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2023.10.08
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カテゴリ: 愛toちはやふる

10記事を軽く超えていますが、 まだまだ書きます、ちはやふる感想。
今回は、 非常に漫画狂的な、物好きな観点の感想 だと思います。


ちはやふる 感想-その11
末次先生の過去作と
ちはやふるのハイブリットなラブストーリー描写について


*以下、ちはやふるの原作と、末次先生の過去作品をざっと読んでの、
いち読者の好き勝手な感想です。 全部想像で書いてます。
ちはやふる本編や過去作のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
*


*2024/3/17追記しました。*



ちはやふるという漫画作品の最大の魅力 は、もちろん、
これまでほとんど本格的にエンタメ作品の題材とされて来なかった「かるた」を、
場の空気感・緊張感まで使って鮮明に描写し、
知力・体力面で限界を超えた闘いであることが説得力を持って伝わってくる点、

高校生の団体戦を、青春スポ根モノとして熱く描写しながら、
それだけではない、老若男女・学生~社会人まで、様々なバックグラウンドを抱えた方々が、
かるたというフィールドに向き合う姿が、多様な価値観で描かれている点、

着物・袴やかるた札といったかるた文化にまつわる周辺文化の深堀り等、だと思います。

これらが、女性向け・少女向け漫画作品とは一線を画す、
特出すべき部分だと思っています。


ただ、ここまで何記事も、ほぼそこメインで語りたくって来た通り、
いち漫画好きとして、本作の一番ヤバい…というか、
語りつくすべき最大の見どころは、 「恋愛感情部分」だ と思っています。
​ちはやふるの「恋愛感情部分」…
これは ​正直、読解がすごく難しい​ と思います。

ものすごい情熱的な感情が、
さも当たり前みたいな顔をして、
ものすごいハイブリットに織り込まれているから です。



■感情面(特に葛藤・心理的ハードル)に特化した恋愛漫画について

私は、本当に作り込んであるラブストーリー漫画作品の読解は、
ものすごく難しいことだと思っています。

「感情」は、キャラクター周辺環境の設定を
繊細なところまでひねり回して、作り込むものなので。

現代日本を舞台にしていたとして、持って生まれた能力や性格があって、
その上で周辺環境…住んでいるのが都市なのか、田舎なのか、
家が家業をやっているのか、サラリーマン家系なのか、またいずれでもないのか、
家族構成や兄弟の有無によっても、立ち位置の振り方の意識は大きく変わって来ます。

↑これらを、ちゃんと最低2人分描いたうえで、
きちんと掛け合わせて、ラブストーリーは成り立つ と思っています。

特に、少女漫画…少女主観の「恋愛」感情は、
テンプレ的に「結婚」へ繋がることを前提とするなら、
恋する相手によって、主人公の今後の人生が大きく変わって来ますから。
葛藤部分をちゃんと作った上で、最後きちんとハッピーエンドに持っていけるように
設定を作り込むのは、作品の成否を分ける重要な部分だと思っています。


「感情」を作り込む方法については、様々な手法があると思いますが、
一番スタンダードなのは、 「これ」という面白味のある感情を掴んで、
その感情を描くために、キャラクターの周辺設定を
全部作り込んでいく方法 かな、と思っています。

ちはやふるにハマって以降、末次先生の過去作品をざっと読みまして…
先生の物語の作り方は、
基本的にこの↑スタンスなのではないかな 、と感じました。


ここで、いち漫画好きの着目点の話になります。
上記のような、感情面に特化した(恋愛)作家様の作品を複数作追いかけてみると、
下記2つの特徴 を見て取れることが多いと思っています。

​​ 特徴1:言葉で感情を説明しなくなる。
​​
作家様の初期の作品は、感情に関して、
セリフやモノローグでくどいくらい説明していたものが、だんだん無くなっていく。

というのも、そもそも「キャラクターの周囲の設定」を、
感情想起に向けて作り込んでありますので、
「このキャラクターの立場を考えれば、言わなくても分かるじゃん」
って書き方になって来ます。

それとやっぱり、 「自分の感情」に関するモノローグって、
そもそも存在が不自然 なんですよ。
日常生活の中で、脳内で自分の感情を言語化するようなことは、ほとんどない。
ショックを受けた時とか、自分がショックを受けたのかどうかも
その瞬間には分かりませんし、
ましてやそれを人に上手に説明調で言語化するなんて、絶対できません。

恋愛感情が脳内で言語化されることなんて、現実世界ではほとんどない と思います。

感情のモノローグは、本当にキャラクターの感情を説明するために仕方なく書いてるもので、
キャラクターをより自然なテンションで描こうとするほど、
ノイズになるものだと思っています。

感情に特化した作品は、やはりだんだん、
キャラクターが脳内言語化を省いて、
​​ 言語化を待たずに行動し始めるようになっていきます し、
読者もその描き方に慣れていきます。

※ちはやふる内では、終盤に至るまでモノローグがかなり多用されています。
ただしそれらの特徴として、 かるた競技という尋常ではない集中力を要する競技線における、
トップアスリート達のセルフメンタルコントロールの側面がかなり強い と感じます。

印象的なモノローグがあったとしても、
実際にキャラクターが「そう思っている」わけではなく、
セルフメンタルコントロールの一環で「そう思おうとしてる」ことを脳内で言語化してる。
スピーチ前の「みんなじゃがいも」と一緒です。
もちろん、本当に聴衆が「じゃがいも」だなんて思ってません。
でも「じゃがいも」だと思おうとすることで、緊張を抑えるメンタルコントロールをしてる。

特に30巻台の名人・クイーン戦予選以降は、
個人戦の臨場感・複数人の主観の漫画画面への落とし込み…
そのキレ方がとんでもないことになっています。
読むときは、
モノローグ自体をそのまま「これがこのキャラクターの心情だ」と受け取るのではなく、
キャラクターが「こう思おうとしている」ことで、 実際には何を行おうとしているのか、
キャラクターの自身・周囲への働きかけという「行動」ベースで捉える 必要があります。


特徴2:作品の中で成熟した感情を、
次の作品に持ち込んで、更にひねって出してくる。

「感情」は、いち作品の中で、キャラクターが行動でそれを体現することで、
より強固になっていく…成長というか、成熟していくもの だと思っています。

特に連載作品です。
いち作品としてのまとまりは、
当然読み切り作品や1冊で読み切れる作品の方があると思いますが、
ただ連載作品の面白さは何より、感情の成熟過程を見て取れることだと思っています。

感情に特化された漫画家様の中で、
前作で成熟した感情や、キャラクター同士の関係性を、
次の作品にどんどん転生させているんだろうな、と思う作家様 が居ます。

既に成熟しきった感情を持ち込むわけですから、
次の作品は最初からキャラクターの行動・言動が飛んでいて、
その作品から読み始めた読者は、「なんだコレ、なんだコレ…」と
戸惑いながら読むことになります。

キャラクターの爆発的な感情と行動が先走り過ぎて、
読者は正直ついていけてないんですが、
​​でもなんかすげぇ感情があるのが分かるから、面白くて読む。


ちなみに…上記の特徴1、2で見て取れる感情特化の作家様として、
個人的に真っ先に思い浮かぶのが、 ​あだち充先生​ です。
*以下、オレンジ文字箇所、あだち先生の作品の語りです。*
あだち先生の作品は、ほぼモノローグやセリフで感情の説明はしません。
また、キャラクターが表情を大きく変える…
激高したり、泣き叫んだりする場面も極端に少なく、
主人公は常に飄々としている印象で描かれます。
(まさに「あだち充節」と感じるところです。)

でもいち作品毎に、その作品独特のものすごく重たい感情・葛藤があります。
あだち先生の主人公は、「みんな顔が一緒」と言われることが多々ありますが、
キャラクターに寄って抱えた状況・葛藤が異なるので、性格や言動行動はかなり違います。

設定で作り込んでありますので、キャラクターの表情が変わらなかったとしても、
ものすごくこの出来事のことを気にしてるとか、ショックを受けてるとか、
この人に対してすごく遠慮してるとか、ちゃんと分かります。

極力言葉で説明せずに、激重の複雑且つ繊細な感情をきちんと伝えきってくる…
このあだち充先生の描写技法は、感情特化のクリエイター様の憧れなんじゃないかと思います。


また、あだち充先生の作品の感情の作り込み過程には、2の特徴…
前作で成熟させた感情を、次作以降に転生させ、
更にひねって複雑にしてくるやり方が見て取れます。

「タッチ」の設定も、それ以前の脚本家様が付いて
描かれていたころの作品「夕陽よ昇れ!!」等をベースに、
ひねったものなんじゃないかな、と想像しています。
たっちゃんのかっちゃんへの遠慮や、
初っ端から周囲の認識などガン無視でたっちゃんひとすじの南ちゃんとか、
人物配置設定自体から、想起させる感情がかなり複雑なので。
いきなりあの設定は出てこないだろうと思います。

あだち充先生は、特に「タッチ」「H2」「クロスゲーム」「MIX」といった野球モノが、
基軸の渾身作としてあると思っており、その作品を描かれる直前に、
「感情を成熟させるための、遊び幅をゆったりと持たせた連載作」を
走らせていると思っています。

「クロスゲーム」の前作・「KATSU!」は、
単体としてはかなり緩い作りのボクシング漫画ですが、
ここで成熟させた、ヒロイン・香月(かつき)ちゃんの、
自身の叶えられないボクシングへの情熱・夢を、ヒーローに託す感情は、
次作「クロスゲーム」内の、ヒロイン・青葉ちゃんが
ヒーロー・光くんへ向ける感情としてガッツリ登場して来ました。
※「クロスゲーム」は、夭折した若葉ちゃんの存在等、
あだち充作品中随一のしんどい複雑激重設定で雁字搦めにした作品だと思っており、
設定で追い詰め過ぎて、最後の方は青葉ちゃんが
全く身動きが取れない状況になってて、可哀そうでした(超名作です)。

現在連載中の「MIX」は、おそらく先生ご本人も、
「大作としてはラスト作」と思って走らせている作品だと思いますが、
連載前に、亡くなったお兄さんとひたすら対話をする作品「QあんどA」で、
描くべきものを詰めていたんだろうな、と思っています。


ちなみに、感情特化の作家様としては 「暁のヨナ」の草凪みずほ先生
ガッツリ上記の2つの特徴が見て取れる作家様だと思っています。

要するに、私はこういった
​感情面に特化した(恋愛)作家様  が大好きなんです!​​



​​ ​​ ■末次先生の過去作の注目どころについて

前置きが長くなりましたが、この記事で一番語りたいのは、
​​ちはやふるの ​(千早ちゃん&太一くんの)​ 恋愛感情の作り込み として、 上記のような ​​
感情特化の作家様の物語構築過程と似たものを感じるよ、 という点です。​​


以下、 末次先生の過去作品の中で、
ちはやふるの恋愛感情面に繋がる作り方が見て取れる作品の注目点 の列記です。
※前提として、どの作品も純度100%のラブロマンス作品です。

​​・ 君のための何もかも (1996年・全1巻)​​
中学時代、情熱を傾けた陸上を、膝のけがで辞めざるをえなかったつぐみ。
彼女を支えた翔(なつる)とともに高校に進学したつぐみは、
なつるの義母兄・ショウと出会う。

末次先生の初連載作品だそうですが、 本作の三角関係のバランス・描き方が、
「ちはやふる」の連載開始段階で想定していた描き方に
近いところがあるんじゃないかな、 と思っています。
The・構成遂行型!なラブロマンス作品です。

なつるくんの方を好きになった方が周囲も納得だし、
そちらの方がいいのは分かっているんだけど、
どうしてもショウくんの方に運命的なものを感じて、
惹かれてしまう…という、 ザ・三角関係モノ の感情ですね。

ちはやふるも、最初はこの作品と同様に
「ヒロインがどうしても運命的に惹かれてしまう存在=新くん」
という形で仕掛けてたんじゃないかな、と思います。

つぐみちゃんとショウくんの運命的な出逢いの象徴として桜が使用されていたり、
末次先生のモチーフの使い方の定石を見て取ることが出来ます。


​・Only You-翔べない翼ー (1997年~・全8巻)​​
末次先生初の長期連載作品。
ちはやふるでは、かるた界隈への取材を元に
リアルな立体感のある社会を描ききっていた作家様ですが、初期作の印象は
「アナタとワタシだけで成り立つ世界、まさしくonly you!」という
社会性?現実感ナニソレ?みたいな、ゲッテゲテなロマンス作で面白かったです。

2年前、手術で視力を取り戻した少女・こころ。
彼女が光とともに出逢ったのは、一学年上の国見真(しん)。
人を寄せ付けようとしない彼は、本人も持て余す超能力を抱えていた…。

この作品は、読んでびっくりしました。
ちはやふる内で、(しっかり描かれているんですけど)
言葉ではほぼ説明されていなかった 千早ちゃんの、特に作品後半における恋愛観が、
この作品内で既にしっかり出来上がっており、丁寧に説明されていました。

相手を「半身」と言い切って、一緒に居ないと未来が見えない感じ とか…
ヒーローとヒロインが一度離れる展開を経てからの、
超能力を怖がる気持ちがあると、ヒーロー(超能力者)に筒抜けなので、
本当に強くならないと、一緒に居られない! と​
ヒロインが自分を作り変えていくところ とかですね。
…いや、太一くんは超能力者じゃないんですけどね。
でもそれに近い観察眼の持ち主なんで、千早ちゃんの考えてることとか即バレしますので。


​​ ・エデンの花 (2000年~・全12巻)​​
13年前、両親を火事で失い、別々の場所に引き取られた兄妹。
サンフランシスコで育った兄・時緒は、来日し、生き別れの妹・みどりを見つけ、
引き取り先で虐待を受けていた環境から連れ出し、一緒に暮らし始めるが…。

ちはやふる以前の、末次先生の代表作だと思います。
キャラクターの感情が走って、キャラクターの目に映る世界がどんどん鮮明に広がっていって、
それに呼応して漫画画面自体もどんどん鮮明になっていく、
感情の成熟がよく見て取れる作品です。

本作品をヒットさせたのは、
​間違いなく ヒーロー・時緒さんのキャラクター だと思っていますし、​
本作を力強く回すのも、彼の激重な感情です。
ずっと独りにしてしまっていた生き別れの妹に、なんでもしてあげたい、
そのために生きるのが俺の人生だとすら言い切る、病的なまでの愛情ですね。

この時緒さん:「お兄ちゃん」が、もう見るからに、
太一くんの原型と言えるキャラクターだと思います。
またそれ以外にも、ちはやふる内で見て取れる定義・感情がそこかしこに散見されます。
家族で幸せに過ごした時間を「エデン」と定義して2人で共有するところや、
みどりちゃんの、ひたすらお兄ちゃんに甘えることが出来る幸せな感情、
お兄ちゃんの、みどりちゃんと同級生のボーイフレンド(由鷹くん)が
幸せになって欲しい、譲らなきゃという感情ですとか、
みどりちゃんの、お兄ちゃんと一緒に居たいから、「妹」ポジションを手放したくなくて
由鷹くんへの感情を「こっちが恋愛だ!」と頑張って定義しようとする感情、
時緒さんが、実はアメリカで飛び級しまくってきたような超天才努力家で、
引き取り先の二階堂家(巨大グループ企業経営一族)の中で、
跡目も視野に入れた形で期待されまくってたり、
そこに対してみどりちゃんが恐縮してしまう感情ですとか…本当にいろいろ。

ちはやふるの、特に前半の恋愛面の描写は
「エデンの花のこの部分だ、この感情に相当する動きだな」と 読み解ける というか… 
本作は、ある種の「ちはやふる恋愛面解説本」みたいな形で楽しみました。


​・Silver(シルバー) ​(2005~、2巻刊行)​ ​​
近未来。有望なバレーボール選手だった青葉は、ケガで選手生命を絶たれる。
絶望の中、彼女に声をかけて来たのは、不思議な空気を纏ったクラスメイトの少年・銀。
実は彼は、天才科学者が秘密裏に製作したロボットだった。

ロボットの銀くんと接する中で、確かに感じる「心の動き」に惹かれていく青葉ちゃんですが、
銀くんが故障や大型オーバーホールで姿を変えて来る度に驚き、戸惑います。
ただ青葉ちゃんが毎回それを受け入れて、本質を捉えて愛していく…
というラブストーリー筋がメインの作品なんだろうな、と受け取っています。

この ​ヒーローがコロコロ変わって登場してくる中で、本質を捉えていく観点​ は、
ちはやふるの26巻の退部以降、特に34巻からの名人戦予選・東西戦で、
(意図的に)周囲への態度・スタンスを大きく変えて登場してくる太一くん と、
読者はもちろん、周りの大人キャラクターたちも若干戸惑う中で、
一人だけ (心の中で) 「イイねボタン」を連打しまくる千早ちゃん
の描写に、その片鱗が見て取れるなと思っています。


​​​ ■ちはやふる内での、過去作品の感情の表出について ​​​

ちはやふるの恋愛部分の読解が難しいのは、末次先生の過去作…
特に「Only You」+「エデンの花」 の、
​​​ 少女漫画にしてはかなりの巻数をかけて成熟させ切った感情が、
うっかり顔を出しているからだろうな、 と感じています。

正直「Only You」「エデンの花」の2作で描かれている感情要素で
「ちはやふる」の恋愛感情面はおおよそ説明可能 だと思っています。​​​

ただこれは別に、ちはやふるの連載開始時から
意図して過去作の感情を投入しようと思っていたとは考えていません。
「Only You」も、「エデンの花」も、基本的にはラブロマンス作品として、
その「感情」を描くためにキャラクター配置を全部作ってあるような作品なんです。
かるた競技に打ち込む高校生たちの青春モノに持ち込むには、
あまりに重く、病的な感情 なんですよ。


1~2巻の描き方を見る限り、千早ちゃんと太一くんは、
かるた部を一緒にやる幼馴染同士として、
​もっと ケンカップルっぽくする予定 だったんじゃないかな​ 、と想像しています。
お互いに軽口をたたき合いながら、
わいわい部活をやるイメージでいたんじゃないかな、と。

ただ太一くんが、末次先生の従来の典型的なヒーロービジュアルだった点や、
中学時代に別の学校に通っていて、その間千早ちゃんがかるた仲間を作れなくて
寂しい思いをしていたり… という状況が揃っていたこともあって、
うっかりエデンの「お兄ちゃんの感情」が出てきちゃったのかな… と。

また、太一くんがそもそもかるたにトラウマを抱えていたので、
ケンカップルのノリでは普通はやらない…
千早ちゃんが笑ってくれるから、トラウマ抱えてても、
一緒にかるた頑張っちゃうようなマインドの子になっちゃって…

千早ちゃんも千早ちゃんで、そもそも小学生の頃から、
(太一くんが「よそ者ハブ」とか言ってるにも関わらず)
「太一は優しい」と、ずっと太一くん完全肯定でしたし、
太一くんが、 千早ちゃんの「かるたをやりたい」という気持ちを
誰よりも大事にしてくれていること 真正面から受け取って、
嬉しくて嬉しくて仕方がない! 
ってなっちゃって。​
​​ お互いに激甘過ぎて、全然ケンカになりませんでした。

太一くんは、大事な娘は自然と「お姫様扱い」したい子だと思うんですが、
千早ちゃんが嫌がるのと、また周囲の反感を喰らう恐れもあるため、配慮して…
でもやっぱり甘やかしたいし、千早ちゃんも全力でそれに乗っかるし、
高校生になって早々に ​「おじいちゃんと孫」​ ​​ のような、
お前ら、それは同級生同士で作っていい関係性じゃねぇよ、不健全だよ
という、他作品では感じたことのないヤバさを感じて、面白かったです。



​​ ■1~2巻までの事前の構成と、3巻以降の作りについて


1~2巻は、お話の作り方や描写を見ると、 基本的には
「新くんを正ヒーローとする」前提の構成・仕掛け​
が見受けられます。​

第一話がそもそもアレですし…
高校生になって、太一くんが現れたシーンのアップよりも、
福井で新くんに逢うシーンの方が見開きで大きく取ってあったりとか、
太一くんの方が早いのに若葉モチーフを背負って登場しているのに対し、
新くんは満開の桜モチーフを背負って登場したり とか。

福井に戻ってからの「祖父の死」という設定自体も、
​千早ちゃんがお菓子の包み紙にメッセージを書いていく等の細かなエピソードも、
​新くん関連の方が、事前段階で脚本的に全然作り込んである ​​ と思います。

​…ただ、自由度を持たせてた(というかあまりしっかり考えてなかった)分、
​いざ走らせてみたら、太一くんの方が​
(過去作で成熟させた感情が顔を出しつつ) ​ものすごく面白い動きをする​​​ し、​
太一くんに対する千早ちゃんの反応が、明らかに大きい。

2巻で、高校入学後に太一くんが現れた時の千早ちゃんの喜び方は半端なかったですし、
A級昇格を決めた試合の後に、太一くんにガッツリ抱き付きに行くなんて…
プロット段階では描く予定はなかったんじゃないかと思うんですよ。
​… 千早ちゃんが勝手に動いたのかな  と。

その後、すぐに2人で新くんに会いに福井まで行く展開になるのですが、
その道中でもずっと、千早ちゃん・太一くんがワチャワチャしてて
勝手にどんどん面白い会話をしだして…
そしていざ千早ちゃんを新くんと逢わせても、
(脚本を超えてくるような)生き生きとした会話は生まれず…
なんなら、そこでもほとんど太一くんが話を回しちゃってる印象でした。

2巻のラストで、事前の構想通り部活を立ち上げて、奏ちゃんを出して
「ちはやふるは真っ赤な恋の歌」という解釈の面白さを定義して、
ここまで描いて、 太一くんに3巻以降の舵取りを任せたのかな、 と受け取っています。

太一くん…この子は、脳みそが課題解決や目標到達で出来てる
ミッション遂行型の超仕事脳人間 でしたので。
千早ちゃんにトロフィーをあげたい、
更にその先、千早ちゃんをクイーンまで押し上げたい、…その道筋に向け
太一くんが「ああしたい、こうした方がいい」ってすごい勢いで提案してくるので
末次先生も、もう好きにさせたんじゃないかな、と。

そしたら、3巻がもう…あんな感じで。
太一くんが瑞沢かるた部構築に向けて、全力で暴走して。

いや本当に勝手な想像です。ですけど、やっぱり3巻以降の勢いと面白さは
脚本云々で語れるモノではないと思うんですよ。
多分末次先生も、3巻は描いた記憶がないんじゃないかな、と。
隔週連載で、1話1話をあの濃度で回すのは、普通じゃないので。
「話を練って考えた」というより、
「太一くんの思うがまま、やりたいがままに『任せた』」

3巻・第十三首の、かるた部で合宿をする回とか…
部活組織体としての役割配置の確定(部長・キャプテン等)と、
かるたの基本部分の解説、
太一くんの家庭環境の詳細を描写しながら、
少女漫画としての恋愛面のハードル設定を匂わせつつ、
スポ根ものとしての描写を確立しながら、
立ち上がったばかりの組織体の不調和からの、
千早ちゃんのバースデーお祝いを転機としたひっくり返し…
最後は、新くんからのメールで太一くんが三角関係モノとしての
「可哀想ポジション」を自己演出して締める、という、
たった1話の中で、あまりに見事に話を展開させていて、信じられませんもん。

過去作(エデン)を読んで、 ヒーローが(仕事)仲間たちと一緒に、
ヒロインのバースデーをサプライズで祝う準備をしておくシーンとかが
既に大々的に出てきていて 、なるほど~!とすごく納得 しました。

このエピソードは、太一くんが千早ちゃんに喜んでもらうだけでなく、
かるた部の結束感醸造も意図して、わざわざ他の3人にケーキを買って来てもらってるのが
よく分かるので。

高校一年生男子のスキルとしてはあまりに飛んでいて、
最初読んだ時にびっくりしたシーンでしたが、既に成熟した感情・エピソードとして、
スピーディ及び非常にハイブリットな形で、ちはやふる内に顔を出していたのか、と。


ここから、最初の団体戦描写…地区大会予選へ突入していくあたりは、
読者・編集部内・講談社内(管理職レベル・男性陣含)のリアクションも爆発してたと思います。
「なんだコレ、すげぇ!とにかくこのキャラクター(太一くん)、すげぇ!」って。

​で、どうも ​3巻発売直後に「マンガ大賞2009」受賞が来ている​ ようです。
新設されたばかり(2回目)で注目度が高く、
かつ少女・少年~青年漫画までの総ジャンルから選出されるこの企画。
大賞に選ばれることは、作品にすさまじい箔と栄誉が与えられる事でした。

おそらく、末次先生が本連載作品を立ち上げるに至るまでの経緯からは
想像も追いつかないような、驚くほどスピーディーな大逆転劇です。
ただ、あらゆる目線をねじ伏せる圧倒的なパワーが、この3巻までで
誰にでも伝わる形になっていた… というのは、本編を読めば非常に納得できます。

そして3巻の段階での、 この驚愕すべきムーブメントの立役者が太一くんである点
また 彼の存在が、主人公・千早ちゃんのパワーの源泉になっている点 は、
末次先生・編集部双方の手応えとして、確固たるものだったんじゃないかな、と思います。


ここからの、4巻の最初の全国大会の描写。
このあたりで末次先生・編集部と共同で、 ちはやふるという作品の今後の展開について、
大枠の確認/組み直しをしているんじゃないかな、 と想像しています。

「千早ちゃん・新くんがクイーン&名人になる話」の基軸は保ちつつ、
瑞沢かるた部をどう描いていくのか、
太一くんのかるた軸をどう描いていくのか、
ラブストーリーをどう展開させていくのか。

全国大会の団体戦で千早ちゃんが体調不良で離脱する展開。
今後当然メディアミックス展開が予想されるので、メディアミックス用としての山場を
瑞沢かるた部の2年生・夏の団体戦に持ってくることを念頭に置いた展開だと思います。

また本当に想像ですが、この4巻の段階では、団体戦をより一層魅力的に描くに値する
ヒアリング・ネタ集めが不足している、という判断もあったかもしれません。


ラブストーリーとしては、早々にここまで片方が羽ばたいてしまったため、
三角関係に新くんをどのように絡ませていくかは悩みどころだったと思いますが、
試合中に倒れた千早ちゃんを、太一くんが抱えて会場の外に出て、
居合わせた新くんに託すシーン。 
このシーンは非常に印象的に描かれていたと思います。
ここで、太一くんが新くんに「譲っちゃう」…
ここが、ラブストーリーとしてのハードルだ、
三角関係でないと描けない面白さだ、 と方向性を定めたのかな、
と感じました。


あともう1点、ここでしっかりはっきり、
​千早ちゃんに「最終確認」をしているんだろうね、​ と妹と話してます。​

全国大会直前に、突如として奏ちゃんより提示された万葉集の和歌
​​ 『茜指す 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る』 ​​
(あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる)

現夫の領地内で、元夫がこちらに袖を振って好意を伝えて来て、
見張りたちに恋心がばれないかドキドキ…!という、突然どうした?な内容の歌。

百人一首でもないこの和歌について、奏ちゃんが図解までして説明した後に
夏の全国大会に向かうわけですが…
おそらく この和歌自体が、今後の展開の メタ的な概要 説明だった のかな、と。

​3巻までで既に、千早ちゃんが本当に 太一くんが居ればそれで良さそう で、
​「私はもうココ(瑞沢かるた部)に永住しますが、何か?」​ みたいな雰囲気ですので、
もう分かってはいたと思うのですが…念のため。

作り込んであった 新くん主観の過去話をきちんと出した上 で、
(かなり無理やり) 千早ちゃんと新くん(元夫)の2人きりのシチュエーション を作って、
​​ 「さぁ!近江神宮で、夢にまで見た、逢いたかった新くんだよ!
…どうかな?」
って​千早ちゃんの反応を窺ったんじゃないかな、と。

結果はまぁ…(当然といえば当然ですが)千早ちゃんは
「(瑞沢かるた部の試合に) ​​戻るうぅぅぅぅ!! ​​ と泣いて嫌がった というか…。​
※もちろん、新くんの所に居るのが嫌…というわけではなく、
この時点での千早ちゃんの原動力の根幹は既に「瑞沢かるた部」であり、
連載立ち上げ時に据えていた「新くんに向かうこと」ではないことが
はっきり形になった という意味です。
​​​

上述して来たように、
作品の今後の展開について、 大き な枠組みでの方向性は、
この4巻で、 きちんと各キャラクターの反応を再確認した上で、
組み直しているのだろうな、 と想像しながら読んでいます。​​




​​ ■千早ちゃんの恋愛観・テンションについて


最後に、本作で一番読解が難しい?と思われる、千早ちゃんのテンションについて。

​妹は、少女漫画では「女の子の主観」に感情移入して読み進めることが多いです。
(私は、逆に男の子主観の方が入っていきやすい…)
特に ​「ナチュラルに、若干病的な恋愛観」を持った女の子が好み ​​ みたいです。
お前っ…!って突っ込みたくなる、偏った価値観が一番の見所!という娘ですね。

こんな妹にとって、 綾瀬千早ちゃんのキャラクターはドストライク だったようで、
​​「千早ちゃん…この娘、ヤバいから!
太一くんのこと好きすぎるから!マジで病気だから!
​この娘のテンションについていかないと、この作品面白くないじゃん!」​
と喜々として語ってくれます。


以下、 ​妹が好き勝手に語る千早ちゃん像
(特に恋愛面マインド​)
についての列挙です。

​◆ ​​千早ちゃんの 「好みのタイプ」 「依存体質」 について​​
この娘の好みのタイプは「かるたが強い人」だと思われがちだけど、実は「派手な人・努力家な責任感のある人」なのでは。 だから本当に好みドストライクなのは、太一くんの方だと思う
…後期に発売されたファンブックには、好きな異性のタイプに「自分の道をしっかり持っている人」との記載が。ーなるほど。

千早ちゃんのこうした人格形成の根幹は、やっぱりお姉ちゃんの存在によるものが大きいと思う。
​千早ちゃんは根本的に依存体質の娘で、自分よりも、身近に居る「溺愛&自己同一視している存在(お姉ちゃん&太一くん)が中心に居る世界」に居心地の良さ&悦びを見出す娘だと感じる。​
正直、高校生になってからの太一くんへの執着・依存っぷりと比べれば、身内のお姉ちゃんに夢をのせてた小学生時代の方がはるかにマシだったようにも見える…。

◆小学生の段階ですでに、自分もいやがらせされてるにも関わらず​
「太一は仲間には優しいのになー」とか言い放っていて、スゴイと思った。
もう太一くんが何やったとしても、多分この娘は全肯定するんだろうな、 と。

◆この娘にとって、 ​太一くんと新くん以外の男の子はほとんど ​じゃがいも​ に見えてるんじゃないかな​
認識としては、たぶんこんな感じ(超偏ってる)↓
太一くん =神と推しの結集体。この世界を照らす太陽。その上でめっちゃ優しくて甘えられる存在。自分の半身であり、求めるものの全て。
お父さん、原田先生 =個体認識している、唯一無二の存在。大好き。
新くん =かるたの化身。かるたメンタルを共有し、離れていても分かり会える運命的な存在。一生好き。
肉まんくん、机くん =非常に出来の良い、超頼れる身内&師匠的じゃがいも。大好き。
かるたやってる男性 =志しを同じくする、無くては成らないじゃがいも。好き。
そのほか =じゃがいも。
※千早ちゃんが男の子に対して異常に塩対応なのは、美人だからこその処世術でもあるんじゃないかな。

◆逆に、周囲の女の子達には嫌われたくなくて、すごく気を使っている気がする。
やっぱり美人で、普通にしてても遠巻きにされたり妬まれたりするので。
特に太一くんとの関係は、小学生の頃から「そう」見えないように振る舞ってたと思う。

そして高校2年生になって、 待望のかるた部の後輩が「太一くんに恋して入部を決めた」菫ちゃん だったので、 もう何が何でも「自分も太一くん大好き」だとは気取られたくない。 ​​
17巻で突然「新が好きなんだ」とか頑張って思おうとしたのも、その前に、高校選手権B級個人戦で優勝した太一くんとイチャついてる場面を奏ちゃん・菫ちゃんに目撃されて「やっべ!」と思ったのも影響してるのでは。
(ただ26巻バレンタインの段階に至っては、隠す余裕もなくなっててだだ漏れだった)

​​この観点で考えると、太一杯の優勝賞品に「太一くんのキス」なんてとんでもないものをぶっこんだのも、準備を頑張り過ぎた結果「千早ちゃんは太一くんが大好きだねぇ…」という周囲からの視線を察知して、「そういうの(恋愛)ではない」ことを強調したくて、最後に付け足した超余計な付属設定だったのでは。

◆千早ちゃん的には、太一くんと新くんを同列に並べて考えたことは一度もない。
​​ ​「会いたい人は」と問われれば、それは新くんになる。
「この感情が恋!?」と思おうとしたこともあった(17巻)けど、そのあとすぐに忘れ去った模様。​ ​​

太一くんは、作中一貫して「ずっと一緒に居るべき人」
「太一くんの居ない未来」は、選択肢に存在しない。

​​
2巻:太一くんと2人で畳を部室に運んだ瞬間、 秒で「エデン」は完成した。
3巻:サプライズバースデーからの、太一くんの「千早 お前が笑ってりゃかるたは楽しい」で、この娘は人生の最高地点(喜び)に到達した。
そして「千早 おまえは息をするだけで勝てる」で深い呼吸が出来て視界が一気に広がった時から、この娘は自身の呼吸器系を太一くんに預けたんだと思う。 ​ここからは冗談抜きで、太一くんが居ないと「死ぬ」フェーズに入ったのでは。

~15巻:太一くんは基本的にモテ過ぎるので、(場を壊さないように)周囲の女子達に対してキチッと線引きして振る舞う子だと思う。
千早ちゃんはちゃんとそれを分かってるし、そもそも自分自身 恋愛したいタイプじゃないので 「私達は深いかるた愛で繋がっている!そして自分は絶対太一くんに恋なんかしない!だから一番近くに居れるんだぜ!」 って思ってたんじゃないかなぁ。​

17巻~:将来を少しずつ考えなくてはいけない時期になったけど、千早ちゃんは「太一くんの未来・将来を具体的に考えること」だけは拒絶していたように見える。おそらく家業の病院を継ぐ道を進んでいくであろう太一くんの未来に、かるた(一緒に居れる場所)を見いだせなくて怖かったんだと思う。

26巻~: 本当に、マジのガチで死刑宣告だった。 本当に一回死んだし、世界は終了した。
でも新くんの創部を受け&自分が立ち上げた瑞沢かるた部への責任感から、なんとか「かるたマシーン千早」として蘇えることに成功した。

31巻:会場に現れた太一くんを認識して、自分と未来を取り戻した。
これ以降のこの娘は基本 「どうやったらこの先、太一くんと一緒に居られるか」 しか考えてないと思う。生死がかかってる。

34巻:「今までのようにはいかないからね」と線引きをしつつ、でもだんだん優しさがにじみ出ちゃう太一くん。千早ちゃんは「やっぱり、一緒に居ればこっちのモノだ!」と確信したんだと思う。
​​
35巻~40巻:「太一くんが居るか・居ないか」に大きく左右される自分の気質を自覚して、だんだん「(ちはが無いけど)太一がいる」「(自分は取れてなくても)太一が取れてるからいい」とか、 かるた試合中のセルフメンタルコントロールに太一くんを利用し始めた 所は、超面白かった。

40巻:新くんとの東西戦で、太一くんが「やりきった」事が分かったので、千早ちゃんは明確に「これ以上、太一くんにかるたを求める事は出来ないな」と諦めが付いたんだと思う。
ーじゃあどうするんだ、かるたが無理ならどうやったら「一緒に居る未来」に向えるんだ!?
と思ったときに、今まで絶対考えないように×100してた 「恋愛・その先の結婚」 という道が漸く見えてきたんだと思う。
「太一くんとの恋愛」を考えた瞬間に、怖いお母さんと大きなお家と、その後ろにうすぼんやりとでっかい病院と大勢の人達の生活と視線が見えてくる…
でもこの時の千早ちゃんには、太一くん不在のかるた部でも頑張れた、かるたを通じて社会人の方達とも交流してる、東大出身者とかが居るような「かるた界の頂上決戦」への切符だって手に入れた…という確固たる実績がある。 ​私だって死ぬ気になれば何だって出来るんだよ!!!​ って気持ちに、漸くなれたのかな、と。
​​
47巻:(最近はそうでもなかったような気はするが) 脳内補完を駆使して「(太一は)ずっといた」ことにした時 は、「この娘…行きついたな」と思った。
…まぁ27~32巻でも、全く同じように「太一は居ないけど…気配は感じるので、太一居るネ‼」という完全なる現実逃避メンタルで乗り切ってたので。
結局千早ちゃんは 最後まで ​”太一くんが居ない世界”だけは拒絶し続けた​ というか…ついぞ認めることはなかったな、という印象。

50巻:千早ちゃんは(かるたの大一番で)勝った!と思った瞬間、太一くんに真正面から抱き付きにいくのが癖づいているように感じる。32巻のまともに口もきけないほど険悪な状態になっていた時ですら「他の部員たちと一緒に」という体で、ガッツリ抱き付きにいくことに成功している。
​最終回、目が覚めてから一目散で太一くんを探しに行ったのも、最初は(勢いに任せて告白しに行ったのかな)と思ってたけど、もしかしたら条件反射で、無意識に抱き付きに行っただけだったのでは…と思うようになった。

あとは…  最終話最終ページの写真が最高にエグくて…!
両親&先生達&白波会&瑞澤の子達「千早ちゃんのかるたの世界」に関わる皆様が勢揃いする中…
後列の一番端、次の瞬間にはフレームアウトする気満々の立ち位置に映る真島太一くんですよ
こんな恐ろしい表現初めて見ましたね…
多分千早ちゃんは…卒業式の日の部室でこの写真が目に入って、太一くんの意図が分かりすぎて青ざめて…観念せざるを得なくなったんじゃないかな、と。


◆千早ちゃんは、太一くんが自分を特別に大事にしてくれてることは、ちゃんと自覚してる。​
​なので、他の女の子にやきもちを焼くとかはない。
…でも正直 ​​ 新くんの存在には若干の危機感を感じている ​​ と思う。
(太一くんにとって、新くんも特別な存在だから。ぶっちゃけ「太一くんのかるた」は完全に新くんに獲られた形に落ち着いた。)​
50巻、最終回で新くんに対して交際報告をしたシーンは、「太一くんのかるたはお前に向かうかもしれないが、人生のパートナーは私だから!」という牽制の意も含んでいたのではないか…と邪推している。

◆卒業後は、遠恋だしもう周囲の目を気にする必要もなくなるし、素直にロマンスを楽しめるようになるんじゃないかな。
かなちゃんは「歌の情景&美しさ」から、誌暢ちゃんは「詠み人への理解・愛着」から百人一首と繋がっていったけど、 千早ちゃんはこの先「恋心への共感」から、もっともっと歌を深めていけるんじゃないかな、 と感じた。

​​
いろいろ書きましたが、私たちは、 千早ちゃんを、
これ↑くらい超恋愛脳の子 だと思って読んでますよ、 ってことです。

本作を「熱血かるたモノ」ではなく「恋愛モノ」という観点から見ると、​​
40巻以降のクイーン戦は、 千早ちゃん(&末次先生)が
「最後まで戦い抜いた暁には、太一くんに思いっきり愛を叫ぶんだ!」
という想いを
モチベーションにしていたんだろうな、 と感じますし、

だんだん、 千早ちゃんにとってクイーン戦自体が、
最終回、太一くんの左手薬指の一点だけを獲りに行くための、
壮大な素振り だったんじゃなかろうか…  みたいに見えてきます。




末次先生の過去作… ゲテゲテのラブロマンス作品の感情が顔を出している にも関わらず、
千早ちゃんも太一くんも、基本的に「その感情のため」に
キャラクター設定が出来ていないので、お互いに自信がない。
…故にお互いに、相手・周囲に「やべぇテンション」が悟られないように、隠す!

かなりやべぇ恋愛感情・テンションが、
超ハイブリットに日常描写&かるた競技描写に織り込まれてる、
それが 漫画好き的に「ちはやふる」の一番の見どころ・語りどころ だと思っています。


もともと末次先生の過去作品を読んでいると、
他の作品で成熟させた感情を持ってくるという傾向は感じません。

本作にこうして、過去作で成熟させた感情が溢れたのは、
やっぱり、 過去作・キャラクターたちを封印することになった経緯を経て、
​​​培ったものの全てをもって「ちはやふる」を描く、
この作品内で、すべてを生かす、
​​
​​
という思いが
あったからだろうな、と感じています。


最終回の千早ちゃんの観念の仕方、
作品としての清々しいほど見事な天秤のひっくり返し方 も含めて、
唯一無二の恋愛描写だと思います!

by姉・(千早ちゃんの恋愛面マインドについて:妹)
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最終更新日  2024.04.23 20:49:40
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