記憶の淵に沈みゆくもの

記憶の淵に沈みゆくもの

2003.10.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
目が覚めたら、涙が溢れていた。
ここのところ、夢を見るたびに泣いている気がする。
ずっと見続けている夢が、同じ人の夢だからかもしれない。

職場の先輩の夢である。
片割れと今、一緒にいられるのは
この人がいてくれたからに他ならない。
柚木崎にとって頼もしい先輩であり、親しい友人であり、
相談事にも乗ってくれる肉親のような感じの人でもあった。

学生時代のサークルの後輩を亡くして凹んでいたとき、

と、連れ出してくれたのがこの先輩で、
学生時代からお世話になっていた人だった。
就職してからも可愛がって貰えていたのが、嬉しかった。
これからもずっと付き合っていくだろうから、と
仲が良い友人たちと会わせてくれたのがきっかけで、
片割れとも出会ったし、知り合いが増えた。
しかし、もうその先輩はいない。
柚木崎が慕った先輩は、もうどこにもいないのだ。

でも、どこかで惜しんでいる自分がいる。
なにが原因で、こんな関係になってしまったのか分からないから
懐かしんで戻りたがっている自分がいる。

けれども、戻りたい。
そう思っている自分が、どこかに、いる。

この話をすると、片割れはとても痛そうな顔をする。
柚木崎が本当に
その先輩を大事に思っていたのを知っているからだ。

豹変した理由を、片割れも知らない。
だから、片割れもどこかで惜しんでいるのだろう。
なにがあなたを変えてしまったのか、と
どこかで問いかけているかもしれない。

夢の中で、その先輩は
以前と同じ笑顔で、
同じ朗らかな声で話しかけてくることもあれば、
憎しみに歪んだ顔で、口を極めて罵ってくることもある。
どちらも心が痛む姿だ。
もう戻らない姿を見るのがよいのか、
見たくない表情で聞きたくない言葉を吐く姿を見るのがよいのか、
柚木崎には判断がつかない。
分からないのだ。
どちらも見たくない。どちらも、もう、見たくない。

片割れが目覚める前に、この涙をなんとかしなければ。
心配させてしまわないように。
何事もなかったかのような顔をしなければ。
そう思いながら、心の中で呟く。
思い切れないものだな、と。





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Last updated  2003.10.28 11:26:05
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