ともあれ、リー・モーガンはクリフォード・ブラウンと入れ替わるように登場してきたトランペッターということだが、18歳でいきなり二つのデビュー作を残す。一方は、ブルーノートに吹き込まれた『インディード!』であり、こちらは1956年11月4日に録音された。その翌日(11月5日)と3日後(11月7日)には、今度はサヴォイでの録音を行ない、その結果が本作『イントロデューシング・リー・モーガン(Introducing Lee Morgan)』となる。
となると、当然、本盤を聴こうとする人はリー・モーガン目当てでアルバムを手にする確立が高い。けれども、実際に聴いてみると、ハンク・モブレー(テナー・サックス)が"でしゃばって"きて、「あれっ?」と思うかもしれない。それもそのはず、ジャケットの文字には"リー・モーガンとハンク・モブレー・クインテット(Lee Morgan with Hank Mobley's Quintet)"とある。つまり、この盤はハンク・モブレーのグループにリー・モーガンがゲスト参加しているという体裁であり、実際のリーダーはハンク・モブレーと言った方が適当かもしれないセッションなのである。リー・モーガンの名を大きく前面に出したのは、むしろ、若き天才トランペッターを売り込もうとするレコード会社側の意図と考えるべきだろう。