミス:
お姉さまのせいなのよ
こうなったのは

Kinder will ich haben, bevor mein Leib verwelkt,
und wärs ein Bauer, dem sie mich geben,
Kinder will ich ihm gebären
子供を生みたいの、年を取る前に
相手は誰でもいいの
子どもが産めるなら

もうお兄さまは帰ってこないわ。

kommen zum Brunnen wieder
und aus ihnen selber quillt süsser Trank
und säugend hängt ein Leben an ihnen,
und die Kinder werden gross
Nein, ich bin ein Weib
und will ein Weiberschicksal.
赤ちゃんにお乳を上げると
子どもはどんどん大きくなっていくわ
私だって女だもの
女の定めをまっとうしたいの!

 アガメムノンが殺害されて以来、
 屋敷に閉じ込められている姉妹
 相手が誰でもいいから、妊娠して子どもが生みたいと訴える妹の懇願

 (森谷さんのノーブルで深淵な美声が印象的。)

***
城谷「クリテムネストラのシーンは聴きどころです。当時もっとも前衛的な響きがしたのでは。Nervöse Kontra Kunst(?)(神経的解放)深層心理、無意識の衝動、殺害の記憶、幻影、トラウマ。
 (お母さんの悪夢の動機を弾く。)
 新ウィーン楽派(アルノルト・シェーンベルク、アルバン・ベルク、アントン・ヴェーベルン)と違ってRシュトラウスは調性を捨てなかったんです。変化する心理状態を音楽に書いた。

***
《実演》(二重唱)
Was willst du? Seht doch, dort!
クリテムネストラ(清水華澄)
エレクトラ(田崎尚美)

悪夢に悩まされているクリテムネストラ
クリテムネストラの裾持ちの女と側仕えの女が付き添っている
(クリテムネストラの裾持ちの女と側仕えの女の部分は城谷さんが歌う)

Warum geschieht mir das, ihr ew'gen Götter?

どうしてこんな雑草がはびこるのかしら
神さま!

エレクトラ:
お母様が神じゃなかった?

虫がついているから自分を失っていらっしゃるのよ。

侍女:取り合っちゃだめですよ

クリテムネストラ:話してみるわ

侍女:嘘ばっかり言ってるんですから。

 クリテムネストラは回りの人間がエギストの息がかかっていて追従しか述べないため、本音が聞きたくなっているのだ。

 (華澄さん、クリアーな美声で刺さる声)

***

城谷「(ストーリーの説明)そこに「オレストが死んだ!」という報せが…エレクトラは自ら復讐の実行を決意する)」

城谷「次は2人の男が来る、ビクッとする音楽から。
 認知~話の転換~ それを知ることによって運命が転換する瞬間。それを音楽で描いた。
 エピゲネイアは父アガメムノーンによってアルテミスの生贄にされた
 グルックの「トーリードのイフィジェニー」ではイフィジェニー(エピゲネイア)とオレストが会うシーンがある。オレストとエレクトラが会うシーンはそのシーンとの相似型になっているのである。ピアノ2台でこの驚愕のシーンを再現してみたい。」

《演奏》

城谷「一言で言って、カオスのような音楽なんです。このシーンが書きたくてRシュトラウスは『エレクトラ』を書いたのではとも思う。グルックの音楽も指揮していたので知っていたし。

***
《実演》(二重唱)
Was willst du, fremder Mensch?
オレスト(河野鉄平)
エレクトラ(田崎尚美)

 オレストが来る
 オレストはエレクトラを見ても姉と気づかない

エレクトラ:(男に)
何の用だい?

オレスト:
Ich muss hier warten
私は合図を待っているのだ。

オレスト:
私はオレスト様が亡くなったのを知らせに来たのだ。

 エレクトラの嘆き。

エレクトラ:
あの子は死んで土の中にいるというのに

オレスト:
So musste er denn sterben

エレクトラ:
あたしはひとりぼっちで

お前は…?
親類縁者なのか

エレクトラだ。

何だって!

エレクトラ!

 問答の末、オレストはついにこの女が姉のエレクトラだと知る

ひどい目に遭ったんだね?

エレクトラ:
あんたは誰なの?

オレスト:
犬にもわかったのに姉さんにはわからないのだね

オレスト!

 エレクトラもついにその男が待ち焦がれた弟のオレストだと察する

 抱き合う二人

エレクトラ:
Orest! Orest! Orest!

 甘い声

o bleib bei mir!

消えてしまわないで

dann sterb ich seliger als ich gelebt

 seligerで高音の伸ばし

Orest! Orest! Orest!

 (河野さんの深いバス声がすばらしい!そして完全暗譜で完全演技付きな河野さん。舞台が目目に見えるようです!)

***
城谷「オケの編成について。ヴィオラは3パートあるがその第一ヴィオラは5人いて、途中で第4ヴァイオリンとなる(持ち替え)。ヴィオラ、チェロが多いと内声が充実した作りとなるがここからはヴァイオリンの甘い音になる

 <<< 【参考】『エレクトラ』の弦楽器編成:第1ヴァイオリン(8人)、第2ヴァイオリン(8人)、第3ヴァイオリン(8人)、第1ヴィオラ(第4ヴァイオリンに持ち替え)(6人)、第2ヴィオラ(6人)、第3ヴィオラ(6人)、第1チェロ(6人)、第2チェロ(6人)、コントラバス(8人)…from Wikipedia>>>

 (エギストが来て…
 (復讐を成就するオレスト
 (エレクトラとクリソテミス、踊りの音楽)
 楽譜にはエレクトラが死んだとは書いていないが…想像してみてください。」

***
《実演》(二重唱)
Wir sind bei den Göttern, wir Vollbringenden.

姉妹の二重唱
歌っている内容が対照的。
妹はこれからの愛に満ちた生活を渇望し
姉は黒い復讐が成就し空っぽの虚無になっていく自分を感じている

クリソテミス:
Liebe ist Alles! Wer kann leben ohne Liebe?
愛がすべてよ。愛なしでは生きられない。

エレクトラ:
Ai! Liebe tötet,
aber keiner fährt dahin und hat die Liebe nicht gekannt!
バカね、愛は殺すものよ。でも愛を知らなければそこまではしないのよ。

クリソテミス:
オレストと一緒にいたいわ

クリソテミス:
エレクトラ

エレクトラ:
Schweig, und tanze.
Alle müssen herbei!
黙って踊るんだよ!

Wer glücklich ist wie wir,
dem ziemt nur eins:
schweigen und tanzen!
幸せなんだから、ただ黙って踊ればいいんだよ!

エレクトラは…

クリソテミス:
Orest! Orest!

 (すごいとしかいいようとない実演にクラクラ
  クリソテミスの長大な伸ばしがパワフルですごい!これぞ森谷さんの真骨頂!)
 (終わりまで)
***

一言インタビュー。

田崎尚美「エレクトラは今回初。アリアドネもやりましたが、エレクトラはRシュトラウスの他のヒロインとは違うと思う。肺活量を使わないと。」

森谷真理「クリソテミスは、この環境にいながら、結婚したい、子供が欲しいという飛んだ妹。美しいメロディ、鬱々としたり、面白いキャラクターです。」

清水華澄「この娘と息子を産んだかと思うと。どんな晩御飯なんだろう。オケの音楽が大好きです。映画音楽みたいな気がしませんか?」

河野鉄平「悩みを持っている役、試練を受ける役というのは好きな役です。音取りをしたときに、一人で歌うと譜読みができるのだが、ピアノと合わせると、え?音が違う?となって。オレストが複雑な性格というのを音が物語っている。慣れてくると美しい音楽なのだが。」

木下志寿子「今日、稽古場での通し稽古だったのだが、この曲は把握できないぐらい音が多いし、人の耳で聴きとれない情報量なのだ。オケもすさまじい。ピアノで弾いていない音もあった。ピアノだと逆にすっきりして構造がわかりやすければいいと思っている。」

終了。

お疲れ様でした。

***
Related links:

2023年04月26日  エレクトラ予習編

2023年05月14日  東響エレクトラ@サントリーホール

2024年04月21日  春祭エレクトラDay2





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最終更新日  2026年06月17日 20時07分41秒


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