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染井為人 0
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列車消失【電子書籍】[ 阿井渉介 ] なかなか大胆なトリックを使って列車を消失させてしまった。 さてそのトリックが実際可能かどうかはともかく、机の上で考えるだけすごいことだと私は思う。 そもそも客車7両中6番目の車両が消えてしまったというトリックなのだった。 それについては、古典的なトリックがすでに外国のミステリーで例示されていて、それに則って若い刑事が推理したのだが、6号車だけをいれる引込線がなくて不可能だということになったのだった。 さて本作は、ループ線と言うものを利用して、身代金の受け渡しやら、猟銃による殺人を試みるというもので、たしかにすごいトリックではあるけれど、いやそうであるからこそ、図を使うなどの工夫があっても良かったと思う。 それから、いきなり容疑者が出てくるのはいかがなものか。 要するに、本作は国鉄vs.JRに関わる問題なのだ。 JRになる段階で多くの人が首を切られた他、希望の通らない部署に移動させられることになって、不満が爆発したことは本当のことだったろう。 で、読み手は、どうやってこの6号車を消したのかとういことにずっと頭が行ってしまうのだった。 そして私は、例えばそもそも7両なかったんじゃないのかとか号数の付替、あるいは、当初とは違う順番に客車が並んだなどということを考えた。 このことは決して誤りではなかった。 そして最終盤、すごいクレーン車が登場して、終わる。 その前、トレーラー車に乗せるなどというトリックも紹介してくれたな。 なお、犯人の動機もしっかりしていると思う。 最初から身代金の受け渡し役にJR北海道の幹部職員を指定してくるあたりから、うむどうも、国鉄絡みだろうなという推理はできた。 まあそれにしてもトリックを作るのは難しい。 しかしミステリー文学は、トリックがあってなんぼのものだ。 だからトリック作りに作者たちには努力してほしいものだ。(2/19記)
2024.05.19
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黒い列車の悲劇【電子書籍】[ 阿井渉介 ] いやあ毎度毎度凄いトリックを駆使して読み手を楽しませてくれるな。 ただ正直言ってリアルに欠ける。 パフォーマンスのいいクレーンを使えばどのようなマジックも可能になるか。 今回の大きなお題は、トンネルに入ってた列車が出てこない。 中を確認したら何も残っていないのはなぜか。 ということ。 阿井渉介の場合、必ずネタがあるわけだ。 決して解明できないトリックではない。 それからこの作者の特徴は、立派な動機があるということ。 つまり、物語性が高いということなのだ。 一言でいうと、私たちミステリーリーダーは、彼の作品に酔わされてしまうのだ。 ミステリー書きかくあるべし、そんなお手本的な作品を次から次へと飛ばしていたんだな、この阿井渉介という作家は。 それが今やっとkindleunlimitedで読む事が出来たということだ。 そういう意味で(どういう意味で?)、私たちは有名な作家に踊らされていたのではあるまいか。 例えば、清張、森村のトリックなしミステリーなんか、よくよく我慢して読んでいたものだなと、そんなことを思うのである。 さてその動機の部分、牛深という警視庁の刑事は、どうやら小樽の出身で、小学校時代、正義少年団というものの棟梁だったらしい。 その一部がアラフィフになって、牛深に対し挑戦状を送るわけだ。 主犯格のターゲットは、ただ一人。そのただ一人のターゲットは話の最初に見事に殺される。 というより、衰弱死してしまう。 そのあと列車のトリックが出てくるわけだ。 ミステリーとして本当に楽しませてもらった。(2/22記)
2024.04.04
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雪花嫁の殺人 警視庁捜査一課事件簿【電子書籍】[ 阿井渉介 ] しかし阿井渉介は稀代のトリックメーカーだな。 彼の作品の魅力は、読み手が作品を読みながら、そのトリックをあばきたい思いに駆られる、というところにある。 今回は、雪の積もったグランドの真ん中で刺殺死体が見つかる。 行きの足跡はあるが、帰りの足跡がない。 これが大きな問である。 この問に向かって読み手は悪戦苦闘する。 しかしいいアイディアが生まれない。 彼は前読列車消失でも。クラシックなトリックを出して読み手を煙に巻こうとした。 今回は、グランドのサッカーゴールを利用して犯人消失のトリックを披露する。 しかしこれは、正解ではない。 真のトリックは、もっと深い。 それから本作における動機ですな、これも実にしっかりしたものだったのだ。 まあ本当に本作にこのような、夜間ドライブで消灯して走行し、カーブで突然点灯して対向車両をびっくりさせるなどという、作中、いたずら、と表現しているけれど、こんなことしている輩がいたんだろうなとこれまたびっくりする。 さて、真のトリックは、全くびっくりポンで、いかにも無理があるんじゃないかと思うようなそんな話だったのだが、それはミステリー文学だということで良しとしよう。 ほんのちょっとヒントを出せば、犯人は男か女かということですな。 ここいら辺を柔軟にしないと謎は解けない。(2/21記)
2024.04.03
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