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2007.02.09

かつてバブル景気の頃、 「成田離婚」

このウェブサイトの訪問者では少数派であろう20代の青年諸君や、数は圧倒的に少ないが知的好奇心にあふれる少年少女諸君のために一応説明しておくと、これは当時、海外でのハネムーンの最中に仲たがいを起こした新婚夫婦が成田空港に戻るなり離婚するという「超スピード離婚」を指して、マスコミの連中が使い始めた言葉である。

海外旅行というのは、日本でデートしているときにはいかにもスマートで優雅に見えた新郎が、言葉の通じない国で遭遇したちょっとしたトラブルでオロオロしていたり、日本ではいかにも利発で快活に見えた彼女が、思ったとおりに行かない場面に立て続けに遭遇していとも簡単にヒステリーを起こしたりといったように、フツウのお付き合いではなかなか見えてこない1人の人間の度量だとか機転だとか心理的安定性などが露呈する貴重な機会である。

ただでさえ時差ボケや疲労でお互いイライラしがちなときに、ロマンチックな出来事どころか度重なるトラブル続きでお互いへの不信と不満を蓄積させた新婚夫婦が、新婚旅行から成田空港に戻るなり「じゃあ離婚しましょう！」と言い出すようなケースは容易に想像でき、バブル当時でなくとも今でも多数ありそうな気はする。

…で、流行語にはならないまでも、ある特定の出来事や背景をきっかけに離婚に至るケースをこのように 「○○離婚」 という呼び方で分類してみると、けっこう類型化が可能なのではないか…とオイラはかねがね考えている。

たとえば、トイモイさんの日記を読むと彼の周囲には（彼自身を含めて）若くして離婚した人が山のようにいるようなのだが、私の考えでは、これは彼らの多くが大学の「探検部」時代の仲間であることと大いに関係があると思う。

私はこの種の人間の離婚は、 「探検部員離婚」 として類型化できると考えている。

また、さいきんの日本でDVによる離婚と同じくらい多いと言われるのが 「“AVの見過ぎ”離婚」 であろう。
独身時代に妙なアダルトビデオを見すぎた男が、交際期には無難な交接方法しか試みなかった妻に対し、結婚してしばらくするといきなりｶﾝﾁｮｰを強要しだしたり、妙なコスチュームを買ってきて着てくれるよう懇願し始めたりして、妻が早々に愛想を尽かして離婚に至るというケースが日本ではひそかに社会問題化していると私は聞いている。

ほかにも、夫が隠れてﾏｽﾀｰﾍﾞｰｼｮﾝしているのを発見し「侮辱された」と感じた妻が三下り半を突きつける 「マス離婚 （オナ離婚とも言う）」は、世界中の離婚の2割近くを占めるという非公式データがあるらしいし(ﾎﾝﾏか)、また、母子家庭への支援が充実した福祉国家を中心に、最初から夫に期待せずに結婚した女性が、子供が出来た途端さっさとダメ亭主と離婚してしまう 「スウェーデン式離婚」 というのも増加傾向にあると聞いている。

…あと、これはあまりマスコミなどでは取り沙汰されていないが、 「舞茸離婚」 と私が呼んでいる離婚類型がある。この類型は、私が日本人の知人から聞いたあるケースに由来するものである。ただし、通常は結婚後よりも、結婚前の婚約期間中に起こるケースが多いと私は分析している。

以来、元来センシティブな彼は、その彼女と会うたびに「黄門からぶら下がっている舞茸」が頭に浮かんでしまい、彼女に対してすっかり欲情できなくなってしまったらしい。

やがて彼は別れを持ち掛け、彼女には当然その理由を詰問されたが、さすがに「舞茸」のことは言い出せなかったそうである。

このように、女性の側にはまったく思い当たるフシがないのだが、男性側に真相を聞いたところ実はこの“舞茸”のたぐいがトラウマとなり、愛しているのに二度とその相手に対し性欲を抱けなくなってしまった…という悲劇的なケースが、「舞茸離婚」や「舞茸(婚約)破棄」と総称される類型である。単に表面化しないだけで、実は男女の離別の１割強をこの類型が占めているという統計結果もあるそうだ(ﾎﾝﾏか)。

あなたの友達が、「ほかに女がいる様子はないし、前と同じように親切なんだけど、ある時期を境にベッドに誘わなくなって、やがて別れることになったの」…なんて言っていたら、「…それはもしや“舞茸離婚”なんじゃないか」という可能性を疑ってみるといいだろう。ただ、それが実際に舞茸離婚であったことが発覚したところで、何の解決にもならないことは、言うまでもない。
（終）

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