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染井為人 0
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生首に聞いてみろ【電子書籍】[ 法月 綸太郎 ] さて法月綸太郎シリーズ,この探偵は名というには少し粗忽なところがあり,したがって現役警視である実父に頼らざるを得ないという一風風変わりなコンビのミステリーシリーズだ。 それにしても法月警視が出てくるまでは小難しい話を振りまいて,おいおい有栖川有栖かよなんて言いたくなるわけだ。 または反社的な歌野晶午?なんてね。 だから法月警視よはよう出てまいれと読中心に祈っていた。 しかし本件において殺人の事実が描かれるのは全500ページ近くの大作の半分あたりときたもんだ。 また法月警視がでるわりに,検視を検死と書いたり,重要な事件で死体検案書がでたりするなど警察に関する取材がまるでなされていないというリアルのなさにはあきれる。 つぎに警視は,ほとんど現場には出ないもの,身内を捜査に加わらせることはない,という不満も書いておきたい。 いっぽうそれでも法月シリーズが私的にそれ以上の不興をもたずに読了できたのは,高いストーリー性が認められるからだ。 というのは本作では,義理の弟に襲われた,がキーワードになるのだが,この言葉の周辺が謎解きの根幹になり,ミステリー性も実に高いものになったのだ。 そもそもミステリー性のないミステリーはミステリーではない。 ようするにミステリーで重要なのはリアルだ。 いわば空理空論はいらないのである。 とりわけ無理のあるトリックは小説だから許されるような風潮があるけれど,私は認めない。 以上のように根拠のないアンリアルは認められない。 たしかにぶっ飛んだトリックは面白いだろうがそれよりリアルだよ,ミステリーに必要なのは。 他方では原稿用紙のマス目を埋めればよし的な作家もいるけれど,そういうのは私は御免だ。(1/26記)
2023.04.18
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ふたたび赤い悪夢【電子書籍】[ 法月綸太郎 ] ページ数を見て私は愕然とした。 560ページこえの大作だからだ。 読了できるだろうかと危惧した。 しかしそれは杞憂だった。 これだけの長編を一気に読ませる書き手の文章力にまずは脱帽である。 しかし込み入ったトラブルがあるわけではない。 あるのは双子のナイフ。 片一方がダミー。 それに前後を逆にしたタートルネック。 冷たい血。 これだけのヒントがあれば本作はすいすいと読み通せ読了できるのだ。 ただね,聖書とか昭和の芸能論とかかなりコアでレアな持論も展開されていてそれゆえに長くなったともいえようが,ミステリーとして読んだ場合上記のポイントを外さなければ,いい読み物になるというわけだ。 年末これだけの大作を読めたのはラッキーだった。 いい年越しができそうだ。 そうだね,法月綸太郎もカテゴライズすべきかもね。 東野が第五祖であることはまちがいない。 今度はいよいよ第六祖だね。 今のところ思い浮かばない。 まあそれでもkindleUnlimitedにまだ読める本があったのはよかった。 それにしてもほんとうにミステリーリーダーは難しい。(12/28記)
2023.03.18
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雪密室【電子書籍】[ 法月綸太郎 ] 本作もまた密室殺人。殺されたのは女性のカツアゲ屋。 出てくるのは法月綸太郎親子。 父親は警視庁警視、息子の綸太郎はミステリー作家。 これまで何回かこのコンビで密室殺人を解決してきた。 今回は父親の法月警視が上部から強制的に休暇を取らされ月蝕荘という別荘に乗り込まされる。 この父親の妻にして綸太郎の母はすでに20年以上前に精神的におかしくなって亡くなっている。 それが今回の事件の伏線となるのが明らかになるのは後々のことだ。 殺されたのは女性カツアゲ屋であるが彼女は別荘の離れにおいて縊死の状態で発見される。 検視の結果(なのかどうかは私から見ればどうも嘘くさい話でこんないい加減な検視で殺人事件を見逃すような警察官は絶対に許されない)自殺と地元警察は断定するのである。 なぜかその方が都合が良いような話もするし…。 こんな理不尽な法無視のミステリーは許されないと言うべきだ。 ミステリーリーダーは常にリアルを追及すべきである。 ミステリーは特に刑法、刑事訴訟法とは切っても切れない間柄にあるのだから決してこの法律を無視してはならない。 従って殺人事件が起きればそれは法のもとに白日にさらされるべきものでありしたがって小説上それが隠蔽されるようなことがあってはならないのだ。 そして法月警視は警視庁の警視であるのだけれども地元警察の警部に対するマウンテングがあっては決してならない。 さて本作におけるトリックであるが後ろ向きに歩けば足跡は前に進行しているように見える。 しかし法月警視が指摘しているようにそのことは初動捜査において確認していなければならないことだった。 その意味でそれは地元警察柴崎警部のミスである。 検視において定型的縊死はほとんど自殺とみられる。 本件のような犯人が絞殺した方法によれば定型的縊死の所見は絶対にありえないのでありしたがって本作は大きな矛盾があるということになろう。 本当にミステリーは難しい。
2022.09.06
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