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2008年01月20日
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カテゴリ: オペラ
 東京文化会館  17:00~


 タンホイザー:ヘンドリク・フォンク
 エリザベート:ダナ・プレショヴァー
 ヴォルフラム:ウラディミール・フメロ
 ヴェーヌス:ポロシュ・チルラ
 ヘルマン:マルティン・グーバル
 牧童:テレザ・メルクロヴァー
 チェコ国立ブルノ歌劇場管弦楽団、合唱団、バレエ団

 演出:ラディスラフ・シュトロス

 というわけで、昨日の続き。
 そそくさと錦糸町のすみだトリフォニーホールを出て、上野の東京文化会館へ。秋葉原で乗り換え一発で着くので、それほど遠くはないんですよね。16時半過ぎに出て、なんとか17時の開演前には到着。
 最上階の席に着いてみて、愕然。うわぁ、人が居ない。というより、哀れにも5階の各ブロックや、4階の2列目以降は埋まってるのだけど、それより下の高めの席ががらがら。1階はそれでも埋まってるけど、通路を挟んだ後ろ側や両サイドの方は全滅とまでは行かずとも.....という感じ。土曜の夕方で、演目はタンホイザーなのに、これしか入らないの?全体的には、6割、よくても7割の入りかなぁ。
 確かに、先週の神奈川県民での公演は半額券を出してたみたいだけど、それにしてもなぁ........
 最初結構居た自分の周りは、二回の休憩の度に潮が引くように居なくなりました。下に移動したんでしょう。

 オケは、6-5-4-3-2.5プルトの編成。ワーグナーにしては結構絞った編成なのは、元々そのくらいしかいないんじゃないかな、ここは。その分、ピットを浅めに取ってます。それでも、どうしても音は上に向かって来るので、何処でもそれなりに見える東京文化会館なら、何処で聞いてもあまり変わらないので、こちらは面倒なので移動せず。

 序曲の最後の処理とか、バレエ音楽とか、一部「あれ?こうだっけ?」と思うところもありましたが、まぁそのくらい。全般に、オーケストラは「田舎劇場の腕のいいオケ」という感じ。つまり、見たまんま。ピアニッシモからフォルティッシモまで、ちゃんとデュナミークもある。ただ、一部ひっくり返ったり、合わなかったり、ピアニッシモがちゃんと聞こえなかったり(音量がピアニッシモだから聞こえない、というのではなく、"聞こえるピアニッシモ"になってない、ということ)、ということはある。こうしたところ、特に前二者は、一線級の日本のオケの方がちゃんとやろうと思えばやれるでしょう。
 指揮も、決してブリリアントではない。フレージングの処理など、どうかなと思ってしまうところもある。
 ただ、それにも関わらず、この種の「田舎劇場」のいいところは、根っこのところで、習慣的に「歌えてしまう」、「音楽してしまう」ところ。多少の傷があっても、フレージングの不具合すら、取り敢えず気にならない程度に音楽として整えてしまう。だから、楽しめてしまうのですね。ブルノ歌劇場は何度も来日していて、ある程度のレベルではあるというのは分かっていたので、期待通りではありますが。

 もう一つの「田舎劇場」の楽しみは、合唱。地力が違うのが常なのですが、今回のブルノ歌劇場の合唱は、少し物足りないかな。決して人数が著しく少ない訳ではないのですが、もう一歩、もう一息欲しかった、というのが本音。最終幕の幕切れに向けて抑えていた、というのはあると思いますが、その部分も、もうちょっとあるととてもいいんだけど、という感じ。まぁ、力不足というわけではないのですが。


 エリザベートのダナ・プレショヴァー。声量では一頭抜きん出ていました。声量だけというわけでもなく、声質もいいし、きちんと歌えている。元々、プラハの国民劇場で活躍している人のようで、まぁそれならばそれなりにちゃんと歌えるのも納得。と同時に、若干ドイツ語の発音がしっかりしないのも、これまた納得。「田舎劇場の座付き歌手」ですね。でも、これは拾い物。ちゃんと歌えるなら多少のことは不問にしましょう。
 外題役はヘンドリク・フォンク。ベルリン国立、ベルリン・ドイツでもタンホイザーを歌ってるそうですが、確かに歌えているけれど、線が細い。ヘルデン・テノールとしては弱い。後半に入って多少上がってきましたし、ローマ語りはオケ伴奏は静かですからそれなりに聞けますが、全体としては まぁなんとか歌えます、というレベル。もっとも、今時は圧倒的なヘルデン・テノールなんてなかなかいませんから、これでも十分とするべきでしょう。
 ヴォルフラムのフメロも、あちこちで歌ってるようですが、やはりちょっとパワー不足。フォンクにしても、歌はしっかりしてるんですけどね~ もうちょっと届いて欲しい。取り敢えず文化会館でならちゃんと歌えてなんぼだし..... 歌い回しは悪くないだけに、惜しい。
 声で言えば、ヘルマンと牧童はよく声が出てましたが、ま、この辺の役柄は、「よく出来ました」という以上のことは無いしなぁ。

 演出は、ある意味オーソドックス。いろんな意味で注目の冒頭のヴェーヌスベルクは、御家族でも御覧頂けそうな、怪しくはあるけどせいぜいR15くらいのレベル(謎)。あまり禍々しさは無かった。

 解釈としても特に奇を衒った訳ではない。巡礼に合わせて、大きな十字架を背負った、下帯姿の3人の男がいるのだけど、恐らくは巡礼の一員ではなく、彼等と共にキリストがあるのだ、という象徴なのでしょう。エリザベートの処理は、もう一つはっきりしませんが、これもまぁオーソドックス。
 このエリザベート、よく歌詞と経緯を考えると、実は必ずしもエリザベートの死が救済に繋がったとは限らないのでして(だってタンホイザーがローマで拒絶された直後に奇跡は顕現したのでしょう?)、そう考えると、本当はエリザベートは自身同様の罪を心中で犯し、それを償う為に祈り、最終的には召された、と考えるべきかも知れないと思うのですが。2幕でのエリザベートの振る舞いをどう解釈するかが問題なのですが.....
 まぁ、そういううるさいことを言うのは野暮でしょう、この場合。

 全体としては楽しめたと思います。これで5万円とか取られるんだったら勘弁してよ、というところでしょうが、これだけの歌唱を聞けて、文化会館で、一番安いところで8千円ってことであれば、まぁいいんじゃないかな。







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最終更新日  2008年01月20日 21時50分45秒
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