温故知新

2004.06.20
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カテゴリ: 築いていく家族
独身時代、本当に本当にどうしようもないこと、って何もなかった。

自分の力ではどうしようもないことが起こらなかったという幸運もある。
が、大抵のことはなんとかなった気がする。

順調に暮らしてきた女性が最初につまづくのは、
子供の性別で、それを苦に心に傷を負ってしまう、という話があるが、
事実、私の場合、障害児を授かったということを筆頭に、
結婚し、子供をもうけ、と、順序を踏む毎に、
その軽重は別としても、


この日も、些細なことではあるが、そんな事態が起こった。

パートナーに子供を預けて美容院に行ったのだが、その最中に携帯が鳴り、
急遽仕事が入っていかなければならなくなったから帰ってこれないか、というのだ。

その時、私の頭はカラー剤を塗ったばかり。
今、浸透させるための時間に入ったところだったのだ。

今すぐ、帰るわけにはいかないし、
彼が仕事に連れていくわけにもいかない。
娘は2歳だから一人で留守番も出来ない。

仕方がないから、美容院の許可をとって、こちらへ連れてきてもらうことにした。

電話で、お茶やお菓子などの持ち物をあれこれ指示したのだが、
耳にカバーをかぶせられているので、彼の声がいまいち聞こえないし、

電話を切った時には携帯がカラー剤でベタベタになってしまった。

果たして娘はベビーカーで連れられてきたのだが、運の悪いことに、
シャンプー台で流している最中だった。

見慣れぬところで落ち着かない上に、父親がいなくなってしまって、母親の姿は見えず、
娘はワァワアと泣きじゃくる。

もう、途方に暮れてしまった。

慣れたら慣れたで美容院中を駆け巡り、雑誌を引き落とし、土足でソファに座り、お菓子を食べ散らかす。
周囲は、私があんまり怒っても、その声が不快だろうし、怒らなくても腹がたつだろうし、そのさじ加減が難しい。

以前から、娘を連れてきていい、と言ってもらってはいたのだが、
そうはいっても、お客さんは私一人ではないし、
女性だからといって皆こども好きなわけでもない。

汚れたものは後で直せばいいのだが、
他のお客さんのところに、お愛想しに行くのを見る度に、
椅子からお尻が浮いてしまった。
が、行けるわけでもなく…。

もう、なんとも、どうしようもならない時間を過ごし、とりあえずカラーだけにして帰ってきた。

些細なことであったのは幸いなのだが、それでも寿命が少し縮んでしまった。

自分のことだけの時代には、こんな事態もなかったのだけれど。
これも幸せ、なのだろうか。





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Last updated  2004.06.28 01:18:05
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