温故知新

2004.07.09
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セカンドオピニオンの重要性は、頭では分かっていてもなかなか実行出来ないで今まできた。

娘の顔の障害についてのセカンドオピニオンとして、
現在通っている大学病院の全国的な評判や、娘の障碍に対する症例数を、
他の病院の医師に調べてもらったことはあるが、
それは、あくまでも今の大学病院には内緒で行ったことだった。

顔の障碍は統計的にも600人に1人ぐらいいるポピュラーなもので、且つ、命に関わるものではなく、
治療法は数あっても、大抵、その治療に力を入れていて症例数の多い病院、というのは決まっており、
あとは、そこに納得するかどうか、の、問題である。

そのセカンドオピニオンを聞き、私たちはこの病院に娘を預けよう、と、納得して、今ここに至る。


ところが、本当に必要なセカンドオピニオン、というのは、案外聞けないものであった。
娘の耳のことである。

難聴は、伝音性難聴、と、感音性難聴、に大別できる。
「伝音性難聴」とは、外耳から鼓膜を通って内耳までの音を振動として伝える部分に障害があること、
つまりは、機能的に問題があって難聴になっていることをいう。
この場合、機能を補佐してあげられれば難聴は改善できる可能性が残る。

「感音性難聴」とは、内耳の蝸牛管以降の音を神経の信号として感じる部分に障害があることをいい、
この場合は神経の障害であるから、手術などで回復することは出来ない。

この二つは、ヘッドホンを使い鼓膜から聞いた音の聴力(気導聴力)と、
耳の後ろの頭蓋骨に直接振動を与えて骨伝導による聴力(骨導聴力)を比較して判定するらしいのだが、
娘にはまだ出来ない。


理由も、なんとなくは分かるのではないか。
娘がどういった理由で難聴なのか、ずっとずっと知りたかった…か…?

と、思っていたことに、数ヶ月前、ようやく自分で気がついた。

それまで、一つには優先順位が高いものがありすぎて、後回しになってたことがある。

が、それだけではなく、なんとなく聞けなかった、というものがあるのだ。


それに、割り箸が何本か刺さっている。

一本は、補聴器や、補聴器を調節したり、耳の訓練をする、教室。
一本は、外耳道が狭く、耳掃除が出来ないため、通っている耳鼻科。
一本は、顔の障害に通っている大学病院の、言語聴覚士の訓練。
一本は、療育所に付属している耳鼻科、と、そこの保健婦。

その、それぞれを手に持って、わたあめを食べることは可能なのだが、
なんだか食べづらく、お互いの存在が邪魔しあったりして、
だからといって、どれを抜いていいのかも分からず、
どれで食べるのが一番食べやすいのかも分からず、
そもそも、なんでわたあめを食べているのかも分からず、
分からないだらけで、なんとなく流されてきてしまっていたのだ。

あんまり分からないと、人は質問もできないものだ。
学生時代の、あの苦手だった授業時間のように。

自分が、原因を知りたかったんだ、ということを認識してからすぐに、
一番、頻繁に通った、耳の掃除をしてもらっている病院の先生に全てを話した。

今までも彼女には、それとなく原因を聞いたり、難聴の専門の医師について質問したりしてきたのだが、
彼女も彼女で、娘は幼少だから、まだ何も出来ないよ、
とか、
他所へいっても、大した成果はないよ、
と、それとなく答える程度で重要視してもらえず、本来の耳掃除やらに移ってしまっていた。

が、今回の私の雰囲気を察したのだろう、
冷静に自分の知っている、難聴関係の病院や専門医について話してくれた。
そして、彼女と相談の上で、この、ちょっと遠い病院に行くことに決めたのだ。

そのセカンドオピニオンは、実は悲しい結果となり、私は今もまだ気分がすぐれない。

娘の外耳道が狭いのは個性である、と、今まで出会った医師は言っていたのだが、
その難聴の権威は、母親の腹の中で耳が形成されていく間に何らかのトラブルでおきた奇形であり、
そのせいで内耳にも何らかのトラブルがあって、聞こえが悪いのではないか、と断言した。

確かに鼓膜に水がたまっていて、聞こえに影響しているようにも見えるが、
現段階では手術用のメスも入らないほど外耳道が狭いので何も出来ない。
が、それだけで、ここまで聴覚が悪いことはないので、やはり他にも原因があると思われる、と、言われた。

よく分からないけど難聴、
なのと、
腹の中での形成時による奇形が原因、
と、言われたのでは、自分を責める度合いが違う。

難聴である結果や、これからやっていく過程は変わらないのに、
どうしてもどうしてもどうしても自分を責めてしまう。
しかし、それだけではないことも事実だ。

その難聴の権威は無愛想で、とっつきにくい感を最初は抱いたのだが、
必要なことをきちんと伝え、必要なことをきちんとやろうとする、何か頼りがいがあり、誠実そうな人に見えた。

彼は、半年後にまた様子を見せてもらう、と、言った。
そして、それまでは補聴器をつけて聴力をカバーし、彼女の成長を助けてやり、
耳掃除はマメに今通っている病院に診てもらえばいい、
ここでの結果を電話で連絡しておくから、
今後はうちと、その病院で連絡を取り合って、お互いに出来ることを話し合っていく、と言った。

何か、わたあめに太い棒が一本突き刺さり、食べやすくなった感を抱いた。
この感覚は、今、私の心を占めているショックと、段々入れ替わって私の心の中を占めてくれて、
肩の荷を一つ、下ろすのに役立ってくれるのではないか、と、思っている。

まだ、今はダメだけど…。





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Last updated  2004.07.10 03:16:19
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