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北九州市で生活保護行政をめぐり連続して起きている餓死事件に関連して,市民や弁護士が福祉事務所長を刑事告発しました。 憲法25条の謳う生存権を保障する生活保護をめぐって,なぜ人々が命を落とす事件が起きるのか。告発は,生活保護行政のありかたを根本から問うものといえます。 同市門司区の市営住宅で一人暮らしの男性が餓死し,変わり果てた姿で発見されたのは,昨年5月でした。同市で生活保護行政をめぐる餓死や自殺は,この件にとどまりません。この7月には同市小倉北区の男性が生活保護の「辞退届」を強要され,餓死しているのが見つかりました。 同市の生活保護行政の問題点を追及してみて痛感したのは,日本社会に広がる貧困の深刻さと命綱である生活保護制度の機能不全の実態です。北九州市はその縮図です。自民党・公明党連立政権がすすめてきた雇用と社会保障破壊の「構造改革」路線の結末でした。 生活保護は,「日本国憲法25条に規定する理念に基き,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的」(生活保護法第1条)にしています。国による生存権保障のための制度です。 生活保護法にもとづく行政が適切におこなわれるなら,「すべての国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)を享有できるはずです。 「構造改革」によって失業,倒産,低賃金になどの犠牲にさらされても,生活保護がセーフティーネットとなるなら,餓死や経済苦による自殺という痛ましい事件はおこるはずがないのです。 なぜ生活保護が本来の役割を果たせなくなっているのか。今回の刑事告発は,その原因に政府の生活保護切り捨てを背景にした,公務員の犯罪があることを暴き出しました。 告発の対象となった,生活保護の「辞退」を強要され,餓死した男性は,肝炎,糖尿病,高血圧などの病気で働けず,極度の生活困窮によって生活保護をうけていました。 生活保護の継続を必要とする人に福祉事務所が辞退届の提出を働きかけることは許されません。ところが小倉北福祉事務所は「指導助言」に名をかりて辞退届を出させ,保護を廃止したのです。職権を乱用して受給権を奪ったことは明らかです。 当時男性は病気に加え,精神状態も不安で,保護を必要とする状態にありました。福祉事務所は,保護を廃止すれば餓死にいたることがわかっていながら廃止し,死に至らせました。 まさに「生存に必要な保護をしなかった」ため,死にいたったのです。行政,公務員の犯罪行為によって生活保護法が機能しませんでした。保護者責任遺棄による致死罪を犯していたことも明白です。 ことは人の命,社会保障の根幹にかかわることです。刑事告発を通じ,今回の事件の真相を解明し,責任を明確にすることは,最後の命綱である生活保護制度を本来の姿によみがえらせる契機にもなります。 いま「なくせ貧困」を求める市民の運動は全国に広がっています。生活保護行政に携わる自治体労働者も「人権を尊重する行政の確立を求める運動」を提唱しました。生存権を守る上で,市民と自治体労働者との連携は,大きな力になります。
Aug 31, 2007
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トップアスリートが集う陸上の世界選手権大阪大会(長居陸上競技場)で,連日35度前後の猛烈な暑さが,選手たちを悩ませています。 「力を出せなかった。悔いが残る」 女子走り幅跳びで予選落ちした池田久美子選手は,涙ながらに声を絞り出しました。同選手は,その理由として,プレッシャーや疲労,そしてこの酷暑をあげました。 「暑さで体がだるく,頭がボーッとした」 女子走り幅跳びのあった大会3日目(8月27日)は,競技開始の午前10時で,すでに33度。直射日光にさらされる競技場内はさらに暑い。 「トラックに置いた温度計が50度を超え,壊れてしまいました!」 この日,大会を放送するテレビ局の女性アナウンサーは叫びました。 競技場は,あちこちでかげろうが揺れ,日差しにあたると,頭が痛くなるほどの強烈さです。湿度も高く,体に感じる暑さの逃げ場がなく,天然サウナ状態です。 「熱中症予防のため,水分を十分にとってください」。スタジアムでは観客にたいしても,こうしたアナウンスを繰り返しています。 選手も競技中は,白いタオルで頭を隠し,防御策を取っていますが,焼け石に水といった感は否めません。 女子走り幅跳びとほぼ同じ時刻だった男子走り高跳び予選でも,日本の選手が暑さにやられました。メダル候補ともいわれた醍醐直幸選手は,両方のふくらはぎをつるアクシデント。最後は,踏み切りすらできませんでした。 「水分補給をして対策を取ったつもりだったのに」と唇をかみました。 日本選手だけではありません。外国人選手,チーム関係者,審判も含め,大会前の8月20日以降,暑さで健康を害し,組織委員会の医務室に運び込まれた数は全体で約40件に上ります。 これらを反映してか,大会の記録も低調です。3日目まで世界記録はゼロで,大会記録もわずか1。そもそも,この暑さを懸念し,大会出場を回避した選手も多く,実際の競技でも,優勝候補といわれた外国選手が途中棄権するケースも多くありました。 最も問題なのは,マラソンや競歩などの過酷な種目です。 大会前,国際陸上競技連盟(IAAF)の複数の理事からも,大会直前に,この猛暑を懸念する意見が出されました。 「とくにマラソン,競歩の選手に与える影響が心配。スタート時間をもっと早くできないか」。組織委員会に異例の注文が出されました。 実際,8月25日の男子マラソンでは出場85選手のうち,実に1/3の28選手が途中棄権しました。気温30度,湿度70%を超える高温多湿の暑さが選手たちの最高の力を発揮する妨げになっていました。同時にこれは,生命の危険さえ招きかねない状況でもあります。 男子マラソンの翌日の8月26日,記者からもマラソンを「中止するとかのルールや制限はないのか」との質問が飛びました。 今年の暑さは予想以上ではあっても,この時期の大阪の気温や湿度がマラソンなどにとって,適切な条件にあるのかもっと検討されるべきではなかったか。日本陸連は以前から,「スタート時26度。30度を超えることも考えられる」としていました。 競技者の安全を確保することは,大会を運営・主催する側に求められる第一の責任です。今後は,そうした観点から,しっかりした基準をつくるとともに,それに合わない場合は,涼しい地域での分散開催なども含めて,考えるべきではないでしょうか。 大会終盤に向け,女子20キロと男子50キロの競歩,そして最終日には,女子マラソンが予定されています。残りの期間,それぞれの競技で,選手の力が最大限発揮されることを願わずにはいられません。 同時に,選手の健康・安全最優先の運営を考える上で,大阪大会の教訓は今後に生かされるべきでしょう。
Aug 30, 2007
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新しく自民党幹事長になった麻生太郎氏は,数々の暴言を繰り返し,国内外から厳しく批判されてきました。主な暴言をみてみました。【改憲・軍拡】 「自衛隊(の存在)はみんなが認めている。日本は戦力を保持しないといっても,外国は理解できない。憲法九条二項を『陸海空自衛隊,これを置く』と置き換えればいい。憲法『改正』でなく『修正』が第一歩だ」(2001年4月14日,時事通信社などとのインタビュー) 集団的自衛権をめぐる政府見解について「権利はあるが使ってはいけない,というのは無理がある。世界中で認められていない国はない」。(2001年11月4日,学習院大学で講演) 「周辺事態」で海上自衛隊艦艇が支援中の米艦へ攻撃があった際,「日本が逃げるというのは,同盟関係でいかがなものか」と述べ,応戦も認められるべきだと見解。(2006年10月27日の衆議院外務委員会) 「核武装」をめぐる議論について「いろんなものを検討したうえで持たないというのもひとつの選択肢だ」と核武装の議論を否定せず。(2006年10月17日の衆議院安全保障委員会) 日本の核武装に関する質問に対し「安さだけでいったら,核(武装)の方がはるかに安い」,「ミサイル防衛(MD)の技術はこの10年で恐ろしく進歩した。日本が専守防衛をやるなら,MDを徹底してやった方がいい」。(2003年5月31日,東京大学で講演) 北朝鮮のミサイル発射について,朝鮮労働党の金正日総書記に「感謝しないといけないかもしれない」。(2006年7月8日,広島市内の講演)【靖国・歴史観】 「遊就館には何度か行ったことがあるが,戦争を美化するという感じではなく,その当時をありのままに伝えているというだけの話だ」(2005年11月21日に出演した米通信社ブルームバーグ・テレビの番組でインタビュー) 「(靖国神社に)祭られている英霊は,天皇陛下万歳といった。天皇陛下の参拝が一番だ」(2006年1月28日) 小泉純一郎首相の靖国参拝について「祖国のために尊い命を投げ出した人たちを奉り,感謝と敬意をささげるのは当然。首相としても簡単に譲るわけにはいかないと思う」と支持。(2005年11月13日,鳥取県湯梨浜町で講演) 「『大変だ,大変だ』と言って靖国の話をするのは基本的に中国と韓国,世界191ヶ国で2ヶ国だけだ」(2005年11月26日,金沢市内の講演) 「創氏改名は,朝鮮人の人たちが『名字をくれ』と言ったのが始まり」と事実をねじ曲げる。(2003年5月31日,東京大学で講演)【消費税増税】 「一連の構造改革を支えていくために税構造を抜本的に変えるなど,直間比率の見直しなどを含めた税制改正を行う」と発言。党税制調査会での議論に,消費税増税も検討課題にすることを示す。(2002年1月19日,自民党大会) 「基本的には,直間比率を見直さないといけない。(消費税の比率を増やす)広く薄く,が正しい」(2003年1月7日,自民党本部で会見)【偏見・暴言】 「高齢者の85%は周りが迷惑するくらい元気だ」(2006年9月14日,自民総裁選街頭演説会) 「65歳以上で寝たきり老人や,要介護老人はたった13%。87%は,周りが迷惑するくらい元気が良い。しかも(お金を)持っとる」(2007年1月19日,愛知県春日井市で講演) 「消えた年金」5,000万件の突き合わせで年金受給者は「もっともらえるかもしれない。こらぁ欲の話だろうが。それが,何も,いまあせって電話することない」。(2007年7月12日,兵庫県姫路市で街頭演説) 「78,000円と16,000円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でも分かる」などと日本のコメが中国で日本国内よりも高値で流通していることを例に,農産物の輸出を奨励。(2007年7月19日,富山県高岡市で講演) 「独断と偏見だが,金持ちのユダヤ人が住みたくなる国が一番いい国じゃないか」,「ユダヤ人と挙げて気に入らなければ,アルメニア人でも華僑でもいい。少なくとも日本人の中では(反発は)考えられないと思う」 (2001年4月19日,東京都内の日本外国特派員協会で講演) こんな人が今の自民党でのナンバー2です。個性的というより偏見的というのが私自身の率直な感想です。こんな人が,国民のための政治をやってくれるとはとても思えません。
Aug 30, 2007
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海外メディアは安倍晋三首相が8月27日の内閣改造や与党・自民党の役員人事で要所に右翼的,「タカ派」の顔ぶれを集めたことに強い警戒心を示し,今後の対アジア外交の行方を注視しています。 人民日報は「国際論壇」で,「安倍首相は内閣支持率の低迷で総選挙に打って出る勇気がない。そのため力を蓄えて時機をうかがうことにした」と背景を説明。 「内閣支持率が回復しなければ,安倍首相は自民党内の政権継続反対の声を放っておくわけにいかなくなる」が,「内閣大改造で危機を打開できるか未知数だ」と論評しました。 新華社通信も「国際観察」で,「彼ら(新閣僚)が安倍政権の『強心剤』になれるか未知数だ」と論じました。同電は,参議院で劣勢に追い込まれた状況からすると「新内閣は薄氷を踏むようなものだ」と指摘しました。 また,安倍首相が掲げる「美しい国づくり」「戦後レジームからの脱却」「憲法改正」は「民生問題に関心を持つ民衆を引きつけられなかった」と分析。「新内閣が挫折すれば,自民党内で安倍首相の責任を追及する声はさらに高まる」として「日本の政局は大激動の可能性がある」と述べました。 香港ATVテレビ(英語)は8月28日朝のニュースで,「安倍首相の内閣改造と自民党役員人事では,『タカ派』が中心的なポストを占めたとの声が出ている」と報道。 ATVのニュースは,「たいへんなタカ派」町村氏の外相指名について,「町村氏は中国に対し歴史博物館の展示を見直すよう求めている。彼はこれらの展示が第二次世界大戦での日本を歪めていると主張する」と指摘。新財務相の額賀元防衛庁長官は昨年6月,北朝鮮のミサイル発射実験直後に,日本は海外の基地にたいする軍事的攻撃能力を高めるべきだと述べたと紹介しました。 同じく香港紙・明報8月28日付も,町村新外相が文部科学相だった1998年に「歴史を改ざんする右翼出版社の歴史教科書」の検定を合格としたり,高村防衛相は「対北朝鮮強硬派である」と指摘。 麻生・自民党新幹事長は,「日本のタカ派の代表的人物の一人で,親米,対中国強硬派。右翼的発言を繰り返し,侵略の歴史を美化している」と批判しています。 イギリス紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)8月28日付は,「博物館から『反日展示物』の撤去を中国に要求してきた」町村外相のもとで「改善された中国との関係維持」ができるかどうかに注目しています。 8月28日付の韓国各紙は,安倍改造内閣に町村信孝外相が入閣したことに強い警戒感を示しています。 中央日報は「小泉政権で外相を務めた当時,歴史教科書問題などで韓日関係において相当に右派的な傾向を見せた人物」だと指摘。京郷新聞は,町村氏が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史わい曲教科書を検定合格させた人物だとして,「韓日教科書紛争を引き起こした張本人」であり,小泉首相の靖国神社参拝も積極的に支持してきたと報じました。 韓国日報は,「町村氏の外相復帰に韓国などの隣国は神経をとがらせている」とし,前回の外相時代に首相の靖国参拝を支持し,南京大虐殺を疑問視する文章を外務省ホームページに掲載したことをあげて,「過去の歴史をわい曲,美化する言行で波紋を起こした」と批判しました。 ハンギョレ紙は,自民党幹事長に就任した麻生太郎氏についても,「創氏改名は朝鮮人が望んだ」といった暴言によって韓国で知られている人物だと伝えています。 安倍内閣改造について,ドイツの海外向け公共放送ドイチェ・ウェレは8月27日の電子版で,批判をかわす「逃げの一手」と報道しました。 同放送は内閣改造で町村氏や高村氏など,人気があった小泉首相のときに任命された「古い顔が主要なポストを占め」,「麻生前外相が自由民主党の幹事長になった」と古さを強調して伝えました。 ドイチェ・ウェレは安倍首相が参議院選挙で大敗し,世論調査で支持率が約20%に低下したのは相次ぐ「政治とカネ」のスキャンダルで閣僚が3人も辞職し,年金問題での失敗が国民を怒らせたからだとし,安倍首相は内閣改造で批判をかわす「逃げの一手を打ったと評論家はみている」と報じました。 アジアのみならず,世界から警戒感を示される安倍首相の内閣改造は支持を得られていないのがよく分かります。今後の安倍内閣の動向が注目されます。
Aug 29, 2007
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安倍晋三首相のインドネシア,インド,マレーシア3ヶ国歴訪の旅が終わりました。 参議院選挙での失敗を外交でもりかえすとの思惑とは裏腹に,アジア諸国民の意識とのずれの大きさばかりが目立つ外遊となったのは否めません。アジア人の手でアジアの平和な共同体をつくるというASEAN(東南アジア諸国連合)の意気込みも理解せず,アメリカ仕込みの「価値観」を押し付けるだけの安倍外交では,アジアから共鳴を得られないことがいよいよ鮮明になりました。 安倍首相が強調したのは,アメリカがイラク戦争など世界政策の基礎にすえている「自由と民主主義」などの「基本的価値」を売り込むことでした。 インドネシアで行ったASEAN政策についての演説では,わざわざ,各国の指導者が「民主的諸価値」,「法の支配」などの言葉を使っていることをもちだし,「励まされている」とまでいいました。インド国会でも日印パートナーシップと「基本的価値」の結合を強調しました。 特定の価値観を押し付けることほどASEANに無理解なことはありません。ASEANは体制が異なっても平和的に協力していくことを基本にした集まりです。参加国は,資本主義,イスラム国,社会主義をめざす国と様々です。それがアジアの平和の流れを大きくしている原動力になっています。 ASEANに特定の「基本的価値」をもちこむことは,その価値と一致しない国との間に一線を画すことにもなります。体制の違いをこえて友好協力関係をつくりあげるというASEANの努力を無にするのは明白です。 安倍首相は,「基本的価値」の押し付けがASEANの努力に横やりを入れるものだということを理解すべきです。 インド国会で,アメリカ,日本,オーストラリア,インドの4ヶ国が一体となって「拡大アジア」へと成長させると安倍首相が表明したことは,とくに重大です。日豪関係を条約なき安保同盟にしたように,日印協力の変容をはかるのは,アメリカ中心の新しい安保同盟関係をアジアでつくる狙いからです。それは,ASEANがめざしているアジア中心の東アジア共同体づくりを阻害する対立物になりかねません。 安倍首相の大国意識も見過ごせません。アジアと世界が直面する挑戦に対して,「ASEANの皆様には,ぜひともわれわれ日本人と一緒に立ち向かっていただきたい」と述べました。これでは“おれについて来い”といわんばかりです。 安倍首相は,ASEAN政策で「思いやり,分かち合う未来を共に」と呼びかけました。「思いやり」というなら,まずやらなければならないのは,アジア侵略と植民地支配の歴史的責任を認め,被害者にたいして公式に謝罪し償いをすることです。 ところが安倍首相は,極東軍事裁判で東条英機元首相らの無罪を主張したパール判事をもちだし,侵略戦争の正当化を印象付けようとさえしました。反省も謝罪もせずに「思いやり」をいっても共鳴は得られません。 安倍政権は,明治政府がアジアを差別し,“脱亜入欧”政策に走ったことが領土拡張と他国支配のための侵略戦争につながったことを思い起こす必要があります。 アメリカの代理人としてふるまうのではなく,アジアの一員として,憲法九条を生かした自主外交に転換すべきです。
Aug 28, 2007
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「消えた年金」問題で社会保険庁の年金相談に寄せられた電話件数は6月以降450万件以上にも達しています。8月に入っても1日平均約18,000件という例年にない件数で,国民の怒りと不信が続いていることを示しています。政府が打ち出した年金対策はどこまで実行されてきたのでしょうか。 5,000万件にものぼる年金記録が持ち主不明のまま放置されていた「宙に浮いた年金記録」問題。 年金記録を統合するため,安倍首相は,加入者7,000万人・受給者3,000万人の1億人に「ねんきん 特別便」を送り,年金加入履歴を通知することを発表しました(7月5日)。これは日本共産党が,「ただちに1億人へのレター作戦を」と政府に強く要求し,実現したものでした。 しかし,問題は実施の時期です。安倍首相は「ただちにおこなう」立場ではありません。政府の対策は,(1) まず5,000万件の「名寄せ」をおこない,「年金記録が結びつくと思われる人」に今年12月~来年3月までに年金加入記録を送付(2) それ以外のすべての人には来年四月―十月にかけて年金加入記録を送付 という段階策です。 年金納付記録をただちに送ることは,社保庁のコンピューターにあるデータそのものを使えばいいことですから技術的に十分可能です。もし間違いのある記録が届けば,本人が社保庁に問い合わせ,訂正を求めることができるので,「名寄せ」も促進できるメリットがあります。 「1億人レター作戦」は段階策をとるのでなく,早期実施こそが求められます。【参考】政府の「ねんきん 特別便」の送付計画(1)「5,000万件」の名寄せの結果,記録が結びつくと思われる人への送付年金受給者・加入者…2007年12月~2008年3月に実施(2)その他のすべての人への送付年金受給者…2008年4月~5月に実施年金加入者…2008年6月~10月に実施 年金保険料を払ったのに,社保庁にも記録がなく,領収書もないため未納扱いされている。この「消えた年金」問題の解決のため,政府は,総務省の下に「年金記録確認第三者委員会」(弁護士などで構成)の中央委員会と地方委員会(50ヶ所)を設置しました。 同委員会は,記録や領収書などがなくても,「社会通念に照らして『明らかに不合理ではなく,一応確からしいこと』」を判断基準に審査することを基本方針にしています。「物証がなくても本人の申し立てを尊重すること」を求めた野党の提言や,国民世論を反映したものです。 中央委では,社保庁に「保険料を払ったのに記録がない」という申し立てがあった約260件のうち32件について納付事実を認めました。 「三十年以上国民年金保険料を払ってきたが,途中1年だけ未納。しかし,その時期は,自治会の役員が集金にきていて間違いなく払っていた」というケースについても,当時の自治会役員から証言が得られたことなどから「納付があった」と認定しました。 一方,地方委には計6,400件余の申し立てがありましたが,「納付があった」と認めたのは6件にとどまっています。 昨年,社保庁が特別相談体制をとったとき,「消えた年金」について20,000件以上の相談がありました。現在の6,400件余という申し立て件数自体が少なすぎます。このため,「申し立てを待っているだけでいいのか」という指摘もあります。 審査がなかなか進まないのも,物証のない確認作業は,証言探しなど多くの手間とノウハウが必要とされるためです。この作業をおこなう所管省庁が,年金業務に手慣れていない総務省で十分対応できるのか,地方委の人員配置など万全の審査体制がとられているのか,などの検討が求められています。 仮に「宙に浮いた」記録がみつかっても5年の時効によって年金支給額が増額されない人などに対応するためにつくられた年金時効特例法によって,866人にたいし総額8億円余の支給が決定されています。これは受付件数,約9,700件の1/10以下の水準。社保庁は時効撤廃により,約25万人に約950億円を支給する見通しをたてましたが,これと比べてもスローペースです。 これまで支給決定された最高齢は92歳,平均年齢も76歳になるなど,多くが高齢者です。申請にくるのを待つのでなく,政府の側がすすんで情報提供をするなどの対応が急がれます。 政府は,社保庁の分割・民営化法が成立したことを受け準備をすすめていますが,これは最悪の「国の責任逃れ」です。「消えた年金」問題の解決には,年金記録の台帳をふくめて照合作業に何年もかかる作業が必要とされているのに,2年半後の2010年に社会保険庁がなくなってしまえば,国としての責任がとれなくなってしまいます。 一方,歴代厚生相・厚労相などの責任も含め年金問題の原因を究明する,と鳴り物入りでスタートした「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は,参議院選挙直前の7月10日,「社保庁の親方・日の丸的な体質」ばかりに責任を押し付ける「中間報告」を発表。 厚生労働大臣などの責任問題の検討は,先送りされています。結局,誰も責任を取ることなくこの問題に関して言えば,“迷宮入り”させたいのが本音なのかもしれません。
Aug 27, 2007
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世界中で株式市場の動揺が収まりません。アメリカで信用力の低い個人向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きが増大したことから,欧米金融機関の経営が悪化し,信用不安により短期金利が急騰し,株価が急落しました。日本・ヨーロッパ・アメリカの金融当局も巻き込んだサブプライム・ローン問題を考えてみました。 今回の世界同時株安の直接のきっかけは,フランス金融大手BNPパリバやドイツ中堅銀行IKB産業銀行の傘下のファンドがアメリカ国内のサブプライム・ローン関連で損失を出し,金融機関への信頼が低下したことにありました。 そのため,資金の貸し手が急減して短期金利が急騰し,金融銘柄を中心に株価も大幅急落しました。日米欧の金融当局は協調して,短期金融市場に何十兆円もの大量の資金を供給することで市場の沈静化に努めています。 しかし,大本のサブプライム・ローンの焦げ付きが解決したわけではありません。むしろ問題が長期化するという見方さえあります。 さらに,ローンの重圧で個人消費が細り,アメリカ経済が減速し,世界経済も影響を受けるという懸念が強くなっています。 アメリカでは一般に,証券や不動産などが資産運用の手段になっています。特に,この間の好景気の中では,「投資」目的の住宅需要が増え,「住宅バブル」の様相を呈しました。住宅の値上がりは個人消費を支えました。旺盛な住宅需要を促したのは住宅ローンでした。 住宅ローン会社は融資の際,借り手の信用力(返済能力)を調査します。信用力が高いほど金利で優遇され,プライム(優遇),オルトA,サブプライム(非優遇)の格付けがあります。オルトはオルタナティブ(代替)の略で,プライムでもサブプライムでもなく,その中間です。 サブプライム・ローンの対象は,低所得者や,過去にローン返済を滞らせたり,自己破産したりした経歴がある人など,信用力が低いとされる人です。融資のリスク(危険)と引き換えに,金利が高く設定されます。初めの数年間は低金利で固定し,後に金利が大幅に上がる仕組みのローンが多いといいます。 住宅市場が活況を呈する中で,アメリカの住宅ローン会社は,住宅の値上がりを前提にローンを増やしました。そして,2004年ごろから金利上昇でプライム・ローンの伸びが鈍ると,融資条件を緩和して,高金利のサブプライム・ローンを大幅に拡大しました。 さらに,膨らんだサブプライム・ローンは,債権を担保に証券化され,住宅ローン担保証券など債務担保証券として売り出されました。しかし,証券に姿を変えても,もともとの資産が不良債権になるリスクを含んだ高金利の債権ですから,当然,リスクの大きい金融商品にならざるを得ません。つまり,住宅ローン会社の融資リスクが証券購入者に転嫁されていったのです。 金融市場は今,グローバル化(地球規模化)していると同時に,ヘッジファンド(投機的基金)の増大にみられるように投機化してもいます。 高利回りの証券はヘッジファンドを中心に,各国の銀行や証券会社などに広く浸透しました。さらに,これらを購入しているヘッジファンドに投資している金融機関もあり,その広がりは予測がつきません。 サブプライム・ローンをめぐる仕組みは,アメリカの住宅市場が活況を維持し,住宅が値上がりし続け,高金利のローンが返済され続けることが前提条件です。 ところが,2006年初めあたりから歯車が逆転を始めます。住宅市場が減速し,サブプライム・ローンの焦げ付きも急増しました。ローンの焦げ付きの増大で,ローン会社の経営が悪化し,住宅ローン担保証券など債務担保証券の価格や格付けが下落しました。 当然,証券を購入したヘッジファンド,銀行や証券会社なども損失を出し,そうしたヘッジファンドなどに投資している金融機関も影響を受けました。 日本でも,一部の証券会社や銀行がサブプライム・ローン関連で損失を出し,金融庁が調査に乗り出しています。大田弘子経済財政担当相も「実体経済にどう影響を与えるのか,少し長い目でもしっかり見ていかなくてはいけない」と指摘しています。 サブプライム・ローンに端を発した今回の世界同時株安について,『動乱時代の経済と金融』の著者,今宮謙二・中央大学名誉教授は,「現在の世界の金融市場の投機的なあり方が限界に近づいているという警告と受け止めるべきだ」と述べています。 大手金融機関に大儲けをさせるため安倍内閣そして自民党・公明党連立与党は,「貯蓄から投資へ」などとして“投機”を煽ってさえいます。しかし,今の市場の混乱は,国民経済に大きな影響を持つ大銀行など金融機関の投機的取引を規制することこそ必要であることを示しています。
Aug 26, 2007
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ブッシュ・アメリカ大統領は8月22日,中西部ミズーリ州で演説し,イラクの治安安定のためにはアメリカ軍駐留が必要だと改めて強調,戦争継続を正当化しました。 ブッシュ大統領の演説は,アメリカ軍の早期撤退を求める声をけん制して行われたもの。9月半ばまでに行われるアメリカ軍現地司令官の戦況報告を踏まえた対応への地ならしとみられています。 朝鮮戦争やベトナム戦争などの退役軍人らを前に演説したブッシュ大統領は,アメリカ軍駐留がイラクを「不安定化させている」という批判があることを認めながらも,「イラクでの民主主義の実現は,アメリカ国民をテロリストの攻撃から守りつづけるために決定的な意味を持つ」などと主張しました。 そのうえで,現在バグダッドを中心に行われている増派作戦は「前進をみている」と述べ,イラクのマリキ首相について「困難な仕事に取り組む優れた人物」だとし,「支持」を強調。前日の同首相に距離を置いた発言を軌道修正しました。 ブッシュ大統領は,第二次世界大戦における対日戦争や朝鮮戦争,ベトナム戦争に言及。「日本の軍国主義者,朝鮮,ベトナムの共産主義者は人類のあり方に対する無慈悲な考えに突き動かされていた」などと述べ,ベトナム侵略戦争を含め正当化しました。 その上で,テロとの闘いは,「無慈悲な考え」に対する闘争と同様の「思想闘争」だと主張しました。 さらに,現在の日本や韓国を例にし,これらの諸国が享受している自由と民主主義は,イラクの「前例」だと述べ,イラク戦争でのアメリカ国民の辛抱を訴えました。 イラクのマリキ首相は8月22日,ブッシュ・アメリカ大統領とクロッカー駐イラク米大使が,イラクの政治改革が遅れていることを理由にマリキ政権を非難したことに対し,訪問先のシリアで,「イラク政府は国民によって選ばれており,誰もイラクに政治改革の行程表を課す権利はない」と主張し,不快感を示しました。 アラブ首長国連邦紙ガルフ・ニューズ(8月22日付)は,アメリカがイラクを侵略・占領して混乱をうみだした自らの責任を不問にしているとして,ブッシュ・アメリカ大統領らアメリカ側の姿勢を厳しく批判しました。 ブッシュ・アメリカ大統領は,イラク問題では必ず,自由と『民主主義』を口にしますが,彼は民主主義の基本を忘れてしまったように思えます。 他国にアメリカ軍が駐軍し,行政に注文をつけるのがアメリカ流の『民主主義』なのか。それは本当の意味での『民主主義』ではないと私自身思っています。 イラクのことはイラク人自身が考え,決めていくことが本当の意味での「イラクの民主化」になるのではないのか。 日本も同様のことが言えます。いつまでもアメリカいいなりになっている日本もまだまだ『民主主義』国家と言える状態ではありません。
Aug 25, 2007
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厚生労働省は8月22日,保育所の保育料徴収状況についての初の全国調査結果を公表しました。2006年度の保育料滞納額は約90億円にのぼり,滞納者数は3.7%にあたる85,963人にのぼることが明らかになりました。 調査は,今年6月から7月に,全国1,827市区町村を対象に実施し,1,808自治体から回答が寄せられました。 半数以上の1,019の自治体が5年間で滞納額が増加したと回答。滞納が増加した理由として,自治体が挙げたのは,「保護者の責任感・規範意識の問題」(65.9%),「保護者の収入減少」(19.4%),「その他」(14.6%)でした。 質問の選択肢が2項目だけなので,保護者の生活実態を正確に反映したものかどうか疑問が残ります。ただ「失業,離婚等による収入減少」と具体的に指摘した自治体もありました。 滞納者の割合を政令市と中核市で見ると,北海道旭川市の13.4%が最も高く,次いで函館市の11.5%,大阪府東大阪市の10.4%の順となっています。一方,埼玉県川越市,奈良市は0.7%となっており,地域差が目立ちます。 厚労省は同日付の通知で「財産調査及び差押等の滞納処分を含め,厳格な対応を図られたい」と各自治体に求め,取り立て強化を強める方向を打ち出しています。 『給食費の不払い』問題でも,実際に経済的に支払うことができる家庭が給食費を払わないという実態があります。保育料滞納の65%以上が同様の実態であったことは非常に残念な結果と言わざるを得ません。 親の規範意識の低下は,教育の軽視とも言えます。自分たちの子どもたちの人間形成に大きな影響を与える保育所を,ただの託児所としか考えていないように思えます。
Aug 24, 2007
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安倍晋三首相は8月21日からのインド訪問に際し,日本の戦争犯罪を裁く東京裁判(極東国際軍事裁判)で有罪判決を受けた東条英機元首相ら25人の被告に対して唯一「無罪」を主張したラダビノッド・パール判事の遺族と面会する予定です。 今なぜパール判事か,疑問の声が起こっています。 同裁判(1946年-1948年)では,『平和に対する罪』,『通例の戦争犯罪』,『人道に対する罪』が問われ,東条らが有罪とされました。 インド代表として判事団に加わったパール氏は,第二次大戦が始まった時点で『平和に対する罪』と『人道に対する罪』は存在しなかったので,「事後法」で裁くことはできないと主張しました。 日本の侵略戦争を肯定する「靖国」派などは,パール判事の立場を,日本に戦争責任がないことを国際的に証明するものであるかのように利用してきました。 安倍氏も首相就任直前に発表した『美しい国へ』で,東京裁判に関しては「事後法によって裁いた裁判は無効だ」との議論があると言及。昨年10月6日の衆議院予算委の答弁でも「事後法」論を展開し,同裁判に疑問を表明しました。 しかしパール氏は,先の戦争での日本の行動を正当化したわけではありません。裁判の法的な進め方を批判したのです。 同氏が独自にまとめた「パール判決書」は,1931年からの満州事変について,「たしかに非難すべきものであった」,「一国の他国領土内への膨脹(政策であり)…かような政策を正当化する者もおそらくないであろう」などと述べています。 1937年の南京事件についても,残虐行為の「証拠は,圧倒的である」としています。 「平和に対する罪」が事後法だとのパール氏の見解に対しては,1919年の国際連盟規約や1928年の不戦条約など,第一次大戦以降の戦争違法化に向けた国際法の発展を過小評価しているとの批判があります。 東京裁判は,昭和天皇の戦争責任を免罪したなどの問題点をもっていますが,不戦条約で禁止された『国際紛争解決の為』の戦争を,国際犯罪と位置づけ,侵略戦争の指導者を裁いたものとして,その後の世界平和の探究に大きな意義をもちました。 戦争犯罪の概念は戦後,ニュルンベルク裁判や東京裁判に基づいて発展を遂げ,戦争犯罪を働いた個人を裁く常設国際裁判所である国際刑事裁判所の設立(2003年)に結実しています。 しかも1952年発効の対日講和条約(サンフランシスコ条約)では,「日本国は,極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾」すると明確に規定されています(11条)。 安倍首相は,第二次大戦で大国間の矛盾に乗じてインド独立を促進する立場から日本の侵略戦争に協力したチャンドラ・ボースの遺族との会見も予定しているといいます。 パール判事の遺族との面会と重ね合わせれば,日本の首相がまた,過去の侵略戦争を肯定するパフォーマンスをしているとの印象をふりまき,新たな国際問題になりかねません。 安倍首相の執念はすごいものがあると改めて感じます。しかし,政治家として,それを国民のために向けることができないのだろうか。
Aug 23, 2007
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政府が沖縄の米軍新基地建設に向けて環境影響評価法にもとづく手続きに入ったことから,県民の怒りが噴き上がっています。 新基地にはどの世論調査でも70%もの県民が反対し,沖縄県や名護市も同意していないのに,建設に向けた手続きに入るなどあってはならないことです。「理解を得る」といいながら,強権を発動するのでは反発が広がるのは当然です。 防衛省は8月7日,日米両政府が合意した新基地建設計画にかかる環境影響評価(アセス)の方法を示した「方法書」を沖縄県に送付し,県民に公告・縦覧をしています。初期的手続きとはいえ,2014年の建設完了に向けての大きな踏み込みです。 悪法を次から次へと強行採決したような暴走が参議院選挙で国民から厳しく指弾されたことも,はや忘れたかのような安倍政権の強権的手法が許されるはずはありません。 政府はこれまで「地元の理解を求める」といってきました。しかし,環境影響評価の手続きに入ったということは,安倍政権が力ずくで新基地建設を進める姿勢を一段と強めていることを示すものです。 しかも見過ごしにできないのは「方法書」の内容です。 新基地の騒音被害は使う航空機によっても違います。アメリカ海兵隊のFA18などの戦闘機はどうなるのか,「方法書」は明記していません。墜落事故が多い垂直離着陸可能の大型輸送機オスプレイの沖縄配備は確実なのに明記していません。「米軍回転翼機及び短距離で離発着できる航空機」ですませているのは影響の大きさを隠すためなのは明らかです。 飛行経路を示していないのはもっと重大です。住民の頭上をどう飛ぶのかは決定的問題です。アメリカだけでなく日本政府でさえも飛行経路について「どういう方向からでも着陸することはありえる」(昨年11月7日衆議院安全保障委員会,久間章生防衛庁長官=当時)と説明してきました。それなのに「方法書」は飛行経路を示していないのです。 「方法書」はあきらかに詐欺的内容となっています。このような手順で新基地建設を進めるなどとうてい認めることはできません。 新基地建設予定地周辺海域の現況調査に強力な機関砲を装備した掃海母艦を投入した手口といい,地元の意向を無視してアセス方法書を送付したやり方といい,安倍政権の強引さは目に余ります。しかも,小池百合子防衛相は,決定済みの2007年度の北部振興予算の配分についても,沖縄県が「方法書を受け取っていない」ことをあげ,「円滑に進んでいるかどうかの判断をしていきたい」と述べて予算執行の凍結をちらつかせています(7月31日)。 国民のしあわせに責任を負うべき政府が,こうした強権的やり方で沖縄県民を苦しめるのは絶対に許されることではありません。アメリカのために日本国民の痛みを激増させることをやめるのがまっとうな政府のとるべき態度です。 沖縄県民は,沖縄戦の悲痛な体験から基地のない平和な沖縄を願っています。その県民にアメリカの戦争の足場となる新基地建設を押し付けるのは根底から間違っています。 沖縄県民の新基地建設反対の取り組みは,戦争を放棄し,国民が平和のうちに生存することを保障した憲法にもとづく大義のある闘いです。運動を発展させ,建設中止に追い込むことがいよいよ重要です。
Aug 22, 2007
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都市再生機構(略称UR)が,UR(旧公団)住宅の20万戸削減計画を住民不在の密室で作成していたことが明らかになりました。 居住者の不安と怒りを背景に全国公団住宅自治会協議会が9月に住宅売却・削減阻止の緊急集会を開くと決めるなど運動が高まっています。 多くの住宅運動団体は,居住保障とその安定は憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」であるとして「住宅は福祉」をスローガンに居住の安定を政府や自治体に求めてきました。 それに真っ向から反する「居住破壊」の計画が6月,「規制改革三カ年計画」として閣議決定されました。 計画では,独立行政法人・都市再生機構の賃貸住宅(旧公団住宅)について,現在の77万戸の「規模は過大」であると決め付け,「削減計画を明確にする」とし,「2008年までに結論,結論を得しだい措置」することを強引に求めています。 重大なことに,機構はこの不当な要求を丸のみにし,保有・管理住宅のうち20万戸を削減する計画を作成していました。報じられた同機構内部資料によれば,削減対象は全国の約600団地,戸数にして全体の約26%に相当する衝撃的なものです。 このうち,全国の団地の類型化で「他用途活用団地」に分類された団地では『大規模団地の集約化で30%-40%削減し用地を他用途に活用する』,『小規模団地をつぶし更地化して売却する』,『建物を民間売却や居住者への払い下げも検討する』という手法で217団地約167,000戸を削減しようとしています。 対象となった団地は年金生活や単身高齢者など新しい住まいを確保することが困難な階層が多く住むところです。居住者は「建て替えを期待していたのに更地にして売却なんて…」と不安と怒りを募らせています。 もともとこの計画は「官から民へ」という小泉構造改革路線の一環で,安倍内閣が継承している財界主導の「規制改革・民間開放推進会議」が提唱してきたものです。国民の居住の場を民間に売り渡す暴挙です。 機構側はホームページで,「現在,賃貸住宅のストックの再生・活用方針の検討・作業を行っている」と報じられた内部資料の存在を認めながら,検討中の「不確定な情報」と言い訳し,「居住の安定を脅かすような『追い出し』などということはあり得ない」と開き直っています。 しかし,機構が閣議決定に従い団地売却・削減を含む計画の策定作業をおこなっていることは明らかな事実です。「追い出しなどあり得ない」というなら,「削減計画」を撤回し,政府の「規制改革三カ年計画」に従えないと表明すべきです。 団地の「再生計画」をいうなら市場家賃をもとにした3年ごとの家賃値上げをやめ,高家賃を引き下げ,負担能力に応じた家賃制度への改善,計画的な修繕や改築によって狭さの解消をはかる,老朽化した団地についても一律建て替えではなく,多様な住宅改善をすすめるなど,誰もが住み続けられる団地をめざす,住民合意の計画こそ必要です。 1995年の社会保障制度審議会(首相の諮問機関・2000年に省庁再編で廃止)は住宅政策について「生存と生活の基盤である住宅について,…福祉との連携が必要である」と勧告しています。 貧困を打開し格差拡大を解消するうえで,住宅政策の公共的役割が改めて問われます。
Aug 21, 2007
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那覇空港着陸直後に駐機場で起きた中華航空機の炎上事故。新鋭ボーイング737-800型機で何が起こっていたのか。燃料漏れが起こったのはエンジンではなく,第2エンジンを右主翼下につり下げている「パイロン」という翼との接合部の燃料配管だった疑いがでてきました。 事故機が着陸後に駐機場に入ったのは8月20日午前10時32分。整備士が燃料漏れと煙が上がるのを発見し,乗客乗員が脱出した直後の同10時35分ごろに炎上・大爆発が起こりました。 駐機してからわずか数分間で大量の燃料が流出するという異常事態がなぜおこったのか。 エンジンをつり下げている「パイロン」には,エンジンが回っているとき上向きに力がかかっていますが,エンジンが止まると下向きに力がかかります。このためエンジン回転中はそれほど燃料が配管から漏れていなくても,エンジンが止まると,配管の損傷が大きくなる可能性があるといいます。 国内の整備関係者は「エンジン前後や下部からの燃料漏れは整備時に確認しているが,中空のパイロン内部は年に一度,配線や配管をチェックする程度だ。燃料が大量に漏れたことからしてもパイロン部分に異常があったとしか考えられない」といいます。 航空評論家の中村浩美氏は「燃料タンクのパイプに破損があったのではないか。(外部に漏れて)気化した燃料に熱が加わると燃える。車輪とエンジン,またエンジンの排気も高熱だ」と,飛行で熱せられたエンジン付近などで発火した可能性を指摘します。 中華航空は,先月と今月に実施した検査では問題はなかったとしていますが,中村氏は「燃料系統のパイプのバルブやつなぎ目の点検を,きめ細かくしていたかどうかだ」と述べ,検査の精度に強い関心を示します。 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は8月21日午前10時すぎから,沖縄県警と合同で実況見分を実施。目撃者や乗客からも聞き取り調査を進め,駐機場で起きた異例の爆発炎上事故の究明にあたります。 事故調は事故機のフライトレコーダー(飛行記録装置)を回収しており,8月21日にもボイスレコーダー(音声記録装置)を回収し,機器の動作状況を解析します。
Aug 20, 2007
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月曜日の午前,航空機から立ち上る激しい炎と黒煙の映像に,けだるさを吹き飛ばされたという人も多かったのではないでしょうか。沖縄・那覇空港で起きた,中華航空機の爆発・炎上事故です。 幸い乗客157人と乗員8人は,緊急避難用のシューターなどを使って脱出し,全員無事でした。しかし,避難が一瞬遅ければ,大惨事ともなりかねない事態でした。 事故を外国の航空会社が起こしたものと片付けず,大量交通機関である航空機の安全向上に役立てることが大切です。 今回の事故は,航空機が着陸して駐機場のスポットに入り,乗客が降りる寸前に起きました。航空機からは管制官に,異常を伝える連絡はなかったといいます。 爆発・炎上が,なぜ,どのようにして起きたのか,事故原因の徹底究明は,何にも増して重要です。 航空機が駐機場に入れば,エンジンを停止させます。その際燃焼室の温度が急上昇するため,エンジン内に大量の燃料が残っていると,発火することがあるといいます。あるいはタンクからエンジンへ燃料を送るパイプなどから漏れた燃料が,高温の機体に触れて発火する可能性も指摘されています。 爆発が起きたのは左側のエンジンですが,その前に右側エンジンから燃料が漏れ,出火しているのを目撃したという証言もあります。運航・整備にあたる中華航空はもちろん,機体を製造したボーイング社やエンジンメーカーにも協力を求め,原因を徹底的に調査すべきです。 今回事故を起こした中華航空は,1994年には旧名古屋空港で着陸時にエアバス機の墜落事故を起こし,264人もの犠牲者を出したことがあります。 それだけでなく,世界各地で相次いで事故を起こし,世界で最も事故の多い航空会社のひとつといわれてきました。 日本に乗り入れる外国の航空機や航空会社の安全確保は,所属する国が責任を負うのが原則ですが,日本に乗り入れる外国の航空会社が増え,日本国内で外国航空機が起こす事故も急増するなかで,近年,日本政府が日本の空港で,外国航空機に立ち入り調査をおこなうことも始まっています。 しかし,そのための体制はまだまだ不十分で,国土交通省によれば,外国の航空会社1社あたり,年にせいぜい1回程度というのが実情だといいます。安全向上のためには,日本に乗り入れる外国航空機の安全対策についても,抜本的な対策の検討が不可欠です。 世界の航空業界では,航空需要が伸び悩み,航空会社の競争が激化する中で,安全対策を後回しにし,できるだけ安上がりで飛ばすやり方が大問題になっています。 大量交通機関である航空機の事故は,いったん事故が起きれば大量の犠牲にも直結します。人命は何にもかえられません。外国の航空会社と国内の航空会社を問わず,安全確保に万全の対策を講ずるべきです。 日本でもここ数年,政府に規制緩和路線と,航空会社の儲け本位の経営が重なって,一歩間違えば重大事故に結びつく,小さな事故やトラブルが続発してきました。こうした予兆を見逃さないことが大事故の防止につながります。 幸い犠牲者が出なかった中華航空機の事故を教訓に,安全対策を根本から見直し,強化することこそ,政治の責任です。
Aug 20, 2007
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最近,都市部を中心に地価が上昇しています。しかし,土地取引の目安とされる地価公示(2007年1月1日時点)や相続税や贈与税の算定基準となる2005年分の路線価を見ると,1970年代の“列島改造”による全国的地価高騰や1980年代の東京都心から始まり,やはり全国に波及した“地価狂乱”とは違った現象が起こっています。 格差社会が問題になっていますが,地価もその様相を反映し,地域格差を色濃くしています。東京,大阪,名古屋の三大都市圏においては上昇し,地方圏においては引き続き下落しているものの仙台,札幌などの中核都市では一部地域で上昇しています。 全国平均で見ると,住宅地および商業地ともに16年ぶりにわずかな上昇となっています。この現象は地価の「二極化」ともいえます。 いまひとつの特徴は,路線価では東京,大阪,名古屋,福岡の調査時点の一部で,地価上昇率が30%-40%を超えたことが示すように「局地的高騰」となっていることです。 これは正常な需給関係による地価を表しているとはとても思われません。また東京ではいままで,上昇地点は銀座,丸の内などに限られてきましたが,下北沢(世田谷区),立川(立川市),吉祥寺(武蔵野市),高円寺(杉並区)など山手線外でも最高路線価が上昇。商業地整備などの再開発計画が動きだしたことが背景にあるとされています。 東京以外でも上昇に転じた地点が増えました。横浜市では横浜駅西口バスターミナル前通りが35.9%上昇。大阪市では御堂筋沿いの最高路線価が14年ぶりに上昇。「梅田貨物駅再開発計画など大型開発が目白押しで,集客力が上昇するとの期待が路線価を押し上げたようだ」(「日経」8月2日付)とされています。 地価高騰を招いた要因はいくつかあります。東京都心部の6,000万円~7,000万円から1億円といったマンションや超高層オフィスビルの建設ラッシュが高騰を招いています。しかし注視すべきことは,不動産証券化という新たなスキームを用いた不動産投資市場が拡大していることが,土地市場が活発化しているひとつの要因として挙げられていることです。 上場企業の不動産取引のうち,Jリート(不動産投資信託)などの投資ファンド(基金)が買い手となる割合が年々増加し,売買価格ベースで見ると,2006年度では購入主体の約70%がJリートなどの投資ファンドとなっています。 2006年末時点でJリートが保有する土地資産の残高は5兆4,000億円になり,前年に比べて58%増えています。 金融庁・日銀の監視強化をうけ,銀行は不動産向け融資に慎重になっていますが,東京証券取引所に上場された不動産投資信託の取引の約半数は外国人投資家が占めるとされるように,海外からJリートへの資金流入は止まらず,それが不動産に向かっている,との報道(「日経」2007年3月23日,4月6日付)がそれを端的に示しています。 Jリートを中心とした不動産投資マネーはすでに10兆円を超えています。 この“ミニバブル”を煽っているのが政府による「都市再生」と称する建築の規制緩和による都市再開発政策です。 例えば,「都市再生」の目玉のひとつで最近つぎつぎビル建設がおこなわれている東京駅周辺。2005年10月に完成した「東京ビルディング」や2007年4月に完成した「新丸の内ビルディング」は,東京駅の未利用容積率を移転するなどの措置によって,1,700%以上の容積率となりました。 「小泉純一郎政権が重要政策として進めた『都市再生』を支援する規制緩和は,地価の二極化を促進する一因となった」(『エコノミスト』2006年10月24日号,「大都市圏で地価上昇の次にくるもの」石澤卓志・みずほ証券アナリスト)との指摘もあります。 地価公示は不動産取引の参考例とされていますが,「参考例として使えない,収益性などでは説明のつかない不合理な高値取引も目立った(国交省)」(「朝日」2007年3月23日付)ともいわれ,これは明らかにミニバブルが発生している証左といえます。 このような一部地価の急騰を受け国土交通省では11月にも大都市の中心部の地価高騰地域に限った新たな地価調査を始めるとしているほか目立った対策を講じる気配は見られません。 「僕はバブルになって世界中のオイルマネーが入って,東京の地価が5倍ぐらいになる,それだけの期待感を,世界は日本に持ってくれていないというのは寂しいと思います」。 これは,国交省の諮問機関である国土審議会土地政策分科会企画部会でのある委員の発言です。「二極化」と「局地高騰」という最近の地価高騰をこのまま放置すれば,「東京一極集中」といういびつな国土づくりをさらに加速させ,地域間の格差を広げることは明らかです。 いま銀行や郵便局がけん引する「投信ブーム」が起こっています。この運用先になっているのが債権より利回りの高いリートです。仮に「リート・バブル」が崩壊すれば多くの一般投資家が損失を受けます。 このようなことを防止するうえでも地価の「ミニバブル」といった投機的手法を規制する実効ある施策と,投機をあおる「都市再生」政策を見直すべきです。【Jリート】 日本版の不動産投資信託のことです。不動産を証券化して投資家から資金を集めて運用する金融商品です。賃貸収入や売却益を配当として投資家に分配します。投資家は投資口を株券のように証券市場で売買できます。
Aug 19, 2007
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北海道の土産物としてよく知られるお菓子「白い恋人」で,賞味期限の改ざん・偽装が行われていました。 製造している札幌市の菓子メーカーは,全商品の回収,無期限の操業停止に追い込まれました。今年1月には大手洋菓子チェーンの不二家が消費期限切れ牛乳の使用や不衛生な工場の問題で企業の存亡を問われたばかりです。 同業他社が,不正で大きな社会的批判を浴びたというのに,「自分だけは大丈夫」とでも思っていたのでしょうか。あまりにも愚かで,許せない食の背信行為です。 「白い恋人」の賞味期限を1ヶ月-2ヶ月延ばす改ざんは,11年前から常態化していたといいます。同社では「白い恋人」の賞味期限を4ヶ月と定めていましたが,「6ヶ月でも品質劣化はなかった」,「包装フィルムの効果に自信があった」(同社社長)と,経営トップも承知のうえで偽装を繰り返していたのです。 食品衛生法,JAS(日本農林規格)法は賞味期限について,通常の保存方法で品質劣化が起きるまでの期間としています。これは「期限を超えた場合でも品質が保持されていること」を求めており,期限を超えたらすぐ食べられなくなるのではなく,品質劣化まで余裕時間があるのが当たり前です。 「劣化はなかった」などという理屈を社長自らが口にするようでは食品表示ルールの「イロハのイ」さえ理解していないお粗末さといわれても仕方ありません。その上「包装がいいから」とウソの賞味期限を表示するなどとんでもないことです。 無責任な製品管理は「白い恋人」だけではありません。 同社が今年6月-7月に行ったアイスクリーム類の自主検査では検体の70%から大腸菌群が検出されました。保健所には報告せず,こっそり廃棄処分し,一部はそのまま市場に出していました。 7月にはバウムクーヘンからも食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌が検出されています。工場の衛生管理がいかにいいかげんかということです。 問題が発覚するきっかけになったのは内部告発でした。それがなければいまでも見逃され続けていた可能性があります。同社では早い段階で偽装や菌の汚染を知りながら,保健所へ届けず,握りつぶす態度をとっていたからです。 行政の対応にも疑問があります。保健所は8月10日の立ち入り検査で問題を把握しながら,その公表を指導せず,会社任せにしていました。馴れ合いといわれても仕方ない対応です。 日常的な衛生管理への指導,食品表示の実態把握など厳しい行政の対応がされなければ,消費者は安心して「食べる」ことができません。 「白い恋人」でなにが起こったのか,まず徹底した事実の解明をすすめなければなりません。適切な処分と責任の所在の明確化も必要です。それなしに,失われた消費者の信頼回復はありません。 北海道の食品加工会社「ミートホープ」のひき肉偽装が発覚した際,同社の社長は「昔の肉屋の感覚で(不正を)やった」と語りました。儲け本位で,食の安全は二の次というモラルを欠いた食品メーカーが後を絶たないことに,消費者は不安を募らせています。 メーカーも行政も,姿勢をただすべきです。不正は絶対に割に合わないこと,安全確保は「食」に携わる者の最大で最低限の責任であることを,社会の当たり前のルールとして確立する必要があります。
Aug 18, 2007
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自民党が歴史的な大敗を喫し,自民党・公明党の連立与党が過半数を大きく割り込んだ参議院選挙の結果は,国民が自公の枠組みでは日本の前途はないと判断していることを,浮き彫りにしました。選挙後も,安倍自公政権の内閣支持率は低下の一途です。 同時に選挙結果は,自公の政治に代わる新しい政治の中身と方向については国民の選択はまだ明らかになっておらず,模索が続いていることを示しています。新たな探求の時代にどう応えていくのか,マスメディアとしてもそのあり方が問われます。 この点で,これまで日本の新聞,放送などが常とう手段にしてきた,「自民か非自民か」とか,「自民か民主か」と「二大政党」の「対決」を煽りたてる“二分法”の発想では,全く時代に合わなくなり,有害になってきていることは明白です。 今度の参議院選挙の報道でも,大勢を占めたのは,自民が勝つか民主が勝つかと対決構図を極端に単純化し,選挙結果を誘導するような報道です。 とりわけ,コンピューターを使って自動的に電話をかけるRDDの開発で,選挙ごとに盛んになっている世論調査を使って支持率を競わせるやり方は,政策的な論議よりも自民と民主の勝ち負けだけに国民の関心を歪める悪影響をいよいよ激しくしています。 見過ごせないのは「読売」「朝日」などの大手紙や,テレビのキー局がそうした世論誘導の先頭に立ったことです。なかでも事実上支持率を競わせるような「朝日」の調査は,5月半ばから10回以上に上りました。その度毎に,民主党が自民党を抜いただの,差が広がっただのの報道が繰り返されたのですから,知らず知らずのうちに世論が誘導されることになったのは明らかです。 “二分法”による単純化した「二大政党」報道は,それ以外の党を選択肢のらち外に置く点でも,選挙の真の争点や対立軸を隠してしまう点でも重大な誤りです。 それは,政治の中身を,どうすれば,どう変えられるのかという国民的な論議を,後景に押しやることになります。選挙の公平をいちじるしく踏みにじり,国民が主権者としての権利を行使する選挙で,事実上その選択を狭めるものという他ありません。 選挙後の各紙の追跡調査を見ても,民主党に投票した理由では「安倍首相の政治姿勢に失望した」や「政治に変化を望んだ」が多く,「小沢代表に期待した」や「民主党の政策を評価した」は少数です(「読売」8月11日付など)。それでも投票する政党や候補者をきめる情報としては「新聞やテレビの選挙報道」がダントツです(同)。 マスメディア,とりわけ巨大な部数を持つ新聞は自らの果たす役割を自覚し,選挙報道,政治報道を抜本的に見直すべきです。 選挙にあたってマスメディアに求められているのが,それぞれの政党や候補者の主張を正しく伝えることとともに,政治的な争点について対決軸がどこにあるかを浮き彫りにすることにあるのは論をまちません。 そしてこの面でも,参議院選挙での報道や論評は課題を残すものでした。 安倍自公政権と国民の矛盾が深まるなかで,今度の参議院選挙にあたっては各新聞や放送も,「消えた年金」問題や「政治とカネ」,相次ぐ閣僚の暴言・失言などを,相当厳しく取り上げてきたことは事実です。 しかし,たとえば,自民党がマニフェストの第一番に掲げた改憲問題について,きちんと報道し,改憲問題についての各党の主張や対決軸がどこにあるかを踏み込んで解明した報道はほとんどありません。 ところが民主党が態度を鮮明にせず,マスメディアがこうした報道姿勢をとったため,憲法問題の対決軸がどこにあるのか鮮明にされないまま,国民の審判を迎えることになったのです。 小泉内閣以来の「構造改革」で,耐え難いまでに拡大した貧困と格差の問題でもそうです。マスメディアが地方との格差や国民の負担が急速に増えていることは取り上げても,それらはあくまでも表面的で,「構造改革」の路線そのものへの立ち入った言及はほとんどありません。 選挙中大きな争点に浮上した消費税増税についても,対決軸を浮き彫りにする報道や論評はありませんでした。ここでも,国民の審判が明白に示されるまで対決軸は浮き彫りになりませんでした。 今回の参議院選挙の結果が,全体として自公の枠組みへの国民の厳しい審判を示す一方,それに代わる新しい政治の中身と方向については明白な審判を示すにいたらなかった要因のひとつが,マスメディアの報道にあったことは明白でしょう。 そして,新しい政治に向かって新しい探求の時代を迎えた今日,マスメディアが果たさなければならない役割もまた明瞭ではないでしょうか。 日本のマスメディアは戦前,軍部のいうがままに戦意高揚を煽り,破滅の道を突き進んだ恥ずべき過去を持ちます。戦後もアメリカや財界に弱い体質が批判されてきました。「自民か,民主か」という“二分法”に固執する報道も,「二大政党」づくりが財界の戦略であったことと無関係ではありません。 新しい政治が探求される時代はマスメディアにとってもそのあり方が試されることを銘記すべきです。
Aug 17, 2007
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日本軍の「慰安婦」問題でアメリカ下院が日本政府に公式な謝罪を求める決議を7月末に採択した後も,アメリカではこの問題への追及・監視が衰えていません。 アメリカ誌『タイム』(電子版)は8月15日,靖国神社を参拝しなかった安倍首相について「日本の安倍首相,神社に現れず」と題して伝えました。 「故意に中国や韓国などの隣国を挑発した」前任の小泉首相よりも「個人的にはより保守である政治家」の安倍首相が参拝しなかったのは「前向きな動き」だとしながらも,靖国神社は「日本とアジア諸国の関係においてとげ」となってきたと,この問題を注視しています。 日本の「靖国」派外交の破たんを象徴的に示したのは,アメリカ下院が7月30日に採択した「慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議でした。日本の過去の侵略戦争を正当化し続ける「靖国」派を厳しく批判し,日本政府に歴史の真実に向き合うことを求めました。 決議採決直後の議員たちの新聞発表でもそのことが端的に語られています。 「罪のない多くの若い女性たちが朝鮮半島から連行され,言い表せない最悪な犯罪に苦しみ,人生を破壊された。謝罪はこの痛みを元に戻すことはできないが,被害者にとってその政府が過去の誤りの責任を受け入れたと知ることは重要である」(共和党のビト・フォセラ議員) 「慰安婦に関する歴史の事実の正確さを日本は棚上げし続けている。日本皇軍が若い女性たちを性奴隷にしたことについて,日本政府がしっかりと認め,謝罪し,歴史の責任を明確であいまいでないやり方で受け入れない限り,正義は果たされない」(共和党のクリス・スミス議員) ペロシ下院議長も,決議の採決を歓迎。「アメリカ下院は真実と認知を求めてたたかう慰安婦を支持する」と述べ,アメリカ議会で証言した元「慰安婦」をウソつき呼ばわりする「靖国」派の主張を牽制しました。 本会議での採択の際,反対を表明した議員は1人もいませんでした。それどころか,外交委員長のラントス議員(民主)は「靖国」派の国会議員のアメリカ紙への意見広告に言及。「慰安婦」にされた被害女性を責める「靖国」派の主張に「吐き気を催す」との強い嫌悪感を示しました。 ホロコーストの生き残りである同議員は,ナチス・ドイツの戦争犯罪を認め,後世に伝える努力を続けるドイツと比較し,日本は「歴史の健忘症を推進している」と指摘しました。 「慰安婦」の強制はなかったという発言で国際的批判を受けてきた安倍首相は,決議採択について「20世紀は人権が侵害された時代だった。21世紀は人権侵害のない,世界の人々にとって明るい時代にしていきたい」と述べました。 決議を提出したマイク・ホンダ議員(民主)は8月1日,「20世紀は戦時の人権の残虐行為で満ちている。これらの残虐行為を受け入れてこそ,われわれは今日の諸国に共有の人権基準を順守するように迫ることができる」と表明し,安倍首相に行動を迫りました。 同議員は,「われわれがお互いに間違いを指摘し合い,教訓を共有するときに諸国間の強固な友情もまた築かれる」とも強調しました。日米同盟を重視するアメリカ議員たちも,「靖国」派の主張を容認しないとの立場を明確にしています。 同盟国のアメリカの議員にさえ,嫌悪感を示される「慰安婦問題」。安倍首相はこれを反することが日本の国益に反することを肝に銘じるべきです。国際社会で,事実に反することが議会で決議されることがその国の信用問題になります。アメリカ議会の名で決議することで,安倍首相の言う「強制はなかった」は国際社会では,決して通じないことを示しているような気がします。 安倍首相もそろそろ事実を事実として認めるべきではないのでしょうか。
Aug 17, 2007
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終戦記念日(8月15日)の靖国神社では,高市早苗沖縄北方担当相を除き,安倍晋三首相や閣僚らが参拝を見送った事態に,参拝した「靖国」派政治家らからは,恨み節ともとれる不満の声がもれました。 「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」会長の島村宜伸元農水相は参拝直後,安倍首相らの参拝見送りと参院選での自民大敗との関係を問われると,「個人それぞれの判断だ。選挙とは関係ない」と一言。 記者会見では安倍首相の参拝見送りへの不満を口にしつつも,「選挙結果というよりは,むしろこれからの政治の運営のために,できるだけいろいろな問題を避けたいという動きはあったかもしれない」と述べ,参院選結果との関係を否定しました。 しかし同日,自民党関係者からは,「安倍氏が,選挙に負けたのは,年金,政治とカネ,(閣僚の)暴言の逆風三点セットによるもので,自分の考えが批判されたのではないと思っているならば,堂々と(参拝しに)いけばいい。それができないのは,やはり批判を恐れてのことだ。結局,この問題が政治的なテーマであることを示した」という声も。 侵略戦争正当化や「従軍慰安婦」の強制性否定発言が世界から批判されているのに加え,先の参院選で安倍路線が国民から拒否されたなかでの政治家の靖国参拝。 それでも,“参院選結果とは関係ない”と参拝し続ける姿勢に,国民の審判を正面から受け止めない「靖国」派政治家の本性が表れています。
Aug 16, 2007
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第二次大戦中の「従軍慰安婦問題」をめぐり,フィリピンの与野党7人の下院議員が8月13日,日本政府に対し,責任を認め,謝罪するよう求める決議案を提出しました。 アメリカ下院が7月,日本政府に公式謝罪を求める「従軍慰安婦」決議を採択したことに続こうとする動きです。 決議案は,日本政府に対し「第二次大戦中,若い女性たちを性的奴隷にしたことを公式に認め,謝罪し,責任を認め,犠牲者たちに賠償する」よう求める内容です。 決議案は,「慰安婦」に対する軍の関与と強制性を認めて「心からのおわびと反省」を述べた1993年の河野官房長官談話について,「日本の官民の関係者が最近,撤回させるか弱めようとする意図を表明している」と言及しています。 同様の決議案は過去にも数回下院に提出されましたが,採択されていません。上院にも7月,「慰安婦」に関する決議案が提出されています。 7月31日にフィリピン上院に旧日本軍の従軍「慰安婦」問題で日本政府に謝罪を求める決議案を提出したのは,女性議員のコンパネラ・カエターノさんです。 同決議案はフィリピン外相に対し,日本の参議院に日本共産党を含む野党が共同で2003年と2004年に提出した「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」の進捗状況の調査を要求しています。 決議案は,アメリカ下院外交委員会で6月26日に「慰安婦」問題で日本政府に正式謝罪を要求する決議案が採択されたこと,100人余のフィリピン人女性が戦争中に「性的な強制」の犠牲者となったこと,彼女らの尊厳と名誉の回復を急ぐ必要性などに言及。フィリピン外相に,日本の参議院に提出された法案の即時成立に全力をあげるよう求めています。 フィリピンでは1993年以降,170人が「慰安婦」だったと名乗り出ています。 安倍首相が今年3月1日,「慰安婦」問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と述べた時には,フィリピンでも強い抗議の声があがりました。 その際,フランクリン・エブダリン外務次官は「日本政府が,1993年の河野官房長官による性奴隷についての謝罪や,2002年の小泉首相がフィリピンの(元)『慰安婦』たちに送った謝罪の手紙の言葉と内容を順守するよう求める」(3月5日)と語っています。
Aug 16, 2007
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戦後62周年の終戦記念日を,戦争を許さず平和を求める決意の新たな機会にしたいと思います。 戦前,天皇制政府と軍部が進めた領土拡張と他国支配のための侵略戦争は,2,000万人ものアジアの人々の命を奪い,300万人を超える日本国民を犠牲にしました。 しかし,戦後生まれも増え,戦争の本質や悲惨さが十分に継承されない事情につけこんで,日本を再び戦争への道に引きずり込む危険な動きが目立ち始めています。平和原則を守り抜き,戦前の暗黒政治に後戻りさせる危険な企みを阻止することがいまほど重要なときはありません。 安倍晋三首相が「戦後レジームからの脱却」と叫び,憲法を改悪しようとしていることが国の内外で不安を大きくし,さきの参議院選挙では国民から「ノー」の審判が下されました。 戦後レジーム(体制)というのは,憲法で明記された主権在民,恒久平和主義,基本的人権などを国の政治の基本にした体制のことです。戦後体制を変えるというのは,二度と戦争を繰り返さないという公約を破棄するといっているのと同じです。日本は再び海外で戦争する道を進むのではないかという国際社会と国民の懸念は当然です。 安倍首相は侵略戦争を「アジア解放の正義の戦争だった」と主張する「靖国」派勢力の先頭にたっています。朝鮮や中国をはじめとした外国の女性を日本軍の「従軍慰安婦」にした問題でも,「狭義の強制はなかった」といってはばかりません。 被害者の心を逆なでするばかりか,被害者が悲痛の思いで「強制された」と証言しているのに開き直っていることが,アジア諸国ばかりかアメリカでさえ怒りを呼んでいます。 アメリカ下院本会議は,ほぼ満場一致で,日本の首相に公式の謝罪と歴史的責任の受け入れを求めた決議を採択しました。 本来,アメリカからいわれずとも日本政府が歴史的責任を受け入れ,公式に謝罪するのが筋です。安倍首相がアメリカ議会の言い分にさえ耳を貸さないのでは,日本は孤立を深めるだけです。 安倍首相が侵略戦争の正当化に執着するのは,海外派兵を「ためらわない」と述べたように,アメリカとともに日本が海外で戦争する態勢づくりをめざしているからです。憲法九条の改悪を狙うのはまさにそのためです。 侵略戦争の正当化も,自衛隊が「侵略の血筋」を受け継いでいるとみられることによって海外での戦争に支障がでるのを避けるためであり,海外での戦争の野望と結びついています。 「戦後レジームからの脱却」は九条の問題にとどまりません。国民の戦争協力を当然とし,人権も民主主義もない,男女の共生も認めない戦前の暗黒政治に引き戻すのが「靖国」派の狙いです。 戦争責任の否定,憲法九条の改定,戦前・戦中の国内体制への回帰の行き着くところは,軍国主義日本復活そのものです。日本を再び恐ろしい国にするわけにはいきません。 安倍首相がめざす「戦後レジームからの脱却」にノーの審判を下した国民の選択は明確です。憲法を守り抜いて「靖国」派の野望を打ち砕くのは国民の意思です。
Aug 15, 2007
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安倍晋三首相は8月27日にも内閣改造・自民党役員人事を行います。改造について首相は「政治資金の透明度を高める(よう取りまとめを指示した)党規約の上に立って行いたい」と述べ,「政治とカネ」の問題を判断基準のひとつにする考えを示していますが…。 8月7日に開かれた,自民党の党改革実行本部(本部長・石原伸晃幹事長代理)の総会。この場で党の新規約案が議論され,了承されました。 新規約の内容は,自民党所属の全国会議員に,自らが関係する政治団体の過去4年間(2003年-2006年)の収支報告書について,重複計上や領収書添付漏れがないかなどを再点検させ,問題があれば修正を義務付ける,というものです。 具体的には,『本人や親族,秘書が代表者の政治団体』,『後援会』,『それらと同居するなど関係が深い政治団体』について,事務所の住所などを党本部に報告させます。さらに,8月20日ごろまでに各団体の会計帳簿と収支報告書を突き合わせるよう求め,税理士らによる外部監査も促しています。 自民党はいま,「松岡利勝元農相や赤城徳彦前農相の事務所費問題が参議院選挙惨敗の一因になった」とし,首相を筆頭に「政治とカネ」に対する国民の批判かわしに躍起です。 新規約には,これに基づく議員の“身体検査”を進め,内閣改造・党役員人事の参考にする狙いもあります。自殺した松岡氏の後任にすえた赤城氏が,松岡氏と同様の疑惑にまみれて辞職に追い込まれました。次の人事でも同じスキャンダルが繰り返されれば,政権に決定的なダメージを与えかねないとの強い危機感があります。 “ポストが欲しいなら身ぎれいに”というわけです。 しかし,これは動機も不純なら,「政治資金の透明性を高める」実効性にも乏しいものです。「政治とカネ」をめぐって真っ先にやるべきは,疑惑の真相解明です。松岡元農相も,赤城前農相も,参院選のさなかに不明朗な事務所経費の計上を指摘された塩崎恭久官房長官も,誰一人として領収書を公開せず,国民に納得のいく説明もしていません。 新規約は領収書や会計帳簿の公表までは求めていません。「(領収書公開は)党で新規約が決まれば,それに沿って対応する」と繰り返してきた赤城前農相も,公表しないですむのです。 安倍首相は,疑惑閣僚を常にかばい,その政治姿勢が参院選大敗にもつながった自身の責任も,新規約や“身体検査”の徹底で不問に付したいのでしょうが,国民が納得するはずはありません。 新しい国会で,とりわけ野党が多数となった参議院で国政調査権を発動し,一連の疑惑を徹底解明することが求められます。
Aug 14, 2007
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2006年度の国内乗用車販売(軽自動車除く)は359万台,前年度比8.3%減です。これはピークを記録した590台に比べ60%の落ち込み。実に29年ぶりの低水準を記録しました。 この打開策のひとつとして自動車販売各社は,競って新たなローンを発表しています。数年で新車に乗り換えることを前提にあらかじめ数十万円値引きして販売するというものですが,「カンフル剤」となるかについては疑問符がつきます。 日本自動車工業会(会長・張富士夫トヨタ自動車会長)が先ごろまとめた国内販売不振の要因についてまとめたリポート「新車販売動向調査」があります。 同調査は,1990年代‐2000年代にかけて,人口動態,世帯形態,経済動向から新車販売動向を分析しています。 近年,ガソリン価格の高騰など維持費が高いことから,税金や燃費が安い軽自動車に流れていることもひとつの要因ですが,1990年から2005年までのデータ分析の結果,売れない原因として,『ユーザーの高齢化,走行距離の減少,保有の長期化(買い替えしない)』,『車を保有しない傾向が進んだ』,『需要を下支えしていた30代‐40代が住宅ローン,教育費など経済的制約から購入を控えている』などとしています。 この底流には家計収入が減少する半面,支出の増大があります。とりわけ1997年から1999年にかけて家計収入が減った大きな原因は,消費税増税など9兆円負担増による橋本内閣による「政策不況」のもとでのリストラや失業です。その結果,2000年代以降,所得格差が広がり,世帯収入300万円未満の層が増大したことなどがあります。 かつて需要を支えてきたのは,20歳代の若い層でした。業界にはこの年齢層が車に魅力を感じなくなったという見方もありますが,それは必ずしも的を射ていません。 パート,派遣労働など非正規雇用の急増と密接にかJかわっており,結婚年齢が高くなっていることとも関連して,日本の経済政策の結果もたちされたものです。 ちなみにトヨタの生産要員全体に占める非正規労働者は39.4%(2004年)といわれています。 販売動向調査を実施した自動車工業会自身,小泉前内閣が推進し,安倍政権に継承されてきた「構造改革」路線を強力にパックアップした有力財界団体のひとつです。 新車販売不振の原因を調査した結果は,皮肉なことに,自縄自縛と悪循環に陥っていることを証明することになっています。
Aug 13, 2007
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第89回全国高校野球選手権大会第3日の8月10日,初出場の私立神村学園が,激戦区の大阪を制した金光大阪を破りました。6回に好投手植松を攻略,鮮やかな逆転勝ちでした。 同校の野球部は創部5年目。レギュラー陣の大半は他府県からの野球留学生です。この試合でソロ本塁打をふくむ2打点と活躍した小原は広島から入学。4安打の東も兵庫から。多くが関西出身者で,奄美大島出身のエース盛は「最初,話しづらかった」といいます。 今大会の出場チームをみると,神村学園同様に野球留学生が目立つところが10校以上あります。いずれも私立で寮を備え多数の部員をかかえています。 県内から選手を集めている学校もありますが,特待生制度などを利用して幅広く選手を集めチームを強化するという意味では,こうした学校はその典型でしょう。 それがまた,主催新聞社やNHKなどの報道で郷土の代表として強調されることに疑問を感じる人も少なくありません。野球留学生の助長は,甲子園大会のあり方にも変化を及ぼすはずです。 今回の特待生問題の議論のなかで,制度の存続を求める私学側は「私学教育の独自性を認めて欲しい」とアピールしています。しかし,肝心なのはその教育の中身です。 例えば,強豪校で後を絶たない暴力行為をなくしていくことも現場の大きな課題です。神村学園でも大会前に3年生部員の下級生にたいする再三の暴力行為が発覚。昨秋にも監督が暴力事件で処分を受けているだけに,部活動のなかでいったいどんな指導をしてきたのか,首をかしげたくなります。 多感な時期に親元を離れて生活し,野球漬けの日々を送る彼らが,それを通して何を学び,何を教えられるのか。いま,鋭く問われています。
Aug 12, 2007
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日本の人口1,000人あたりの医師数は2.0人(2004年)で,経済協力開発機構(OECD)に加盟している30ヶ国中27位であることが,同機構がまとめた「ヘルスデータ2007」でわかりました。OECD平均の3.0人を大きく下回り,主要7ヶ国では最も少ない数です。 OECDは,日本の医師数が少ないことについて「医学部の入学定員の上限を固定している政府の政策が原因のひとつ」だと指摘。 また,OECD諸国の医師数の増加ペースが鈍っていることについて「多くの国が1980年代から1990年代にかけてコスト削減措置を導入し,医学部への入学者数を制限して新医師数を減らすいわゆる『入学定員制限』政策をとった結果」だと警告しています。 1年間に医師の診察を受ける回数をみると,日本は国民1人あたり13.8回(2004年)で,データがある28ヶ国の中で最多でした。少ない医師で多くの患者を診察していることがわかります。 日本の1人当たり医療費(各国の物価を調整した購買力平価換算)は2,358ドル(同年)で,30ヶ国中19位。総医療費はGDP(国内総生産)比8.0%で,30ヶ国中22位でした。政府は,「医療費を抑制する必要がある」として,患者負担増などの改悪を繰り返し実施していますが,日本の医療費はすでにOECD平均を下回る低い水準に抑えられています。 予防医療では,乳がんの発見に役立つ乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を過去1年間に受けた50歳-69歳の女性が,日本では4.1%(同年)で,平均(53.4%)を大きく下回って最下位でした。子宮頸がん検診を受けた20歳-69歳の女性の割合も23.7%(同年)で,最低でした。 一方,高額な医療機器の設置数をみると,日本は人口100万人当たりの磁気共鳴画像診断装置(MRI)の設置数は最多の40.1台(2005年)で,2位のアメリカ(26.6台)の1.5倍。OECD平均(9.7台)を大きく上回っています。コンピューター断層撮影装置(CT)も日本は92.6台(平均20.4台)で,圧倒的に多くなっています。 「医学部定員の削減」を閣議決定して医師養成を抑制してきた政府の対応を見直し,定員削減路線を改め計画的な医師増員を行うこと必要があるように思えます。特に医師不足が深刻な地域の医学部の定員増や,自治医大の定員増など医師数の抜本増を求められます。 また,高額医療機器に関してもっと実態に合った導入と活用を政府や厚生労働省が主導して無駄な医療器具を減らすことができるような気がします。 求められているのは数億円の機器の導入ではなく,医師を1人でも多く育てることではないかと考えます。
Aug 11, 2007
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安倍晋三首相は,参議院選挙で示された「政治とカネ」の問題での国民の憤激に対し,赤城徳彦前農水相の辞任,政治資金規正法の再改定で対応しようとしています。 疑惑を解明し責任を明らかにするのでなく,疑惑閣僚をかばいぬき,選挙後に真相を隠したまま大臣を辞任させるといった安倍首相の対応そのものに,世論の怒りは向けられています。「大臣が辞めれば終わり」と疑惑隠しに逃げることは,さらに国民の不信を広げるだけです。 赤城氏の疑惑は大臣辞任でもやみません。公職選挙法違反の疑いもある経費の二重計上が新たに判明しました。説明も反省も無しの「辞任で幕」は通用しません。 安倍内閣ほどの「政治倫理不在」内閣はかつてありませんでした。 事務所費・光熱水費疑惑は,昨年12月に辞任した佐田玄一郎前行革担当相からドミノ倒しのように,自殺した松岡利勝元農水相,伊吹文明文科相,長勢甚遠法相,甘利明経産相,赤城前農水相,塩崎恭久官房長官へと拡大の一途です。 1人として,領収書を示し,まともな説明をした大臣はいません。「法にのっとり適正に処理した」と口をそろえ,疑惑に反省するどころか,逆に政治資金規正法を盾に開き直る有様です。そして,どうにも行き詰まったら辞任で幕引き,これでは国民はやりきれません。 「政治とカネ」は政治家の根本的な資格にかかわる問題です。疑惑をかけられた政治家は自ら国民の前に真実を明らかにし,批判を仰ぐ姿勢がなければなりません。真相解明なしに疑惑が闇から闇へと葬られるから,けじめがつかず,どんな法制度を作っても新たな抜け道をつくり,不正が繰り返されるのです。 前の国会で与党が強行した政治資金規正法改定がなんの役にもたたない「ザル法」であったことは,安倍首相が再改定を言い出したことで証明ずみです。すべての支出の報告について,領収書添付を1円から義務付けるべきであり,領収証の公開も義務付けるべきです。 参議院選挙での惨敗後,自民党の中川秀直幹事長は「すべての政治団体に1円以上の領収書公開を求めるのが民意の大勢だ」と言い出しました。自民党内ではさっそく強い反対論が出ています。いくら「反省」を口にしても,疑惑解明という根本の課題を避けたままでは,真の再発防止策が出てくるはずはありません。 安倍内閣と与党が真相解明に背を向けるなか,国会が解明の責務を果たすことが一層重要です。 過去の幾多の金権腐敗疑惑で,民主党や日本共産党など野党が証人喚問を要求し,自民党・公明党が疑惑隠しの党利党略で拒否するという構図が繰り返されました。 参議院の与野党逆転は与党の数の横暴を許さない新しい可能性を生んでいます。衆議院でも参議院でも,特に野党多数になった参議院で民主党が先頭になって,国政調査権を発動し,徹底的な真相究明を行うことを強く期待しています。 参議院第一党になった民主党は国会運営で新たな「責任」を負う立場になりました。法改正だけでなく,最大の課題である真相究明で積極的な役割を果たすことが求められます。 新たな構成となった国会で,積年の政治腐敗のウミを出し切り,国民が求める清潔な政治を実現するため全力をあげて欲しいと思います。
Aug 10, 2007
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3ヶ国の政府とアラブ連盟をふくむ五大陸・20ヶ国以上の海外代表,そして,全国各地から10,000人以上が参加した原水爆禁止2007年世界大会(8月3日~8月9日)は,核兵器廃絶の新しい世界のうねりをうみだすにふさわしい成果をおさめました。 なにより,2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議を3年後に控えて,なんとしても2000年NPT再検討会議での核兵器廃絶の「約束」を実行させようという決意と意気込みが,参加者全体のものとなったのが大きな特徴でした。 海外の反核運動の代表が,「国民の64%が政府に核兵器全面禁止をもとめている」(イギリス),「政府にも核軍縮を迫っていく」(フランス)と運動を前進させる決意を表明すれば,政府代表も,「NPT会議の準備プロセスで核兵器廃絶をもとめつづける」(メキシコ),「世界大会に参加することで,私たちの決意はさらに強まる」(エジプト),「市民社会との共同が大事」(マレーシア)と,これに応えました。 世界大会は,核兵器廃絶をめざす各国政府と反核運動との共同の場として発展してきましたが,今年の大会は,核兵器の廃絶にむけて,連帯をいっそう深めるものとなりました。 国際会議宣言は,2010年の再検討会議にむけて,「国連総会で核兵器全面禁止条約の協議開始を決議するよう強く提唱」しました。 アメリカのブッシュ政権がイラク占領の泥沼化など,内外で孤立を深め,核抑止政策の破たんも浮き彫りになるもとで,「核兵器のない平和で公正な世界」(大会スローガン)をもとめる声は,ますます広がっています。 世界大会は,この流れを結集し,さらに発展させていく大きなステップとなったと言えるでしょう。 日本の運動の役割も,いっそう重要になっています。 原爆症認定集団訴訟の相次ぐ勝利や「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名の取り組みとともに,「非核日本宣言」が自治体でも幅広い支持を得て急速に広がるなど,運動の新たな前進が示されました。 原爆投下「しょうがない」発言や憲法改定などの動きにたいし,参議院選挙が国民的な審判となったことも受けて,「これから運動の出番だ」,「共同をいっそう広げよう」と意気高い討論となりました。 海外代表からも「九条をまもる運動と核廃絶の署名運動は,世界の活動家と政府を励ましている」(アメリカ)と高く評価されるなど,日本の運動が果たすべき国際的責務が一段と大きくなっています。 大会は,青年の一大結集の場として定着しつつあります。被爆者の証言に耳をかたむけ,学び,そして議論しあった彼らは,いまその成果をもって帰途につきつつあります。 この大会で,はぐくまれた若い知性と情熱は,かならずや明日をきりひらく行動となって,日本と世界で実を結んでいくことを期待しています。
Aug 9, 2007
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40年前の今日8月8日,インドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイの5ヶ国外相がバンコクで東南アジア諸国連合(ASEAN)を設立しました。1984年以降,ブルネイ,ベトナム,ラオス,ミャンマー,カンボジアが次々に加盟し,現在10ヶ国で構成される地域機構となっています。 ASEANはいまやアジアの平和と経済発展にとって大きな役割を果たし,東アジア共同体づくりでも重みを増しています。 ASEANにはベトナム戦争という苦い体験があります。この体験から,ASEANは戦いあった国々を含め東南アジアを平和の地域にすることをめざしました。これが今日のアジアの平和の流れにつながっていることは明白です。 戦争が終わったあとの1976年2月にASEANがはじめて開いた首脳会議で採択された「東南アジア友好協力条約」(TAC)は,とりわけ重要です。TACは領土保全や内政不干渉などとともに「意見の相違または紛争の平和的手段による解決」,「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記しています。これによって締約国同士が脅威を払しょくし,信頼を寄せ合うことができます。 実際,ASEANはTACを土台に友好協力関係を強めてきました。中国や日本,オーストラリアなどASEAN以外の国を含めると24ヶ国で,欧州連合(EU)も加入の意思を表明しました。東南アジアから発信した平和の流れが大きくなっていることの表れです。 7月のASEAN外相会議は,朝鮮半島の非核化について「対話と交渉を通じた核問題の平和的解決」を強調しました。イラク問題でも,「イラクの外国軍の計測された段階的な撤退」を求めています。外交と対話で問題を解決する原則が根付いていることを示しています。 東南アジア非核兵器地帯条約(1995年)も重要です。締約国が核兵器を製造も貯蔵もしないというだけでなく,ASEAN諸国の経済水域200カイリ内では海でも陸でも外国の核兵器持ち込みを禁止しています。 ASEANを足場に核戦争することを拒絶したこの条約は,世界から核戦争の脅威をなくすことに貢献するものです。中国やロシアは条約への支持を表明していますが,核兵器を先制攻撃戦略の柱に据えているアメリカはいまだに反対し続けています。 ASEAN諸国は7月に,東南アジア非核兵器地帯条約に関する初の閣僚委員会を開き,条約を拒否する核兵器保有国に対して条約署名を迫ることを含む,今後10年間の「行動計画」を採択しました。核兵器保有国はASEANの求めに応じるべきです。 ASEANは2020年までにASEAN共同体をつくる計画です。しっかりしたASEAN地域機構を確立しながら,「アジアのことはアジア人で解決する」という立場で,平和と共存の東アジア共同体づくりにも主導権を発揮することが大いに期待されます。 日本がアジアで生きていくためには,アメリカの代理人として振舞うのではなく,アジアの一員として友好協力関係を強化する必要があります。その際,過去のアジア侵略戦争と植民地支配への態度が問われるのは必至です。 安倍政権は侵略戦争を正当化する「靖国」派外交をやめて,アジアの新しい流れに合流すべきです。
Aug 8, 2007
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89回目の夏の全国高校野球選手権大会が8月8日から始まります。今年の地方大会には4,081校が参加し,全国で球音を響かせました。その予選を勝ち抜いてきた49の代表チームが,15日間にわたって甲子園で熱戦をくりひろげます。 中越沖地震のため,地方大会が6日間も中断した新潟からは新潟明訓が代表になりました。8月8日の開会式では,能登半島地震で甚大な被害をうけた石川県輪島市の門前高の野球部主将が入場行進の先導役をつとめます。始球式は,財政再建に取り組む北海道夕張市の高校球児がマウンドに立ち,思いをこめて投じます。 1915年に最初の大会が開かれた夏の高校野球は,日本社会に根付きながら,時々の時代をも映してきました。ふりかえれば,懐かしさとともに数々の場面が目に浮かぶファンも多いことでしょう。 しかし今夏は,その甲子園に厳しい目が注がれます。プロ野球西武球団の裏金発覚に端を発し,球界の暗部が照らし出されたからです。 高校球界も大きく揺れました。日本高校野球連盟(高野連)が学生野球憲章に違反する特待生制度の実態を調査したところ,高知県をのぞく46都道府県の376校・7,971人が特待生だったことがわかりました。 学生野球の歴史的な経緯もあり,憲章では,野球部員を理由にした金品の受け取りを固く禁じています。ところが,学費や寮費の免除,なかには生活費まで援助している高校もあるのが現状です。 いま高野連は有識者会議を設け,この問題を幅広く論議しています。そこでの話も生々しい。ヒアリングに招かれた中学校関係者は,野球が進路手段となり,学校とは無関係に進路先が決まってしまう傾向があると報告しました。「とにかく推薦状を出してください」とつめよる親もいて,保護者や少年野球指導者とのトラブルに悩んでいるといいます。 親元を離れて野球に打ちこむことを決意した選手の多くは,好環境の下でもっとうまくなりたい,力を伸ばしたい,と純粋に思っているはずです。しかし,現場でも問題は山積しています。学校の宣伝のため甲子園に出ることが目的化し,勝利至上主義がはびこる。野球漬けの日々を送り,治外法権的な閉ざされた空間で体罰やしごきが生まれる。 実際,野球強豪校の暴力・不祥事は後を絶たず,最近でも代表校の暴力行為が発表されました。そこでは,「教育の一環」としての高校部活動の場が後景に追いやられています。 また,甲子園大会にプロのスカウトが居並ぶなど,プロ野球が高校野球を選手供給の草刈り場にしていることも球界の歪んだ構造をつくっています。加えて,大会を主催する大手紙が拡販のために高校野球を異常に取り上げ,他のマスメディアもそれに追随し,スターづくりに奔走していることも球児から健全な姿勢を奪っています。 もともと学生野球は「試合を通じてフェアの精神を体得すること,幸運にもおごらず非運にも屈せぬ明朗強靭な情意を涵養すること,いかなる艱難(かんなん)をもしのぎうる強健な身体を鍛錬すること」(憲章前文)を理念としています。それは,優れた人間教育の実践でもあるでしょう。 今大会が,正々堂々の競り合いのなかで野球を通して成長する若者の屈託のないたくましい姿をしめし,高校野球再出発の起点の舞台となることを期待します。
Aug 7, 2007
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夏が到来し,郷土色豊かな祭りの季節です。まちの人びとが長年かけてつくりあげ,見る人を元気にする青森と徳島祭りの現場を紹介します。【青森ねぶた】市民が資金を工面や教室も 毎年約300万人が訪れる青森市の「青森ねぶた祭」が,8月2日開幕(夜間運行は8月6日まで,8月7日は昼間運行)し,「ラッセラー,ラッセラー」のかけ声,ねぶたばやし,観客の歓声が,夜の街を包んでいます。 今年は22台の大型ねぶたが出陣。迫力に満ちたねぶたが,街をねり歩き,短い夏の夜を彩っています。 “市民が主役の青森ねぶた祭”を掲げる「ねぶた愛好会」は,歌舞伎十八番に取材した『象引』(制作責任者・諏訪慎さん)で堂々の出陣を飾りました。 同愛好会は,ねぶたが特定企業の宣伝に使われることに潔しとせず,「ねぶたが好きでたまらない」という人たちが集まって結成されたねぶた運行団体です。 1979年に『鐘馗』(制作・石谷進さん)で初出陣。 ねぶた制作や運行の資金も不足なら,自前のはやしも不足―という状態からのスタートでした。「線香花火で終わる」という冷ややかな声も周りにありました。 同愛好会の趣旨に賛同したねぶた師・石谷進さんは,第1回から2003年で引退するまで,25年間にわたってねぶた制作を引き受けてくれました。 独自に開いたねぶたばやしの「青空教室」には,この29年間で延べ約4,000人が参加し,同愛好会だけではなく,ねぶた祭を底から支える役割を果たしています。 ねぶたの下絵入りの手ぬぐいを販売するなど市民の協力をえて,資金を工面しながら,出陣を続けてきました。市民に支えられた同愛好会は来年,出陣30回目を迎えます。【徳島 阿波踊り】はやしに合わせ,観光客も楽しむ 約400年の歴史をもつ阿波踊りは,秋田県の西馬音内盆踊り,岐阜県の郡上おどりとともに「日本三大盆踊り」に数えられています。 太鼓や鉦(かね),三味線,笛などの囃子(はやし)の演奏に合わせ,「連」と呼ばれるグループで踊ります。踊りは桟敷席と呼ばれる観客席の間を練り踊る通常の歩き踊り,ステージ上で踊る舞台踊りがあり,種類は豪快な男踊りと優雅な女踊りがあります。連は,地域の住民や職場,学校などさまざまな集まりで結成されており,徳島県内には大小約1,000の連が存在します。 「徳島県阿波おどり保存協会」に所属し,有名連のひとつに数えられる「本家大名連(ほんけだいみょうれん)」。1977年に結成され,踊り子,鳴り物担当合わせて100人で構成されています。初代連長・山中一郎さんが阿波藩主・蜂須賀家政公にふんして踊ったことから,この連名を付けました。殿様や城代家老,腰元,家臣など,艶やかな色とりどりの衣装を身にまとって踊りを披露。 歩き踊りはまさに大名行列の様相を呈し,一度見ると忘れられないインパクトを残します。 副連長を務める大知勝己さん(62)は「本家大名連は,観光客の人たちに楽しんでもらえるような踊りを心がけています。そして,阿波踊りのメーンはなんといっても8月のお盆。ぜひ徳島に足を運んでもらい,阿波踊りを見て,踊って,満喫してもらえればと思います」と話しています。 阿波踊りは,8月のお盆の時期に徳島県内各地で踊られ,毎年数十万人の観光客が集まる徳島市の踊りは,8月12日から8月15日の4日間開催されます。
Aug 6, 2007
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参議院選挙での自民党大敗で,8月7日から始まる臨時国会での憲法審査会の立ち上げなど憲法改定をめぐる動向が流動化しています。 憲法審査会は,憲法を調査し,改憲原案を審査・提出する権限をもつ常設機関です。改憲発議に向けた舞台として自民党・公明党・民主党で合意,5月に成立した改憲手続き法に盛り込まれました。 同法成立後,次の国会から衆参各院に設置するとされていましたが,実際に動き出すためには,定数や議決要件などを定める「審査会規程」が必要となります。この「規程」を決めるには,衆参各院の議院運営委員会と本会議で議決しなければなりません。 しかし,参議院では,与野党が逆転し,民主党が議運委などの主導権を握るため,与党の思惑通りにはいかなくなります。 「今国会での議決は難しいのではないか」。8月2日の参議院議運委理事会で,民主党の理事は,難色を示しました。自民党理事が「規程」づくりを提案したことに対する答えです。 民主党理事は,「参議院においては,国民投票法案(改憲手続き法案)の採決の際に混乱はなかったが,衆議院においては混乱もあった」と語り,自民党の提案を持ち帰りました。 社民党と日本共産党はもともと九条改憲をねらいとする改憲手続き法と憲法審査会の設置に反対しています。同日の衆院議運委理事会でも,反対の立場を表明しています。 民主党はもともと,九条改憲を柱とする「憲法提言」を掲げる改憲政党です。 改憲手続き法についても,昨年の国会で自らも憲法審査会の設置を含む民主党案を提出。与党案との合作,すり合わせをすすめてきました。 しかし,参議院選挙をにらみ「安倍首相の改憲路線に加担するのか」との批判を避けるため,合作を放棄。今年4月の衆議院採決では与党案反対に回りました。また,今回の参議院選挙では,憲法問題の争点化を徹底的に避けました。 このため,民主党の今後の憲法問題での対応が注目されています。 一方の自民党は参院選で155項目のマニフェストのトップに,「平成22年(2010年)の国会において憲法改正案の発議をめざす」と憲法改定を掲げました。 その選挙で,国民が自民党を大敗させるという審判を下したことにより,同党がこれ以上,改憲策動を前にすすめることの正当性は失われています。 臨時国会での各党の態度が問われています。
Aug 5, 2007
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参議院選挙最終盤の7月26日,日本から中国へのコメ輸出が再開されたというニュースが報じられました。相次ぐ事務所費疑惑で辞任することになる赤城徳彦農水大臣が,北京市のスーパーで新潟県産コシヒカリや宮城県産ひとめぼれを宣伝している映像もテレビで流されました。 安倍晋三首相は,農村部での遊説では,コメやリンゴの輸出を例にあげて「攻めの農政」を訴えました。 「攻めの農政」とは,農水産物の輸出をてことして,農政全体を“攻勢的に転換する”ことだといいます。それは,小泉内閣の「食料・農業・農村基本計画」(2005年3月)で打ち出され,同計画推進本部が「21世紀新農政の推進―攻めの農政への転換」をかかげて,鳴り物入りで宣伝している農業政策です。 コメなどの農産物輸出や「攻めの農政」をどう考えるか。その狙いは何か。 日本からの農産物の輸出では,たばこやアルコール飲料を除けば,リンゴ,ナガイモ,小麦粉,緑茶などが上位品目です。 リンゴをみると,2002年の27億円から,2006年には約2倍の57億円に増えています。しかし,リンゴ総生産額に占める輸出の割合は3%~4%です。 日本のリンゴやコメの味の良さ,品質の良さは,日本人のわれわれ自身がよく知っています。日本の農産物が味の良さを買われて海外に輸出されることは,日本農業のすぐれた技術や,健康に良い日本の食文化の表れであるともいえるでしょう。 安倍内閣は,3,739億円(2006年)の農水産物輸出を,2013年までに1兆円に拡大する目標をかかげています。 しかし,現在の農水産物の輸出の大半は,水産物,インスタントラーメン,清涼飲料水などの食品加工メーカーの製品です。リンゴ,ナガイモ,コメなど純国産農産物の輸出はわずかに80億円程度(2004年)で,農業生産額の0.09%を占めるにすぎません。 もともと,純国産の農産物の輸出は,海外の一部の富裕層を狙った,極めて限られた販路のものです。今回,中国に輸出されたコメも,中国の国内価格の20倍から30倍だといわれ,海外の一般庶民の口に入るものではありません。 官民一体で設立された「農林水産物等輸出促進全国協議会」の会長は,キッコーマンの茂木友三郎会長で,会員にも農水産業の関係者だけでなく,食品業界,流通業界,外食業界,財界の代表がずらりと顔をそろえています。輸出拡大で利益をあげるのは,農民というより,食品業界や流通業界だからです。 農水産物の輸出促進に力を入れることは,そこだけをみると悪いことのようには見えません。しかし,農水産物の輸出をてことして農政全体を“攻勢的に転換する”ということになれば,話はまったく違ってきます。 「攻めの農政」では,「日本の農産物の輸出拡大のためには,輸入も自由化しなければならない」,「農産物の輸出競争力強化のためには,農業の株式会社化が必要だ」などという“農政転換”を意味するからです。 小泉「構造改革」を推進した竹中平蔵慶応大教授は,農産物輸出の条件について,次のように明快に述べています。 「農政は根本的に直さなきゃいけない。その意味で故松岡(利勝)大臣が言っていた,日本を農業の輸出国にするというのは間違いではないんです。そのためには思い切った自由化をして,株式会社化も進めるべきなんです…」(『週刊東洋経済』7月28日号)。 また,日本経済新聞は,「コメ輸出再開てこに『攻める農業』を」という社説をかかげ,「コメの輸出は農業関係者の意識改革を促す意味もある」「コストを下げるためには大規模農家に耕地を集約し,経営効率を高めるしかない」「農産物の輸入自由化は不可欠であろう」と論じています(同紙,7月25日付)。 現実に,政府は,「攻めの農政」のもとで,圧倒的多数の家族経営を保護の対象からはずし,ごく一部の大規模経営だけを対象にする「品目横断的経営安定対策」を強行しています。農産物の関税撤廃を求めるオーストラリアとの自由貿易協定の交渉開始も決めています。 しかし,かりにいま関税を撤廃したらどうなるか。農水省の試算では,農業生産は3兆6,000億円減,米生産は90%減,食料自給率は40%から12%へ低下する,となっています。 「攻めの農政」で攻めようとしている対象は,実は海外市場ではなくて,国内の圧倒的多数の家族経営農家にほかなりません。 「攻めの農政」という政策スローガンの危険性は,こうした農政転換の本質を国民の目から覆い隠し,農政を「自由化」路線,「構造改革」路線に完全に屈服させるために,農政の内側に送り込まれた「トロイの木馬」(注)になる恐れがあることです。 農水省の2007年度予算では,「攻めの農政」の名で,「輸出促進対策の強力な推進」として,前年度比7.6倍の76億円が組まれています。しかし,コメやリンゴの輸出を拡大することと,「攻めの農政」の名による農政転換とは,基本的に次元の異なる問題です。 農水省は,WTOの農業交渉などでは,たてまえの上では,農産物の自由化圧力に「守るべきは守る」という姿勢をとってきました。ところが,「攻めの農政」のもとでは,こうした立場そのものも根本的に“転換”されようとしています。 リンゴやコメの輸出拡大を看板にかかげた「攻めの農政」の危険な内容と,その「トロイの木馬」的役割を,けっして見誤ってはならないでしょう。【参考】 「トロイの木馬」とは,トロイ戦争のさいに,ギリシャ軍が巨大な木馬に兵士を忍ばせてトロイ城内に送り込み,トロイを攻略した話。 最近ではパソコン用語として,ネットワークを介して他人のコンピューターに忍び込んで勝手にファイルを操作・破壊する偽装プログラム(ウイルス)のことを「トロイの木馬」と呼んでいる。
Aug 4, 2007
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参議院選挙で大敗した安倍内閣が,消費税を含む税制「改革」を予定通り進める姿勢を強調しています。 政府税制調査会の香西泰会長は先月末の記者会見で「従来の方針で粛々とやっていく」と述べました。尾身幸次財務相は,秋から本格化させる税制議論には「消費税の問題も含まれる」と明言しました。 安倍晋三首相も選挙の大勢が判明した投票日夜,インタビューに答えて「当然(消費税の)議論は行わなければならない」と述べています。 消費税問題は,首相が「消費税を上げないなんて一言も言っていない」と発言したことをきっかけに参議院選挙の熱い争点に急浮上しました。 党首討論で日本共産党の志位和夫委員長は,「消費税増税の可能性があるなら事前に参議院選挙で国民の審判を仰ぐべきだ」と求めました。これに対して安倍首相は,消費税を今回の参議院選挙の争点にはせず,国民の審判を仰ぐのは「次の衆院選で」と身勝手な姿勢に終始しました。 それにもかかわらず,首相は国民の審判から逃げられませんでした。6月の住民税の大増税に続いて,政府・与党がまたもや庶民増税を計画していることに国民の怒りが広がり,それが与党大敗の大きな原因となったことは明らかです。 選挙中,政府税調の香西会長は「もうすでに(国民の消費税に対する)裁判が始まっている」と指摘しています。その「裁判」で明確な判決が出たのです。 消費税は生活保護世帯にも同じ税率でかかり,所得が低い人ほど負担が重くなる逆進性の強い最悪の不公平税制です。 もとより,消費税増税について国民に誠実に説明することから逃げ続けた安倍内閣と与党には,消費税増税を提起する資格すらありません。その上に国民の厳しい審判が下っています。安倍内閣と自民党・公明党連立与党は,消費税の増税計画を潔く諦めるべきです。 安倍内閣の狙いは消費税増税だけではありません。先月末の記者会見で香西会長は,扶養控除など所得税の諸控除見直しを掲げている民主党の公約を挙げ,「私は所得税についてはぜひ見直したいと前々から思っていた」と強調しました。 民主党は所得税などの見直しで2.7兆円の財源をつくるとしていますが,配偶者控除や扶養控除の縮減・廃止は中低所得層にいっそう過酷な負担を強いる庶民増税に他なりません。 それ以下の所得に課税しない水準を示す課税最低限は日本の場合,すでに国際的に見ても低すぎるところまで下がっています。財務省によると,今年1月時点の課税最低限(夫婦と子2人)はアメリカ401万円,イギリス423万円,ドイツ558万円に対して,日本は325万円にすぎません。 OECD(経済協力開発機構)は日本に関するリポートで,再三にわたって,日本の税制が世界でも特に低所得層に厳しいことを指摘しています。低所得層の税負担を一段と重くし,さらに低い所得の世帯にまで課税することになる諸控除の縮減・廃止は,貧困と生活難をいっそう深刻にします。 財源の話になると庶民に増税することしか出てこないお粗末な政治に国民は怒りの審判を下しました。 税制改正でまずやる必要があるのは住民税増税を中止して増税分を国民に返すことであり,大企業と大資産家への減税の大盤振る舞いをすっきりとやめることです。
Aug 3, 2007
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ご存知のように,赤城徳彦農水相が辞任しました。 事務所費問題をはじめ「政治とカネ」の疑惑で国民の政治不信を頂点まで高めた赤城氏にまず求められたのは、領収書類を示して国民に説明責任を果たすことでした。それを回避したまま、ただ辞めるというのでは政治家失格です。 赤城氏をかばい続けたうえ、真相解明を求める国民の声に背いて、疑惑にフタの決着を図る安倍晋三首相も同罪です。 辞任表明直後の赤城氏の発言には多くの国民が唖然とさせられました。赤城氏は「参議院選挙で私に関する様々な報道があり、与党の敗北の一因になった」のが「大変申し訳ない」から辞めるというのです。 国民への謝罪は一言もありません。自らの行為に対する反省も一切ありません。疑惑を「報道」する方が悪いといわんばかりで、ただただ与党の仲間内に「迷惑をかけた」というだけです。安倍首相はこんな腐敗不感症の人物を閣僚に据えた不明を恥じるべきです。 参議院選挙で示された国民の強い怒りを受けて、せめて罷免するのが当然の筋でした。 実家を所在地にする実体のない政治団体の巨額事務所経費問題で一気に噴出した赤城氏の疑惑は、選挙中にもさらに拡大し、政治団体の政治活動費の報告でコピーした領収書を悪用して経費の「二重計上」をしていた問題まで飛び出しました。政治資金収支報告書の虚偽記載に相当し、政治資金規正法では5年以下の禁固・100万円以下の罰金が科せられる違法行為です。 それでも赤城氏は、「単純な事務処理上のミス」と“ばんそうこう”をつぎはぎしたような言い逃れを続け、選挙後も「これまでの説明、報告を見ていただければご理解いただける」と領収書の開示を拒否したまま、大臣の座に居座ろうとしました。 安倍首相は参議院選挙直前、「(光熱水費)たった800円の人を辞めさせるんですか」とテレビ討論で述べるなど、異常なまでに赤城氏をかばいだてしました。この首相の姿勢が、赤城氏を増長させ、問題をここまで深刻にしたともいえます。 昨年末の佐田玄一郎前行革担当相にはじまり、伊吹文明文科相、松岡利勝前農水相と閣僚に相次いだ事務所費問題を、安倍首相はすべて曖昧にしました。 真相解明を一切拒み、問題を政治資金規正法改定にすり替え、疑惑隠しに狂奔したのです。それは内閣として閣僚の不正を是認するに等しいことで、安倍内閣への国民の不信を決定的に広げました。 安倍首相は、赤城氏の辞任表明前日(7月31日)夜の記者会見で、「赤城大臣も含めて人心を一新していく」と発言しました。裏を返せば、9月に予定する内閣改造までは赤城大臣のままでいくという表明です。それがわずか半日で覆りました。 閣僚の人事という首相の専権事項についてさえ、もはや安倍首相は「制御不能」です。国民世論とのずれが覆いがたく広がり、安倍自公政権はもはやたちゆかないほどに追いつめられています。 安倍内閣のわずか10ヶ月間で、閣僚交代は4人目です。「政治とカネ」、暴言問題で、首相の対応は常に後手に回り、国民の信頼を全く失っていることは明らかです。 選挙の審判を受けて、安倍内閣自身が退陣すべきです。「赤城氏を切れば終わり」は全く通用しません。安倍首相自身の責任を明確にすべきです。
Aug 2, 2007
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アメリカ下院本会議が,「従軍慰安婦」問題で,日本の首相に公式の謝罪と歴史的責任の受け入れを求めた決議を異論のでないほぼ満場一致で採択しました。下院外交委員会につづき本会議としてはじめての決議です。 法的拘束力はないとはいえ,政治的意味は重大です。下院定数の1/3を超える167人が共同提案者となり,ほぼ満場一致で決議を採択したことは,安倍外交にとっても大きな衝撃です。 「政府の立場は変わらない」(塩崎恭久内閣官房長官)とこれまでと同じように無視し続けるのでは,日米関係にも大きな影響を及ぼし,アメリカからも孤立する事態になりかねません。 下院本会議が決議を採択したのは,日本の「官民の関係者」が,「謝罪と反省を表明した1993年の河野洋平内閣官房長官の慰安婦にかんする声明を薄め,無効にしようとする願望を示している」からです。安倍首相らは「慰安婦」問題は「もともとなかった」,「河野談話は間違っている」などといっています。 こうした侵略戦争を正当化する「靖国」派勢力の,河野談話を空文化する策動にアメリカ下院が危機感をもち決議を採択したのは明らかです。安倍首相がこの決議の意味をしっかり受け止めないとアメリカ議会との矛盾をいっそう大きくするばかりです。 委員会段階よりも共同提案者が大幅に増え,本会議がほぼ満場一致で決議を採択したのは,安倍首相が日本軍の「強制性」を否定し続けていることへの反発の大きさを示しています。 決議がいう「日本政府による強制的な軍の売春」という事実は戦後国際社会が再出発にあたって確定済みの問題です。それは侵略戦争と植民地支配を二度と許さないという政治原則の土台になっています。安倍首相ら「靖国」派が「日本軍の強制はなかった」というのは,戦後政治の土台を覆すことです。 国際社会の一員として存在しようとする限り,歴史の歯車を逆にまわすようなことはすべきではありません。 安倍首相は4月の日米首脳会談で,ブッシュ大統領や議会指導者に「河野談話」の継承と「お詫び」を表明してみせながらも,「強制性を裏付ける証拠はなかった」という肝心の発言を撤回していません。6月の下院外交委員会の「慰安婦」決議もこの立場で無視を決め込みました。 一方で「靖国」派は,自民,民主両党議員が決議阻止の意見広告をアメリカ紙に掲載し,日本会議国会議員懇談会の会長である平沼赳夫氏と自民,民主両党有志議員は河野談話を「歴史事実に基づかない」として「歴史的検証」を求める声明までだしています。 そのうえ安倍首相は,加藤良三駐米大使に「決議が採択されれば永続的で有害な影響を与える」と書いた書簡をペロシ下院議長ら下院の中心メンバーに送付させました。こうした脅迫的手段に訴えるやり方が反発を買ったのは当然です。 「靖国」派の安倍政権に正常な外交を期待することができないのは明らかです。 戦前の天皇制政府と軍部が侵略と植民地支配を進めるなかで,海外の女性を日本軍の性的奴隷にしたことは政府の調査資料で明らかになっている事実です。海外で再び戦争する道を進むために,旧日本軍の行動を正当化するなど言語道断です。 日本軍の強制があった歴史的事実を認め,安倍政権が公的に謝罪してこそ,日本は国際社会とまともな付き合いができることになります。
Aug 1, 2007
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【アメリカ紙】痛烈打撃受けた首相の民族主義 アメリカ紙ロサンゼルス・タイムズ(7月30日付)は,参議院選挙の結果について「日本の有権者は安倍晋三首相の民族主義的執念に痛烈な打撃を与えた」と述べ,「日本を『美しい国』にするという情緒的で民族主義的な修辞は葬り去られる運命にあるようだ」と伝えました。 同紙は,「安倍氏の政治観が自民党内の民族主義派内ではぐくまれ」,首相に就任すると「戦争犯罪という被虐的視点からの脱却」,「戦後レジームの終焉」を主張したと指摘。 教育基本法を改定して「学校に愛国的なカリキュラムによる教育を求め」,防衛庁を防衛省に昇格させ,「平和憲法改定に道を開く」国民投票法を通過させたことを,その端的な事例として挙げています。 しかし,「政治とカネ」をめぐる閣僚の相次ぐ不祥事や暴言,「消えた年金」などに国民の怒りは広がり,安倍首相の言う「戦後レジームの脱却は国民の心をつかめなかった」と,日本の政治学者の言葉も引用しながら論評しました。【ドイツ紙】政権の政策と国民の関心乖離 日本の参議院選挙の結果について,7月30日付のドイツ各紙は自民党の大敗を大きく報じ,安倍首相は自民党内で求心力を失ったと伝えました。 南ドイツ新聞は,「安倍首相は敗北の責任を負わなければならない。愛国主義や憲法改定のような問題はほとんどの日本人にとって重要ではない」とし,安倍政権の政策と国民の関心と乖離している点を指摘しています。 シュツットガルター・ツァイトゥングは,年金データ紛失をめぐる対応のまずさや閣僚のスキャンダルなど安倍政権の問題を挙げ,「有権者は政府に罰を与えたいという感情を表した」と伝えました。 ウェルト紙は,「安倍首相は改革者ではなかった」と述べ,首相就任時に国民が抱いた期待とは違ったと報道。安倍首相が地方の住民に関心を持たず,新たな愛国主義,平和憲法の放棄,安保政策の強化などを優先課題と位置づけていることが有権者の支持を失った原因だと分析しています。【イギリス紙】有権者自民離れ 政権基盤弱体化 参議院選挙の結果について,7月30日付イギリス紙は,自民党大敗を報じるとともに,有権者の自民党離れによる政権基盤の弱体化を伝えました。 タイムズ紙は,「中産階級の報復で日本の与党が歴史的敗北」と題して報道。敗因について,自民党関係者が同紙に語った内容として,安倍首相の指導力の欠如,スキャンダルへの対応のまずさ,自民党長期政権への国民のうんざり感などを挙げました。 また,地方での自民党の敗北について,小泉前首相の改革が「最も深刻な影響をもたらし,怒りは最も強かった」と指摘。小泉前政権以来の痛みを伴う改革が地方の有権者の自民党からの離反を招いたと分析しました。 インディペンデント紙は「日本の有権者は安倍政権のスキャンダルまみれの10ヶ月に対して痛烈な判定を下した」と報じ,「安倍首相の権力は大幅に弱まった」としました。 ガーディアン紙も,安倍政権に対する「広範にわたる不満」が「大敗」をもたらしたと伝えました。【アラブ紙】貧富拡大が背景 アラブ首長国連邦紙ハリージ・タイムズは7月30日,社説で参議院選挙での自民党の敗北について,深刻な経済状況が背景にあると指摘しました。 同紙は,安倍首相が唱える「美しい日本の創出」に反し,「この国では,庶民の日々の生計を含む経済的貧困や大規模化する貧富格差拡大の病が一層深刻化している」と主張。 年金問題対策の失敗も同党に少なからぬ打撃を与えたとしています。【中国紙】政治変化に注目 中国各紙は7月31日付でも前日に続いて日本の参議院選挙結果について報じ,安倍首相の続投表明に批判が強まっていることを伝えました。日本の政治の変化にも注目しています。 人民日報は国際面に「明白なことと不明なこと」と題する論評を掲載し,「日本の政局は今後新しいめまぐるしい変化の時期に入る」と述べました。 論評は,自民党の惨敗は明白だが,衆議院の解散・総選挙の時期と,政界の分化と組み合わせにどのくらい時間がかかるかは不明だと指摘しました。「安倍首相は,国民の不信任をなるべく早く補うつもりだろうが,勇気がない。ひたすら衆議院選挙での敗北を恐れている」と解説しました。 また,「安倍首相が進める『戦後レジームからの脱却』や3年での改憲といった政治路線はいっそう大きな抵抗にあうことになる」と予測しました。 環球時報は「有権者は安倍首相に反対のメッセージを伝えたのであって民主党が政権に就くことを支持したのではない」とする分析を紹介。「日本は二大政党制に向かう方向が現れているが,質的な変化はない。長年の自民党政治のため政界には複雑な関係が積み重なっている」との識者のコメントを伝えました。
Aug 1, 2007
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