記憶の淵に沈みゆくもの

記憶の淵に沈みゆくもの

2003.03.20
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今週が卒業式・卒園式というところが多いと聞く。実際柚木崎の知っている人の子どもも卒園式を迎え、「親を泣かせる演出」に負けてきた、と苦笑混じりで話をしてくれる。そんな時期なのだな、と空を見上げて思う。

8年前の3月20日を覚えている人はどのくらいいるのだろう?

柚木崎はちょうど、その年、その日、卒業式だった。
準備を終えてさぁ出かけるぞ、と思った矢先に、緊急ニュースが飛び交う。地下鉄に異臭騒ぎあり、と。
この時点で思い出す人もいるだろう。『地下鉄サリン事件』である。あの事件で12人の方が尊い命を失い、今も後遺症に悩む人がたくさんいる。あのときなくなられた方々には、あの時間、黙祷を捧げさせていただいた。
柚木崎も、時間帯が少しずれていれば、犠牲になった可能性のある人の一人である。いつもならその時間、その車両、乗っていたのだから。たまたま本当に、この日が卒業式で、いつもより時間が遅かったが為に乗り合わせなかった。それだけのこと。
だから、とても心が痛んだ。もしかしたら次に乗ったときに、ほぼ同じ車両に毎日乗り合わせていたあの人の顔はないかもしれない(電車というのはなぜか同じような顔ぶれが揃うので不思議である)。いつも途中で席を譲ってくれたあの人は無事だったろうか? 様々な思いが渦巻いて、TVに釘付けになった。見知った顔が数人、画面を横切る。それをみて少し安堵したり、余計に不安になったり。人の命をなんだと思っているんだ、と、目の前が緋に染まるほどの怒りを覚えた。
あれから8年。早いもので、もう8年も経つのだと、時の早さに驚かされる。首謀者などは捕まっているのに、まだ判決はつかない。判決を待つ間に、どれだけの人が命を亡くしたのだろう? そう考えると、本当に気持ちが沈む。

奇しくも、あれから8年経った今日。アメリカがイラクに対して開戦宣言をした。なにかの符丁を感じずにはいられない。


失われた命は、次の実りで戻るような、そんな簡単なものではない。なぜそんな簡単なことがわからないのだろう? なぜ、そんな簡単に「国のために死ね」と言うようなことがいえるのだろう?
犠牲になるのは次の世代を担う義務を持つ子どもや、次の世代に知識を与える義務を持つお年寄りである。なぜそんな簡単に、「死に」急ぐのだろう? 今回の戦争で、どれだけの人が命を落とすのだろうか? そう考えると空の青さがむなしくなるほど暗澹とした思いが心をふさいでいく。
日本は『同盟国アメリカ』のためにともに戦うという。
日本は戦争をしない国ではなかったのか? 自らの国を守るためには立ち上がるが、それ以外では立ち上がらない国ではなかったのか? 

21世紀に入ったのだから、平和的に何事も解決していく努力を、きちんとしていくべきだと思う。憎しみは憎しみしか生まない。次の世代にきちんと綺麗な地球を渡したいと、本当に願っているならば、武力行使や戦争からも卒業するべきだ、と。





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Last updated  2003.03.20 15:29:26
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