音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年08月26日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ




 マイルス・デイヴィス(Miles Davis)は、ジャズに関わるあらゆるアーティストにとって、程度の差や形式はともかく、何らかの形で避けて通れない存在であろう。それは、単にマイルスの音楽が凄かったからというよりも、現在のジャズ音楽の様々な部分が彼によって規定されていたり、その影響なしに存在し得ないからだと言える。それゆえ、現代の優れたアーティスト(ジャズメンとは限らない)の中にも、当然ながら、それを意識した作品を作ろうとする人物が時折現れ続ける結果となる。

 カサンドラ・ウィルソン(Cassandra Wilson)の本作『トラヴェリング・マイルス(Traveling Miles)』は、必ずしもマイルスに追従するといった風情のものではない。けれども、ジャズあるいはそこから派生したり影響が及ぼされている音楽をやる人間として、マイルスの影響力から逃れられないという、彼女の立場・心情を如実に反映するものだと思う。もちろん、本盤の発表時には、既にマイルス死去(1991年)から何年も経過している。けれども、生を全うしてもなお、マイルスの存在は大きい。これってマイルスにしてみれば、音楽家冥利に尽きるのか。はたまた、あの世へ行ってまで後輩ミュージシャンたちに尻をつけまわされて迷惑しているのがマイルスの気持ちなのだろうか。

 カサンドラによって取り上げられた本盤の楽曲群は、一見すると統一性がない。無論、そこにはマイルスに所縁のある曲という共通性はあるものの、6.や7.のようにかなり昔のマイルスに縁のある楽曲もあれば、表題曲(2.)をはじめカサンドラ自身の作も、さらにはポップ歌手シンディ・ローパーの4.(と言っても、これもエレクトリック以後にマイルスが取り上げたものである)といったバラエティに富んだ選曲になっている。マイルスの幅の広さをあらためて確認するとともに、カサンドラ・ウィルソンという新しい世代のシンガーが、いかに多様な楽曲を取り上げつつも自分の世界を構築できる人なのかがよくわかる1枚である。そのトーンは重いが、カサンドラの実力をよく示す盤であり、楽曲の多様性ゆえ、マイルスその人やジャズという音楽に馴染みがない人にも比較的とっつきやすいアルバムではないかと思う。



[収録曲]

1. Run the Voodoo Down
2. Traveling Miles
3. Right Here Right Now
4. Time After Time

6. Seven Steps
7. Someday My Prince Will Come
8. Never Broken
9. Resurrection Blues (Tutu)
10. Sky & Sea (Blue in Green)
11. Piper
12. Voodoo Reprise
13. Prancing~日本盤ボーナストラック~

1999年リリース。






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Last updated  2011年08月26日 13時14分12秒 コメント(1) | コメントを書く


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