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しかし、レタスたちはわたしの意見に耳を貸すどころか、窓辺の日光を嬉しそうに受けながら、未来を信じて確実に大きくなっていく。12月ももう半ばで、夜はガラス窓の内側といえども外の寒気がレタスたちを襲う。それでもレタスたちは少しひょろひょろしてはいるが、伸びていく。
レタスたちがわたしの意見を素直にきかなかったのがいけないのだと、はさみもしくは指でレタスたちの大きくなった葉を摘み取っていく。
こんな非道な行為をするならばと、レタスが反撃に出たのである。
こうしてわたしが醤油味のドレッシングをかけて、摘み取ったレタスを食べようとしたときに、逆にわたしは噛みつかれてしまった。
日中の昼間は南側の部屋がとても暖かいので、冬だというのにガラス戸を少し空けておいたし、その日は水耕栽培のレタスたちに養分の入った水溶液を補充するはずだったので、今頃、レタスたちは後悔しているにちがいない。
レタスの反乱から3日後、水不足とこの冬一番の寒波でレタスたちの大部分は枯れてしまったのである。 こうしてわたしのマンションに平穏な日常が再び蘇ったのである。
レタスにとって幸いなことにこのマンションの一室は内側から鍵がかけられ、まだ誰もレタスが反乱を起こしたことを知らない。そういうわけで、もはや動けず血だらけのわたしを助けに来る人はいない。