PR
Keyword Search
Calendar
Comments
Freepage List
彼女とはいつも車で出かける事が多かった。
と言うのはいつも会うのは夜が多かったから。
家を出て車で彼女の家へ向かう。
どこへ行くという目的もなく、ただ高速を流したり、車を停めてジャレあったり、車の中が誰からも邪魔をされない二人だけの隠れ家だった。
たまに車ではなくバイクで遊びに行く時もあった。
車と違って二人の距離が常にくっ付いていて、怖がりながら背中に頬を押し付けて乗る彼女の温もりは今も忘れない。
バイクに女の子ばっか乗せてんでしょ。ピッタリくっ付くから。
ヤキモチ焼くセリフに何も答えはしなかったけど、買ってから手放すまで女の子を乗せたのは彼女一人だけだった。
何があるかわからない乗り物だからもし何かあった時に責任取れるほどの人間は彼女しかいないし、気兼ねなくバイクに乗せれるほどの仲は彼女しかいなかったから。
彼女と最後に乗ったバイク。
色々な都合で手放した。
深い意味はないけど、バイクを買い換えてからしばらく手放す事ができなくてずっと保管していた。
彼女とたくさん出かけた車は彼女と離れてから思い出を断ち切るようにすぐに買い換えてしまったから、このバイクはなんとなく手放し辛かった。
彼女の中では大して記憶に残っていないだろうけど、自分にとってはよく行ったお店や映画館と同じ位のウェイトを持っていた。
時間が経って思い出の店が変わってしまった時と同じ様に思い出がまた一つ消えていく。
街中で同じバイクを見たらいつまでも思い出せるように思い出を失わないでいられたらいいな。
happy day 22.