『 阿川佐和子の世界一受けたい授業
第一人者14人に奥義を学ぶ』
、文藝春秋、2012/10、980円)
久しぶりのブログ更新です。
恒例の「読書メモ」を書きたいと思います。
今しがた読み終わった対談本。
僕は対談本やオムニバスなど、
いろんな人の考え方を知ることができるものが
けっこう好きです。
自分の好きな著名人が何名か出ていると特に気になります。
この本の場合、対談相手が本当にバラエティに富んでいます。
「クラシック音楽について」は小澤征爾さん、
「心理学について」は河合隼雄さん。
宇宙飛行士の野口聡一さんも出てくるし、
建築家の安藤忠雄さん、AKB48の大島優子さん、
ヘビメタのデーモン閣下まで!
この本を読んで、ヘビメタにはクラシックの要素があると初めて知りました。(^^)
===============================
『阿川佐和子の世界一受けたい授業』
(・以降の太字部分は、本の内容。
顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)
◇小澤征爾(クラシック)
・とことん教え込むのは、
そのバリエーションのニュアンスを
50人いたら、その中で一番ダメなやつにまで分からせるため。
先生
(恩師の斎藤秀雄先生) 曰く、
ピラミッドの底辺を教えるのが教育だ、
頂上にいる人は教えなくても分かるって。
僕はそこまでやったから、
どこへ行っても、あのやり方で教えればいいんだと分かる。
先生は
「お前、これちゃんとやっときゃ、
世界中どこへ行ったって絶対通用するぞ」
と言ってたけど、本当にどこでも面白いぐらい通用しました。
・演奏家は作曲家が書いたものを表現するんだという、
切羽詰まった使命感が薄い。
要するに斎藤先生みたいな教育者がいない。
◇塩野七生(ローマ史)
・私は常に一人の読者に向かって書いています、
それが何万人になろうと。
・どうして 原書を読む
かというと、
書いた人の声を聞くため。
福田恆存
(つねあり) 先生が、
文章とは意味を伝えるだけではなく、
肉体の生理を伝えるものだとおっしゃっている。
原書を読むと 書いた人の生理を感じる。
そうすると、もの書きってのはだいたいちょっと神懸かってるから、
書いた人の声が聞こえてくる
。
・書き手として書き手のものを読むから、
この人は何でこんなことを書いたのか、
なぜこう書かざるを得なかったのか、
なぜ他の人が書いてることを彼は書いてないのかとか。
私はデータの背後にいるデータを書いた人間に思いがある。
◇河合隼雄(心理学)
・社会が豊かになるほど、
悩みも豊かになる。
戦争中なんて、みんな生きるのに精一杯。
ノイローゼ、自殺はほとんどない。
でも今は、無気力でも食っていけるから。
・
(カウンセリングの例で)
引っつきすぎたのが馬鹿なんです。
僕ら、 手は差し出さない んですよ。
下手な人ほど手を出す。
・僕だったら下宿まで行きません。
もし行ったとしても、 何もしない
でしょうね。
・ あれせい、これせい、なんて言うのは
絶対にいけないんです。
・普通はだいたい話半分で腰を折るでしょ。
「あなたの気持ちは分かるけど、頑張るのよ」とか。
僕ら、そんなの絶対言いませんから。
・人を分析するんだったら、
自分自身が分析されないといけない。
だから、訓練の基本は私の分析にあるんです。
たとえば私が母親の問題を抱えていて、
クライアントが「母親とうまくいきません」と言ったら、
来られた人の問題はそんなに大きくないのに、
自分の問題と一緒にして、こっちが大きくしてしまうこともよくある。
・箱庭を作ること、つまり 自分の思い通りに創造することが、
その人にとってすごく治療的効果を持つ
。
たとえば腹が立ったからってバケツ蹴っても何にもならないけど、
怒りが綺麗に表現されたら、やっぱり癒される
。
そして、それを分かってくれる人がいるのが大事 。
終わってしまえば、その人は強くなるから、
他へ行っても大丈夫。
スッと別れていく。
だから、 我々は 別れていくことを目的にやってる 。
◇養老孟司(環境と人間)
・少なくても日本は、せいぜい世界の60分の1でいいだろうって
僕はいつも言ってる。
日本の人口がだいたい世界の60分の1なんだから、
何でも60分の1でいいんです。
収入も、支出も。
先進国だ経済大国だなんて威張ってるのが変なんだ、そもそも。
・本来、環境も自分もない。
世界は自分なんです。
一生懸命に「私」を確立しようとした、
その動きが19世紀に激しく進んだ。
自分と外の世界を切っちゃったわけだから、
そこで初めて「環境」ができちゃった。
=============================
河合隼雄さんの言葉は特に教育や子育てのときに気に留めておきたい言葉だと思いました。
昔、「ハイスクール!奇面組」というマンガがあって、
その中に「 親切心の逆効果
」というのが出てきたことがありました。
河合隼雄さんの言う「手を出しすぎて失敗する」というのもこれと同じことなのかな、と思いました。(違うかも。(^^;))
マンガといえば対談マンガ『絶望に効くクスリ』にも
河合隼雄さんが登場する回があります。 (▼関連過去記事「 ふたつよいこと さてないものよ (河合隼雄)
」)
もう亡くなられてかなり経ちますが、本当に偉大な人を亡くしました。
ご著書だけでなく、こういった対談本で
河合隼雄さんの考えにふれられることも多く、
いろいろなところに出ておられたことを改めて感謝したいと思います。
↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。
ブログ王ランキング
「その分野の達人」に教えてもらおう! … 2024.03.30
「毎日そのことを考えるだけ」 ~ゆうき… 2024.01.03
業務を「外注する」という発想 ~山本智… 2023.12.16
PR
Category
Keyword Search
Free Space
Calendar
Comments