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寄合酒
「ちょっとお聞きしますが」
「お、聞いてくれ、何だ?」
「私、今までやったことないんですけど、魚屋がやってるのを時々見たことがありますので、鯛(たい)の料理を造ろうと思います、一回やってみたかったんです、よろしくお願いします」
「鯛の料理か、そこに良い鯛があるだろ、よし、造ってくれ」
「それで、どのようにしたらいいのですか?」
「お前、魚屋の見て知ってるんじゃないのか?」
「詳しいことまでは分からないので教えてくださいませ」
「そりゃ、だいたいは、三枚におろして、片身はおさしみ、もう片身は塩焼きにして、アラは汁にしたらうまいぞ、まあ、とりあえずはウロコを起こしてからだな」
「え、ウロ子さんを起こす? おーい、ウロ子さん起きてくださーい」
「この馬鹿、誰か代わりはおらんのか、包丁でバリバリっといきなさい!」
「はは、やっぱりそうでございましたか」(冗談もわからんのか)
「しっかり、たのむぞ、しかし、ちゃんとできるのかな」
「バリバリっとね、わ、あれ、な、なんか来ました、あ、あこら、あっち行きなさい! わわ、こいつ、金物屋の赤犬が来ましたー!」
「うるさいな、一体なんや?」
「いやあのですね、今、金物屋の赤犬が来て、ちょんと座って、私を見て、牙を出して、グーグー言うんですけれど、この鯛、何かこの赤犬と関係あるんじゃないですか? そもそもこの犬の鯛だとか」
「馬鹿なこと言わずに、そんなもの追っ払いなさい、しっ、しっ、しっと」
「しっ、しっ、しっ、怖いですー、しっ、しっ、しっっと、わー、全然向こうに行きませんけどね」
「なんだあ? 犬の一匹やそこら始末できんのか? やっちまいなさい! 言うこと聞かないんなら、バーンとやっちまいなさい!」
「何ですか? バ?」
「バーンっとくらわして追っ払いなさい! 犬の一匹や二匹、どうってことない」
「バーンとくらわせてやりますか? どこくらわせますか?」
「どこでもいったれ! 頭でも尻尾でも!バーンといきなさい!」
「尻尾ですか、尻尾ぐらいならいいでしょうかね、ほれっ、......わわ、犬ってこういうの食うの早いなあ。ちゃんと噛んだかなあ。わわ、恐わいよー、まだグーグーいってますけれどね」
「どうした、くらわしたか?」
「くらわしました。尻尾をね」
「馬鹿! 尻尾みたいなトコくらわしたって、こたえるもんか? そんなブラブラしてるトコじゃ効かないだろ。ドタマいけ! バ~ンといけドタマいったりなさい!」
「ドタマ食らわしてもいいですか? もったいないと思うけどなあ、目玉周りとか結構おいしいんだけどなあ、まあ、いいや、くらわそ、それッ......、あらら、尻尾よりは時間かかったけど、これまたあっという間に食べちゃった、早いなああ、わわわわ」
「うるさいな、お前。 どうなった?」
「わわわ、あのですね、まだ向こう行きませんけどね」
「くらわしたんか?」
「尻尾も頭もけっこう食らわしましたけど」
「なに? ほう、こたえん犬やな、しつこい犬やな。よっしゃ、もう、遠慮することはない、かわいそうやが、胴なか三つ四ついったれ」
「胴なかもいくんですか? そうかなあ? でも、そこまで言われれば...、それなら、四つほど、ほれほれっ、......、あらら、ゆっくり食べたいのかなあ、くわえて向こうに行くなあ、わりと行儀のいい犬だなあ......、どうぞごゆっくり、さよーなら。よかった、よかった、やったー、赤犬向こうに行きましたー」
「そりゃあ、良かった、さあ、続けて鯛を料理しなさい」
「鯛って??、そちらにありますかー?」
「お前が今、料理してた鯛はどうしたの?」
「あれみーんな犬に食らわしましたけどねぇ、尻尾もドタマも胴なか四つも、バンバン、バンバーンといって、綺麗いにおしまい、ばんざーーい!」
「誰か代わってやれ」
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