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2016年07月19日
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カテゴリ: 遠州の報徳運動



 この年旱天甚し。清忠九ヶ村の民を率いて十二相の社に祈雨す。雨を得ること方数里に及ぶ。即ち六月十六日より八月七日に至る五十有余日にわたるために豆禾やくが如し。村民泣哭神として挙げざるなく、この牲を惜しむなく、祈祷をつくすと雖も、かつて神感あることなし。
 ある人、清忠に告げて曰く、当郡五明村(掛川市五明)に十二相の社あり。その境内頗る水に富めり。湧泉今日なお流れて尽きず。若しこの神に就いて雨を乞わば、あるいは感応あらんか。清忠聞きてこれを該村の里長松浦五兵衛にはかる。五兵衛曰く、然り乞うこの神をもって祈雨の地となさん。清忠すなわち神籤を探る一を得たり吉、ここにおいて近隣九ヶ村の吏民とはかり、周智郡阿蔵村玖延寺の僧、逸栄を請じ、天地神明大竜王の二神を水辺に祭り、修法祈祷二夜三日に及び、而して清忠の丹誠日を貫ぬく、その祝文の略に曰く。
「太局は無極にして太極なり、静にして陰を生じ、動いて陽を生ず、陰陽共に父母となり、万物生ず、風雨雪霜時に下り、寒暑来往以て草木人畜を育す、今雨なきこと数旬、草木枯稿かくの如くそれ甚し、天理にはあらざるなり、抑も人民の罪を懲らし、この譴怒を降し玉うか、某乞う、誓って微力を尽し神儒仏之教の旨を奉じ、報徳の道を行い、隣里及ぶところの民を誘い、ともにともに禍を悛め、善を勤め、以て天譴を謝せんとす。苟も乾坤交り陰陽息まずんば、十二相大権現、天地神明大竜王祈願の旨を聴し、三日の内必ず感応以て農民と草木とを喜ばしめたまえ、吾が誓苟も偽り変ることあらば、速やかに一命を召さるべし。稽首して白す」と、この時に当って九村の民鐘鼓相集る雲の如し。僧逸栄瑞禅日夜般若波羅蜜の法を修む。
 第四日に至る不思議なるかな、天油然として黒雲起り、沛然として甘雨降る数里、草木蘇生、人民始めて食を安んず。歓呼の声四方に振う。清忠天に感謝し、即ち米九十二俵を発して隣里九ヶ村の窮民に施与す、これを勧善の始めとす。松浦五兵衛は米十俵、その余の有志これについで感謝するもの数輩、この年十月新たに神殿を営み中に十二相大権現を安んじ、左に天地神明を祭り、右に大竜王をおき、浅田勇次郎によって、その扁額を三室戸正三位藤原陳光郷に乞う。郷その誠忠を嘉みし、速に之を筆し、別に一章の文を副えて之に賜う。清忠の神を敬する、蓋しこれより深きを加うという。





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最終更新日  2016年07月19日 00時19分30秒


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