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獄の棘【電子書籍】[ 大門 剛明 ] 刑務官の世界が舞台というのも珍しい。 そもそも知らない世界であるから、作者の取材力を信じるほかあるまい。 刑務官ものとはいえ、れっきとしたミステリーだ。 新人の、3代続く刑務官一家の良太が主人公だ。 彼がたくましく一丁前の刑務官になっていく姿を描きながら、数々の事件を解決していく。 この世界がこうだとかどうだとか言えない。 ただ作者のここにある話に没頭しなければならない。 そうして読み手はそこにある話を楽しむわけだ。 はたして刑務官が、赤落ちなどというギャンブルをするかどうかはわからない。 でもこの物語の中ではそういうギャンブルが存在するのだ。 この物語の肝は、房内における殺人だろう。 それが最大のミステリーとなり、大団円を迎える。 受刑者の矯正という大きな命題に対し亮太がどう向かうかがポイントでもある。 坂口安吾の、あんごう、を利用した暗号ものは凝っていた。 この暗号だけで1作ができそうだ。 いじめられっ子の心理も見事だ。 脱走なんてこの世界では認められないことだろうが、そういう話があるのは小説だから許してくださいということになる。 この話は思ったとおり、外に出たくないからわざと見つかるように脱走を図ったものだった。 そこに、ヘンゼルとグレーテルのパンくずまでご丁寧に出して演出したりしてね。 演出はよし、でも流れが悪くてね。 話がガクガクと進むんですよ。
2021.01.13
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レアケース【電子書籍】[ 大門剛明 ] しかしそれにしても窃盗と殺人が絡み合う話は初めてだ。 それだけこの2つの罪は絡み合わないのだ。 そもそもこの2つが絡めば強盗殺人罪だ。 そして本作はねずみ小僧捜しという話も織り交ぜてある。 市の福祉関係の職員の苦労話もしっかり書き込まれており、取材力の確かさを感じる。 ただゴツゴツ感が否めない。 そのゴツゴツが不自然で、時々そっちこっちに飛ぶ話を自分で収拾するのに追われてしまい、読み手は苦労する。 まあしかしなんとか読み終えた。 読後感は、まあこんなものか、だ。 ようするに想定の範囲内というやつだ。 ここで読み手があっという感じになったら、本作は良質なミステリーになったことだろう。 ただし、作者の文章力は確かだ。 それだけに話がまとまらなかったのは返す返すも残念でならない。 それはともかく本作は本作としてそして探偵役が市職員であり警察官を添え物にしたことなど、評価できる点も多々ある。 だからこれはこれとして、あり、だ。 作者たちの頭脳の中の世界には驚かされる。 その豊かな世界に自分も浸れる喜びがあるのが小説読みだ。 もう知的生活に小説が不要だなんて言わない。
2021.01.03
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不協和音京都、刑事と検事の事件手帳【電子書籍】[ 大門剛明 ] 設定がなかなか良くできている。 そのとおり現代の日本の捜査は本作のように警察と検察がいいコンビネーションを重ねなければ、事件は解決せず被告人を有罪にすることはできない。 その刑事と検事が兄と弟で、その父は元京都府警の名物刑事、しかし冤罪刑事の汚名を着せられ、不幸な兄弟は散り散りになって京都で一方は刑事になり一方は検事になって事件を解決していくという話だ。 最初の2人の仲の険悪感が生理的に受け付けられないほどであったが、話が進むに連れ次第に氷の溶け始め感が感じられてきた。 太秦署員のほか、宇都宮実桜という若い女性弁護士などそれぞれが個性があって面白いシリーズになりそうだ。 本作は映画と言うよりはテレビドラマかな、感じは。 刑事と検事の関係なので特に被疑者取調べに重きが置かれている。 作中、被疑者取調べ監督行為が出てきたり、自白偏重の考えが出てきたりして現在の刑事司法に逆行しているとも思われがちなのだけれど、総じて合格点をやろう。 何より各人の個性が生き生きしているのが素晴らしい。 アニキである刑事が弟の検事からヒントをもらってそれに気づくというパターンもまずまずだ。 それはマンネリではなく、型、だ。 そういう型ならOK、そのくだりになればもう少しで解決だとわかるもんねえ。 しかしそれにしてもまた素晴らしい作品に出会った。 いやあ、小説は実に素晴らしい。 そしてミステリーも。
2020.12.30
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確信犯【電子書籍】[ 大門 剛明 ] ようするに本作は冤罪犯が真犯人だったということなのだ。 たしかにそういう発想がミステリーにあっても何らおかしくないし、読み手は本作の肝が多分そこいらへんにありそうだとは推測できる。 さてその先は一体いかように変化するのかということですな。 はっきり言っていかようにも変化可能だ。 それはともかく残念ながら刑事法学や司法制度改革にいくら熱弁をふるっても取材力不足が垣間見えた。 そもそももはや代用監獄などという言葉は存在しない。 警察の留置場は、留置施設という名でしっかりした法律で規制されている。 劣悪な環境の留置施設など存在しないのだ。 しかしそれにしても判事3人を突っ込みさらには司法官僚までぶっこんでこの始末ですかね。 カープを利用し過ぎなのも気に食わない。 司法制度改革の根幹が裁判員制度だけではないということはよく理解できた。 その流れでこの話の行き着く先が一体どこかと思ったものだが、意外につまらないところで止まって止まってしまった。 2/3〜3/4まではグイグイ引っ張られて一気に読了したい気分だったが、最後がとてもつまらないオチでがっかりした。 まあ、そういう作品にこれからも出会うことだろう。 しかたのないことだけど今回のがっかりの度合いは半端ないよ。 しかもブルートゥース接続のキーボードの電池切れで入力にも苦労したし…。 さあ、また面白い作品を狩りに行くか。
2020.12.23
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