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なんとなんと、宣言通りに続き。ミヤハラサトコ。昨日の日記でもちょこっとふれたとおり、今季の国際大会において、日本女子で最も優れた成績を残すのは彼女だと思っております。3位表彰台だったスケートカナダSP。あんまりいい動画がなくて、これも途中で映像がとぶのですが、画像がきれいで見やすかったので。この前の試合、優勝したロンバルディアトロフィーでこのプログラムを初めて見たときは、曲や振付の雰囲気がミヤハラのそれとは合わないなぁと思いまして、なので、なんだか本人もやりにくそうに滑ってるように見えて、これは演技構成点を伸ばせないプログラムなんじゃないかと、今からでも変えた方がいいんじゃないかと思っておりました。それが、スケートカナダで見て印象一変。音楽も振り付けもとても彼女になじんでいて、この短期間でしっかり自分のものにしてきたな、と驚いたしだい。ムラカミカナコについては技術的な変化に成長を感じたわけだけど、ミヤハラに関しては表現面での成長を特に感じます。実はもともと音に対する反応なんかはよくて小回りも効くし、表現よりも技術が勝ってるというタイプでもなかったのだけど、今季、特に顔の表情が大きく動くようになり、また、うつむきがちだった視線がぐっと上を向くようになった。ただし、昨季は見事に克服したかに思われたジャンプの回転不足が、各試合ちょこちょことられてしまっていて、ちょっと「狙われてるかな?」という不安材料はあるものの、NHK杯は彼女の優勝にベット。イマイハルカ。ああ、かわいい♡以上!というのは、もちろんウソ(笑)昨季後半とこの夏のアイスショーでの彼女の様子を見て、今季は絶対に来る!と私は確信したのだけれど、これまでのところ成績を残せていないのが、いかにも残念。エリックボンパール杯SP。映像のきれいなのを探したらスペイン語でした。「ムイ ビエン」=「問題ない」=「いいんじゃない」くらいでご覧ください。最後のステップでのまさかの転倒はありますが、ジャンプはどれも流れも幅もあってきれいに降りているし、なんでなかなか点数につながらないのかな、と気をもんでいるのですが、演技構成点という点で見れば、上半身の動きや音のつかみ方なんてのは、ダイナミックだし非常に気持ちがいいのだけれど、肝心の足元の方が、ただ走ってるって時間が長いのかな、と。ここは本人の力量に合わせて振付を積み重ねていかなくちゃいけない部分なので、次の試合で急に改善されるというのは難しいところではあるけれど。でもでも、全体的なスケーティングのスピードと、確かな意思を感じる演技の力強さは、昨季後半から急激によくなった部分で、だからこそ、私は彼女が今季大きく飛躍するだろうと思ったわけでして、ステップの転倒の後も、気持ちが途切れることなく、転倒前と同じスピードにすぐにのって大きく踊り続けるなんて、なかなかできることではない。なので、やっぱり、今季もっと上に行けると思うんです。期待します。終わった後の表情が、「しょんぼり」じゃなくて「あー、悔しい」って感じなのもいいですよね。で、外国人選手を語るところまでいけなかったので、これまた、明日以降に。
2014年11月25日
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珍しく女子について。グランプリシリーズここまでをざっと振り返って、印象に残った選手・演技を日本代表中心に簡単に。ホンゴウリカ。いやはや、びっくり。シリーズ前、「今年は日本男子5勝は堅いでしょ」同様「ロシア女子全勝か…」という大方の予想を覆し、まさかの、シニアデビュー2戦目にしてロステレコムカップ優勝。もちろん、点数的に言ってしまえばスケートカナダで3位だったミヤハラサトコよりも低いわけで、ソトニコワの欠場とパゴリラヤの不調が重なったという幸運が大きいのだけど、それでも「優勝」という称号と経験は大きな財産。フリー「カルメン」。ちょいと音が小さいですが、いつもの英ユーロスポーツ。ホンゴウは、もともとあんまりタイプの選手じゃない。スケーティングの姿勢が悪く、肩があがって肘が張る感じだし、あごも上がり気味だし、スピード出そうとするとガツガツ漕ぐし…でも、今回のこのプログラム、そういうところがあんまり気にならない。要所要所での上半身のメリハリだったり、表情の作り方だったり、そういう部分がとてもうまく表現されていて迫力があり、彼女の演技に、初めて魅了された。日本でのテレビ放送の解説によれば、表現についてスズキアキコのアドバイスを受けたとのこと。なるほど。「ここできちんとジャッジ席を見る」のみならず、「下から見上げる」のか「上から見下ろす」のか、そのあたりのいわば「見得の切り方」みたいなところが、この演技はとてもとてもうまい。そういうのって、いくらアドバイスを受けたからと言って、本人に素養がなければできっこない分野だし、今回のこの優勝は、ホンゴウリカの選手としての可能性を示したとともに、スズキアキコの指導者としての可能性をも示したのではないかと、ちょっと思ってみたり。今までのホンゴウって、演技もしゃべり方もぼんやりしててこういうタイプ伸びないよの典型だと思ってたけど、試合後のインタビューにおいて、そりゃしゃべり方なんてすぐに治りっこないからやっぱりぼやーっとしてたんだけど、だけど、コーチや周囲の人に対する感謝を述べているうちにみるみる涙ぐんでいく様がとてもかわいらしくて、なんかそこが、一番見方が変わった部分かもしれない。ムラカミカナコ。スズキアキコの引退、アサダマオの休養によって、今季「日本女子の新エース」と称される彼女。(←どうして、どのメディアもアンドウミキの引退ってのはふれないの?と思うけど)正直、成績から言ったらミヤハラの方が上回ると思ってます。でも、経験ある「お姉さん役」はやっぱり期待したいわけで。中国杯SP。フリートとともに、彼女のオペラ座の編曲は謎なんだけど。中国杯で3位という成績は残したものの、点数的にはミヤハラはおろかホンゴウにも及ばず、でも、私はこの大会の彼女を見て、ちょっと期待したい気持ちになっている。全体的にジャンプの質があがっている。まだ、若干踏切りの際に踏切り足の膝をまげて振り上げるくせはあるけれど、それでも、昨季までの妙なためはずいぶん軽減されて、踏切り、空中でのポジション、着氷の流れがとてもきれいでスムーズ。特に、このSPの3本目のジャンプである2Aの軽さといったら!このジャンプ一本で私は「ああ、今年のカナコはちょっと違うぞ」と思った次第。で、翌日のフリーも、前半、ジャンプのミスが続いて、昨季まで同様そのままずるずると失敗に失敗を重ね…かと思いきや、見事に立て直し、いや、立て直したどころか、後半はとても力強く見応えがあり、これは、さすがにカナコもやっと大人になったな、と今度に期待。と、ひとりあたり2、3行で簡単にざっと語るつもりが、やっぱり長々となってしまったので、続きはまた、明日以降にて。
2014年11月24日
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このところ地味に忙しくて、連日帰りがちょい遅めだったり、そのせいかどうも頭の中が疲れてる感じがしたり、加えて、ちょっと体調不良気味だったりするので、日記はぼちぼち行きます。毎日のように「あれとあれは書きたいな~」と思いつつ、眠くなっちゃうし、一方で、体力温存のために寝なくちゃとも思うし。ある意味、燃え尽きてるのもあるんだろうなぁと思うしね…
2014年11月20日
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え~っと、Wordでまとめはじめていたのですがあまりにホットトピックなので、今アップすることがちょいと怖くなりまして、ちょっと時間を置いてからアップします。へたれですみません代わりに、私の意見に近い記事をご紹介。ナカニワケンちゃんとは、前から意見があうと思っている。んでもって、もちろんアッコちゃんとも意見は合う。ちらっと言っちゃうと、気持ちが強いとか、根性とか、男気とかというよりも、アクシデント直後でアドレナリンでまくりでハイだったんじゃないかと、だから、そこが心配なんだよ、ってのが私が思ったことです。最後に、現場に居合わせた選手の生々しいインタビュー。これが一番重い。そして、ヒロタのシュークリーム、ムラくんセールやってた!今お知らせしてもおそらくは間に合わないんだけど、けどけど。不覚…
2014年11月09日
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昨晩は、たいした長い日記じゃないのにえらい夜更かしをしてしまって、何かと言えば、資料にする動画探してるうちにいろいろ見始めて止まらなくなって…のパターンでありました。そんな、夜更かししてあさってた資料動画は本日の日記にて使用予定。さて、ムラくんのジャンプの話。わかりやすいのは、四回転の跳び方を変えたこと。まずは今回のスケートカナダのSP。これはスリーターンからの四回転。ごく一般的な入り方で、だいたいの選手が4Tはスリーターンから踏み切ります。氷の上に「3」を描くようにターンするので「スリーターン」って言います。余計な豆知識でしたで、昨季四大陸選手権のSP。こちらはモホークからの四回転です。スリーターンからの入りが、大きく体全体で円を描くようにしながらジャンプ動作に入っていくのに比べ、モホークの場合は、足元だけでピョコッと向きを変えるのでわかりやすいかと。実は、これはムラくんくらいしかやってなくて、彼のひとつの特徴だったもので、なくなってしまってちょっとさびしかったりもするのだけれど、スリーターンからの入りの方が足の負担が少なく、結果、フリーに四回転2本を危なげなく入れられるようになったとのことなので、まあ仕方がないね。で、もうひとつムラくんの今季のジャンプを変化させたのは、イリア・クーリックによるジャンプ指導の成果。長野オリンピック金メダリストであるイリヤ・クーリック。昨季、ミヤハラサトコのジャンプも指導しており、そのことによってミヤハラのジャンプは回転不足やエッジエラーが劇的に減ったため、ジュニアからシニアへの移行をスムーズに行うことができたのだと私は勝手に思っていて、クーリックのジャンプ指導に対してはひそかに信頼を寄せていたのであります。そこにきて、このムラくんの変化。百花繚乱、群雄割拠の日本男子シングルにおいて、ムラくんと言えば「ジャンプの人」。なんだけど、そのジャンプに抜けが多いのもムラくんの特徴でありまして。今のルールって(いや、実は前からなんだけど)、転倒よりも回転が抜けてしまう方が失点が大きい。四回転なら、四回まわりきって着氷で転ぶ方が、四回のつもりのところで二回しか回れずに降りてしまうよりずっといい。それが、昨季までのムラくんは、転倒はしないけど回転抜けの多い人で、しかも、一回抜けるとそのあとも引きずって連発するくせがあったりして。そういうところ、どうやら今季は今のところ出ていないみたい。あ、あと、昨季まではいつもフリップが明らかにエッジエラーで、そうなると今季は基礎点から引かれてしまうところだったんだけど、それも改善の方向のようで。具体的に技術の部分と、ジャンプに対する心構えみたいな部分と、どちらもクーリックの指導からは得るところが大きかったようで、何だか安心してムラくんをみていられるような気分になっております。で、そんなクーリック先生の演技ご紹介。現在37歳。でも、まだショーではガンガン滑っておりまして、日本にもちょいちょい来てます。クリスマスのショーにも来るよ。(←チケットが全然当たらないんだよーーーーー!!(/_;))動画としては最新で昨年のものしか見つからず。あしからず。こんなにスピードあってフットワーク軽く、こんなにジャンプも跳べちゃってたりして、ロシアの方にしたは太らないし、老け込まないし。「すげーな、クーリック」と常日頃から思っておりますです。ショーで生で彼のスケートを見る機会があった時、小さな会場だったこともあって、彼がリンクを駆け抜けていくときの風圧がすごかったんです。体が大きいってこともあるんだろうけど、そのスピードが客席まで届く風が起きて、「ああ、この人はチャンピオンなんだ」って、恐れ入った次第。今まで見てきた外国人スケーターの中で最も「王者の風格」を感じる人なのであります。で、そんなクーリックの長野オリンピックの振り返り。直前の6分間練習から入ってる動画なので、お時間と興味のある方は全部見るといろいろ面白いんですけど、クーリックの演技そのものは3:20あたりから。あ、あれ?たいしたことないぞ…若いというのもあるのでしょうが、重心が前の方にあるのかスケーティングがつんのめるような形になってるし、なのでスケートが滑らずに一歩が短いですね。フリップとルッツの踏切りの使い分けもいささか怪しいし、上半身も固いので、「いかにも」という古臭い演技だなぁと。それが今では、今時なプログラムをショーで演じながら、今のルールにマッチした指導をして、選手の能力を引き出しているのだから、ますます尊敬に値する人だな~と思ってしまうのでありました。まあ、この長野五輪の演技、一番「えっ?」ってなるのは、そのキリン風味の衣装で「ラプソディ・イン・ブルー」ってところですけどね(笑)おっとムラくんのジャンプの話のはずが、いつの間にか、クーリック先生は素敵という話になってしまった(笑)なので、ググッと話を戻してムラくんのSP。どうでもいいことを箇条書き。・1:35付近、足を止めて客席に向かって振り返ってポーズを決めるところで、 ぜひとも「キャー!!」が来るようになってほしいもの。・2:28ステップに入る前後の動きが流れてしまっていて、しかも微妙に音とずれてしまっているのが何とも残念。 ここで、足元滑りながら上半身の動きをピタッと止めて、かつ音に合わせてステップをスタートできるようになると、演技構成点ググッと上がると思います。・2:50あたり、後ろに下がっているステップが何やらたまらなく好き♡以上!(笑)今年のムラくんのプログラムは、SP・FSともにフィギュアスケートの大定番の曲を使っていて、奇をてらわず、でも、オリジナルなとても素敵なプログラムになっていて、彼に似合っているし、とてもいいな~と思うのでありました。
2014年11月06日
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さて、うかうかしているともう次の週末です。書いたものが失われてしまっては、書き直している時間も、立ち直る時間もないので、急がば回れでWordで書いている次第。ようやくムラくん優勝の話題。いつもと順番変えてFSから。ボーカル曲解禁の話題のところでも取り上げたので、サラッと。祝・手袋復活。やっぱりこの振付けは手袋してないとおもしろくないですよ。では、またしてもノブナリ解説にて。ムラくんの涙で一緒に号泣してくんないかな~と思ったんだけど、それはなかった(笑)演技が進むにつれてだんだん観客が盛りあがってくる感じが伝わってきて、震えました。昨年まで1本だった四回転を2本に増やし、にもかかわらず技術的に危なげなところは見せずに、何よりも私が感動したのは、試合前に「今季の目標は250点」と言っていて、それを見事にこの試合で達成してみせたこと。255.81。それは彼のパーソナルベストでもあり、世界的にみても十分に高得点。ただし。日本男子シングルで戦っていくとなると話は違う。先週のスケートアメリカにおけるマチダタツキの点数は269.06。しかもこれは彼のベストではなく、自己最高得点は282.26。ハニュウユヅルのパーソナルベストにいたっては293.25。引退した選手も含め、世界の男子シングル選手のパーソナルベストランキングで言えば、今回の点数により、ムラくんは11位にランクアップ。が、日本男子シングルパーソナルベストでいくと、↑と同じランキングなものだからタカハシ、オダも入っちゃうんだけど、なんといまだ6位。ハニュウ、マチダ、タカハシ、オダ、コヅカ、ムラ、なんですね。ご参考までに、こちらがそのランキング。日本男子、怖っ!じゃなくて。SPでのジャンプのちょっとしたミスや、FSでのスピン・ステップのレベル取りこぼしはあるにせよ、これだけ技術的に確実な演技をしてなお、ハニュウやマチダに及ばないのはなぜなのか?もちろん、技術的に各要素の質をもっと上げていく必要もあるだろうが、やはり大きいのは演技構成点の差。今回特に、フリーのオペラ座の怪人を見て思ったのは、上半身の動きが流れてしまうってこと。例えばこの動画で1:19、音が変わるタイミングで両腕を上げるところや、3:12仮面に見立てた右手の白手袋を顔にあてるところとか、もっと「ピシッ」と腕の動きを止めてくれたならば、演技にすごくメリハリがつくと思うのだけど。そのあたりの、「パッと止まってパッと動く」「力を抜いて流れにまかせる」なんかが使い分けられるようになると、ググッと演技構成点の「CH:振り付け」とか「IN:音楽解釈」とか上がると思うのであります。で、欲を言うと、足元も同様に「急に止まる、急に動く、急に曲がる」とかが出来てないので、演技構成点上位の選手と比べると、どうしても「小回りが利かない」感じ。ここが「SS:スケーティング技術」「TR:つなぎ」にかかわってくる部分。このあたりの改善は一朝一夕ではいかないので、ピョンチャンに向けての長期的課題として取り組んでいくことになるのだろうけど。と言いながら、今回、ムラくんが大きく変わったのはやっぱり実はジャンプの安定感。そのあたりにつきましては、また明日。
2014年11月05日
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はい、一回書いたの全部消えた(/_;)すっかり油断してたよ…で、もう書くのやめちゃおうかくらいにショックでありましたが、内容を考える時間もかかってたわけで、それも悔しいから完成させます。はい。ここから本題。日本男子2連勝の喜ばしい話の前に、まずはちょっとした無駄話。いや、無駄ではないけど。かえって、ちょいと重いけど。例えば、先週のスケートアメリカならば、ジェレミー・アボットという大ベテランがいて、マルティネス、ナム・グエン、ピトキーエフとジュニアからあがりたてのフレッシュなメンバーがいて、マチダタツキ、ジェイソン・ブラウンというまさに旬の選手がいて、いろいろな世代の、それぞれの見どころがあったのだけど。今週のスケートカナダは、いささかメンバーが偏っておりまして、年齢的にも23歳から25歳くらいのスケーターとしてはよいお年頃の選手が中心で、成績としても、フェルナンデスはともかくとして、このところ、もうひと伸びができずに苦しんでいる選手が多かったりして、テレビの実況的に言えば「復活を期すシーズン」の人だらけ。中でも、私が勝手に「コヅカ世代」とくくっているコヅカ、アモディオ、リッポン、ブレジナ。ルックスだって技術だって人並み以上だし、キャラクターだってそれなりにたってるし、なのに、なぜだろう、常に「ちょっと何か足りない」感…バンクーバーオリンピックの代表選考において「若手」だった彼らが、きっとソチオリンピックの主役になるだろうと、あの時は誰もが思っていて、でも実際は、バンクーバーの主役たちはなかなかその座を降りようとはせず、驚くほどのスピードで彼らの次の世代が成長してきた結果、間に挟まれた世代は、すっかり存在感をなくしてしまっていた。それはめぐりあわせの不運としか言いようがなく、息の長い、キラキラのスターで大きな実績と人気を持ち合わせた先輩たちと、成長が早く、とてつもない技術力を持ち合わせた後輩たちと、その間に挟まれてしまった不運。誰が悪いわけでもなく、「譲れよ」「来るなよ」と言えるものでもないし、越えられなかったのも、越えられてしまったのも、実力なのだし。ただ、思うのは、同世代、バンクーバーの若手でソチの主役を張ることができたのは、前エースであるジェフリー・バトルがすでに引退していたカナダのパトリック・チャンと、すべてが「スペイン初」で、追うべき先輩の背中すらなかったハビエル・フェルナンデス。そう思うと、コヅカ、リッポン、アモディオ、ブレジナは、2番手という位置づけに、あまりになじみすぎてしまっていたのかもしれない。常に、タカハシ、アボット、ジュベール、ベルネルというエースの存在がまずあって、「先輩の調子が悪い時は僕にまかせてください」という時に、一番力を発揮してみたりして。本人たちがそんな風に考えていたとはもちろん思わないけれど、どこかで潜在的に、エースとは「なるもの」ではなくて、自然と「譲られるもの」みたいな意識ができちゃってたんじゃないかと思ったりもするのです。そして、いざ先輩たちが退いた時、「よし、自分の番だ!」と覚悟を決めるというよりは、すでに主役を後輩たちに持って行かれてしまってるというのもあって、まるでよりどころを無くしてしまったかのように見えてしまったのが、今回のスケートカナダだな、と。あ、アボットは退いてないですけど、まあ、大きな流れという話の中で、ということで。みんな一度は天下を取りかけたというのに、タイミングは違えど、その後の急な失速。残念でならないのです。というわけで、コヅカSP。そんなに大きな失敗をしているわけではないし、彼のSPの点数は常に77点あたりなので、75.85というのは、そこまで悪い点数じゃないのですね。ただ、グランプリで表彰台を狙うなら80点、世界選手権で表彰台なら90点が目安のこのご時世だと、たいしたミスがないのに70点台というのはつまり、トップ中のトップを狙うのは苦しいということに他ならず。だいぶ音小さいですけど、解説が好きなもので英ユーロスポーツにて。ミヤモトケンジ振付のタンゴなんて、タカハシと比べてくれと言わんばかりで「それってどうなの?」というのが第一印象。でも、ずっと気になっていた手首から先をきちんと振付けることで、全体的に上半身の動きが柔らかく見えるように工夫されているように思えるし、タカハシの幻影を頭から追い払うことができるのなら、ステップシークエンスの全身の使い方は今までのコヅカにない動きで画期的。いいね。それに、このスケーティングの美しさ。昨季までよりもさらに、スケートそのもののうまさがアップしたように見えます。なんだけど。で、フリー。ここは敢えてオダ解説で(笑)3Aの回転が抜けたときに、本当に悔しそうな声を出すノブナリが素敵。ってのは、ともかく。本当にいいプログラムだと思います。SPでも触れましたが、振付の工夫なのか本人の意識なのか、ずっと気になっていた手首から先のこわばりがだいぶ解消されて、ボーカル入りの曲のチョイスもいいと思うし、衣装も素敵。ただ。ジャンプの抜けも重症だけどそれよりも、SPもそうなんだけど、スピンがへたっていうか雑っていうか、何ともコヅカらしくない。スピンって練習量が出るのです。ってことは、キャラ的にさぼって練習しないとかありえないので、やっぱり故障の状態が厳しいんじゃないかと心配しちゃうわけです。そのあたりは、次戦で再チェックであります。というわけで、最後に、リッポン史上最高の演技など。2010年ジャパンオープン。これは実は会場で生で見てまして、本当に感動に打ち震えました。途中の両腕を広げてのパンケーキスピン、最後のステップに入る直前の高まり。本当に「あとはジャンプの難度だけ」だったのにのに。そして、この美貌。このころまではリアル天使な美少年だったけれど、時の流れは残酷なもの。25歳の今はすっかり男臭くなってしまって…(/_;)というのを見るとね、ユヅルがね、ルックス的にね、どう成長するかがね…
2014年11月03日
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