記憶の淵に沈みゆくもの

記憶の淵に沈みゆくもの

2007.05.05
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秋田に行っている柚木崎の両親が
今日の夜、夜行バスで帰って来る。
最後の一日だし、甥っ子の初節句でもあるので
日数を長めにした親たち。
滅多に会えない孫たちだから、十分堪能して来てくれるといいのだが。
孫と言えば。
片割れの母に言われたことを思い出した。
思い出さなきゃいいのだが、これは片割れも言われてむっとしたようだ。
柚木崎が言われたのは

どれだけ寂しいことか分かる?
他の人達が話してるのを聞いてるだけが
どれだけ空しいか分かる?
早く私たちのために孫を頼むわね」という、身勝手極まりない言葉だった。
片割れも似たようなものだが、微妙に違う。
「孫がいなくて、悔しい思いをしてるの。
うちは夫婦仲がいいので知られてるじゃない?
家も新しくて、子供たちもみんないい所就職してて、
すっごくみんなに羨ましがられるのね?
でも、孫がいないので哀れまれるのよ。
それがすごく悔しいの

だそうだ。

なんでこうなんだろう、と思わずにいられない。
柚木崎の実家に対しても、
「あんなちっぽけな古い家に住んでる癖にね」
と、孫が出来た話をした時に蔑んだと言う。

今回、片割れは言ったそうだが。
「おかあさんたちを喜ばせるために子どもを生むんじゃない」と。

子どもをなんだと思っているのだろう。
自分達のステータスの一つとでも思っているのだろうか。
跡継ぎにとか養子にとか、言うことがもう、堪らない。
そんなに自分が一番でいないと気が済まないのだろうか。
そんなに羨ましがられるのがいいのだろうか。

羨ましがるとか、他人を蔑むとか。
柚木崎が余り好きではない感情だ。
というか、あまり持たない感情というか。
蔑むに至っては、本当に出てこない。
○○のくせに、という発送自体が出てこない。
だから、心境が分からないのだ。
柚木崎も学歴でしょっちゅう義母に言われているのだが。
分からない。

それはともかく。
夜、『霧が出てる』と親父さまからメールがきた。
少し遅れてバスが出発したらしい。
明日の朝には新宿に到着することだろう。
気をつけて帰って来て欲しいと願っている。





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Last updated  2007.05.24 20:11:09
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