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学生の頃2人で行った二子玉川の花火大会。
川の対岸から打ち上がる花火を首が痛くなるくらい上を向いて眺めていた。
花火大会が終わった後も帰る事もなくいつまでも河原に残って話をしていた。
あの時も喧嘩していたのかな?
いつの思い出も喧嘩ばかりだけど、それが逆に忘れる事を妨げているのかもしれない。
終電が出た後もいつまでも話をしていた。
自分達の関係やどんな風に思っているのかとか、今思うと同じ話を何年も何年も繰り返していたんだな。
いつしか眠ってしまい目が覚めた頃にはもう明るくなっていた。横に座る彼女はずっと起きていたのだろうか眠そうな横顔を朝日が照らしていたのを物凄く覚えている。
結局これといった納得した気持ちになれぬまま、まだ人影もまばらな駅のホームのベンチに腰かけていた。
別々の電車に乗って別れる時の、あの引き裂かれるような気持ちは何だったのか今でもわからない。
それからは彼女とその花火大会に行く事はなかった。
自分が断り続けてきたから。
友達と行ったり、仕事だったり、なんとなくだったり。
彼女も思い出の残る花火大会だから断られて傷つくのを怖がりながらも、毎年誘って来てくれた。
でも自分の中であの花火大会だけは彼女と行く事を避けていた。
お互いの強い思い出を、また同じ時間を過ごす事で、より彼女が自分の中に入ってくるのを避けていたんだろうか。
あくまでも自分の中に引かれたラインに入る事を許さなかった。
それがどんな意味のない事で言い訳がましいラインだった事か。
彼女とまだつながっていた時の最後の年の花火大会。
送られて来た青い浴衣を着て妹と写っていたる写真。
物凄く可愛い笑顔で写っている。
その笑顔の裏には一緒に行きたかったと笑顔と同じくらいの気持ちもこもっているとわかっていた。
一緒に行けなくても来ているとわかっていたからいつも会場で彼女の事を探していた。
本当は一緒に行きたかった。
ただつまらぬ自分の言い訳のために苦しめ、そして苦しんだ自分を花火のように散らしてしまいたい。
今年も行われる花火大会。
明日、彼女はいつものように来るのだろうか。
もし来たのなら、同じ夜空の花火を眺めるという事だけが今二人の唯一の繋がり。
happy day 22.