仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2024.04.19
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カテゴリ: 東北


■理化学研究所プレスリリース  全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴

以下に、要点をまとめる。
・全国7地域の医療機関に登録された3,256人の日本人の全ゲノム情報を分析。
・まず、コモンバリアントに基づいて従来の主成分分析を実施。以前の研究と同様に、沖縄と本土クラスターの二重構造が再現された。
・次いで、レアバリアントを使用した次元削減分析で、前例のない遺伝構造が明らかになった。
・具体的には、本土の領域間のより明確な分離と、本土クラスターから沖縄クラスターのより明確な区別が観察される。また、東北の人々が細長いエリアにクラスタリングされる。
・さらに、ADMIXTURE分析の結果、日本人口は、3つの祖先の混合によって最もよくモデル化できることを示唆する。すなわち、K1(沖縄)成分は、本土サブグループで安定した割合、K2(東北)成分とK3(関西)成分は西から東北に徐々に変化する。
・以前の研究により、日本人が縄文人及び東アジア(EA、主に漢民族)の祖先をもつことが示唆されている。最近の古代ゲノム分析から、北東アジア(NEA)の祖先の影響も指摘される。この背景のもと、縄文、EA、NEAの現代及び古代の遺伝データを今回データと共に分析した。

・また、関西人と黄河又はその上流地域の中新石器時代および後新石器時代古代中国集団との間に顕著に密接な関係が見受けられた。対照的に、東北地方の個体は縄文人との遺伝的親和性が顕著に高く、また、沖縄の宮古島の古代日本人ゲノムや古代韓国人(三国時代)とも高い遺伝的親和性が示された。
・最新の確率的手法IBDmixを使用し、現生人類の近縁で絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人由来の遺伝子配列が検出された。
・本研究は、日本人の起源に関する重要な洞察を提供する。従来の二重構造モデル(縄文時代の狩猟採集民と大陸からの弥生時代の稲作移民の混血)に対して、最近出土した人骨のゲノム研究による三重構造モデル(縄文人の祖先集団、北東アジアに起源を持ち弥生時代に日本に渡った集団、東アジアに起源を持ち古墳時代に日本に渡った集団の3集団の混血)が提唱された。しかし、先行研究では古人骨全ゲノムのサンプル数が制限されていたところ、大規模な現代日本人ゲノム情報に基づいた今回の研究により、三重モデルの裏付けになる可能性がある。
・さらに、初めて日本人の遺伝的構造に対する東北地方人の祖先の影響の重要性が強調された。居住していた蝦夷(エミシ)の起源を調べる必要がある。

報道は分かりやすさを求めるが(これで決着?)、あくまで数理上の解析であり、三重モデルをよく説明できそうだということだろう。人類学的視点、古い地形や古気象学など様々な観点から研究の深化が求められると考えるが、今回の成果が支持しそうな仮説的な3系統とは、次のようになろう。
1.縄文系 沖縄に多い
2.関西系 関西に多い。古代中国黄河付近の漢民族と親和
3.東北系 東北に多い。縄文人や古代韓国人とも親和。由来が不詳(蝦夷?)

■関連する過去の記事
東北の縄文人の特徴 (2016年4月7日)
東北縄文人はどこから来たか (08年11月23日)
ミトコンドリアDNAと日本人の起源 (07年11月4日)
縄文人と弥生人 (07年6月5日)

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最終更新日  2024.04.20 07:01:24
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