記憶の淵に沈みゆくもの

記憶の淵に沈みゆくもの

2004.08.28
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昨晩、食べきれないほどの夕飯を食べ、
朝食も思った以上に出たので、体が重たい気がする。
親父様の会社の保養所も結構行ったのだが、
片割れの会社の保養所のほうが格段に待遇がいい。
母など、ため息をこぼして呟いていた。
「こういう保養所だったらよかったのになぁ…。
 そしたら、どれだけ楽だったろう…」
今になると、この母の呟きもわかる。
なにせ親父様の会社の保養所のほとんどは自炊なのだ。
母は休む暇もなかっただろう。
ここはゆっくりできる。
それに、食事も良い。

チェックアウトの時間よりかなり早く、保養所を出た。
出掛けに
「冬はどのくらい雪が積もりますか?」と聞いてみたところ、
去年は1時間で
自分の車をどこに停めたかわからなくなるほど積もったとの話。
さすがに豪雪地帯。
スキーの季節にまた来たいが、
いつも予約が満杯状態というここはきっと無理だろう。

土曜とはいえ、実兄は仕事。
兄嫁とメールのやり取りをしながら秋田に向かう。
実兄は仕事を終えてから合流するので、
兄嫁と姪っ子を先に拾って連れて行くのである。
今どのへんを走ってるとか、
姪っ子の様子はどうかとか聞きながらの道中である。
途中、毎年親父様がさくらんぼを頂いている家の近くを通った。
通るとは聞いていたのだが、
本当に数百メートルのところを通るとは思ってもいなかった。
茶目っ気を出して
「いつも父がお世話になってますって顔出す?」と聞いてみると
あちらのお母様とお父様(そう呼んでいるようなのだ)は
気を使っていろいろしてくれてしまうから
今回は通り過ぎるだけにしようということになった。
母と二人して、お世話になってますコールをしようと
思っていたのだが、残念である。
(片割れは「毎年さくらんぼをありがとうございます」と
 言うつもりだったらしい)

そんな笑える道のりの途中で、妙なことに気が付いた。
追い越す車の中に、バスがとても多いのだ。
しかもどう考えてもあれは観光バスである。
千葉ナンバーやら茨城ナンバーやらが混じっている。
中には愛知ナンバーなんてものもあり、
これは何事かと思ってしまった。
追い越したときに少し振り返って見てみて納得した。
今日は大曲の花火大会の日だったのである。

母も散々見たいと騒いだ大曲の花火大会。
花火師の祭典とも言うべき大会なのだという。
危険物取り扱いもできる親父様が
一度はこの花火を取り扱いたいと呟いていたのを思い出す。
そうか、この花火大会を見たいがために
これだけの人が繰り出してきているのか。
どおりで道が混んでいると思った。
そう片割れに話し掛けると、納得と頷かれた。
こいつらには抜かれないぞ~、と張り切るあたりが笑えたが。
そうなのだ。
この観光バスに大量に抜かれてしまうと
途中の秋田道が混んでしまうのである。
それはまずい。やばすぎる。

寄ってみたいと思った道の駅を、涙をのんで通り過ぎ、
一直線に秋田を目指す。
やはり混んでいる、秋田への道。
高速に乗るまでも混んでいたが、乗ってもやはり混んでいる。
この混雑もあと少し、とナビが言っているので
信用して我慢の運転を続けることしばし。
大曲近くになって、パトカーが増えたことに気づいた。
花火見物のために高速で止まって降りて見物する車もあるらしい。
それらを牽制するためのパトカーである。
インター近くは大名行列になっていた。
1mmも動かない車の列。
その中にはたくさんの観光バスも混じっている。

パトカーの止まってる場所は絶対に絶景ポイントだよね、と
親父様を振り返ると、熱心に外の景色を眺めている。
見える景色は山ばかり。
なのに、なんだと思って聞いてみたら、
この山の高さがあったら見られないなと思って、と
少し残念そうな口調で言われた。
どちらにせよ、花火の始まる時間はここにいない。
テレビという特等席で見られるさ、と笑うと
人ごみでもないしいいか、とやっと笑みがこぼれた。

途中見かけるパトカーや対向車線のバスをからかいながら
実兄の家に近づく。
あと10分ほどでつく、というところで
兄嫁にもう一度メールを投げる。
「お待ちしていま~す」と返事がきて、ちょうど圏外に。
兄の家はわかるか、と親父様に聞いたら、
多分、なんとかなるとの返事。
柚木崎も片割れも実兄の住むアパートを知らない。
仕方がないので、親父様の感ピューターに任せることに。

同じような道を何度も行ったりきたり。
車幅ギリギリの道を通らされたりしてちょっと閉口したが、
たどり着かないこと、つかないこと!
近くをうろついていることは確かなのに、と母まで言う始末。
ふと、財布の中に実兄の住所を入れていたのに気づいて
それを取り出して地名を見る。
確かに近い。
のだが、さっきからうろついているところは、場所が違う。
曲がるところをどうやら間違えたらしい。
その指摘で、元の道に戻って違う角で曲がってみたら、
ようやく見慣れた道に出たらしい。
親父様と母が同時に歓声を上げた。

着いたよ、とメールをしたら、姪っ子を抱いた兄嫁が出てきた。
昼過ぎからずっとお昼寝タイムだった姪っ子、
あれから3時間が過ぎようというのに、まだ寝ている。
よく寝る子だね、と笑ったら薄目をあけた。
見慣れない顔が勢揃いしていたからか、
びっくりして体を硬直させて、目を見開いたと思ったら。
……おお泣きされてしまった。
柚木崎も片割れも、あまり子どもに泣かれることはない。
なつかれることがほとんどなのだが、おお泣きされるとは。
以前来た時に一番なつかれた母ですらおお泣き。
どうやら忘れられてしまったようだ。

おお泣きされても、兄嫁の荷物を積み込まねばなので
仕方なく母が抱っこしたのだが、どうにも駄目で泣きつづける。
参ったねぇ、と母が呟いたとき、
さっき柚木崎たちが曲がってきた角を、赤い車が曲がってきた。
実兄である。
仕事を早上がりすることはできないといっていたのに
どうやら早引けしてきてくれたようである。
久しぶりの挨拶も何もない。
車を停めると、一直線に愛娘に向かってきた実兄は
抱き上げたがやはりおお泣きされたままで苦笑をもらす。
片割れが車の中からお土産のプーさん(熊のぬいぐるみ)を出したが
ご機嫌斜めの姪っ子は見向きもしないで泣きっぱなし。
肌触りなどを確かめて、兄が久しぶりの笑みを見せた。
まだ10ヶ月の子どもだから、タオル地のものである。
一番好きなキャラクターなのだと聞いていたから
わざわざプーさんを選んで持ってきた。

兄が抱いている間に、兄嫁がてきぱきと荷物を運んでくる。
こちらの車に全員乗れる、と言ったのだが、
実兄は自分の車のほうが安心できるから、と
わざわざ車2台で連なっていくことに。
宿に向かっていくことになった。
男鹿半島を下回りでぐるりと回る。
海の色がイマイチ綺麗でない。
どうやら濁っているようだ。
残念ながらゴジラ岩は見ることができなかったが
途中、綺麗な景色のところで一時休憩。
その頃には姪っ子も少し慣れてきてくれたようで
やっと泣き止んで顔を見せてくれるようになっていた。
同乗していた甲斐があるというものだ。

宿に着いて少し休んで、
早速風呂に入って回りの景色を見に行くことに。
その頃にはだいぶ慣れた姪っ子は
母や柚木崎、片割れに抱かれても泣かなくなった。
だが、親父様にはまだ駄目な模様。
かわるがわる抱いて歩いた。
夕飯も済ませて、母たちの部屋で姪っ子と少し遊んで
名物のなまはげ太鼓を見てきて、今日は就寝。
風呂には2度入った。
明日の朝も入ってくる予定である。
さて、明日はどんな一日になるのやら…。





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Last updated  2004.09.07 14:40:15
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