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2004.06.12
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カテゴリ: 思い出話
マイケル・ムーアの 「ボーリング・フォー・コロンバイン”Bowling For Columbine”」

「コロンバイン」ってのは、知ってると思うが、1999年にアメリカのコロラド州で起きた男子高校生2名による高校を舞台にした13人銃殺(プラス犯人2名の自殺)事件の舞台となった高校の名前である。このビデオを見るまで知らなかったが、この犯人となった高校生は、この事件を起こす日の朝、ボーリング場でボーリングに興じていたらしい。

このドキュメンタリーの圧巻なのは、その高校の防犯カメラに収められていた、実際にこの2人が銃を手に図書館や食堂に押し入り犯行に及ぶ シーン だ(ただし白黒だが)。あまりに残虐なシーンはカットされているだろうが、生徒たちが逃げ惑うシーンや、テーブルや机の下に慌てて身を隠すシーンは、極めて生々しい。

ちょっとだけ告白すると、オイラは本来なら眉をひそめるべきこの「防犯カメラの現場映像」を見ながら、自分の心中にワクワク感がウズウズと湧き上がるのを否定できなかった。自分が何にワクワクしたのか自らに問うてみて気づいたのだが、トレードマークだった黒のトレンチコートに軍靴を履き銃を手にした犯人に対し、生徒の大群が怖れおののいて逃げ惑うシーンを見て、犯人の側に感情移入してカタルシスを感じていたらしい。

アメフト部員やチア・リーダーに代表されるキャピキャピのクラスメートたちに馴染めず、「負け犬」「落ちこぼれ」「異端者」呼ばわりされている彼ら。黒づくめのゴシックな衣服を着て破壊的な音楽を聴き、虚無的な書物を読みつつごく少数の仲間でこじんまりと固まっている。…そう、彼らは、アメリカに限らずヨーロッパでも日本でも、どこの学校にも必ず何人かいそうなアウトサイダーを決め込んだ連中だった。
「中心にいる多数派のヤツら」の論理や価値観はケーハク短小で薄っぺらで、脳天気でモノを深く考えないキャピキャピしたバカどもにしか思えないのだが、容姿もパッとせず異性にもモテない自分らとしてはそんな考えを堂々と主張できず、鬱屈せざるを得ない。

…オイラ自身は、旧制高校の流れを汲むバリバリ硬派な男子高校に通っていたため、高校時代にそんな経験をしたことはない。しかし、田舎から大学に出て来る段階になって、彼らに極めて近い状況に置かれたことを思い出す。


たとえばオイラは心理学専攻だったのだが、学友たちに無意識がどうとか行動主義がどうとかいった話をしようとすると、“アブナイ人”扱いされた上に、「アイツはなんかヤバイ宗教に入っとるんちゃうか。」とか陰でウワサされたりするのであった(笑)。

出席を取るだけの目的で講義には出てくるが、教室で後ろの方に座り講義の最中はずっと寝ていて、講義が終わると野郎どもや女の子と喫茶店へ…といった体育会系の連中。「訳本」を購入して教科書にカタカナでフリガナを振り、語学教師に指名されるとカタカナのフリガナを読み上げる学内高校からのエスカレーター進学の連中。毎日ブランド物の服を着て講義にきちんと出席しマジメに板書もしているが、オイラがニンゲンの心理がどうとか言った話をすると眉をひそめる女学生連中。オイラはこんな学友たちを憎んでいた(笑)。
やがてオイラは、コロンバイン高校の2人のように暗ーいコートを身に纏い、暗ーい音楽を聴き、学友たちが象徴する「世の中」一般に背を向けるようになっていた。“大学デビュー”のパンク/ゴシック野郎である(笑)。

筋肉少女帯の曲で、「聞けェー!!オマエらワーッ!バカだバカだバカだバカだバカだ!無知モーマイの大バカモン野郎とはァ、オマエらのことダーっ!オマエらはロックの何たるか、人生の何たるかを分かっているのかぁーっ!オマエ、文学読んでるかブンガクを、コラっ!」…などと延々と絶叫する「パンクでポン!」というタイトルの曲(?)がある。銃を乱射するのに比べたらカワイイもんだが、当時のオイラはまさにそんな気分であった(笑)。

いい加減分別のある大学年齢になっていたから犯罪に走らずに済んだものの、あと3-4歳若かったり、音楽とかアートといったはけ口を見出していなかったら、オイラもいずれ取り返しのつかない行動に出ていなかったとは言い切れない。

オイラがこの高校生2名に対して単純に眉をひそめることが出来ないもうひとつの理由は、彼らがサカキバラ少年や佐世保の女児と違って、最初から自殺するハラを決めていたことである。
たんに“憎い相手をこの世から消し去る”のではなく、自殺の道連れとすることで「中心にいる連中」を(異端である)自分たちの側に引き込んだ上で共倒れしたところに、彼らが最期につかんだ命がけの小さな「勝利」(あるいは“引き分け”)を見出してしまうのである。言わば、彼らの行為は単純な殺人ではなく自分の(破滅的な)世界観の雄弁な主張とオルグであり、その世界観への殉教なのだ。

うーん、何歳になっても「多数派に挑むハズレ者」という単純なテーマに(それが犯罪者であっても)ついロマンを見てしまう自分って、なんだかなあ…。いまだに「パンクでポン!」のメンタリティを卒業してないだけだな。





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Last updated  2004.06.12 15:34:38 コメント(4) | コメントを書く
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