音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年08月16日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 ジャズで“ウィズ・ストリングスもの”というのがある。要するに、弦楽オーケストラをバックにサックスやトランペットといった管楽器がソロ演奏を繰り広げるというスタイルのもので、チャーリー・パーカー(『エイプリル・イン・パリ~チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』)や、クリフォード・ブラウン( 『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』 )なんかのアルバムがよく知られている。

 一般論的に言うと、“ウィズ・ストリングスもの”は甘い。よく言えば上品で甘美ということになるのだろうが、基本的には、ソロイストがバラード系などを情感豊かに吹きあげるといった風情のものが中心で、ハード・バップに期待されるような緊張感や緊迫感といったものが見えにくい(あるいは、実際それが全くなかったりすることもある)。だから好き嫌いが分かれるのも当然と言えば当然である。

 でもって筆者はというと、これがまた結構好きなのである。とりわけ、ジュリアン・キャノンボール・アダレイ(Julian Cannonball Adderley)のように、伸び伸び吹くタイプのアルトでこれをやられるとたまらなくよい。

 キャノンボールは1928年生まれだが、当初は出身のフロリダ近辺で活動しており、ニューヨークにでてきたのは1955年のことだった。この年、ニューヨークのライブに飛び入り参加してから、一気に注目を浴びた。ちょうどチャーリー・パーカーの死と入れ替わるようなタイミングでの登場だったこともあり、同年の夏から次々とレコーディングを行う。そのうちの1枚がこの『キャノンボール・アダレイ・ウィズ・ストリングス(Julian “Cannonball” Adderley and Strings)』であった。キャノンボールの最初のリーダー作はサヴォイに残されている( 『プレゼンティング・キャノンボール』 )が、その後はエマーシーでの作品発表となった。本盤はエマーシーでの2枚目に当たり、いわばデビュー3枚目で既にウィズ・ストリングスものを披露する機会を得たということになる。ジャズ奏者にとって一度はストリングスものをやって見るのは夢だなどと言われるが、これが事実であるならば、キャノンボールはニューヨークのシーンへの登場と共にあっという間にその夢を叶えてしまったことになる。

 キャノンボールのサックスは、ファンキーなイメージが強いという人もいるかもしれない。けれども、個人的にはこちらの伸び伸びとした演奏の方が好みで、実際、彼のよさの本質はこちら側の演奏にあるのではないかとすら思っている。2~3分台の歌もの的サックス演奏が12曲。編曲・指揮はハーモニカ奏者でもあるリチャード・ヘイマンで、ストリングスのメンバーは不明。無理に上品ぶって聴かなくとも、ただシンプルにキャノンボールの大らかな演奏に耳を傾けるだけで十分に楽しみ甲斐のあるアルバムだと思う。



[収録曲]


2. A Foggy Day
3. The Surrey With the Fringe on Top
4. Two Sleepy People
5. I'll Never Stop Loving You
6. (I'm Afraid) The Masquerade Is Over
7. I've Never Been in Love Before
8. Lonely Dreams
9. Falling in Love With Love
10. Street of Dreams
11. Polka Dots and Moonbeams
12. You Are Too Beautiful




1955年10月27日(9.~12.)、10月28日(1.~8.)

Cannonball Adderley (as)
Richard Hayman (arr, cond)
Strings Unidentified





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