音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年08月30日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ




 アート・ファーマー(Art Farmer)は1928年生まれの米国のジャズ・トランペット奏者で、後にはフリューゲルホルン(この楽器を演奏している盤は こちら )、さらにはフランペット(トランペットとフリューゲルホルン双方の特徴を兼ね合わせた楽器)も演奏している。厳つい顔つきとは裏腹に、生真面目な性格で音楽と真摯に向き合う人物だったらしい。1950年代初頭にライオネル・ハンプトン楽団に在籍し、1953年にプレスティッジとの契約を得た。その後、50年代半ばからリーダーとして様々なアルバムを残すことになるが、ちょうどその時期、1954~56年に断続的ながら存在したのが、ジジ・グライスと組んでの“ファーマー/グライス・グループ”であり、その成果の一つが本盤『ホエン・ファーマー・メット・グライス(When Farmer Met Gryce)』であった。

 ジジ・グライス(Gigi Gryce)は1925年フロリダ生まれのアルト奏者で、フルートやクラリネットも演奏した。ファーマーと同時期にハンプトン楽団に在籍しており、このグループは“旧友の再会”の上に成り立っていた。ジジ・グライス自身は演奏キャリアもそう長くはなく、ふだんあまり注目されないが、作曲家・編曲家としてもすぐれた人物であった(本盤の収録曲もすべてグライス作)。

 本盤の特質を一言で表すならば、ハード・バップそのものでありながら、創造的なハード・バップ盤とは一線を画すというものである。わかりやすい例で言えば、マイルス・デイヴィスが新たなハード・バップの世界を創造的に切り開いていったようなイメージとは大きく違う。同じトランペッターの例を挙げるならば、リー・モーガンのような天才的な勢いがあるわけでもない。

 では凡庸なハード・バップ盤かと言えばそうではない。知的な味わいのあるハード・バップだという言い方もできる。しかし、それ以上にどこか安心して聴けるという印象が、筆者にはことさら強い1枚なのである。日常的に気軽に聴くことができるとでも言えばもっとも適切な言い方になろうか。

 その要因はどこにあるのか。ハード・バップの形式を革新したり、無理に斬新な方向には向かおうとせず、知的なフレイバーをつけたのがその一因であることは間違いない。けれど、なによりも安心して聴ける最大の理由は、アート・ファーマーとジジ・グライス2人の、決して“だれることのない”息の合った演奏にあるのではないだろうか。

 実際、ハード・バップではその前のビ・バップに比べて個人の天才的演奏よりもチームワークに依存する比率が断然高い。バックのミュージシャンに腕利きを揃え、その上で二人の息の合った掛け合いが展開される(しかもそれは実験性をあまり持たない)からこそ、この安心感が生まれたのだろう。

 バックを固めるメンバーは1954年録音の前半(1.~4.)と翌年録音の後半(5.~8.)で大きく入れ替わっているが、以下に記しておくように、ホレス・シルヴァー、アート・テイラーなど腕の利く奏者が名を連ねている。ちなみに、アディソン・ファーマー(後半のベース奏者)は、アート・ファーマーの双子の兄弟である。





[収録曲]

1. A Night At Tony’s
2. Blue Concept
3. Stupendous-Lee
4. Deltitnu
5. Social Call
6. Capri
7. Blue Lights
8. The Infant’s Song


[パーソネル]

1.~4.(1954年5月19日録音):

Gigi Gryce (as)
Horace Silver (p)
Percy Heath (b)
Kenny Clarke (ds)

5.~8.:(1955年5月26日録音)

Gigi Gryce (as)
Freddie Redd (p)
Addison Farmer (b)
Arthur Taylor (ds)




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