星とカワセミ好きのブログ

2020.04.13
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カテゴリ: 星 / Stars
2019年3月2日、上野公園の国立技術博物館で「日本を変えた千の技術博」を見ましたが、一番興味をもったのが、小惑星探査機「はやぶさ:MUSEC-C」のコーナーでした。
「やはぶさ」は2003年5月9日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、2010年6月13日にオーストラリアのウーメラ砂漠に帰還しました。小惑星「イトカワ」の砂を採取し、世界初の地球・小惑星間の往復飛行を達成しました。7年35日(2592日)の旅でした。

小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジン運用記録が特別公開されていました。
イオンエンジンの開発・運用担当者の國中均氏直筆ノートです。

私が持っている本で「小惑星探査機『はやぶさ』の超技術 プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録/川口淳一郎監修 「はやぶさ」プロジェクトチーム編/講談社ブルーバックス」のP170~195に、往復の宇宙飛行を可能にしたイオンエンジンとして國中均氏の説明文があります。
P194の「コラム1-2 イオンエンジンの海外展開」として、「我々はイオンエンジンを「はやぶさ」のためだけに開発したのではなく、当初から産業化・量産化も視野にいれていました。NECはμ10をベースとしたマイクロ波放電式イオンエンジンの海外展開を狙って、米エアロジェット社と協業。人工衛星や探査機向けに、すでに受注活動を開始しています」と書いてあり、今後の幅広い分野での発展が期待され、感心しました。



↑ 小惑星探査機「はやぶさ」MUSES-C。
「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」探査のため、2003(平成15)年5月9日に内之浦宇宙空間観測所から旅立って、7年間、60億キロメートルを旅して、小惑星からのサンプルリターンを果たした探査機である。
主要な目的のひとつが、イオンエンジンを主推進機関として惑星間を航行することであった。ミッションの途中で交信が途絶え、重大なトラブルを抱えながら地球にサンプルを届けた様子は、人々に感動を与えた。



イオンエンジンは、衛星に搭載されている電気推進機だ。「はやぶさ」ではイオンエンジンの耐久性を高めるため、プラズマをつくる電極を無くし、イオンを引き出すグリッドとよばれる電極に炭素複合繊維を使用した。



↑ イオンエンジン μ10(ミューテン)。



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↑ 初公開! あの小惑星探査機「はやぶさ」のドラマが克明に記されたノート。


↑ 小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジン運用記録。2003(平成15)年。
イオンエンジンの開発・運用担当者の國中均氏直筆ノート。解説も國中氏による。
打ち上げ後、温度設定から記録が始まり、1台目点火、2台目、3台目、4台目、2台同時運転、3台同時運転、24時間連続運転・・・と失敗しながらも進む様子が読み取れる。
地球へ帰還させるための苦闘の記録でもある。


↑ イオンエンジンの開発・運用担当者の國中均氏直筆ノート。
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【2003年】5月9日~5月29日。



↑ 5月27日 :真空暴露して付着ガスを放出して、5月27日にスラスタCの点火試験を実施。スムーズにプラズマ着火に成功。そのまま非加速で維持。すると18分後にモード変化して、ケーブル温度が急上昇したので、慌てて停止。
↑ 5月28日 :スラスタCにプラズマ点火し30分維持、引き続き1KVでプラズマ加速に成功。30分後1.5KVに上昇させ30分加速に成功。同時に地上からの温度計測を行い、推力発生を確認!。
↑ 5月29日 :スラスタBの運転に取り掛かる。まずプラズマ点火のみ。10分後にモード変化が発生したので急停止。スラスタCと同様の挙動のため、再点火して30分維持。次に1.5KV加速を40分実施。


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【2003年】6月8日~6月11日。



↑ 6月9日、10日 :放電抑制するために、付着ガスの放出を目指して、探査機のX面パネルのベーキングを実施。姿勢を傾けて太陽光を入射させ、さらにヒーター加熱により50℃環境で2日間保持。
↑ 6月11日 : スラスタAとCにて約1時間の同時運転を達成。


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【2003年】6月12日~7月6日。



↑ 6月12日 : スラスタBとDで約時間半の同時運転。
↑ 6月13日 : BCD3台運転、約2時間を実施。
↑ 7月6日 : 前日よりBCDの3台で連続運転に挑戦するも、不可視中約6時間運転されたが、7月6日に自動停止した状態で入感。引き続き連続運転に挑戦。





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【2003年】7月7日~7月10日。


↑ 7月7日 : 7月7日も約4時間運転されたが、やはり自動停止状態で入感。
↑ 7月8日 : Cのみ停止した状態で入感。BD2台による自動運転に成功。この日は、引き続きBD2台を続行。
↑ 7月9日 : BD2台運転のまま入感。3台運転に移行。
↑ 7月10日 : BCD3台運転を維持したまま入感。初めて3台自動運転を達成!


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↑ 私が持っている本で「小惑星探査機『はやぶさ』の超技術 プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録/川口淳一郎監修 「はやぶさ」プロジェクトチーム編/講談社ブルーバックス」



↑ P170~195に、往復の宇宙飛行を可能にしたイオンエンジンとして國中均氏の説明文がある。



↑ P188。μ10(ミューテン)の動作原理図。





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最終更新日  2020.04.29 10:15:25
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