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2026.07.04
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アイデンティティ、すなわち「これが自分である」という自己意識は、簡単にいうと「ウソ」である。分かりやすい例が、自撮りした写真。オスマシしたり、眼を大きく見開いたりして撮った自身を「これが自分だ」と思っているんだろうが、あれは精一杯、理想に近づけた自分の姿であって、周りの人たちが自分をそんな姿で見ていないことは明らかである。カメラを意識していない普段の姿を誰かに全く抜き打ちで撮りまくってもらえば、それらが「周りの人が認知しているキミの本来の姿」である。もっと分かりやすいのは写真よりも動画。普段の姿を誰かに1日尾行してもらって撮影してもらうといい。「…え?自分はそんなことしてたっけ?」と思うような行動やしぐさや言動のオンパレードである。それがホントの自分の姿。「これが自分である」という自己意識と、客観的に観察された本当の自分の姿の間にいかに大きな乖離があるかを、直観的に理解できるよい方法である。

私が中学2年生の時に、不定詞 how to の用法を問われた英語の試験で、“I know how to ski.” (私はスキーの仕方を知っています)と書くべきところを、当時の奈良林祥医師のベストセラー『How To Sex』が頭の中にあったためか、無意識に “I know how to sex.”と答案用紙に書いてしまい100点を逃したことは別の機会に書いたことがあるが、錯誤行為には意味があり、自意識以外にも自分が計り知れない意識の領域が存在し、自分の行動や言動を左右しているという事実を、私は比較的若い時期にこの痛烈なエピソードを通じて理解していた。その後私は人間心理というものへの関心が長じて心理学を大学で専攻するまでに至ったわけだが、私が一貫して体感していたのは「これが自分である」という領域を狭くすればするほど、抑圧した自分の観念・欲動etc.は自分でコントロールできなくなり、神経症や錯誤行為のような形で日常生活の中で突如発出して苦労することになる、ということであるI。すなわち、私の “I know how to s…”のエピソードで言うと、日頃はオトナの前で「セツクス?なんですかそれ?」みたいな顔をして「イノセントなイタズラ坊主」の自分を演じていた中学2年生の私には、抑圧されていた大人びた自分が深層意識に燻っており、全く予期せぬ場面で予期せぬ形で噴出したわけである。

いずれにしても、「これは自分ではない!」として認めずに抑圧している自分の領域ーたとえば、狡猾でセコくて、淫らなことを妄想し、ウソをつく自分ーとは大人になる過程で折り合いをつけないと社会には適応出来ない。なぜなら自分の狡猾さ、セコさ、淫らな妄想etc.を開き直って日頃からそのまま表に出してしまえば明らかに社会から排除されるであろうが、一方で狡猾でセコくて淫らな妄想に満ちた自分の姿に完全に目をつぶり抑圧するにも限界があるからだ。
そこで多くの場合、この葛藤を解決(?)するために「フィルターを通す」という手段を学ぶ。要するに自己検閲だ。普段の社会生活においては「こんなセコいことをしたら嫌われるな」とか「こんな淫らな妄想を実行に移したらタイホされるな」と思われる行動や言動を自己規制し、嫌われたりタイホされない行動や言動だけを表に出すようにするわけである。自分の狡猾さ、セコさ、淫らな妄想etc.は意識下にはあるものの、否認も容認もしない「曖昧な領域」に仮置きしておくような感じである。

オトナはこの「曖昧な領域」に仮置きされた狡猾でセコくて、淫らなことを妄想し、ウソをつくなどの自分の要素を、例えばアルコールなどを使って自我を緩ませた時に定期的に解放する。昼間はフィルターを通して自己規制をかけた社会的に安全な「狭い」自己、夜はフィルターの網の目を大きくして自己規制を緩くした「広い」自己、というふうな二重生活というか二面性を体得した人間がオトナというわけである。

むかしは「夜の街」のような、昼間の世界とは異なる「緩いルール」が適応された場がその「広い自己」の解放のためにもっぱら利用されていたが、最近は「インターネット」のようなバーチャル世界を「広い自己」や決して表に出せない「闇の自己」の解放に用いているケースが(特に若い世代に)多そうである。「夜の街」の場合は時間・空間的に隔離されているだけでなく、アルコールの影響下での行動・言動ということで翌朝には「無かったこと」にして意識を切り替えられるが、インターネットのバーチャル世界の場合はシラフであり、得てして日常と地続きであるだけに、その二面性の境界線が不明確なところが厄介である。
要は、社会的には児童に尊敬される教師がインターネット世界では児童ポルノを交換する変態犯罪者であるようなケース。それは二面性というより、もはや変態犯罪者という「広い自己」が「主」になっていて、児童や同僚と接する時に限定して「狭い自己」を「演じている」感覚に近いのではないか。そもそも彼らは、幼児のパンちらや裸に性的に興奮する自分を「そんなのは自分ではない!」として抑圧するどころか、容認して同好の士まで見つけて画像や動画を交換さえしているのである。これは世間一般で「魔がさした」とされる、抑圧した欲望の突発・突出行為ではない。本来であれば抑圧され封印されているべき自分の暗い欲望が自我に取り込まれ、意識的かつコンスタントな行為として実行されているのだ。いわゆる闇堕ちだ。

インターネットやITによって「バーチャル世界」が発生したことで、それまでであれば単純に意識下に抑圧するほかなかった自分の非社会的な要素というか部分を解放できるようになったことは「精神の統合と安定」という観点からは歓迎すべきことである一方、非社会的な領域だけでなく反社会的な領域までを「これは自分である。」と容認してしまい(笑)、単にヒジョーシキなだけでなく、極めて実害の大きい犯罪行為に及んでしまう(=闇堕ち)のはちょっとマズイと思っている。
インターネット以前の時代であれば、「自分は闇の部分を背負った変態だ」と悩みながらも、その反社会的な性癖を文学や芸術に昇華させたりする方向性もあったのだろうが、現代はその「曖昧領域」がバーチャル世界で顕在化され日常化された人間が昼間は明るい顔で教師などの社会的に認められた仕事をしているという状況というか、そういう人間の精神状態が、ちょっとだけ怖い。





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Last updated  2026.07.04 12:41:52
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郡山ハルジ @ Re[1]:おひとりさま(07/31) 放浪の達人さんへ あ〜なるほど、そう言え…
放浪の達人 @ Re:おひとりさま(07/31) 最近はインスタ映え目的で独身でも行動す…
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