音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016.05.14
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テーマ: Jazz(2021)
カテゴリ: ジャズ




 アルト奏者ソニー・クリス(Sonny Criss)のキャリアには何度かのピークがあったが、そのうち中期と呼んでよいピークは1960年代後半のプレスティッジに吹込みを残した時期である。決して多作ではないが、1966~69年にかけてコンスタントにリーダー作を残していて、『ポートレイト・オブ・ソニー・クリス』、『ザ・ビート・ゴーズ・オン』、 『ソニーズ・ドリーム(新クールの誕生)』 なんかがその時期に該当する。

 とはいえ、代表作はどれかというと戸惑う人も多いのではないか。何せ知名度が高くなく、“パーカーの影響”のような表現であっさり終わらされる傾向がある。そんな中で、知名度のある盤と言えば、ヒットした上述の『ソニーズ・ドリーム』か、日本のジャズ喫茶でも人気を博したという本盤『アップ・アップ・アンド・アウェイ(Up, Up and Away)』といったあたりではないだろうか。

 でもって、この一応“人気盤”とされるアルバムは、個人的な愛聴盤でもある。他の作品が瞼に浮かびこれを代表作と呼ぶのは憚れるのだけれど、非常に“彼らしい盤”であることは間違いがないと思う。ある種の軽さ(軽やかさ)、聴き手へのサービス精神、演奏の上手さ、サックスの音色の哀愁、とソニー・クリスを評する要素がしっかり詰まっている。

 いくつか私的好みでおすすめ曲を挙げておきたい。表題曲1.「アップ・アップ・アンド・アウェイ」は、ちょうどこの時期にヒットしたフィフス・ディメンションのナンバー(邦題は「ビートでジャンプ」)だが、爽快なアルトの吹きっぷりが心地よい。4.「サニー」もノルウェイのR&Bグループ、パブリック・エネミーがちょうど吹込みの前年に発表していた曲である。こうしてポップ系の曲を解釈する試みは、本盤の翌年(1978年)に録音された 『ロッキン・イン・リズム』 へと続いていくことになる。

 1.がポップ由来の聴きどころとすれば、ジャズ然たる聴きどころは、パーカー曲の5.「スクラップル・フロム・ジ・アップル」と言えるだろう。とはいえ、時に甲高く時に伸びやかなソニー・クリスの演奏は、ただ明るいだけではない。落ち着いて聴けば聴くほど、その背後に潜むメランコリックな部分が気になり始める。その点で、個人的には、本盤では2.「柳よ泣いておくれ」が実は気に入っている。表題曲とこの曲の冒頭2曲は聴き逃せない。

 最後に、余談ながら、本盤の日本語ライナーは村上春樹氏によるというのもよく知られた話である。別に仰々しい文章でも、特別凄いことが書いてあるわけでもないけれど、興味のある方は国内盤でご覧いただきたい。





1. Up, Up and Away
2. Willow Weep for Me
3. This is for Benny
4. Sunny
5. Scrapple from the Apple
6. Paris Blues


[パーソネル・録音]

Sonny Criss (as), Cedar Walton (p), Tal Farlow (g), Bob Cranshaw (b), Lenny McBrowne (ds)

1967年8月18日録音。






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Last updated  2016.05.14 07:05:47 コメント(2) | コメントを書く


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