星とカワセミ好きのブログ

2021.09.30
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イタリア・ローマのサンタマリア・イン・コスメティン教会の「真実の口」はとても有名です。
罪に問われているものが嘘をつくと、河の神に手が食われてしまうという伝説があります。

1953年に制作された映画「ローマの休日」では、新聞記者役のグレゴリー・ペックと、王女役のオードリー・ヘップバーンが、「真実の口」を訪れる有名なシーンがあります。
グレゴリー・ペックが真実の口に手を入れると、手が口から抜けなくなり大声を出します。驚いたオードリーがグレゴリーを思いっきり引っ張って助けようとします。すると急にグレゴリーが口から腕を出して、彼女に手を見せます。ビックリするオードリーですが、すぐに自分が騙されたことに気づくとともに、グレゴリーが何もなかったことに安堵して、思わず彼に抱きつきます。

この有名な「真実の口」ですが、2021年に彫刻家アントニオ・カジロ氏が、オリジナル作品から直接再現して復刻作品を制作しました。それがお台場の「ヴィーナス・フォート」の一角に設置されています。

復刻制作の過程が紹介されたパネルがあり、どのように制作されたのかが分かり、とても面白いです。







↑ お台場「ヴィーナス・フォート」の一角にある「真実の口」。(2021年8月11日撮影)





↑ 2021年7月31日に撮影した「真実の口」。このときには、マスクで口が覆われていた。



↑ 「真実の口」が2001年に彫刻家アントニオ・カジロ氏により復刻制作されたことが書いてある。





↑ 「真実の口」復刻作品 制作プロセス。


↑ 1)サンタマリア・イン・コスメディン教会(右写真)
「真実の口」のあるこの協会は、8世紀以降何度も改築されている。34.2mのロマネスクの鐘楼は12世紀に建てられた。コスメディンとはオーナメント(装飾物)という意味である。



↑ 2)採石場(右写真)
イタリア、カラーラ産の白大理石はミケランジェロの一連の作品で知られる。復刻作品に使用された白大理石は、この巨大な採石場から切り出された。写真右下のクレーン車を見ればその大きさがうかがえる。



↑ 3)大理石の選定、切り出し(右写真)
石は長方体に切削するのが普通であるが、今回は正方形の厚板を切り出し、さらに工房で3枚に分けられた。

4)写真撮影
オリジナルの「真実の口」の凹凸を正確に検出するため、写真測量を行う。立体を様々な角度から撮影し、その像をコンピュータ上で重ねていく。



↑ 5)高低測量コンピュータ解析(右写真)
コンピュータに取り込まれたデータはミリ単位で解析され、1200万ポイントがチェックされる。立体眼鏡をかけると、画面上には立体が浮かびあがる。




地図の等高線と同様の図面に則って、各高度のレリーフを作り、重ねていく。レリーフ型のベースになる。



↑ 7)粘土によるモデリング(右写真)
木製の台に粘土で肉付けをしていく。

8)シリコン型制作。
シリコンを粘土型(粘土に彩色をして、仕上がり感を見たもの)に流し、凝固した面を用いて凹型を作る。枠の中に柔らかいシリコンの型を固定するのは熟練した技術が求められる。


発泡性のポリウレタン樹脂を流し込み、成型、原型を完成させる。



↑ 10)レーザーによるレリーフ彫刻(右写真)
原型をコンピュータがレーザーで読み取り、大理石を彫刻。

11)のみ作業。
手作業により細かいキズ、穴などを加えていく。



↑ 12)サンドブラスト処理(右写真)
表面を風化させるために、砂をエアコンプレッサで吹き付け、ざらざらした加工を施す。



↑ 13)アンティーク仕上げ(右写真)
染色を施し、ワックスなどの特殊材料で古代の風合いをだす。

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映画「ローマの休日」の中でとても有名な「真実の口」の場面。
新聞記者役のグレゴリー・ペックと、王女役のオードリー・ヘップバーン。


↑ グレゴリーが真実の口に手を入れる。


↑ 手が抜けなくなり、大声を上げる。


↑ すぐに助けに行くオードリー。


↑ グレゴリーの体を引っ張る。


↑ グレゴリーの腕が口から離れるも、手が食われたと思い顔を覆うオードリー。



↑ 何ともなっていない手を見せられて、驚く。


↑ 騙されたことに気づく。


↑ 怒りながらも安堵してグレゴリーに抱きつくオードリー。


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「ヴィーナス・フォート」の様子。






















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最終更新日  2021.10.06 06:00:05
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