南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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2006/08/07
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テーマ: 海外生活(7776)


「今回帰ってきたら、2泊3日くらいでどこかへ遊びに行こう。あなたの好きなところでいいから、プランを立てておいて」
夫のいつも通りの言い回し。私は、またダメだろうなあ~と思いながらも、いそいそと候補地を選んでいた。

行きたい場所は星の数ほどある。しかし毎度毎度、最後には夫の用事が押せ押せになって、完全に私たちに空けてもらえるのは1日かせいぜい2日というのが現実である。
なので、アンタルヤから1泊2日程度で行って帰れる、実現可能範囲内で絞るしかなかった。

そこで今回私の考えたのは、 アドラサン(Adrasan) アリカンダ(Arykanda) という組み合わせ。
アンタルヤの南75km、クムルジャ半島の南端にあり、オリンポスの南7kmに位置するアドラサンは、いまだマス・トゥーリズムに陵辱されていない静かなリゾート地である。2kmに及ぶ弓なりを描く砂浜沿いに、部屋数も10~20程度の家族経営の小さなホテルが20軒ほどあるきり。


アドラサン湾の眺望
(画像は www.onotel.com より借用)

アドラサン湾の眺望



海もプールも両方好きな娘たちのために、プール付きで砂浜になるべく近いホテルに2泊ほどし、そのうち1日は、私の趣味である遺跡めぐりにあてる。
互いに30kmほど離れた アリカンダ リミラ(Limyra) を一度に見て廻り、時間が許せば、クムルジャの北4kmに位置し、アクデニズ大学によって現在発掘中の ローディアポリス(Rhodiapolis) も見学したい。
こうして、娘たちの希望も私の希望も両方叶えるようなかたちで、プランをつくろうとしていたのだが・・・。


アリカンダの劇場
(画像は www.tgeyacht.com/ より借用)

アリカンダの劇場


リミラのリキア式石棺
(画像は www.shoretechnology.com/ より借用)

リミラのリキア式石棺

ローディアポリス
(画像は www.oeaw.ac.at/klasia/rhodia/ より借用)

ローディアポリス





「ひょっとして、エルカン(夫の義弟)と一緒に日本に来る?エミレーツのキャンペーンが安いからさあ。子供も安くなるなら、行けるんじゃないかと思って」
日本の大学院で研究員になれるかもしれないという話があり、エルカンはこの8日にエミレーツ航空を利用して日本に発つことになっていた。

当然、子供たちは大喜びである。日本に行ったら、おばあちゃん家で、あれも食べたいこれも食べたい。従兄弟のタケシ君たちと遊びたいと、目を輝かせて。
私にしても、行ける可能性が出てきた途端、急に日本が懐かしくなってきた。実家の広々とした畳の上でゴロンと横になって、蝉の鳴き声を聞きながらうたた寝。母親の声で起こされて、スイカやカキ氷を食べるひと時。冷奴やトコロテン、もずくの喉越し。鰻や秋刀魚や豚肉を焼く香ばしい匂い。
きっと遠い目をしていたことだろうと思う。
そのとき私の脳裏には、日本の情景が次から次へと浮かんで、一瞬にしてもクッキーのことを忘れてしまうほどであった。

ところがその夜遅く、ふと思い出した。ナナのパスポートが切れていることを。
今からアンカラの日本大使館に行っても、再発行までに1週間はかかるだろう。本人か親戚など代理人が受け取れるだけで、郵送はしていないそうだから、再度取りにいくことを考えても、絶対間に合わない!ショック。。。
翌朝、夫にそのことを告げると、夫は、トルコのパスポートなら一両日で取れるから大丈夫じゃない?という。私は半信半疑ながら、また少し希望の光を見た気がした。
しかし、夫が旅行代理店に確認すると、エミレーツ航空のキャンペーンには子供料金というのはなく、大人と同じ料金になるという。それを聞いて、夫はさっさと諦めてしまったのである。ケシケ、そんなアイデア、思いつきで言わないでくれたらよかったのに!
わずか半日。つかの間の夢を見た私たちであった。


ところで。
実は、夫は今回、カレイチで建設の終わった建物のイスカン (定住許可、使用許可のようなもの) を取るために帰国したようなものだったが、例によって、名だたるトルコのビューロクラシー(官僚主義)のため、日一日と手続きが増えてイスカン取得が先送りされていた。連日、このために駆けずり回っている夫の時間の空くのを、私たちは家でじっと待っているしかなかった。
そうこうするうち今度は夫自身が、用事のためイスタンブールやアダナへの出張日程を入れてしまったのである。
それでも最初は、アンタルヤ滞在の最後の週末となるこの週末を使って、希望通りアドラサンへの小旅行へ出かけようと言ってくれていたのだが、悪条件が重なって、土曜日にしか帰ってこれなくなってしまった。月曜の朝には、夫はイスタンブールを経由して日本へと発つのだから、当然、旅行はイプタル(キャンセル)となった。

「9月。9月には絶対行こう!」
夫は、代案として「9月説」を持ち出してきた。例年夫は、学校の始業に合わせて必ず帰国してくる。昨年もそのおかげで、夏休み最後の日々を利用して、フェティエ&オリュデニズへの小旅行が実現したのだが、今年も本当に信用していいんだろうか?
「でも、夏休みが終わる前に、アンカラにも行っておかなくちゃ。パスポートはいつ何時必要になるか分からないんだから」
私は解決すべきことは、先に解決しておかないと、と自分自身を現実に引き戻した。
アンカラとアドラサンの両方は無理だ。すると諦めるのはアドラサンということになる。
こうして、アドラサンとアリカンダの夢も、あえなく2週間で立ち消えた。


「アンカラ」と聞けば、娘たちはもっと喜ぶものと思っていた。かねてから、アヌット・カビル(アタトュルク廟)に行きたいと訴えていたからである。
ところが、予想に反してあまり嬉しくない表情。
「アンカラにプールはある?どこか泳げるところはあるの?」とエミが訊く。
そうか。1週間に1~2回は海に通い、父親にアクアランドにも連れて行ってもらったのだが、まだまだ「プールが足りなかった」らしい。
「じゃあ、行きか帰りに、 アフィヨン で温泉プールに入ればいいじゃない?」すかさず私が提案する。温泉好き、プール好きの娘たちは、もちろん小躍りして喜んでいる。「エキメッキ(アフィヨン・エキメイ=アフィヨン独特の大きな田舎パン)もあるし、カイマク(クロテッド・クリーム)もある。お~お!」と喜んだのはエミ。子供ながら、よく知っている。
「じゃあ。。。アフィヨンを出たあと、 フリーグ・ヴァディスィ フリギアの谷 =フリギア人の手になる岩を彫ったモニュメントが多数点在する一帯 )に行きましょうよ。前から行ってみたかったのよ」と、しっかり私もリクエスト。ルート作りは私に一任されているから、日数さえ足りればこっちのものだ。


「フリギアの谷」に点在するモニュメントの一部
(画像はwww.aduybim.gov.tr/および www.frigvadisi.org/ より借用)


フリギアの谷1フリギアの谷2


今年の学校始業日は、9月18日。制服や学用品の調達などに数日を割かなければならないし、夫の仕事上の用事も多い。最低2週間は滞在してくれるといいのだが。。。。
いずれにしても、まだあと1ヶ月先の話。
例によって期待などほとんどできないのに、夢だけはたっぷり描くことになりそうだ。




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最終更新日  2006/08/09 12:46:00 AM
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