バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ: アート
 過日の『ルーヴル展』と同じように、今回もまた終了間際の滑り込み。数日前、『 ウルビーノのヴィーナス 』展に足を運んできました。ここのところ東京は春を忘れさせるような悪天候続きでした。そぼ降る春雨の中、季節に合っても気温に合わない春物をはおって、とぼとぼ向かった国立西洋美術館では、おなかいっぱいになるほどの美女軍団が出迎えてくれました。
 何でも、ウフィツィ美術館所蔵の、ティツィアーノによる“ウルビーノのヴィーナス”を日本で見るチャンスはもうないだろう、などという前評判があったりもしたわけで、だからというわけでもないのですが、やっぱりこれは観ておきたい、という思いに駆られ、前日に仕事のピッチを上げておいて、時間を作って足を運んだのです。
 しかし何でしょう。これだけの美女に囲まれるというのも、それはそれでなんだか落ち着かないもので…(後半に展示されたヴィーナスは、ルックス的にはあまり好きになれませんでしたが)。
 ヴィーナスというのは、これまた私が好きな聖母像と同じように、繰り返し描かれてきたテーマでもありますし、またそこには、神話の女神でありながら特定のモデルが投影されていたり、あるいはマニエリスム的なスノッブな謎かけが込められたりしていて、それ自体実に興味深いのですが、こうしてヴィーナス・モチーフばかりで企画展示をするというのは、西洋美術史において、美や官能というものが、どのように描かれ表現されてきたかの変遷を、実物を前にして、ある程度一気におさらいできるという点で、なお楽しいものでした。
 お目当て&目玉の、ウフィツィのヴィーナスはもちろん素晴らしかったですが、そのほかにも素晴らしい作品が多々ありました。女性の裸身の描き方にも、時代によってトレンドがあり、それらは同時に、その時代の美の基準を表しているのですが、特に古代の彫刻など、首から下はあんなにも艶かしく、あるいは躍動的に表現されているのに、なぜ表情だけはどれも彫刻以上の何かも感じさせないほどつまらないのだろうとか、その一方で、美の女神を描くと言っても、これはつまりその多くは枕絵=身体的・現世的官能に直結するものではないか。絵画と彫刻で鑑賞者に抱かせるリアクションにも役割の違いがあったのだろうか…などと想像を巡らせたりしながらじっくり堪能して来ました。
 ところで、挿絵にヴィーナスが描かれているということで、フランチェスコ・コロンナの『ヒュプネロトマキア・ポリフィウス』が展示されていまして、これは個人的には嬉しかったです(当ブログのタイトルの元ネタにもなっていますので)。(了)


オンリー・コネクト…

著作です: 何のために生き、死ぬの? 。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/05/16 10:18:06 PMコメント(0) | コメントを書く


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