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「あなたの子供が欲しい。」
そう言ってくれるほど好きになってくれた人は彼女以外にいない。
純粋に子供を欲しかったのか、先を踏み出せない自分を見て、二人の人生に変革の意味での言葉だったのか、結ばれないなら好きな人との子供と歩んで行こうという気持ちの表れだったのかわからず、その時は何言ってんのと怒ったりしていた。
だけど自分を見つめる彼女の目は、決して思いつきで言っているような目ではなかった。
それより以前に、子供ができたかもと言われた時があった。
結局は気のせいだったが、本当にできていたら彼女はどうしていたのだろう。
子供ができてたら産んでいいかとも何も自分には聞かず、そして自分も彼女には何も言わなかった。
ほんとにできていたらどうした?
どうしてただろうね。
そして最後までお互い曖昧なその答えに触れる事はないままだった。
彼女は知っていたはずだ。
自分がおろしたりとかそういう事をするような人間じゃない事を。
そして自分を大切にしてくれるだろうという事をわかっていたに違いない。
もしあの時子供ができていたり、もし君が望むように本当に子供を作っていたら今の君はどんなに苦労してても幸せだったのかな。
想像でしか考えられない話の中ではいくらでも自分の都合のいいようにしか考えられないけど。
子供を持つことの意味や責任とか何もわからないまま口に出していた彼女が、あの時は凄い幼く見えて、好きな気持ちだけでそれを口に出す事が軽薄に思えたりした。
でも今思う。
そこまで愛してくれていた気持ちがどんなに大きかったか。
今彼女との子供が生まれていたらどんな子に育っていたのかなと。
彼女に似て笑顔の素晴らしい子に違いないだろう。
あの日の、あの公園からもう1年近くが経とうとしている。