私が中学2年生の時に、不定詞 how to の用法を問われた英語の試験で、“I know how to ski.” (私はスキーの仕方を知っています)と書くべきところを、当時の奈良林祥医師のベストセラー『How To Sex』が頭の中にあったためか、無意識に “I know how to sex.”と答案用紙に書いてしまい100点を逃したことは別の機会に書いたことがあるが、錯誤行為には意味があり、自意識以外にも自分が計り知れない意識の領域が存在し、自分の行動や言動を左右しているという事実を、私は比較的若い時期にこの痛烈なエピソードを通じて理解していた。その後私は人間心理というものへの関心が長じて心理学を大学で専攻するまでに至ったわけだが、私が一貫して体感していたのは「これが自分である」という領域を狭くすればするほど、抑圧した自分の観念・欲動etc.は自分でコントロールできなくなり、神経症や錯誤行為のような形で日常生活の中で突如発出して苦労することになる、ということであるI。すなわち、私の “I know how to s…”のエピソードで言うと、日頃はオトナの前で「セツクス?なんですかそれ?」みたいな顔をして「イノセントなイタズラ坊主」の自分を演じていた中学2年生の私には、抑圧されていた大人びた自分が深層意識に燻っており、全く予期せぬ場面で予期せぬ形で噴出したわけである。