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2024年4月26日(以下4月と表現)にミゾゴイ成鳥、2月29日(以下2月と表現)にミゾゴイ若鳥を首都圏の異なったフィールドで観察しました。観察した特徴を整理してみました。ご参考になれば幸いです。(1)成鳥と若鳥の目先の裸出部について1枚目から3枚目は4月に観察した成鳥個体です。目先の色は青色で、上面が赤褐色、下面は黄褐色で黒褐色の縦斑がありました。4枚目は2月に観察した若鳥個体です。目先は少し黄色がかった褐色、上面は赤褐色、下面は褐色で黒褐色の縦斑がありました。また、嘴は上嘴・下嘴ともに黒色には変化していない状態でした。白石・石井(2019)が繁殖期は上嘴・下嘴の色が黒色に変化したとしていることおよび本格的な換羽が個体にもよるが翌年の 5月頃からと記していることを考えると生後1年から2年にかけての個体ではないかと考えられます。(2)成鳥と若鳥の目先以外の比較・4月の個体では頭上は赤褐色、2月の個体は頭のてっぺんが少し紺色がかっていました。・川上(2013)が記している脚の前側が黒色で後側が黄色の点については確認できませんでした。5枚目の画像をご覧ください。・4月の個体では上面が赤褐色、雨覆付け根付近がチョコレート色、下面は黄褐色で黒褐色の黒い筋模様(縦斑)がありました。2月の個体では翼に白と黒の斑が点在し、顔にまだら模様が見えていました。・川上(2013)が述べている翼に黒い部分があるとの点については確認できませんでした。(引用)川上和人.2013.ひっそりと暮らす里山の忍者ミゾゴイ.Toyota Technical Center shimoyama.トヨタ自動車.p3.白石利郎,石井裕之.2019.ミゾゴイの羽衣による年齢推定と繁殖期における色彩変化第66回動物園技術者研究会(口頭).横浜市繁殖センター研究事業報告書.発表資料p4
2024.04.27
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20日茨城県浮島でシギ・チドリを探索していましたら、タカブシギ、クサシギが同じ蓮田に姿がみつけました。全部タカブシギと思っていたのですが、一羽はクサシギでした。違いに気づいたのは尾の黒い横縞の違いでした。クサシギのほうが横縞が少なく、タカブシギでは本数が多いのです。帰宅後、複数の図鑑を見てみると、桐原(2000)にクサシギでは尾に黒い横縞、タカブシギに黒い横縞がある、永井(2014)にクサシギに尾の先端にわずかに黒帯、タカブシギに尾全体に黒帯があると記載がありました。ただし、本数については記述がありませんでした。しかし、日本野鳥の会三重(2018)に同様の見分けのポイントが報告されていました。それによると、「タカブシギとクサシギは腰が白く尾羽も白いですが、尾羽にある黒褐色の横斑の濃さや太さで両種を見分けることができます。尾羽の横帯がタカブシギは5-6 本、クサシギは2-3本、イソシギは腰が褐色で尾羽は外縁だけが白い」と記されていました。(過去の写真で復習してみると)写真一枚目(2020年5月17日千葉県柏市)、二枚目(2019年9月9日茨城県浮島)は、クサシギです。いずれも尾羽の横縞は3本あるように見えます。写真三枚目(2019年8月24日茨城県浮島)、四枚目は(2018年9月8日茨城県浮島)は、タカブシギです。尾羽の横縞は5本あるように見えます。写真五枚目(2018年8月18日千葉県谷津干潟)、六枚目(2018年9月9日千葉県谷津干潟)は、イソシギです。いずれも尾羽は外縁だけ白くなっているのがわかります。(尾羽以外の特徴)クサシギは、タカブシギよの少し小さめで上面の白斑はやや大きく、色が明るい印象があります。また、眉斑は目の後方まで続き、嘴は短めの印象があります。また、羽縁の白斑は小さい点はイソシギと似た印象があります。こうした点とあわせて、尾羽の横縞の違いを観察すると識別に役立つことがわかりました。(引用)桐原政志.2000.日本の鳥550.水鳥の鳥.p228-229.p234.文一総合出版.今井 光昌.2018.シギ・チドリ類の年齢・季節による羽衣の変化第12回タカブシギ、クサシギ、イソシギ. 日本野鳥の会三重会報しろちどり96号.p8-12.永井真人.2014.野鳥図鑑670.p291、p304-305.文一総合出版.
2024.04.24
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昨日、谷津干潟でハシビロガモ生殖羽を観察しました。生殖羽も嘴が橙色のもの、黒色のもの、三列風切の薄橙色の斑の大小の違いがあります。これまで観察した個体の写真を使って紹介します。一枚目の個体は雄と一緒に水面を移動していたときの一枚です。この個体の嘴は黒色、虹彩は暗色、羽縁が薄い橙色で体全体が明るい印象がありました。ただし、三列風切には薄橙色の斑が小さく見えていました。二枚目の個体は、嘴は橙色で、虹彩は暗色、羽縁は薄い橙色でした。三列風切の薄橙色の斑は横に長く見えていました。図鑑類で雌生殖羽と記載されるのはこの個体が多いと思います。三枚目の個体は、虹彩は茜色、雌成鳥と比べると雨覆に褐色味があり、脇の羽に丸みはありませんでした。幼羽から第一回生殖羽に換羽中のものと思われました。四枚目の個体は、虹彩は茜色、脇の羽は丸みが強く、非生殖羽と思われます。五枚目は、雄エクリプスと思われる個体で虹彩が黄色です。雌の虹彩は暗色から黒っぽい赤や茜色などの変化に富みます。雄エクリプスでは嘴は橙色の個体が多い気がしますが、この個体は黒色です。(写真)一枚目、二枚目:2024年4月8日千葉県習志野市谷津干潟三枚目:2018年1月3日千葉県市川市中国分四枚目:2009年11月8日千葉県成田市五枚目:2009年10月17日茨城県つくば市
2024.04.09
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そろそろ、キビタキが子育てのため日本に渡ってくる時期となります。キビタキというと艶やかな喉の黄色と頭部から体上面の黒色が特徴の雄を思い浮かべる方が多いと思います。ところが、体上面がオリーブ褐色の雌は、林の中から姿を現すのが少ないので観察するとさて種類はと悩む方が多い気がします。その識別のポイントを整理してみました。(お腹の色と喉の色)まず確かめたいのが、お腹が白く、喉が薄黄色味を帯びているかです。同じような環境で出会うオオルリはお腹の下まで淡い褐色です。(背中の色)キビタキ雌は背はオリーブ色をしています。オオルリでは背はグレーがかった茶色です。(喉の下の色)キビタキ雌は喉の下はまだら模様です。オオルリでは喉の下に白い線が見えます。(参照)五百沢日丸.2000.日本の鳥550山野の鳥.p228-229.文一総合出版.(写真)2018年10月13日、14日、2019年10月6日柏市内で撮影
2024.04.05
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3月28日に東京都葛飾区水元公園で観察したアカハジロ交雑個体について観察した特徴と撮影画像を復習しました。その結果、観察した個体は、アカハジロ交雑個体と思われます。(観察した個体の特徴)頭部は焦げ茶(*)で、虹彩は暗色、眼先下にこげ茶の斑が見られ、アカハジロ雌を示唆しています。また、嘴先端の黒斑は嘴爪の外に広がり、雄の嘴爪に限られているのとは異なっています。胸は焦げ茶色に見え、幼鳥に見られる腹部の細かい褐色斑はありませんでした。(*)雌個体では頭部の色は緑色が光沢があるはずですが、観察個体では認められませんでした。しかし、夏羽から冬羽にかけて緑色光沢が顕著になるとされ、その逆の冬羽から夏羽に換羽する際には緑色光沢がないように見えることも想定されるます。(観察した個体が交雑個体と判断した理由)(1)下尾筒の白色が認められません。アカハジロであれば下尾筒の白色が認められますが、観察個体については認められません。(2)アカハジロでは脇に白い部分が見られるはずですが、観察個体については認められません。(メジロガモであれば白色部はないと思われます)(3)メジロガモであれば頭部の形状が尖らず傾斜が穏やかに見えるはずです。しかし、観察個体では後頭にかけて尖って見えます。(4)額から黒い嘴までが直線的に見え、印象としてはオオホシハジロと同様の印象です。(写真)2024年3月28日撮影
2024.03.29
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ガンカモ科シマアジは、氏原(2015)によると、春は番いで見られることが多く、秋通過していくのは大部分が幼鳥と報告されています。我孫子野鳥を守る会によれば、手賀沼とその周辺では2010年4月4日我孫子市北新田雌雄各1羽、1980年3月29日1羽、1981年4月12日、1993年4月4日、1998年10月3日各2羽いずれも手賀沼、2009年9月16日北新田、2010年3月30日から4月27日我孫子市北新田で雄1、雌2羽、2023年4月24日手賀沼が滞在したとの報告が寄せられています。今春、再会ができればいいなあと思いながら、その羽衣を復習してみました。(春に出会えた個体)一枚目から三枚目は春に出会った個体です。1枚目は我孫子市北新田、二枚目と三枚目は習志野市秋津で観察した個体です。雄は眼の上から後頸まで伸びる白い眉斑、黒褐色の過眼線、黒、白、青灰色の3色の肩羽、長めの黒い嘴、雌は全身褐色で黒褐色の斑があり、顔に汚白色の眉斑と黒褐色の過眼線とその下に汚白色のもう一本の線があります。(秋に出会えた個体)四枚目から六枚目は、2017年4月16日に都内水元公園で観察した個体です。眉斑が雌に比べて白っぽく見えたことから雄エクリプスの可能性が考えられました。虹彩には赤みはなく成鳥の赤みが強い点とは相違しており、幼羽と思われました。また、下嘴が肉色に見えました。ただし、雄エクリプスであれば雨覆が淡灰色に見えるはずですが、この時は見えずでした。(引用)我孫子野鳥を守る会.会報ほーほーどり.1975年-2024年.第1号から第297号.氏原巨雄・氏原道昭.2015.日本のカモ識別図鑑.p117-123.文一総合出版.
2024.03.26
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昨日、茨城県の宿場町のチョウケゲンボウを見に出かけた折、セッカを見かけました。観察した個体は、頭部上面が褐色の地に黒褐色の斑があり、頭がザクザクとした感じに見えた雌個体でした。なかなか静止したところを記録するにがむずかしいのですが、静止した姿を観察なさった時には雌雄で特徴が異なります。上田(2013)が雌雄の識別について報告している内容を紹介します。(頭部上面)雄は頭部上面は一様に褐色なのに対して、雌は昨日観察した個体のように褐色の地に黒褐色の斑があります。(尾羽先端の白色部)セッカでは中央の2枚を除く10枚の尾羽先端部に白色部が現れますが、雌では褐色ががっています。(口内の色彩)春から秋にかけての繁殖期のセッカでは、オスの舌及び上下の嘴の内側(つまり口の中)が真っ黒になる.メスは普通,舌の基部に,舌に平行に2個の黒班が存在する以外は嘴の内側は肉色と上田(2013)は記しています。繁殖期になると、ぜひ見てみたいと思っていますが、まだかなっていません。(写真)一枚目、二枚目は2024年3月24日茨城県で撮影三枚目は2020年5月3日茨城県稲敷市で撮影(引用)上田恵介.2013.セッカ.分類と形態.Bird Research News Vol.3 No.5.p2-3.
2024.03.25
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4月まであと10日余り、そろそろ夏鳥たちの姿をフィールドで見かけるシーズンです。頭が真っ黒のコジュリンは、関東地方では茨城県浮島、甘田干拓地、千葉県旭市などでその姿を観察できます。その羽色について過去の画像ライブラリーを見ながら復習。(1)成鳥雄夏羽一枚目は、2019年8月24日茨城県甘田干拓地で撮影した個体です。頭部全体、嘴が黒く、頭部から喉が真っ黒です。下面が褐色がかっていました。(2)成鳥雌夏羽二枚目は、2018年3月11日茨城県甘田干拓地で撮影した個体です。嘴が肉色で、頭部は雄に比べて乏しく、眉斑が白っぽく(角度によって褐色)見えました。雄に認められる腮と目先に小さな黒斑は確認できませんでした。(3)雄第一回夏羽と思われる個体三枚目から五枚目は、雄第一回夏羽と思われる個体です。(三枚目2023年4月20日浮島、四枚目2020年5月3日浮島、五枚目2015年4月27日浮島で撮影)頭上は黒褐色で、頭部と嘴は黒く、白色または淡褐色の眉斑が認められました。(観察メモ)雌個体、第一回冬羽は、3月下旬から4月の渡来初期に見かけます。
2024.03.20
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一昨日、稲敷市でノスリの羽色のいろいろを観察しました。私のライブラリーの画像と見比べて復習してみました。日本では亜種ノスリ(B.b.japonicus)と亜種オガサワラノスリ(B.b.toyoshimai) が生息しています。後者は、千葉(2012)が報告しているように、個体の喉や脛は無斑で胸の縦斑はわずか、成鳥羽は年明けから褪色の気配が出て,6-7月には体羽が真っ白な個体となります。(喉から腹の色のいろいろ)(1)喉から腹が白い個体一枚目は2022年2月5日手賀沼沿岸で観察した個体で、眼は暗色、頭は褐色、喉に褐色があり、喉から腹は白い個体です。二枚目は2020年3月7日に手賀沼沿岸で観察した個体で、一枚目と同様の特徴ですが、頭と喉はこげ茶が印象的です。一枚目の個体が二枚目のように換羽した可能性があります。三枚目は、茨城県稲敷市で2022年3月20日に撮影した個体で、頭部から後頚が白く見えました。眼、頭から喉は一枚目、二枚目と同様です。なお、一枚目から三枚目は目が褐色なので成鳥です。(2)喉から腹が褐色の個体四枚目は、2020年11月15似に手賀沼沿岸で撮影した個体です。頭の上は黒褐色で後頚が淡褐色で褐色の縦斑があったので雄成鳥と思われます。五枚目は、2016年9月14日に手賀沼沿岸で撮影した個体です。四枚目と同様で頭の上は黒褐色で後頚が淡褐色ですが、胸にあたりが茶色をしていました。六枚目は、2018年10月13日流山市で撮影した個体です。頭の上は黒褐色で後頚が淡褐色な点は五枚目と同様ですか、胸のあたりの褐色が際立っています。この二枚目の写真の個体は、長崎大学(2022)が報告しているユーラシア大陸亜種(Buteo japonicus burmanicus)のような印象があります。(3)背の黒味のある個体七枚目・八枚目は2014年11月23日に流山市で撮影した個体です。背に黒味があり、雨覆に擦り切れた羽毛が見えました。脛に斑が見えず、雌雄の識別はかなわなかった個体です。(4)眼の色が黄色っぽい若鳥九枚目から11枚目は、目の色が黄色っぽい若鳥です。ただし、上面の色、喉から胸の色はそれぞれ違います。(引用)千葉夕佳.2012.ノスリ.Bird Research News Vol.9 No.11.p4-5.長崎大学.2022.猛禽類ノスリのユーラシア大陸亜種が国内で越冬していることを初めて確認.プレスリリース.2022年7月19日.(日本を含む東アジアに生息するノスリ(Buteo japonicus ブテオ・ヤポニクス)という渡り性猛禽類のユーラシア大陸亜種が日本にも越冬分布していること、そして大陸亜種とサハリンを含む広義の日本列島亜種の渡り経路が日本海の両岸に沿って分かれているを発表)
2024.03.17
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鳥友からカワウとウミウの識別がよくわからないと質問をもらいました。識別のポイントは顔にあり、着目するのは、口角と黄色部の広さであることをアドバイスしました。参考までにその内容を紹介します。(口角と黄色部について)カワウの口角は尖っていません。これに対してウミウでは口角は尖っています。また、黄色部はカワウのほうが広く見えることが多く、ウミウでは狭い傾向にあります。(顔の白い部分について)カワウの場合は顔の白い部分が眼より下にありますが、ウミウでは眼より上まで白い点で違いがあります。(体の色について)カワウはほぼ全身が黒く、上面は茶褐色です。対して、ウミウでは全身が黒色で緑がかって見えます。(写真)一枚目:ウミウ、2021年1月3日茨城県ひたちなか市平磯で撮影二枚目:カワウ、2022年9月5日千葉県柏市手賀沼で撮影三枚目:カワウ、2021年11月23日東京都葛飾区水元で撮影四枚目:ウミウ、2018年7月3日神奈川県大磯町で撮影(顔の白い部分が眼の上にあること、体が黒色で緑がかっていることからカワウ若鳥と思われます)
2024.03.14
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晩秋から春先に水田、農耕地、草地等で見かけるタヒバリの冬羽は頭から上面が灰褐色で不明瞭な縦斑があります。ところが、春先は喉から下面にかけて橙褐色となり、別種ではないかと鳥友から質問をもらうことがあります。これからの時期、タヒバリ類に注目してみると意外な発見も。(夏羽)一枚目、二枚目の写真は2019年4月7日に水元公園で撮影した個体です。上面が灰褐色で下面が橙褐色となっています。時折、鳥友からマキバタヒバリではないかと質問をもらうことがあります。マキバタヒバリは上面にある縦斑が明瞭でタヒバリが不明瞭な点と違いがあります。また同種の若鳥は眉斑がはっきり(成鳥夏羽では眉斑は淡褐色)としていますし、背に淡色の線があります。(冬羽)三枚目から四枚目の写真は2023年4月2日に柏市内、五枚目は2019年1月19日に茨城県稲敷市で撮影した個体です。頭から上面にかけて淡褐色で縦斑ははっきりしていません。(ビンズイとの違い)六枚目の写真は、2023年2月18日に水元公園で撮影した個体です。頬に小さな白斑があります。また、上面にオリーブ色味があり胸の縦斑がはっきりとしています。(タヒバリの上面は黒褐色で縦斑が規則的に並び、淡色の部分はありません)
2024.03.10
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仙台の鳥友から便りをもらいました。1月に仙台湾でマダラウミスズメとはじめて出会い、波は荒れていたが立ち上がった際に腹にぶち模様が見られたとありました。マダラウミスズメとは出会ったことがないけれど、千葉県銚子港で8年前の2月末にウミスズメの姿を目撃したのを思い出しました。石田(2015)が述べているように外洋に生息し、ほぼ船上からしか観察できない海鳥で、首の立ち上がりがないので、長方形の箱が浮いているように見えるので小型カイツブリ類との違いがあります。ウミスズメは、岩原(*)が述べているように北太平洋に分布し、アジア海域ではオホーツク海、日本海、黄海において、分布、繁殖しており、世界での個体数は100~200万羽と推定されています。日本では天売島以外での繁殖は報告されておらず、環境省(2023)が報告しているように、1956年に推定500羽、増減を繰り返しながら限られた個体数のみで、2022年で278羽が記録されているのみです。写真は、2016年2月28日に銚子港で観察・撮影した個体です。目の上に白斑がないので冬羽個体です。(引用)石田光史.2015.野鳥図鑑.p194.ナツメ社.環境省.2023.ケイマフリ・ウミスズメ等海鳥調査の実施状況.pp15.(*)岩原 真利.絶滅危惧海鳥類.世界アルバトロスデー&シルバーウイーク.https://albatrossday.org/seabirds/CR/Ancient_Murrelet.html
2024.03.08
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28日に埼玉県、一昨日千葉市内に飛来しているレンジャクを観察しました。いずれも下尾筒の色が橙色の個体がほとんどで、赤っぽさがある個体が数羽滞在しています。2つのフィールドで過去観察した時の画像を復習してみても同様でした。叶内(2020)が述べるように、幼鳥や第一回冬羽の下尾筒は橙色、成鳥の下尾筒は赤っぽいことを記しています。このことを考慮すると、春の渡りに日本に飛来するヒレンジャクは成鳥に若鳥たちがリードされて飛来しているのではないかと想像を膨らませています。また、雌雄の識別で黒い喉の下部の境界が不明瞭なのが雌、境界が明瞭なのが雄と述べています。そういえば、ヒレンジャクは雌雄どんな割合で構成されて渡りをしているのだろう頭をよぎりました。わかったつもりで観察していても、気を付けてみたいなかったと自省することしきり。(写真)一枚目:2024年2月28日埼玉県で撮影(下尾筒に赤い部分あり、喉下部の境界は明瞭)二枚目:2024年3月4日千葉県で撮影(下尾筒の色は橙色、喉下部の境界は不明瞭)三枚目:2024年2月28日埼玉県で撮影(下尾筒の赤い部分あり)四枚目:2021年2月21日埼玉県で撮影(下尾筒に赤い部分あり)五枚目:2020年2月19日埼玉県で撮影(下尾筒の色は橙色、喉下部の境界は不明瞭)(引用)叶内拓哉.2020.日本の野鳥.p326-327.文一総合出版.
2024.03.06
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首都圏で越冬中のミゾゴイの様子を見に出かけました。英語名がナイトヘロンであり、「夜行性」と思いそのように記述されている文献も存在します。川上(2009)が飼育下の個体が昼間に採食行うことが示されている文献の存在があり、普通に毎日昼間に採食していたと指摘していますし、バードライフ・アジア(2010)が東京都下で調査した結果、昼間に活動する昼行性の鳥であることが判明したサギ科の鳥類です。(観察した個体の齢)観察した個体は、頭上が紺色(成鳥は暗赤褐色)で、後頭に冠羽(成鳥は短い冠羽あり)は認められません。また、若鳥の雨覆や肩羽には褐色斑がありますが、認められませんでした。このことと頭や翼に白と黒の虫食い斑があるので幼鳥と思われます。(成鳥と若鳥の特徴)川上(2009)が述べているように、成鳥では,頭部は鮮やかな赤栗色を,背中,翼,尾羽では暗褐色を呈する(写真1).喉から腹はクリーム色で黒い縦斑が入り,特に喉では黒く長い筋状になる.雌雄では特に羽色の違いはない.若鳥では,上面の褐色が暗く,頭部や翼に細かい黒斑が多数見られ,翼では細かい白斑が入ることもあります。(引用)川上 和人.2009.ミゾゴイ,Bird Research News Vol.6 No.12.p4-5.バードライフ・アジア.2010.ミゾゴイ会議の報告および保全活動に関する提言.pp5(写真)すべて2024年2月29日撮影絶滅危惧種であり、観察地は非公開とさせてもらいます。
2024.02.29
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昨日、柏の葉キャンパス駅近郊の調整池でイカルチドリを観察しました。その顔、姿を淡水性チドリのコチドリ、ハジロコチドリと比較してみました。(顔の比較)(1)イカルチドリ(2024年2月26日柏市内で撮影)一枚目と二枚目は昨日観察したイカルチドリの顔つきです。一枚目は胸の黒帯は太く、二枚目は胸の黒帯は細く褐色味を帯びた部分があります。前者は雄、後者は雌と思われます。頭部はハジロコチドリに似ていますが、前頭の黒色と頭頂の灰褐色の間に白色部があります。翼よりも尾が突出している点がコチドリとの違いです。(2)コチドリ(2023年4月2日柏市で撮影)三枚目はコチドリ夏羽で、胸の黒帯は黒く、黄色のアイリングが目立ち頬は黒いのが特徴です。(3)ハジロコチドリ(2013年8月24日船橋市で撮影)四枚目は、ハジロコチドリで胸の帯が太くて全面でつながっています。(横方向から見た姿)(1)イカルチドリ(2024年2月26日柏市内で撮影)五枚目は昨日観察したイカルチドリ雄、六枚目は昨日観察したイカルチドリ雌です。嘴はコチドリより長く、アイリングは不明瞭でした。但し、コチドリでも不明瞭な個体がいますので嘴の長さが長い(イカルチドリ)か短い(コチドリ)かを確認しておきたいところです。(2)コチドリ(2023年3月20日柏市内で撮影)黄色のアイリングが目立ち、夏羽は頬が黒いのが特徴です。(3)ハジロコチドリ(2013年8月24日船橋市で撮影)]胸の黒帯はコチドリより太い傾向にあります。写真の個体は、胸の帯が黒く雄と思われます。写真ではわかれにくいと思いますが、眼先の黒色部が会合線、口角に接しています。
2024.02.27
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鳥友から銚子港でカモメ科の鳥を見に出かけるにあたり、鳴き声にちなみ名がつけられているMew gullカモメの識別について質問をもらいました。過去の画像から成鳥冬羽のいろいろ、第二回冬羽の特徴などを整理してみました。(頭の斑が黒く見えるものから白い個体までのいろいろ)(1)頭の斑が黒く、黄色の嘴に黒い斑のある個体一枚目は、2013年1月2日に銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑が黒く、黄色の嘴に黒い縞があり、背がウミネコ並みに濃い個体でした。(2)頭に黒い斑があり、黄色の嘴で無斑の個体二枚目は、2019年2月17日銚子第三漁港で観察した個体です。この個体も背がウミネコ並みに濃いものでした。(3)頭の斑が褐色で黄色の嘴に斑のある個体三枚目は2017年2月25日銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑が褐色で黄色の嘴に斑があり、背の色がセグロカモメと同程度の色でした。(4)頭の斑は少なく、後頸に黒い模様のある個体四枚目は、2017年2月25日銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑は少なく、後頸に黒い模様があり、背の色はウミネコ並みの濃さがありました。(5)頭の斑は少なく目先に黒い模様のある個体五枚目は2015年2月28日ら銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑は少なく目先に黒い模様があり、黄色の嘴で無斑でした。(6)頭に斑があり、黄色の嘴に斑のある個体六枚目は2021年2月22日に銚子第一漁港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴に斑があり、背はウミネコ並みの濃さがありました。(7)頭の斑は少なく、黄色の嘴にうっすら斑がある個体七枚目は2018年3月3日に名洗港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴に赤っぽい斑があり、背はセグロカモメ並みの色でした。(8)頭に斑があり、黄色の嘴先端近くが黒い濃い八枚目は2014年3月8日に名洗港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴先端近くが黒い斑があった個体です。三列風切に白色部が見えていて第三回冬羽から成鳥に換羽中ではないかと思われました。(9)頭に斑はなく、黄色の嘴にも斑のない個体九枚目は2019年4月20日に銚子第三漁港で観察した個体です。頭に斑はなく、黄色の嘴に斑のなく、背はウミネコ並みの色でした。(10)頭に斑があり、うっすら黄色の嘴先端に黒斑がある個体十枚目は、2016年2月28日に銚子第三漁港で観察した個体です。頭に斑があり、うっすら黄色の嘴先端に黒斑があり、雨覆に褐色の羽があることから第三冬羽と思われました。(カモメの意外な食性)カモメ科の鳥は、吉井(1988)が記しているように魚や動物の死体を餌とします。ところが、石田(2015)が青森県十三湖周辺の畑で数多くのカモメが集まりトラクターを追うように昆虫類を捕食する光景が見られると述べています。このほか、水谷ほか(2020)がウミネコが海上および陸地上空で飛翔中に昆虫類を捕食する瞬間を撮影し一部の昆虫類を同定した結果、ハチ目等を積極的に捕食していたと報告はしていますから、案外昆虫類を捕食する種類が多いのかもしれません。(引用)吉井 正.1988.コンサイス鳥名事典.p136-137.三省堂.水谷友一ほか.2020.海上飛翔中のウミネコによる昆虫捕食とその同定.日本鳥学会誌第70巻.第1号.p53-60.
2024.02.25
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レンジャク飛来のニュースをいただきながら、雨の日が続き、出かけられず。撮影したキレンジャクとヒレンジャクの画像を復習していました。皆さんのご参考になればと思い、提供します。(キレンジャクとヒレンジャクの尾羽先端と下尾筒、下腹の色)キレンジャクは尾羽先端は黄色、下尾筒は黄色、下腹には黄色味はありません。対してヒレンジャクは尾羽先端は赤色、下尾筒は赤色、下腹に黄色です。(キレンジャクの成鳥について)一枚目は2009年3月8日山梨県山中湖で撮影した個体です。初列風切先端の斑が内弁と外弁にあり、内弁先端の白線は最も外側の羽まで幅広く白く、外弁先端は黄色なので雄成鳥冬羽と思われます。二枚目は、2020年2月23日にさいたま市で撮影した個体です。初列風切先端の斑は雄成鳥と同様黄色、初列風切内弁先端の白線は成鳥よりも細く、最も外側の羽の先端は白くないことから雌成鳥冬羽と思われます。(ヒレンジャクの成鳥について)三枚目は、2020年3月15日さいたま市で撮影した個体です。下腹が黄色であり、キレンジャクでは黄色味がないのと違いがおわかりいただけると思います。四枚目は、2020年2月19日さいたま市で撮影した個体です。初列風切先端にある白い部分に赤い斑があるので成鳥雄と思われます。五枚目は、2017年4月5日にさいたま市で撮影した個体で、初列風切先端にある白い部分に赤い斑がないの成鳥雌と思われます。(尾は12枚)キレンジャクもヒレンジャクも尾羽は12枚あります。写真は2020年3月15日にさいたま市で撮影したヒレンジャクです。1710年出版された和古書の喚子鳥に12黄、12紅の記載がされており、江戸時代中期頃からキレンジャクとヒレンジャクが識別されていたと思われます。
2024.02.23
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大町自然公園、松戸市千駄堀の21世紀の森と広場などを探索していると、遊歩道脇からチャッチャッとウグイスの地鳴き(笹鳴き)がよく聞こえてきます。笹鳴きについて、濱尾(2007)は、「抱卵期と巣内育雛期以外の時期の雌は笹鳴きをする。雄も冬には笹鳴きをするが繁殖期にはしないよう」と報告しています。ところが、平岡(2023)は「チャッ、チャッという声は敵、親、子に対して雄、雌とも一年を通じて発します」と述べています。この表現の原典である小西(1994)を確認すると、「地鳴きは、雌雄による違いもあまりなく、一定の季節に限られてもいない。(中略)地鳴きは縄張りに関係なく、外界の特別な刺激、たとえば敵、親、子に対して発声される」と記述があります。しかし、図鑑によっては、雄は雌より一回り大きいと述べているものがありますが、雌雄揃って出現し大きさを比較できる場面がいつもあるとは思えないと考えており、その報告がどの程度の信憑性があるのかと考えています。ちなみに、外観で雌雄を見分ける点について文献を調べてみると、安部(1984)が標識調査では雌雄判別の基準として「翼長が「60mm以下を雌」、「63mm以上を雄」、「61mmと62mmの個体は不明」と記しているのみです。この報告も抱卵斑や生殖腺に基づいた雌雄の判別が正確になされている個体の翼長の測定値が多数集まるまでの基準と述べています。(引用)安部直哉.1984.標識調査におけるウグイスの雌雄判別基準としての翼長.山階鳥研究報.第16巻.p151-158.小西 正一.1994.小鳥はなぜ歌うのか.岩波新書.p3.濱尾章二.2007.ウグイス 鳴き声.Bird Research News Vol.4 No.2.p4.平岡 考.2023.鳥の教科書.ヤマケイ文庫.p265.(写真)2022年2月4日水元公園で撮影
2024.02.18
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今冬も手賀沼沿岸にアカガシラサギが飛来し滞在しています。2022年に姿を観察して以来の羽衣の変化を復習してみました。(1)正面から見た変化一枚目から三枚目は、2024年2月15日、2023年2月3日、2022年2月26日に観察・撮影したものです。2024年は胸の焦げ茶の縦斑が線状になっています。2023年、2022年では斑点状だったのでこんなふうに変化するとはじめて観察しました。(2)嘴とその周辺の変化昨日観察した個体では上嘴の基部から先にかけて黒色で目先が黄色でした。(四枚目の写真)五枚目の写真(昨年2月28日)、六枚目の写真(2022年3月15日)、七枚目の写真(2022年2月25日)と比較してもあまり変化はありません。なお、六枚目の写真では上嘴の色が一部黄色のように見えますが実際は黒色で撮影時の光線の影響によるものと考えられました。七枚目の写真(2023年4月19日)は六枚目の個体が繁殖羽に換羽したものと思われます。(3)嘴の2つのタイプ香川の野鳥(2014)は、アカガシラサギに2つのタイプが存在していることを報告しています。Aタイプとして、先端が上・下共黒く他はほぼ黄色。上嘴の基部はやや緑色~灰色がかるものBタイプとして上嘴が全体に暗色のタイプ。先端がより黒色に見える場合もあるもの。そのうえで、幼鳥(Bタイプ)、 第一回冬羽?、第一回夏羽(Aタイプ)、成鳥冬羽(A・Bタイプ)、成鳥夏羽(Aタイプ)との内容となるとしています。ただし、第1 回夏羽になった後、毎年、夏A→冬Bと繰り返すのか、ずっとAのままなのかは不明と記しています。(4)手賀沼の越冬個体嘴に着目してみると、2022年から2024年の個体のいずれもが、香川の野鳥(2014)がBタイプとしてするタイプです。2022年に観察した個体が第一回冬羽とすると、2024年の個体は3歳以上であり、成鳥冬羽と考えられます。(引用)香川野鳥を守る会.2014.会報 香川の野鳥.アカガシラサギ.p3-5.
2024.02.16
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ホームグランド手賀沼にタシギの姿を見に出かけました。8日にヤマシギを観察してきましたが、タシギの餌のとり方との比較をするためです。あわせて、タシギは春先に褐色、赤味の強っている個体を見かけますのでひょっとしたら出会えるかもと期待して。(1)タシギの採餌ヤマシギは体で上下にリズムをとるように移動し、長時間地面に嘴を突っ込んだまま動かない時間がかなりあり居眠りをしているのではないかと思う場面がありました。タシギの餌のとり方を見ていると、長い嘴を差し込んで泥の中を探索して、泥から抜くと別の場所に差し込んでいました。この行動を繰り返して嘴に獲物が触れるとつまみ上げているようでした。三枚目、四枚目の写真のような行動です。(2)タシギの羽色今日観察したタシギは、一枚目、二枚目の写真の個体です。背の羽縁がクリーム色の帯のようで太くて目立っていましたので、冬羽と思われました。a.春先の見られる褐色、赤味のある個体五枚目の写真は、2018年4月8日に手賀沼で観察した個体で目先が褐色になっていました。b.秋に見られる褐色、赤味のある個体六枚目、七枚目の写真は、2021年9月17日、同年9月23日に手賀沼で観察した個体です。褐色、赤味が艶やかに見え、いわゆるゴールデンバフと言われるもの。c.若鳥と思われる個体八枚目の写真は、2018年12月19日柏市内で撮影した個体です。黒味がかっており、若鳥と思われます。
2024.02.13
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昨日リポートしたタゲリ、図鑑によっては雌雄はぼ同色、冠羽は雄が長く雌は雄より短めと解説が掲載されているものがあります。(成鳥冬羽の雌雄)今井(2021)は、タゲリ成鳥夏羽、成鳥冬羽の雌雄を識別するポイントを整理し報告しています。内容を紹介します。「成鳥冬羽は雌雄とも喉が白く、白色部が胸の黒色部に食い込みます。♂成鳥に比べて♀成鳥の頭頂・顔・胸は褐色味が強く夏羽と同様に冠羽は短めです。」、「新鮮な冬羽には肩羽、雨覆に淡色の羽縁がありますが、日の経過とともに羽縁は擦れにより消失します。」と報告しています。このうち、冠羽は生え変わるので古い冠羽から新しい冠羽に伸長している折に短くなっている可能性がありますから短いから雌、長いから雄とするのでなく頭頂、顔、胸の色を確認することが必要となります。なお、2020年2月29日成田市で頭部から胸にかけて黒色が濃く、喉が黒くなっている個体を観察したことがあります。ただし、風切が黒色になっていないので冬羽から夏羽に換羽がスタートした個体ではと思われました。(写真)一枚目:成鳥雄、2024年2月11日野田市、二枚目:成鳥雄、2016年1月1日手賀沼、三枚目:成鳥雌、2024年2月11日野田市、四枚目:成鳥雌、2016年1月1日手賀沼、五枚目:成鳥雄(奥)雌(手前)、2023年12月1日手賀沼六枚目:成鳥雄、2020年2月29日成田市で撮影(引用)今井 光昌.2021.シギ・チドリ類の年齢・季節による羽衣の変化.第23回ケリとタゲリ.日本野鳥の会三重会報しろちどり.第108号.p11-13.
2024.02.12
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水元公園のリポートを閲覧した鳥友からユリカモメは何時ごろから頭部が黒くなるのかと質問をもらいました。ホームグランド手賀沼や水元公園で観察・撮影した記録と画像を復習しながらユリカモメの夏羽への移行に関する文献に目を通してみました。(ユリカモメの頭部が黒くなる時期)水元公園では後述するステージⅢの個体を3月に観察したことがありました。(2022年3月12日)手賀沼では、後述するステージⅤの個体を4月に観察したことがありました。(2020年4月12日)(夏羽への移行についての調査報告)和田(1993)は、京都市鴨川でユリカモメの冬羽から夏羽を5つのステージ(*)に区分し個体数を調査した結果を報告しています。夏羽への移行を知るうえで参考になりますので紹介します。(*ユリカモメのステージ)(ステージⅠ:嘴と足が赤く目の後ろに黒斑がある冬羽)(ステージⅡ:頭が黒と白のまだらがある個体)(ステージⅢ:頭が黒くなっているが頭巾状には黒くなっていない個体)(ステージⅣ:頭はほぼ頭巾状となっているが眼先と腮が黒くない個体)(ステージⅤ:頭が褐色を帯びた黒色の頭巾状となっている夏羽)成鳥の夏羽への移行は、4月の前半に急速に進んだと報告しています。4月の終わりには、多くの成鳥が第Ⅳステージまたは第Vステージになっていたのに比べて、幼烏の大部分は第1ステージまたは第Ⅱステージのままで、一部が第Ⅲステージになっただけだったと記しています。氏原・氏原(1992)には幼烏の一部には第一回夏羽に頭が黒くなる個体もいるという記述があるが,今回の観察でも頭が黒くなる第Ⅳステージまたは第Vステージの個体が記録されたと述べています。くわえて、夏羽への移行と渡りの関係、具体的には夏羽に移行した個体から渡去していくのかは、各地での情報をもとに論じる必要があるとむすんでいます。なお、手賀沼や水元公園に飛来したユリカモメ夏羽に移行した個体から渡去したかは観察不足で報告する材料を持ち合わせていません。(写真)ステージⅠ:一枚目の写真、2019年4月3日水元公園で撮影(写真手前の個体)ステージⅡ:二枚目の写真、2023年12月18日水元公園で撮影ステージⅢ:三枚目の写真、2022年3月12日水元公園で撮影ステージⅣ:四枚目の写真、2017年3月22日水元公園で撮影ステージⅤ:五枚目の写真、2020年4月12日印西市で撮影(ステージⅤ、Ⅳ、Ⅲも含む)ステージⅢ~Ⅳへの移行中:六枚目の写真:目先が黒褐色となっている個体2019年4月3日水元公園で撮影ステージⅤ~Ⅰに換羽し始めた個体:七枚目の写真、2022年3月12日水元公園ステージⅤの羽色が残っていた個体、八枚目の写真、2023年11月21日水元公園で撮影(引用)和田 岳.1993.京都市賀茂川におけるユリカモメの個体数の季節変化と夏羽への移行.Strix第l2巻.p93-100.日本野鳥の会.
2024.02.10
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昨日、茨城県南部の公園でヤマシギと出会えたことをリポートしました。地面に嘴を突っ込んで採餌している時間が長く、その特徴がわかりずらかったものと思います。別のフィールドで出会った際の写真を使って特徴について整理しました。(外観の特徴)環境省(2016)が解説しているように、目が頭部の後方についており、オスメス共に同色とされ全身が茶褐色です。頭頂から後頭にかけて4本の黒褐色の太い横斑があります。目から嘴に向かって(過眼線)と、目の下から嘴方向に向かって黒褐色の線がありますが平行にはならず、目に近い方の間隔が広くなっています。背は黒褐色味が強く、腹部は淡褐色で褐色の横斑があります。足と嘴の大部分は肉色で嘴の先端部分は黒色をしています。一枚目の写真:後頭部の黒褐色の横斑:2023年1月28日茨城県で撮影二枚目の写真:目から嘴に向かう過眼線と目の下から嘴方向の黒褐色の線:同上の撮影三枚目の写真:嘴先端の黒色:2022年2月28日千葉県で撮影四枚目の写真:2024年2月8日茨城県で撮影(夜行性とはされているが日中に採餌)環境省(2016)は、ヤマシギの生息について、「非繁殖期(越冬期)は、日中は林内や林内の空き地周辺の藪を隠れ場所とし、日没後の夕闇時に林内などから飛び立って湖沼畔や水田の畦、川原、湿地、水田、湿った農耕地などに飛来し、夜間ずっとミミズなどを探して餌としています。なお、関東では、河川敷の堤防沿いの草地や、草丈の低い採草地を好み、農地の中でも堆肥置場など餌が豊富と思われる場所には複数個体が群れることもあります」と解説しています。しかし、これまで姿を観察した千葉県、茨城県、埼玉県のいずれでも観察したのはいずれも日中であり、いずれも土に嘴を突っ込んで餌を探していました。(食性と採食行動)小田谷(2014)がヤマシギの分布や生態などの知見を整理し報告しています。その中で「主に動物食でミミズを好む。地上徘徊性の甲虫類やその他の節足動物も採食する。茨城県で2011年1月に拾得されたオス幼鳥の胃内容には、多数の湿地性のゴミムシ類が含まれていた。また、植物質ではイネ科やタデ科植物の種子を採食することがある」と記しています。(引用)小田谷嘉弥.2014.ヤマシギ.Bird Research News Vol.11 No.11.p4-5.環境省.2016.ヤマシギ(越冬期)調査マニュアル.pp15.
2024.02.09
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鳥友から手賀沼の鳥をとりあげているブログで足の黄色いセグロカモメと思われる個体にニシセグロカモメとキャプションがつけられているが、写真は一枚のみで、背の濃さはセグロカモメと同等で後頭部に斑があるのはわかるがその他には判断できる材料がないと質問をもらいました。早速、当該ブログを閲覧してみましたが確かに質問のような印象でした。(足の黄色いセグロカモメについて)質問のあった個体は、永井(2006)が、ホイグリン系として紹介しているホイグリンカモメ(ニシセグロカモメ)とセグロカモメの両方の特徴を持つカモメではないかと思われます。後頭部に斑が認められるものの、永井(2014)が成鳥冬羽の背の濃さは、ウミネコと同程度の濃さとしているものとはあきらかに違いがあります。さらに、頭の斑の細いかどうかの判断ができないこと、嘴の赤斑は大きいとは見えないことなどから、永井(2006)がホイリング系と紹介しているような個体と思われます。(ホイグリンカモメの特徴について)氏原(2010)がホイリングカモメと識別するためのポイントをあげています。(1)背の色はウミネコ程度(2)嘴の赤斑は大きい傾向(3)足は黄色だが、肉色、ピンク色がかる個体やベージュに見える個体もいる。(4)頭の斑はセグロカモメより細く鋭い。(5)初列風切の黒色部はセグロカモメより多い傾向。(引用)永井真人.2006.カモメ観察ノート.p101-121.文一総合出版.氏原巨雄・氏原道昭.2010.カモメ識別ハンドブック.p28-29.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑.670.p352-353.文一総合出版.(写真)一枚目;足が黄色に見えるセグロカモメ、2014年1月2日茨城県ひたちなか市平磯で撮影二枚目:足が黄色味がかっているセグロカモメ、2017年2月25日千葉県銚子市で撮影三枚目:セグロカモメ、2019年2月17日千葉県銚子市で撮影
2024.02.06
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亜種オオカワラヒワは、叶内(2020)が述べているように冬鳥としてほぼ全国に渡来するアトリ科の鳥類です。これに対して亜種カワラヒワは、全国に分布しているが厳冬期は暖地に移動するアトリ科の鳥類とされています。東京近郊では、春先に両種を見かける可能性があり外観の特徴を整理してみました。塩田(2009)は、上面の色、亜種オオカワラヒワと亜種カワラヒワ(旧コカワラヒワ)を比べた識別点についてつぎのように報告しています。背、肩の羽色については、両亜種とも(暗)褐色ですが色調に微炒な差があり、オオカワラヒワは赤茶色味があり(外国の資料には「チョコレート褐色」と記したものかある)、コカワラヒワはオリーブ(緑黄)色味が強いと記しています。さらに、亜種オオカワラヒワは、亜種カワラヒワと比べて、ひと回り大きい、三列風切外弁の白色部が幅広く(比較的目立つ)傾向にある、頭から後頸にかけて(コカワラヒワの灰黒色より淡く)灰色と述べています。なお、亜種オオカワラヒワはコカワラヒワより明瞭に大きく、最大の亜種とし、測定値(翼長・尾長・嘴峰・跗蹠)はの10%強の差があります。ただし、比較する他の個体がいない場合の観察では、大きさが分り難いと報告しています。なお、亜種オオカワラヒワの雌は全体に色が淡く、頭部は褐色です。六枚目の写真をご覧ください。(引用)塩田 猛.2009.野鳥講座.第12章.オオカワラヒワ.日本野鳥の会大阪.会報むくどり通信.叶内拓哉.2020日本の野鳥.第2版.p380.文一総合出版.(写真)亜種カワラヒワ:1枚目2023年5月18日、同年7月27日柏市北部で撮影亜種オオカワラヒワ:3枚目2020年2月11日水元公園、4枚目2023年11月29日柏市内、5枚目:2015年1月24日柏市内、6枚目雌2023年12月23日柏市内で撮影
2024.02.05
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昼まで小雨がふっていましたが午後にはやんだので、柏市内の小さな谷津田、屋敷林、林が残っている環境があるフィールドに出かけました。到着直後から小さな池の縁にカワセミ雌の姿を発見。しばらく観察していると、下嘴全体が赤いこと、嘴基部も赤くなっていました。一枚目と二枚目の写真は本日観察したカワセミ雌です。茂田(2006)がカワセミの特徴について、嘴について雄は黒く、雌は下嘴の基部の三分の一~二分の一または下嘴全体が赤褐色と解説しています。下嘴全体が赤いカワセミは他のフィールドではどうかと画像を復習してみました。すると、三枚目の写真の個体のように、半分程度が赤い個体、四枚目のように下嘴全体がほぼ赤褐色ですが嘴基部は赤くない個体、五枚目のような下嘴の半分程度が赤褐色の個体とバリエーションがあるのに気がつきました。ひょっとして、成鳥雌の婚姻色が今日観察した個体かもいれないと印象を持ちましたが裏付ける文献報告が見当たらず、今後の宿題となりました。(カワセミの嘴の長さと色彩について)内田(2021)がカワセミについての調査結果を整理し報告しています。嘴については、カワセミの性は下嘴の色で判別(雄は黒い・雌は赤い)との文献の基準を元に、色彩と長さについて整理した結果、嘴は年齢、季節によって長さや色彩が変化していたとし、成鳥の嘴の長さは一年を通して長さに変化があり、秋から春にかけて平均値では一番長くなり、繁殖期には短くなった。また長さの平均値では雄のほうが1.7mm長く、性差があったと記しています。しかし、雌の下嘴の赤褐色の面積についての記述はありませんでした。(引用)内田 博.2021.カワセミの嘴.日本鳥類標識協会全国大会.講演要旨集.p11.(写真)一枚目、二枚目:2024年2月4日柏市内で撮影、三枚目:2023年1月13日、四枚目:2024年1月19日いずれも我孫子市で撮影、五枚目:2020年11月2日松戸市で撮影
2024.02.04
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1月18日に水元公園で嘴の長さが長いアカゲラを目撃しました。上嘴先端に欠損した部分が少し認められました。上嘴先端から頭長までのサイズに占める嘴の割合は約51%、一般的に見かける個体では約38%でした。このため、嘴が長く見えています。(嘴の摩耗と成長)キツツキ類の嘴は木をつつくたびにすり減ることが知られていますが、成長して伸び続けると言われています。想像の域を出ませんが、水元の個体がなにかの事情で木をつつく頻度が低い場合には嘴が成長しつづけることが考えられます。石田(1988)が飼育下のアカゲラ雄の上嘴が脱落し再成長する過程を写真と共に報告していること、同じキツツキ類のコゲラ雌若鳥で上嘴が異常に伸びた後に元にも取った事例を報告しています。これらの事例から上嘴が急速に成長し、くちばしの利用の仕方によって個体や個体群内でも嘴の長さが変化すると述べています。水元の個体で元に戻るかが注目されます。(アカゲラの舌と嘴)鳥類の嘴と舌の長さは比例し、アカゲラの舌は長く5cmもあり鼻孔あたりから頭蓋から後頭部を一周しています。水元の個体で嘴が急速に成長したとしても舌が収納されている余力があり採餌に支障が出なかったとも考えられます。しかし、水元のアカゲラは私が観察した際は、木の根っこに近い部分でアリなどの虫を捕獲しているような動きをしていました。(嘴の奇形について)林(2005)は、標識調査の折、1990年代後半から嘴の奇形を持った野鳥を観察しているとし、2000年代に入ると障害を持った鳥類はすべて幼鳥だったと記しその寿命は短かいものと考えられると記しています。水元で観察した個体は、頭に赤色部はなく腹部は白いことから成鳥雌と思われます。仮に奇形が遺伝で発生したのなら成鳥まで生き延びる可能性は極めて低いと思われます。このため、成長してから肝臓疾患、細菌や真菌によるもの、嘴のタンパク合成に異常があったなどの要因が考えられるのではと思われます。(引用)石田健.1988.Two examples of Upper Bill Abnormality in Woodpeckers,Dendrocopos major and D. kizukiKen Ishida、Abstract Two observations of the woodpecker bill in captivity.山階鳥研報.第20巻.p111-115.林 吉彦.2005.気になる野鳥のくちばしの奇形.Bird Research News Vol.2 No.3.p2-3(写真)1枚目、2枚目:2024年1月18日水元公園で撮影、3枚目:2023年10月24日松戸市で撮影
2024.01.21
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昨日、手賀沼沿岸で今冬もアカガシラサギが飛来したことをリポートしました。2022年2月4日にはじめて観察されて以来、3年連続して飛来しています。昨日と昨年、一昨年の撮影画像をアップし、整理してみました。参考となれば幸いです。(1)昨日の観察個体頭頂は斑模様、頭から胸にかけて褐色の縦斑、背は褐色、嘴は先端から基部が黒く、上面は褐色で無斑でした。成鳥夏羽に見られる淡黄色のアイリングは見られません。しかし、目の周囲が褐色がかり、目の印象がかなり精悍な印象を受けました。(2)2023年の観察個体2枚目の個体は2023年2月3日に観察した個体です。頭頂は斑模様、頭から胸にかけて褐色の縦斑、背は褐色、嘴は先端から基部が黒く、眼先が黄色くなっています。4枚目の写真は同一個体が夏羽となったものです。(3)2022年の観察個体3枚目は2022年3月15日に観察・撮影した個体です。頭頂の斑模様は2023年、2024年の個体と比べるとぼやっとした印象です。また、上嘴は暗色で2023年、2024年と比べるとかなり違う印象です。(4)アカガシラサギの初列風切アップした写真の個体は、いずれも初列風切先端は褐色を帯びているようには見えず、幼羽の初列風切先端は褐色という特徴は満たしていませんでした。
2024.01.20
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昨日、茨城県常総市の菅生沼でハクチョウ類やマガン、カモの観察してきました。そこで例年にはない変化がありました。というのも、ハクチョウ類の羽色が赤褐色に染まっている個体を見かけなかったことです。2019年から2024年のハクチョウ類の写真をアップしましたが、頭部が褐色となつていないのがおわかりいただけるものと思います。茨城県土木事務所(1989)が述べているように、ハクチョウ類やカモの羽色が赤褐色に染まっているのは菅生沼の地層に褐鉄鉱の薄い層が存在するからです。菅生沼で越冬するガン・ハクチョウ類は、イネ科に属する多年生の抽水植物であるマコモの地下茎を食します。このため、羽色、特に頭部が褐色となっているものをよく見かけます。水面で逆立ちしてマコモの地下茎を食している光景を見かけなかったので、マコモが生育すると稈高1~3m程度となりますが、2023年春から秋にかけての高温や雨などの影響でマコモの生育に影響を与えたのでハクチョウ類が採食する場面が見られなかったのではと思います。(引用)茨城県土木事務所.1989.地質 菅生沼周辺環境調査.pp1-58.(写真)2018年1月2日、2019年1月27日、2019年12月21日、2020年12月6日、2022年1月3日、2024年1月7日いずれも菅生沼で撮影
2024.01.08
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本年もどうぞ、よろしくお願いします。新春なので赤い羽色の鳥の代表、ベニマシコの羽色のいろいろを紹介します。スズメとほぼ同程度の大きさながら尾の割合が大きいので野外で出会うとスズメより小さい印象です。赤味のある顔で頬が白く体が全体に赤い雄、赤味のある顔で頬に白い部分のない雄、下面が赤く、上面は淡褐色の第一回冬羽、全体的に淡褐色の雌と出会うフィールドによってその羽色はじつにいろいろです。千葉県手賀沼、近郊の印旛沼沿岸、松戸市江戸川沿い、野田市、埼玉県と群馬県にまたがる渡良瀬遊水池、埼玉県秋ヶ瀬と桜草公園、茨城県取手市の利根川沿岸で私共はベニマシコと出会います。(写真)一枚目から三枚目までは2016年3月27日印旛沼、四枚目、五枚目は松戸市、六枚目は印旛沼で撮影
2024.01.01
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そろそろ、茨城県内の山地や低山帯や野田市などにミヤマホオジロとカシラダカが同時に姿を見せる時期になります。新年、出かけるにあたって予習をしていました。(雌雄の特徴を比較)(1)嘴の比較カシラダカ :嘴:上嘴は黒っぽさがあり、下嘴は肉色ミヤマホオジロ:嘴:上嘴は鉛黒色で下嘴は肉色を帯びる(2)頭頂カシラダカ雄:黒か栗色で羽縁がバフ色、雌:バフ色で黒褐色の軸斑ミヤマホオジロ雄:黒色、雌茶褐色または黒褐色で羽縁がバフ色(3)顔カシラダカ冬羽雄:白またはバフ色の眉斑、雄の方が黒味がある褐色の耳羽。耳羽を囲む黒褐色線がある。但し、雌雄の識別は条件によっては難しさがあります。ミヤマホオジロ雄:黄色の眉斑、黒い過眼線と耳羽、雌:黄褐色の眉斑、褐色の耳羽(4)胸カシラダカ:栗色の横帯ミヤマホオジロ雄:黒い横帯、雌:茶褐色の縦斑(5)脇腹カシラダカ;栗色の縦斑ミヤマホオジロ:茶褐色の縦斑(6)腰と上尾筒カシラダカ:栗色で羽縁がバフでウロコ状ミヤマホオジロ:灰褐色(雌雄とも腰付近に赤褐色の鱗模様はなし)(7)後頭カシラダカ、ミヤマホオジロともに後頭に短い冠羽があります。ただし、カシラダカ後頭は栗色なのに対してミヤマホオジロは後頭基部に黄色味があります。(参考引用)渡辺修.2004.考える識別・感じる識別.Birder.第18巻.第11号.p61.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑670.p194.(写真:一枚目から四枚目はカシラダカ、五枚目から七枚目はミヤマホオジロ)一枚目:2018年12月30日千葉県野田市、二枚目:2017年1月28日千葉県流山市、三枚目:2020年1月19日茨城県つくば市、四枚目:2018年1月18日千葉県野田市、五枚目:2019年2月2日茨城県つくば市、六枚目:2018年1月13日茨城県つくば市、七枚目:2019年2月2日茨城県つくば市で撮影
2023.12.31
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水辺に近い林ではタヒバリとビンズイは同じような環境で姿を見かけることがあります。都内水元公園もそのフィールドのひとつで、小合溜の水際にタヒバリ、林の中でビンズイを見かけることがあります。観察会などで識別について質問をもらうことがありますので特徴を整理したものを提供します。タヒバリ上面:緑褐色、背中の縦斑:上面は黒褐色で縦斑が規則的に並び淡色部はありません。眉斑:不明瞭ですが、短い眉斑が眼の後方にある個体見かけます。目の下に黒褐色の細い線がある個体を見ることが多い印象があります。嘴:暗色、足:肉色、初列風切は三列風切より突出しません。ビンズイ上面:緑灰色、背中の縦斑:不規則、眉斑:明瞭長い。眉斑の上が黒っぽい印象があります。頬に白斑と小さな黒斑があります。嘴:タヒバリに比べて太い印象があります。初列風切は三列風切から突出します。(写真)タヒバリ、一枚目~三枚目:2023年12月18日水元公園、四枚目:2023年4月2日柏市ビンズイ、五枚目:2014年1月3日松戸市、六枚目:2015年12月23日松戸市、七枚目:2015年12月12日柏市手賀沼沿岸
2023.12.20
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昨日、水元公園でヤマガラの濃色化個体を画像に記録することができました。亜種ヤマガラの写真と比較したものをアップし、特徴などを記します。(濃色化個体の特徴)亜種ヤマガラと比べると頭及び喉の黒色部が灰色を帯びて、頬・額・耳羽がヤマガラの様な淡白色でなく茶褐色な栗色、三列風切と雨覆は青灰色でした。山口(2005)が述べているように、亜種ヤマガラの頭部は黒色で頭頂から後頸にかけて細い淡色線が入り、喉から胸にかけては黒色である点も認められませんでした。一枚目は水元の濃色化個体、二枚目は亜種ヤマガラの2017年12月柏市内撮影の個体(濃色化個体の嘴下と喉部)2018年9月13日三重県で観察をなさった方のブログと2020年10月11日東京都多磨霊園で観察した方のブログにアップされている個体を見ると、僅かに灰色部分があると報告が記されています。昨日観察した濃色化個体では喉部には灰色部分は認められず、嘴下がわずかに黒いようにみえるのみです。個体によって差異があるものと思われます。(変異で推測されること)山口(2005)は、2003年からら伊豆諸島神津島で亜種ナミエヤマガラの生態研究を行い、その羽色変異ついて報告しています。その中で、稀に亜種ヤマガラやオーストンヤマガラが新島や神津島に移入し、ナミエヤマガラとの亜種間交雑が生じていれば他亜種の遺伝子が浸透してくる点を指摘しています。そしてその後、同亜種内交配で浸透遺伝子が広まっていく。このように考えると、三重県、東京都多摩霊園、今回の水元公園での観察につながった可能性も考えられるのではと思います。(引用)山口典之.2005.遺伝子が流れ込む? 亜種ナミエヤマガラの変異.Bird Research News Vol.2 No.12.p4-5.(写真)一枚目:2023年12月18日東京都葛飾区水元公園二枚目:亜種ヤマガラ2017年12月17日柏市三枚目:2023年12月18日水元公園四枚目:亜種ヤマガラ2014年12月28日千葉県松戸市五枚目:2023年12月18日水元公園六枚目:亜種ヤマガラ2018年9月30日千葉県松戸市七枚目亜種ヤマガラ2016年12月25日千葉県松戸市(この個体は上嘴から目先が橙色となっていました)
2023.12.19
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6日から7日にかけて、宮城県伊豆沼、蕪栗沼、長沼などを探索します。出かける前日5日にマガンとカリガネの特徴を復習。カリガネは姿はみかけているものの、記録写真がかなっていません。今冬こそ、記録できたらと思っています。このブログが配信される頃、マガンの群れを観察し、額の前の部分の白い部分が頭頂に達しているいない、嘴の色が濃い、そうでない、上嘴が付け根で明瞭な角度がある、ない、黄色のアイリングがある、ないといった特徴を識別しつづけ、宿に帰還してから復習の時間を過ごし、マガンやヒシクイの鳴き声を思い出しながら眠りに。現地のリポートは7日に発信予定です。(写真:いずれもマガン)一枚目:2014年12月15日蕪栗沼、二枚目:2014年12月14日蕪栗沼、三枚目:2016年12月23日伊豆沼、四枚目:2019年11月25日伊豆沼、五枚目:2017年12月2日蕪栗沼近郊(鳥友からの情報)・蕪栗沼には約9000羽ものシジュウカラガンの姿があり。・カリガネは塒からあまり離れていない牧草地を好む由。
2023.12.06
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一昨日、水元公園で観察したマガモについて、2羽が水面を移動しているうち、手前の個体は雄なのか雌なのかと質問をもらいました。(結論)雄のエクリプスです。全体に雌に似ていますが、嘴は黄色(雌は橙と黒)で、体上面が暗色(雌は明るい色)、雨覆は灰褐色(雌は褐色味があり)といったようにマガモのエクリプスの特徴が認められます。三枚目の写真のエクリプスと比べると、一見すると雌のように見えます。(雄幼羽との違い)エクリプスでは、肩羽、脇の羽に丸みがあります。これに対して雄幼羽ではV字に先が尖って見えます。(写真)一枚目:2023年11月21日水元公園で撮影、二枚目:雌、2019年12月8日水元公園で撮影三枚目:雄エクリプス、2022年10月20日手賀沼で撮影
2023.11.23
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鳥友から昨日の水元公園のリポートを見てヒドリガモの雨覆が淡色部の多い個体、白い羽縁が目立つ個体となどいろいろだが、年齢の識別との関係を知りたいと質問をもらいました。(雨覆に白い羽縁が目立つ個体)一枚目から三枚目の写真は、雨覆に白い羽縁が目立つ個体です。一枚目の写真は、昨日、水元公園で観察した個体です。雨覆に白い羽縁が目立つ雌非生殖羽です。脇の羽が幼羽に比べて大きく丸みが強いです。二枚目は、2021年1月20日に水元公園で観察した同様の個体です。雨覆の全体のイメージがわかるのでアップしました。三枚目は、2021年1月20日に水元公園で観察した同様の個体です。後ろ方向から雨覆を記録したものです。(雨覆の羽縁が目立ちない個体)四枚目は、2021年11月21日千葉県流山市で観察した個体です。五枚目は2021年11月23日に水元公園で観察した個体です。いずれも雨覆の羽縁が目立たず一様に見えるので雌幼羽と思われました。(雨覆が淡色部が目立つ個体)六枚目は、2018年12月9日に水元公園で観察した個体です。奥の個体の雨覆は淡色部が多く、胸から脇にかけて小斑があり、雄幼羽と思われました。
2023.11.11
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昨日、手賀沼でオナガガモ雄幼羽を目撃しました。雄幼羽は最外三列風切が黒いので、雌幼羽の黒褐色、灰褐色とは違いがあります。(例外があるので、雄は嘴側面が青灰色で、雌は全体が鉛色の点を確認する必要があります)最外三列風切の他、翼鏡でも雄、雌の識別が可能です。緑色であれば雄、茶色であれば雌となります。ただし、光線の具合で雄でえんじ色、雌で不鮮明な緑や茶と黒のまだらに見えることがあるので注意が必要です。(写真)一枚目から三枚目が雄幼羽、四枚目は嘴が黒っぽく、肩羽に赤褐色の斑があり、最外三列風切が黒くないので雌と思われます。一枚目:2023年11月6日手賀沼二枚目:2006年9月30日茨城県土浦市三枚目:2010年10月3日柏市柏の葉四枚目:2012年11月3日栃木県真岡市
2023.11.07
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鳥友から昨日、水元公園で観察したヒドリガモの羽色について質問をもらいました。羽色のいろいろを整理したものを提供します。(1)雄成鳥一枚目の写真は、2017年12月9日水元で観察した雄成鳥です。雨覆の白さは雄成鳥のみです。(2)雄エクリプス二枚目の写真は、昨日観察した雄エクリプスです。頭部と脇の橙褐色が赤味が強いのが特徴です。(3)雄エクリプスが生殖羽に換羽中三枚目の写真は昨日観察した雄エクリプスが生殖羽に換羽中と思われるものです。脇は幼羽より幅広く丸みがありました。(4)雄若鳥四枚目の写真は、2022年3月12日に水元で観察した雄若鳥です。上面が黒っぽく、脇は赤褐色味は弱い印象です。(5)雄幼羽が生殖羽換羽中五枚目の写真は、2022年1月17日に水元で観察した雄幼羽が生殖羽に換羽中と思われる個体です。雨覆が白くないので成鳥でないことがわかります。(6)幼羽六枚目の写真は、昨日観察した幼羽と思われる個体です。雨覆に羽縁が目立たず一様な印象です。(7)交雑個体七枚目は2019年1月3日に茨城県土浦市で観察した個体です。一見すると、雄成鳥のように見えますが、喉と口角が黒く、アメリカヒドリとの交雑の可能性が考えられます。
2023.10.28
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昨日水元公園でカッコウ若鳥、13日に八柱霊園でホトトギス若鳥と出会うことができました。ツツドリ若鳥との違いを整理してみました。(1)カッコウ若鳥1枚目から3枚目が昨日水元で観察したカッコウ若鳥、4枚目が2017年9月2日に野田市で観察・撮影したカッコウ若鳥です。後頭に白斑があり、上面に褐色味があり(ツツドリは暗色)、黄色のアイリング、虹彩は橙黄色です。(2)ホトトギス若鳥五枚目と六枚目が13日に八柱で観察したホトトギス若鳥です。目の色が暗色で頭から上面が一様に黒く、頭部から上面が黒灰色で淡色の羽縁がありました。なお、下尾筒はバフ色で横斑は見えず、ツツドリの下尾筒がバフ色で横斑が見えるのとは相違していました。また、カッコウ、ツツドリよりは体が小さい印象を受けます。(3)ツツドリ若鳥5枚目の写真は、八柱で2014年10月4日に出会ったツツドリ若鳥です。頭部から上面が黒灰色で上面は黒~褐色味があります。
2023.10.18
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毎年、10月中旬から下旬にかけての夜に柏市のオフィスの上空をホオジロ属の鳥類たちが鳴きながら通過していきます。ホームグランド手賀沼や近郊の印旛沼の葦原周辺でオオジュリン、カシラダカの姿を見かけるのもそろそろです。ホオジロ属に関して越冬地での分布や行動に関する報告は少ないのが現況が、山岸ほか(1969)が印旛沼で行ったホオジロ属の越冬時期の分布ほかを調査した結果を報告しています。これからの時期、沼の葦原周辺で姿を見かける際の参考までにその概要を整理したものを提供します。(1)どんな環境を選択しているかオオジュリンは沼沢地帯と水田地帯の中にモザイク状に残されている沼沢部に限って出現し、きわめて環境選択の巾が狭い種、カシラダカは沼沢、水田、山麓の巾広くで出現したが量的には沼沢地にかたよる傾向があったと述べています。ホオジロはカシラダカと同様の環境に出現したが荒地、路傍、林縁等が選択される傾向がある、ホオアカは、沼沢地帯の水田の畦で出現し、アオジは主として山麓地帯で記録され水田地帯で記録されたとしています。(2)オオジュリンとカシラダカの行動の違いオオジュリンは垂直に立った草本の桿に横どまりすることができ、その状態から上下方向にも移動ができ、足を開いて桿から桿へと渡り歩くこともできると報告しています。一方、カシラダカはほとんど地上採食し、垂直な桿に横止まりして採食することはないと述べています。カシラダカは水のないヨシやガマの倒れたオープンな場所で採食するという事実もカシラダカの採食姿勢とよく一致していると指摘しています。(3)オオジュリンとカシラダカの群れの大きさカシラダカは100羽以上の集合を成し得るのに対して、オオジュリンは大きくても15羽以下だったと記しています。カシラダカの群れに対して、オオジュリンが小さな単位で分散しているのは、種子食のカシラダカと昆虫食もまざるオオジュリンの食性の違いから来ていると報告しています。(引用)山岸哲・中村登流・須山才二・飯島一良・牛山英彦・香川敏明.1969.ホオジロ属5種の越冬生態の比較研究.山階鳥研報.第5巻.第6号.p1-16.(写真)オオジュリン:2018年3月12日手賀沼、カシラダカ:2016年1月17日野田市、2018年2月10日流山市で撮影
2023.10.15
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6日に浮島で観察したコチドリについて、鳥友からハジロコチドリではないかと質問をもらいました。一枚目の写真がコチドリです。胸の帯が太く、頭から上面が淡褐色、前頭に黒色はありません。これらの点からハジロコチドリ幼鳥似に見えます。しかし、嘴が太く、黄色のアイリングがあったこと、淡色の眉斑があることを考えると、コチドリ夏羽が冬羽に換羽中と思われます。二枚目がハジロコチドリ冬羽(2022年1月28日浮島で観察)、三枚目がハジロコチドリ夏羽(2013年8月24日三番瀬で観察)です。
2023.10.08
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昨日、茨城県浮島でアメリカウズラシギ幼鳥と出会いました。鳥友から夏羽との違いについて質問を受けました。過去に観察したアメリカウズラシギ夏羽と比較をしてみました。(アメリカウズラシギ幼鳥)一枚目から四枚目の写真が昨日10月6日に出会った幼鳥です。眉斑に褐色斑が入り、胸の縦斑は密で腹との境も明瞭で、頭上に赤褐色のキャップがあり(ウズラシギと比べると赤褐色が弱い)はっきりとしていました。(アメリカウズラシギ成鳥夏羽)五枚目から七枚目の写真は、2011年7月23日河内町古河林で観察した夏羽です。肩羽には冬羽に見られる灰褐色はなく、第一回冬羽のような全体的に灰色味は感じないこと、胸の縦斑は細くなく、羽縁が擦り切れて黒くなりかけてているなどの特徴から成鳥雄夏羽が冬羽に換羽がはじまった個体ではないかと思われます。(参考ウズラシギ)昨日、観察したウズラシギの画像もアップします。
2023.10.07
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谷津干潟、三番瀬でススガモを見かけたと鳥友からニュースをもらいました。いよいよ、冬鳥を楽しむ時期が到来です。飛翔する時の羽音が鈴の音に似ていることから和名がつけられたと言われるススガモの齢と性別の見分けについて整理しました。(1)成鳥生殖羽1枚目の写真は2021年2月3日に浦安市で観察・撮影した雄生殖羽です。前頭部が盛り上がる丸い頭、基部ががっしりした青灰色の嘴、上面の白地に黒い波状斑が特徴です。(2)雌冬羽2枚目の写真は、2017年3月5日に三番瀬で観察め撮影した雌冬羽です。嘴基部を囲む白色部、上面と脇が波状斑に覆われ、上・下尾筒は黒褐色、全体的に褐色がベースです。3枚目の写真は2019年2月23日浦安市で観察・撮影した雌冬羽ですが、上面が黒褐色で下面は褐色です。灰色の羽毛が混じっていました。(3)雄エクリプスから生殖羽に換羽中4枚目の写真は、2021年2月17日谷津干潟で観察・撮影した雄エクリプスから生殖羽に換羽中の個体です。嘴が明るい青灰色で、脇に褐色部や波状斑が残ります。(4)雌幼羽5枚目の写真は、2016年11月20日旭市で観察・撮影した雌幼羽です。虹彩は濁った黄褐色、嘴は暗色、体全体は一様に淡褐色に見え、嘴周辺の白色部はバフ色がかっています。(5)雄エクリプスと思われる個体6枚目は2016年10月30日に浦安市で観察・撮影した個体です。嘴基部が雌よりも不明瞭で、嘴の色は青灰色、体上面に波状斑が見られました。一見すると雌のように見えますが、雄エクリプスではと思いました。
2023.10.05
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先週、柏の葉公園と柏の葉キャンパス駅近郊を散策していたら、ハクセキレイの水浴びを観察。見入ってたら近くの住民の方に、ハクセキレイっていろいろな羽色のものを見かけますが、成鳥と幼鳥の見分け方について教えてもらえると助かりますと質問をもらいました。私のブログに見分けのポイントを整理したものをアップすると約束し、帰宅しました。(雄成鳥夏羽)1枚目の写真(2023年5月4日柏市内)、二枚目(2009年3月29日柏市内)の写真が雄成鳥夏羽です。一見すると、セグロセキレイのように見えますが、耳羽は黒色ではありません。この他、上面の黒色、胸の黒色が広く、全体的に白黒のコントラストが目立ちます。(雌成鳥夏羽)三枚目の写真(2019年4月14日柏市内)が、雌成鳥夏羽です。嘴全体が黒色で、背が灰色、喉の黒色は雄より狭く見えます。(雄第一回冬羽)四枚目の写真(2022年10月14日柏市内)が雄第一回冬羽です。頭上が黒く、顔に少し黄色味があります。(若鳥から第一回冬羽に換羽中)五枚目の写真(2022年10月14日柏市内)、六枚目(2019年9月4日都内)が若鳥から第一回冬羽に換羽中と思われる個体です。頭から上面に若鳥に見られるバフ色がなく第一回冬羽のようにグレーとなっていました。(若鳥)七枚目の写真(2008年7月5日茨城県神栖市)、八枚目の写真(2018年8月23日柏市)が若鳥です。口角が黄色で、上面が少しバフ色がかったグレーでした。
2023.10.01
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湖沼などで見かけるシマアジ、トモエガモ、コガモは、識別がむずかしいと質問を受けることがあります。横顔を比較し、特徴を整理してみました。(1)シマアジ一枚目の写真は、2019年10月7日の都内水元公園で観察・撮影した個体です。過眼線と眉斑がはっきりしています。眉斑はコガモに比べて白っぽくはっきりとしています。嘴基部に白い斑があります。(2)トモエガモ二枚目の写真は2018年1月7日手賀沼、三枚目の写真は2020年11月8日に印西市で観察・撮影した個体です。眉斑と過眼線は不明瞭です。三枚目の個体は、頭部が暗色で雄エクリプスではないかと思います。(3)コガモ四枚目から六枚目はコガモです。四枚目は2023年9月4日手賀沼、五枚目は2022年10月19日柏の葉キャンパス駅近郊、六枚目は2023年3月27日手賀沼で観察・撮影した個体です。眉斑や過眼線はシマアジと比べて目立ちません。嘴基部に黄色部があります。六枚目の個体は、嘴の根元に斑があるように見え、トモエガモではないかと印象を持つケースがあります。
2023.09.21
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午後からお天気がくずれるとの予報なので、写真の整理と今後見られると思われる鳥たちの予習をしていました。その中で、初野(2018)が、幼鳥や図鑑に載っていない若い鳥が珍鳥に間違われることが多いとして、混同しやすい種類との相違点などを整理し報告していたので紹介します。秋の渡りの時期に見かけるノビタキ幼鳥がサバクヒタキ類成鳥に見えたという経験をしたバーダーも多いのではないかとして、ノビタキ幼鳥とサバクヒタキ成鳥の写真を掲載しリポートしています。サバクヒタキは、尾羽基部の白が少なく尾羽先端の黒が大きいのでノビタキの尾と似ているため注意が必要と記しています。この他、五百沢(2000)が、サバクヒタキの中央尾羽は基部の1/3、外側尾羽は基部の1/2が白いと述べています。なお、ノビタキとサバクヒタキ類の違いについては、高野(1980)がサバクヒタキ属の鳥は腰および尾羽基部が白いのでよく目立つが、ノビタキ冬羽では腰が淡黄褐色と記しています。(引用)五百沢日丸.2000.日本の鳥550.山野の鳥.p177.文一総合出版.初野謙.2018.幼鳥が起こす真夏の怪 珍鳥と間違わないために.Birder.第21巻.第8号.p39.文一総合出版.(写真)1枚目から3枚目はサバクヒタキ第一回冬羽:2011年1月15日栄町で観察・撮影(顔から喉が黒く雄と思われ、眉斑は目から後で目立ちました)4枚目はノビタキ:2014年10月12日手賀沼で観察・撮影5枚目はノビタキ:2016年10月1日さいたま市秋ヶ瀬で観察・撮影
2023.09.20
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13日に三番瀬でオバシギ、トウネン幼羽などを観察しました。このうち、鳥友からトウネンの羽衣について質問をもらいました。(13日に観察したトウネン幼羽について)一枚目、二枚目の写真が13日に観察したトウネン幼羽です。幼鳥は肩羽に赤褐色味があり、不明瞭な帯となって見えます。なお、幼鳥でも背の∨字斑が明瞭な個体も見かけることがあります。このほか、観察した個体では上胸両サイドに小さな褐色斑が数列あります。(ヨーロッパトウネンでは暗色斑の集まりとなっています)(夏羽、摩耗した夏羽が換羽している個体など)a.夏羽:三枚目の写真は、2018年5月16日に谷津干潟で観察・撮影した個体です。頭部と喉から胸にかけて赤褐色で肩羽に黒い軸斑があります。b.摩耗した夏羽が換羽中:四枚目の写真は、2016年7月25日に三番瀬で観察した個体です。上面に赤みがかっています。c.冬羽に換羽中五枚目の写真は、2015年9月19日に三番瀬で観察した、上面は灰色がかっていて軸斑があり下面は白い幼羽が冬羽に換羽中の個体と思われます。
2023.09.16
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一昨日、船橋市の三番瀬でフラッグを装着しているダイゼンを観察しました。今年3月11日にも同地で観察しており、この半年近くでこんなふうに換羽するのかと学びました。放鳥:2018年1月6日船橋市の三番瀬で性別不明、第一回冬羽として放鳥。前回観察日:2023年3月11日同地で観察。放鳥から5年2か月経過今回観察日:2023年9月13日同地で観察。放鳥から5年8か月経過前回出会えた個体は、成鳥冬羽で雨覆に幼羽が残る第一回冬羽と比べると上面の模様はすっきり見えていました。今回、観察した個体は、上面の白黒が鮮やかで下尾筒が白く、夏羽に近いいわゆる中間羽と思われます。成鳥でも冬羽から夏羽に換羽するまでは相当の時間がかかるということを学びました。(写真)一枚目:2023年9月13日観察・撮影二枚目・三枚目:2023年3月11日観察・撮影
2023.09.15
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オバシギの和名は「尾羽鴫」と言う説と姥鴫」言う説があると聞きます.しかし、目立った特徴を尾羽に感じません。オバシギ幼鳥の上面は白い羽縁と肩羽の黒褐色の軸斑が目立ちます。一方、コオバシギ幼鳥は軸斑が褐色で羽縁の白さも強くなく上面全体が一様、肩羽や雨覆の黒色のサブターミナルバンドがはっきりしています。昨日三番瀬で出会った個体とコオバシギ(2015年9月19日三番瀬)の画像をアップします。あわせて、昨日は出会えなかったのですが、オバシギ夏羽(2017年7月9日三番瀬)、夏羽から冬羽に換羽中の若い個体(2014年9月14日三番瀬)画像もアップします。
2023.09.14
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昨日、柏の葉公園上空をサシバが旋回していたのをリポートしました。身近な環境でもこの時期に空を見上げると、ワシタカを目撃することがあります。翼指(翼を全開にした際の先端部が分離する風切の枚数)を復習・整理してみました。(翼指:翼先分離)(1)翼指5本サシバ、ノスリ、ミサゴ、チュウヒ、ハイイロチュウヒが翼指が5本です。(2)翼指6本トビ(隙間がありバラバラとした印象)(3)翼指7本オジロワシ、(4)ハヤブサ科の欠刻ハヤブサ科の鳥類では欠刻(外側初列風切の何枚かが内弁、外弁のいずれかが切り取ったように先が細くなってがいる)が発達し翼先が分離していません。(写真)サシバ:2023年9月11日柏市柏の葉公園ノスリ:2018年3月11日茨城県稲敷市ミサゴ:2022年1月16日手賀沼チュウヒ:2016年1月16日茨城県稲敷市ハイイロチュウヒ:2021年11月7日手賀沼オジロワシ:2016年12月23日宮城県栗原市トビ:2022年11月14日手賀沼チョウゲンボウ:2018年2月4日茨城県稲敷市
2023.09.12
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