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染井為人 0
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地獄の沙汰もメシ次第【電子書籍】[ 中村颯希 ] この中村颯希という作家は料理に通暁している。 神様の定食屋でもおいしそうな料理をいっぱい出していた。 本作でもその通り。 みのりというヒロインはネグレクトに遭い、大沢繁に救われ、そのまま養子縁組を組む。 しかしその養父、交通事故に遭い、死亡。 それからの地獄におけるあわただしい騒ぎが本作である。 で、私もおいしいもんには目がない人間なので、神様の定食屋でも読んでいるうち腹がぐうぐうなったりしていたのだが、残念ながら本作は、食べる場所が地獄ゆえ、残念ながら私の腹がぐうぐうなることはなかった。 食というものがいかに気分的なものかがわかる。 ただし、私は本作を1時間で読了できた。 つまりそれだけ魅力的な作品だったということなのだ。 どこぞの、3日も読了にかかった独りよがり本とは全く趣が違う。 そして文章を紡ぐのに15分。 つまり基本1時間15分、75分が私の知的生活の1単位である。 それがね、この間みたいに3日もかかったら、これはダメだね。 そもそも1喫茶店1時間でしょう、限界は。 何てこと考えながら、あたしゃあ必死になって本作を読みましたよ。 そして素晴らしい作品だと思ったわけだ。 中村颯希侮れず。 ミステリー作家ではありませんが、今後要注目であります。(11/15記)
2024.02.02
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神様の定食屋 : 2 ごちそうさま、めしあがれ【電子書籍】[ 中村颯希 ] とにかく泣きたければこのシリーズを読みなさいというアドバイスを私は読書ファンに伝えたい。 と同時に実は、実生活に役立つレシピが載せられていることにも注目したい。 たとえば、出汁巻玉子は、 素早く三つ割り入れた卵を、ボウルの底に菜箸を付けたままさっくりとかき混ぜる。 加えるのは三温糖と塩、そしてたっぷりの出汁だけ。偶然の産物もあるが、それが、俺たちが試行錯誤の末、辿り着いた、最もおいしい出汁巻き玉子のレシピだった。 油を引き、うっすら煙が出るほど熱したフライパンを一度濡れ布巾で宥めてから、まずは卵液を三分の一投入。 ふくっ、ふくっ、と生まれる気泡を菜箸で潰しながら、半熟の状態で素早く手前に丸めていく。 ここでは多少形が崩れても気にしない。 丸まった卵を一度奥に押しやり、菜箸でちょっと持ち上げてやりながら、残りの卵液の半分を注ぐ。 それも丸めたら、油を引き直して、最後の卵液を注ぎきる。 火は強めの中火なので、スピードが命だ。 最後のひと巻きだけ龍也くんに主導権を引き渡し、この数時間で劇的に上達した手つきで──と俺たちとしては信じている──くるくると半熟の膜を丸めていくと、やさしい黄色をした出汁巻き玉子の完成だ。だし、ゆでとうもろこしは、皮を剥くだけ。水から放り込んで、沸騰してから茹で時間はたったの三分。というもの。 そして〆の鯛茶漬けは、 それから、鯛のさくを取り出して、小さめのひと口サイズに切り分けていくと、粗熱を取った先ほどのごまをたっぷりとかけ──かけるというか、ごまの中に鯛をうずめるくらいの大量さだ──、さらにととと……と醤油を注いだ。それを、醤油の味がまんべんなく行き渡るように混ぜたら、準備は完了。 あとは冷蔵庫で味をなじませて、白飯に乗せて茶を注げば、お茶漬けになるらしい。である。 この中村颯希という作家の非凡さは、一つ一つの物語の緻密性にある。 どうすれば読み手の涙腺を緩ませることができるのかということをしっかり心得て文章を紡いでいる。 正直言ってこのシリーズを読むには傍らにティッシュを置いておかなければならない。 本シリーズに絶対的悪人は存在しない。 前作でてしをやをSNSで炎上させた憲治もいつの間にか善人になっている。 それはじいちゃんの作ったごった野菜炒めを食べたからだ。 夫婦間には愛以上のものがある。 それは、信頼であり、だから、お互いに友人であり同士であり、そこに、めしあがれ、と、ごちそうさまが出てくるのだ。 しかしそれにしても本当に私の記憶力は一体どうしちまったんだ。 (今日、何読んだ? 211215)なんだよね。(11/5記)
2024.01.24
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神様の定食屋【電子書籍】[ 中村颯希 ] 前回は、(今日、何読んだ? 211214)と2年前に読んでおりましたな。 ほとんど記憶になかったのだが、読んでいるうち少しは思い出した。 そして読み進むうちになんと涙が止まらなくなってしまった。 コメダで読んだのだが、コメダのナプキンを何枚使ったことか。 前回の記事にはそんな事ありませんでしたな。 ジュテームのフランス人の話とか、ツンデレの姑、息子思いの母親等々そもそも死んだひとが人が良すぎる。 なので、泣きまくる私だった。 何より神様が素敵だ。 酒好きなのが最高! 私、記憶がないというより、今回のように深読みをしなかったんじゃないのかな。 何より本作に出てくるレシピが素晴らしい。 まず、具だくさん豚汁。 ささがきにしてアクを抜いたごぼうを、熱したゴマ油に絡め焼く。こんがりと焼き目が付いたら取り出し、今度はそこに豚肉を投入し、塩を少々。香ばしいゴマ油と、じゅわりと滲み出る豚の脂が混じり合ったそこに、刻んだにんにくと生姜を放り込んでいく。 ごぼうを戻し入れ、更にはにんじん、大根、こんにゃく、長ねぎ……。(ちょっと。油揚げはまだ入れないでくださる?) ほんの少しのだしをくわえ野菜だけで茹でる感覚。 味付けは味噌で。 次、フレンチ風オムライス。 バターがないと始まらないんだ、とジルさんは言う。 宣言通り、彼が俺に用意させたのは、たっぷりのバター。 ライスの具は、玉ねぎとベーコン、マッシュルームの三種だけ。 それを細かく刻んで、バターを馴染ませたフライパンに放り込む。 途端に、溶けたバターがじゅっと音を立て、濃厚な香りを撒き散らした。 塩こしょうをたっぷり振りかけて味を整えたら、そこに残りご飯を投入。 バターの塩味とベーコンの脂が全体に回るよう、底から丁寧にかき混ぜ、更にケチャップで味を調えていく。 卵は豪快な個数を入れこれでもかと言うまでかき回してふわふわにして焼く。 いかがです、このレシピ。 早速、夕顔亭芋庵で取り入れますぞ!(10/26記)
2024.01.15
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地獄の沙汰もメシ次第【電子書籍】[ 中村颯希 ] さて本作家を初めとして本作品のような種類の作品が世の中に跋扈しているんだなということをこの頃改めて知った。 しかもいずれも多作でシリーズものと思い読み進めていくと、何が何やらわからなくなる。 それは商業主義の結果なのだろうか。 本Kindle Unlimitedにも数多の同種の作品群が並んでいる。 読み手はどこで食傷気味になるかということなのだ。 既に私は食傷してしまいここで一旦本作の作者中村颯希、竹村優希らから離れようと思う。 本作の現場は地獄なのだが、今までのシリーズの現場とそうは違わない。 つまり流れているトーンが同じなのだ。 先出の竹村優希との区別もつかない。 漫画を小説にした感じと書いたらそれは漫画という文化に対し非常に失礼なことになる。 だからこういうのをライトノベルというのだろうか。 私は神様の話なんかは非常に真面目に読んでいた。 神道に関する取材力が竹村優希の場合、素晴らしかった。 その伝で本作家である中村颯希にもそのような感動を期待していた。 しかし期待していた私が馬鹿だった。 ようするに異界と食べものの組み合わせだけが中村颯希という作家の持ち味みたいになっている。 このまま読み進んでいけばそれこそ立花隆先生の言う小説知的生活無用論になってしまう。 したがって本作家、竹村優希のシリーズからは離れることにした。 ただ両作家の文章力は素晴らしい。 またいつの日か違うシリーズで会えるのを楽しみにしたい。
2021.12.23
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神様の定食屋 2 ごちそうさま、めしあがれ 双葉文庫 / 中村颯希 【文庫】 本シリーズの優れているところはテーマがぶれていないところだ。 そのテーマは食を仲介した家族の絆だ。 その話を紡ぐ基本的なキャラクターは神様と定食屋とその妹だ。 基本形は神様にお願いすると神様が亡者の霊を選び定食屋に憑依させて、残されしものを定食屋にいかせ、そこで思い出の料理を作りながら、様々なドラマを展開するわけだ。 本作の愁眉はなんと言っても鯛茶漬けの話だ。 仕事一途で定年退職後も第二の職場で仕事一途の夫は長年連れ添った妻に先に逝かれてしまう。 霊の本音と残されし者の本音が鯛茶漬けを通して一致するのだ。 この一作は本当に涙なしでは語れない話だ。 まるでマンネリのような一作一作の基本形だが、それゆえ話がぶれない。 かてて加えてこの作者の文章力が半端なく優れている。 脳内スパークされっぱなしなのである。 思い出の味は家族の絆とでもいうのだろうか。 そしてそれは亡者と残されしものをつなぐ大事なもの。 定食屋がその料理を作り残されしものに提供することでこの話は完成する。 だから私達は食べ物を食べるだけではだめなのだ。 思い出のものになるのだと思いながら咀嚼すべきなのである。 それは美味しいまずいのものさしでは測れないものなのだ。 そういう話が本シリーズではずっと紡がれているのだ。 いやあ、それにしても小説って本当に面白い。
2021.12.15
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神様の定食屋【電子書籍】[ 中村颯希 ] 最近神様とか霊づいてきた。 両親を失った兄妹が両親の残した定食屋を引き継いでいく話だ。 兄はブラック企業に勤めていたが、自分の能力以上に頑張っている妹を見て自分も両親の残した定食屋、てしをや、の仕事を始める。 当然のっけからうまくいくはずもなく、神様に願をかけるわけだ。 そこで奇瑞が現れる。 兄は神様と意思疎通ができるのだ。 神様は兄に霊を憑依させる。 様々な良霊に憑かれた兄は次から次へと美味しい料理を覚えていき…。 神様とか霊の話というのはそれが視認することができないものだから、どうしても興味本位になってしまうけれど、神にしろ霊にしろそれは朝ドラのように良い方に進む話であるならば読み手はゆっくりと安心して読めるのだ。 本作はまさにその系統の話で、安心して読めた。 その上作者の文章力は高くきちんと読み手の脳をスパークさせてくれた。 シリーズ物で次の2巻目もKindle Unlimitedにあるのでまた読むことになるだろう。 本作において悪はSNSの誹謗中傷くらいでそれも早く浅く解決してしまうから、読み手にはほのぼの感が残る。 終盤で亡くなった両親の霊も出てきて読み手を少しほろりとさせる。 さて本作の中村颯希も竹村優希もなかなかの作家だ。 私はその路線に乗ってしまったな。 何より舞台がわかりやすいのがいい。 いやあ、それにしても小説って本当に面白い。
2021.12.14
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