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「消えた年金」問題をめぐり,自民党,公明当の両党が提出した「時効特例法案」が審議された5月30日の衆院厚生労働委員会では,法案提出者が答弁不能に陥り,柳沢伯夫厚労相が代わりに答弁に立つなど,法案を付け焼き刃の議員立法で提出した連立与党の無責任ぶりが浮き彫りになりました。 民主党の内山晃議員の質問に対し,提出者の宮沢洋一議員(自民)は,「政府の方に下請けに出しているので,政府の方から答弁させていただきたい」などと言い出す始末。 柳沢厚労相は,議員立法で特例法案を出した理由について,「時効の問題に迅速に対応するためだ」などと弁明し,議員立法で出したのに「中身的には政府・与党一体だ」と語るなど矛盾した答弁をしました。 一方,自民党の岸田文雄議員,公明党の古屋範子議員は与党質問で,消えた年金「5,000万件」という表現は国民の不安を煽るもので,「消えた年金ではない。社会保険庁に記録が残っている」などと主張。 その一方で,現時点で把握できていない年金記録があるのは「社会保険庁のぬるま湯体質のためだ。組織をこのままにしておいたら将来,不祥事をおこしてしまう」(岸田議員)などとして,社保庁解体法案を成立させるよう促しました。 しかし,同法案は記録ミス問題を国が責任をもって解決することを不可能にするもので,自民党・公明党連立与党の主張は法案の矛盾をさらけ出した格好です。
May 31, 2007
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辞任拒んだ安倍首相 松岡農水相の自殺について5月29日付イギリス各紙は,事務所費問題などスキャンダルを抱える松岡氏の辞任を拒んできたのは安倍首相だったと伝え,自殺が同政権にとって打撃となるとの見方を示しました。 ガーディアン紙は,「安倍氏は松岡氏の解任を求める(自民)党内の声に抵抗してきた」と指摘。さらに「松岡氏の死は,7月22日投票の参議院選挙を前に,安倍氏に対するプレッシャーを強めることになる」としました。 デーリー・テレグラフ紙も「安倍氏は一貫して辞任を求める声から農相を擁護してきた」と報道。 タイムズ紙も,「辞任を求める声は,与野党で拡大し始めていた」にもかかわらず,「安倍氏は,松岡氏はすべてを適切に処理してきたといって支えてきた」と伝えました。 タイムズ紙はまた,農水相の自殺が安倍内閣への支持率急落と重なったことを指摘。その背景として,年金記録漏れの問題だけでなく,平和憲法や教育基本法を変える動きがあることを伝えています。安倍政権の弱体化招く 松岡農水相の自殺について,5月30日付フランス紙ルモンドは「安倍政権をいっそう弱体化させる」と報じました。 同紙は,緑資源機構の前身,森林開発公団の山崎元理事の自殺にも触れて,「安倍内閣にとってきわめて厄介な問題」であり,7月の参院選に影響があると指摘。安倍内閣は「権威に欠け,政治スキャンダルの扱いが不透明だ」と批判されているとしています。 また5月29日付フィガロ紙は「政権が窮地に追いやられている」とし,「首相の指導性が改めて問われて」おり,「首相自身は,国民には理解しがたい遠回しの表現でしか発言しなくなっている」と皮肉っています。 国際社会からも,今回の安部首相の対応の悪さを指摘されています。しかしながら,「数の論理」で悪法を押し通すやり方は,以前と何も変わっていないのが現実です。盟友がひとり倒れても,やり方を変えようとしない安部首相の人間性が問われています。
May 31, 2007
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「(安倍晋三首相は)党内の忠告にも逆らいながら,彼(松岡利勝前農水相)は法的責任を果たしていると主張してきた」(イギリスBBC電子版)。 議員会館事務所の光熱水費や緑資源機構の官製談合事件などで疑惑がかけられていた松岡前農水相の自殺は,海外でも「安倍晋三首相に新たな打撃」(アメリカ・ニューヨーク・タイムズ紙5月29日付)などと波紋を呼んでいます。 自らの政権維持のために松岡氏をかばい続け,疑惑隠しをしてきた安倍首相の責任を問う声は,内外から起きています。 5月29日付の全国紙社説は,「松岡氏を閣僚に起用し,疑惑を追及されても擁護してきた安倍晋三首相の責任も小さくない」(「産経」),「悲劇的な結末に至ったのは,首相が政治とカネの問題に対する国民の不信や怒りを軽視し,けじめをつけてこなかったツケとはいえないか」(「毎日」)。 自民党内でも,津島派の笹川尭元科学技術政策担当相が「首相は任命責任をたたかれるのは嫌かもしれないが,辞めさせてやらなかった責任の方が大きい」(5月28日)と発言しています。 「問題はあれだけの疑惑が彼に出てきたにもかかわらず,なぜ安倍首相がかばい続けたのかということ。松岡農水相は安倍首相にとって右翼運動の盟友だったんです」と指摘するのは,「子どもと教科書全国ネット21」事務局長の俵義文さん。 松岡前農水相が,日本会議国会議員懇談会の幹事,教科書攻撃の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(のちの教科書議連)の副代表など「右翼的議連に最も多く入っている1人だった」と指摘し,次のように述べます。 「安倍首相は,こういう議員たちに押し上げられて総理になったわけです。松岡農水相を切れば,盟友,同志を冷たく扱うことになるし,総理にしてもらった恩を仇で返すことになる。だからどうしても切れなかった。それが仇をなしたと思います」。 何事も曖昧な態度をとり続けた安部内閣の曖昧戦略が裏目に出て,1人の命が奪われた事に対して,安部首相自身は何らかの転換が求められます。
May 30, 2007
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文部科学省の高校教科書検定で,太平洋戦争末期の沖縄戦の際の「集団自決」について,日本軍の強制があったという記述に検定意見が付き,各社の教科書が修正された問題で,「集団自決」があった沖縄県座間味村の村議会は5月29日,臨時議会を開き,検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決しました。 沖縄本島から南西約40キロ離れた慶良間諸島の座間味島などには,沖縄戦当時,日本軍の海上特攻部隊が置かれていました。アメリカ軍が慶良間諸島に上陸した1945年3月に,座間味島,渡嘉敷島(渡嘉敷村)などで「集団自決」が発生。生き残った住民らは,日本軍の強制や誘導があったと証言しています。 村議会の意見書は,文科省が今回の検定で,座間味村に駐屯した日本軍の元隊長が起こした裁判での証言を,日本軍の関与を削除した理由のひとつにあげていることについて「係争中の裁判の一方の当事者の主張のみを取り上げ,体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするもの」と批判しています。 沖縄県内では,文科省が行った日本軍の強制削除に対し,「この国の犯した罪を消すことになる」と強い反発の声が広がっています。「集団自決」が同じく起こった慶良間諸島の渡嘉敷村をはじめ,半数以上の市町村議会が同様の意見書を採択したか,6月議会での提案を予定しています。 沖縄戦に限らず,安部内閣を中心に靖国派の政治家たちは,先の戦争で犯した数々の罪すら揉み消そうとしています。国民はこの大罪を許すと,同じような過ちを繰り返すことになることを知るべきです。 そのためにも,憲法九条を変え,再び戦争ができる国にしようとする改憲勢力に対して,決して騙されることのないことを強く祈ります。
May 30, 2007
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5月28日に発表されたふたつの全国紙での世論調査で,いずれも安倍内閣の支持率が急落しました。 「毎日」が26日,27日両日に行った世論調査では,安倍内閣の支持率は32%。4月の前回調査比で11ポイント下落し,昨年9月の政権発足以来,最低となりました。 不支持率は44%で最高となり,2月,3月と同様に不支持が支持を上回りました。 「日経」が25日-27日に実施した世論調査では,内閣支持率は41%で,4月の前回調査から12ポイント下がりました。 不支持率は44%で,2ヶ月ぶりに支持を上回りました。 内閣支持率が急落した要因について,「毎日」は,「安倍内閣の (1) 『政治とカネ』への対応,(2) 格差是正への取り組み,(3) 憲法改正を争点化する姿勢,などに対する不満が,年金支給漏れ問題が引き金になって噴き出し」たと分析しています。 「日経」も「公的年金保険料の納付記録漏れが参議院選挙の争点に浮上してきたことや『政治とカネ』の問題を巡る対応への不満などが影響しているとみられる」としています。 あまりに疑惑の多い安部内閣が未だ40%以上の支持率があることに,私自身は疑問があります。貧困と格差の拡大,青年雇用問題の悪化,増税や負担増など問題が噴出していますが,これは,アメリカと大企業言いなりの自民党政治の問題点が一気に噴出していると考えています。 秋には消費税の議論も加速し,ますます国民の暮らしを破壊しようとしている自民党・公明党連立内閣の支持率通り,参議院選挙も国民がこれまでと同じ行動をとるのであれば,国民の暮らしの破壊は仕方がないことかも知れません。 選択したのは,他ならぬ国民自身なのだから。
May 29, 2007
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政治資金団体の事務所費問題や緑資源機構の官製談合事件で疑惑の渦中にあった松岡利勝農水相が,東京・赤坂の議員宿舎で自殺を図り,搬送先の都内の病院で死亡が確認されました。現職の大臣の自殺は,戦後初めてです。 自殺の詳しい原因などは明らかにされていませんが,事務所費問題や官製談合事件など,「政治とカネ」問題との関連が推測されます。自らにかけられた疑惑について松岡氏は説明責任を果たしませんでした。自殺で問題を一件落着とはせず,司法当局の捜査や関係者の証言などで,徹底究明することが求められます。 自らいのちを絶つという事態はまことに痛ましいものですが,政治家の責任としてまず求められるのは,自らにかけられた疑惑を自ら解明することです。衆議院の政治倫理綱領で「疑惑を持たれた場合には,自らそれを解明し,その責任を明らかにする」とあるのもそのためです。 その点で,松岡氏が政治家として疑惑解明の責任を果たさず,自殺の道を選んだとすれば,残念至極という他ありません。 松岡氏には,家賃や電気・水道代が1円もかからない議員会館の自室に政治団体の「主たる事務所」を置きながら,数千万円単位の事務所費や光熱水費を支出したと政治資金収支報告に届け出,虚偽報告や表に出せない用途に使ったのではないかとの疑惑が指摘されてきました。 松岡氏は虚偽報告ではないといいながら,実際何に使ったのかの説明を一切拒否してきました。政治資金収支報告は,入りについても出についても透明にし,国民の監視と批判のもとで政治家の倫理をただしていくのが趣旨です。 松岡氏の態度がこれに反していることは明白であり,保管が義務付けられた帳簿などにもとづき説明責任を果たすことが関係者の責任です。 松岡氏には公正取引委員会が告発し,東京地検特捜部が捜査を進めている緑資源機構の官製談合事件をめぐっても,疑惑が指摘されてきました。緑資源機構がかかわった林道などの事業に関係する団体から1億3,000万円もの政治献金を受け取っています。 とりわけ,緑資源機構が松岡氏の地元・熊本県などでおこなっている「特定中山間保全整備事業」の工事発注などをめぐっては自身の関与も伝えられ,一部の報道では捜査が松岡氏の周辺にも及びつつあるといわれていました。 この問題でも松岡氏は,なんら疑惑解明の責任を果たしていません。大半が国の補助金でまかなわれる緑資源機構からの発注は,国民の血税の使い道にもかかわります。松岡氏がその発注に影響力を行使し,不当な利益を受けていなかったか。疑惑の解明は,捜査に当たる検察当局はもちろん,農林水産省など政府そのものの責任です。 とりわけ重要なのは,任命権者である安倍首相自身の責任です。安倍首相は,“疑惑のデパート”とまでいわれた松岡氏を,「靖国派」の同志の1人として閣僚に起用しました。事務所費問題でも首相は,松岡氏の説明を鵜呑みにし,一切解明の責任を果たそうとはしませんでした。 安倍首相が松岡氏を閣僚に起用せず,任命権者としての責任を果たしていれば,松岡氏も自殺しなくてすんだとまではいいません。しかし,松岡氏の自殺で安倍首相が疑惑にほおかぶりするなどというのは,絶対あってはならないことです。
May 29, 2007
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米軍新基地を建設するための調査に,政府・防衛省が,海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を派遣したことに対し,沖縄では立場を超えた怒りが広がっています。この問題でいま政府が,法的根拠について説明不能に陥るという事態になっています。 防衛省設置法は「自衛隊の行動及び権限等は,自衛隊法の定めるところによる」(第五条)と定めています。 ところが野党議員の追及に,防衛省の山崎信之郎運用企画局長は「(自衛隊法には掃海母艦派遣の)明示的な規定はない」と述べました(5月24日の衆院安全保障委員会)。もともと法的根拠がないことを認めたのです。 軍事力を動かすのに,法的根拠も示せないというのは,法治国家にあってはならない事態です。 苦し紛れに防衛省が持ち出したのが,国家行政組織法に基づく「官庁間協力」です。 防衛省は「官庁間協力」の要件として,(1) 事務の公共性,(2) 手段等の非代替性,(3) 緊急性 の3点を挙げています。 しかし,米軍に新たな出撃拠点を差し出す基地建設に,「公共性」などあるはずがありません。 では,「非代替性」や「緊急性」に基づき,“自衛隊が出動しない限り,調査ができない”と現地が要請したのでしょうか。 野党議員が,調査を直接担う民間業者,現地の那覇防衛施設局の要請の有無をただしたのに対し,北原巌男防衛施設庁長官は「施設庁長官として,調査をしっかりやらなければならない。責任ある立場から(私が)要請した」と述べ,民間業者らからの要請がなかったことを認めました。 軍艦を送り込んだ法的根拠は,総崩れになったのです。 なぜ政府は,ここまで異常な強行路線を突っ走るのでしょうか。 安倍晋三首相は,ブッシュ大統領との首脳会談(4月27日)で,新基地建設を「着実に進める」と確約。その直後の日米の外交・軍事担当閣僚による会合(2プラス2)でも,在日米軍再編計画について「着実に実施する決意を再確認」(共同文書)しました。 久間章生防衛相は,「ぶんご」を動員して調査を強行した5月18日,自衛隊による警備行動(海上警備行動)について「海上の治安状況がよっぽど悪化した場合には法律上,できないことはない」と述べ,実力行使まで示唆しました。 しかし野党議員が,地元住民の抗議活動で犯罪行為が確認されたのかとただしたのに対し,海上保安庁の石橋幹夫警備救難部長は「違反行為に伴う逮捕者は出ていない」と答弁。浮かび上がるのは,「非暴力の抗議活動」を,力で押しつぶそうとしたということです。 県民から「『牙』むき海奪う行為だ」(沖縄タイムス『社説』,5月19日付)と,厳しい抗議があがるのも当然です。 法的根拠がなくても,非暴力の自国民に対し軍事力を差し向ける。ブッシュ・アメリカ政権への忠義を示すためには,自国民の生命と安全などおかまいなしの安倍政権の姿を浮き彫りにしています。
May 28, 2007
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沖縄県名護市の辺野古崎で,防衛省が,掃海母艦「ぶんご」(5,700トン)を出動させて強行したアメリカ海兵隊新基地建設のための「環境現況調査」。同調査をめぐる安倍政権あげての違法な“環境影響評価法(アセス)すり抜け作戦”を検証してみます。 2006年12月25日,首相官邸。4階大会議室で開かれた第3回普天間移設協議会。 出席者は政府側から塩崎官房長官,久間防衛庁長官(当時,現防衛相),麻生外相,若林環境相。沖縄県からは仲井真沖縄県知事,島袋名護市長など北部自治体の各首長。 防衛庁の守屋事務次官は新基地建設に向けた環境影響評価法の説明を行い,こう結びました。「6六月上旬のサンゴの産卵のピークの(略),この時期に調査を開始できないと,次の産卵時期である再来年(2008年)の6月まで遅れまして,結果として事業が1年遅れとなる」 新基地建設が1年遅れる。2005年の在日米軍再編で新基地の完成を「2014年まで」とアメリカに約束した日本政府にとって絶対に回避すべき事態です。2007年早々のアセス手続きの実質着手が政府の意思として確認されたのです。 「概略工程表」(別図参照)。防衛省が「移設協議会」に提出したスケジュールです。「環境影響評価手続」は2007年1月にスタートさせ,2009年7月中に終了。翌8月に「埋立申請手続」に入り,2010年1月から埋立工事と飛行場施設の工事。 しかし“壁”がありました。沖縄県が「民家の上空を飛ばない」を条件にV字形滑走路の「位置」の沖合への修正を要求。「修正前のアセス手続きは受理できない」としているからです。 アセス法は,大規模事業に義務付けられているもので,事業による環境への影響を事前に予測し,その評価方法書を公告・縦覧し,住民や自治体の意見を聞くなど公開・透明性,説明責任を求めています。 通常,アセス法通りにやればアセス方法書で数ヶ月,その後の環境現況調査で約1年,環境への影響の予測結果,保全措置の検討などについて住民や自治体の意見を聞くために作成する準備書など全体で約3年が必要とされています。県は現在になってもアセス方法書を受理していません。 沖縄県の返還問題対策課の関係者が明かします。「方法書を県が受理するタイムリミットは1月中旬だった」 防衛省はこの時点で「アセス手続き開始は困難」と判断。そこで編み出したのが事前調査と称する「アセス法によらない独自の環境現況調査」です。明らかにアセス法違反の“短縮策”です。 那覇防衛施設局の「入札関連資料」には事前調査の文字はなく,あるのは「環境現況調査」であり,アセス方法書などへの意見,概要書のとりまとめ,沖縄県知事からの「意見書に係る見解書のとりまとめ」など,どれも環境影響評価法にもとづく業務委託です。県が方法書を受理してから,環境現況調査に進むのではなく,同調査を先行させているのです。 アセス法違反の事前調査が究極の県民騙しなら,海上自衛隊の「軍艦」,潜水隊員投入は「究極の県民威圧と弾圧」です。 「首相(調査の)加速を指示」(「毎日」5月19日付)という強権的姿勢から見えてくるのは,憲法九条を排除,アメリカ軍とともに海外での武力行使を可能にする「恐ろしい国」の姿です。
May 27, 2007
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農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で,同機構の理事らが独占禁止法違反容疑で逮捕されました。 大規模林道のコンサルタント(調査・測量等)業務を,林野庁の「天下り」を多数受け入れている公益法人や民間会社に機構が上からの談合で割り振り高値受注させる。公共事業が林野庁OBの「権益」に化け,前身の公団時代から長期にわたって,組織的な税金盗みどりが行われていたことは,怒りに堪えません。徹底した真相解明と厳しい責任追及が必要です。 緑資源機構は,国が全額出資している法人で,林道建設,農地整備などの事業費もほとんどが税金です。林野庁の最有力の天下り先のひとつで,理事長は林野庁長官退職者の指定席とされ,高級官僚が同機構や機構の業務請負先である公益法人,関連民間会社などを渡り歩き,退職後に億を超える報酬を手にするという仕組みが代々つくられています。 談合が明らかになったのは,同機構の緑資源幹線林道事業にかかわるコンサルタント業務の発注です。この林道は,複数県にまたがる総延長2,053キロメートルもの林道ネットワークをつくるという巨大プロジェクトです。一度決まったら絶対に止まらない無駄遣いの公共事業の代表格で,各地で自然破壊と批判されながら,延々と工事を続けています。 そんな無駄遣いのなかで「身内」の公益法人や天下り業者を使い,事業の推進に都合のいいコンサル業務をさせながら,天下り先確保のための官製談合をしていたというのですから,税金の無駄遣いは二重三重,国民は踏んだり蹴ったりです。事件を受け,自然保護団体がさっそく機構の解体を要求したのも当然です。 林野庁では2001年にも国有林野事業のコンサル業務の談合が発覚しました。このとき公取委に排除勧告を受けた法人がそのまま今回の談合でも顔をならべています。緑資源機構では,本体の林道工事などでより大掛かりな談合が重ねられていた疑いもあります。まるで「天下り」と「談合」の塊りです。 高級官僚の特権的な天下りのために,行政がゆがめられ,税金が無駄遣いされることの弊害がこれほどはっきりしたことはありません。それなのに,安倍内閣が今国会に,最低限の天下り禁止規定もとりはらい,野放しにする法案を提出していることは重大な逆行で許されません。 この官業癒着と一体になり,事業を資金源にしている自民党の族議員の存在も深刻です。 松岡利勝農水相は,国会でただ1人の林野庁出身議員で,自民党の中でも有力とされる農水族です。 国会では,松岡農水相がこの10年間に農水省所管公益法人と一体の9つの政治団体から計1億3,000万円もの献金を受け取っていたことを明らかになりました。今回の談合事件に連座した法人とその代表者個人から受けた献金も852万円にのぼります。 林野庁や機構の事業は政治と深くかかわり,族議員は予算獲得や発注まで事細かに口を出して影響を与えているとされます。こうした実態にメスを入れなければなりません。 日本列島は7割が山林です。国土保全,地球温暖化対策など林野行政の役割は大きいのに,それを利権事業に変質させている政官業癒着の罪は重大です。天下りと企業献金の禁止で,癒着の根を絶つべきです。
May 26, 2007
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キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)へ米軍新基地建設のための調査に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が派遣された問題で,5月24日の衆議院安全保障委員会での野党議員の追及に,防衛省はその法的根拠について説明不能に陥りました。 防衛省は今回の出動の根拠として,国家行政組織法の「官庁間協力」を挙げていますが,自衛隊の行動には自衛隊法上の根拠が必要となります。 防衛省の山崎信之郎運用企画局長は「(自衛隊法には)明示的な規定はない」と答弁。防衛施設庁の所掌事務を定めた規定(防衛省設置法第4条第19号)しか挙げられませんでした。 これまで防衛省は「官庁間協力」の要件に,「手段等の非代替性」「緊急性」を挙げてきました。現地で調査を行う民間業者や那覇防衛施設局から自衛隊派遣の要請があったのかをただしたのに対し,北原巌男防衛施設庁長官は「施設庁長官として(私が)要請した」と述べ,なかったことを認めました。 また海上保安庁の石橋幹夫警備救難部長は「海上警備については当庁が一義的に担う」,「万一に備え救助態勢を整えていた」と述べ,海保で対応可能だったことを明らかにしました。 今回の海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が派遣は,どう捉えても「非代替性」「緊急性」という理屈も通りません。自衛隊法にも防衛省設置法にも国家行政組織法にも根拠なく自衛隊を動かしたことについて「重大問題」です。 軍事力で県民を威圧することは,ただちに中止すべきで,国民も今回の派遣が安部内閣そして自民党・公明党連立与党のめざす『美しい国』の実態であることを改めて知るべきです。
May 25, 2007
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衆議院予算委員会で「政治とカネ」をテーマに集中審議が行われました。 松岡利勝農水相,伊吹文明文科相らが,事務所費,光熱水費問題で政治資金規正法逃れの虚偽報告を行っていた疑惑に対し,国民の怒りが高まるなかでの集中審議でした。 安倍晋三首相の答弁ぶりから浮かび上がったのは,真相の解明を徹底して拒否し,疑惑大臣をかばいぬき,国民の批判を逃れるのが,この内閣の基本姿勢であるということでした。 松岡農水相の目には,自分にかわって繰り返し答弁席に立ち,「(松岡氏は)法にのっとって適切に処理した」と答え続ける安倍首相の背中が,さぞかし頼もしく映ったことでしょう。 これほど疑惑にまみれた閣僚を,これほどかばいだてした首相はかつてありません。 家賃も水道料もかからない国会の議員会館に資金管理団体の主たる事務所を置きながら,数千万円もの事務所費,光熱水費を計上した異常な経理処理です。 政治資金収支報告書に領収書の添付が義務付けられていないことを逆手にとって,国民の目から隠したい不明朗な支出をここに紛れ込ませたという行為は,現行の政治資金規正法にてらしても違法の疑いが濃厚で,松岡氏らには国民にきちんと説明する責任があります。 政治資金規正法は,年1回の収支報告の提出とともに,事務所費など経常経費について,支出の帳簿と領収書を保管することを義務付けています。事務所費問題は,新年明けて大手マスメディアも取り上げ社会問題となりました。 それから4ヶ月以上が過ぎたというのに,松岡氏は担当者から報告を受けただけで,自分では帳簿類の確認さえしていないといいます。 あまりにも不自然で,それが事実なら無責任極まります。 ところが安倍首相はこれにも「人それぞれだから」と助け舟を出し,内閣の責任で帳簿類の確認をする必要性も認めませんでした。自らが選んだ閣僚への最低限の管理責任も放棄していると言わざるを得ません。 首相が答弁で最も力を込めたのは,「自民党も民主党も事務所費では問題があった」,「今後は法律を整え,こういう批判が起きないルールをつくることだ」というくだりです。 結局,お互い,過去を振り返れば恥ずかしいことが出てくるから,それをつつきあうのはこれぐらいにして,政治資金規正法「改正」論議でお茶を濁そうというのです。 しかし,自民党,公明党の合作で提出されようとしている「改正」案は,規制対象を資金管理団体に限定し,領収書添付も50,000円以上の支出に限るというとんでもないザル法です。 公明党の質問者は,時間いっぱいをつかって「ザル法ではない」という論陣をはりました。しかし,真相解明から逃げたまま,真の再発防止策など出てくるはずがないのです。 安倍内閣に問われているのは事務所費問題だけではありません。 政治資金に対する規制は,金の「入り」も「出」も透明性を高め,国民の監視と批判の中で,政治家の倫理をただすという考えに基づいています。 事務所費問題が示した政治資金の無節操ぶりは,庶民には想像もつかない巨額の資金を企業から与えられていることと裏表です。金が歪める政治を正せぬ政党,政治家に国政を担う資格はありません。
May 24, 2007
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いま参議院で審議されている『在日米軍再編促進法案』は,日米両政府がすすめる米軍と自衛隊の再編を推進するために提出されたものです。 そもそもアメリカがすすめている「米軍再編」は,先制攻撃戦略に同盟国を深く組み込み,地球規模で軍事態勢を再編成するものであり,在日米軍と自衛隊の再編もその一環にほかなりません。 アメリカの先制攻撃戦略につき従って,米軍と自衛隊が一体となって海外で戦争できる態勢づくりをすすめるなどということは,到底許されません。 政府は,「沖縄の負担軽減」を強調しますが,米軍のグアム基地増強は,太平洋地域重視を打ち出したQDR(「4年ごとの国防計画の見直し」)に基づき,アメリカ政府自身が自らの方針に基づいてすすめているものであり,在沖海兵隊の「移転」計画は,グアムに陸・海・空・海兵隊統合の新たな一大戦略拠点をつくるというアメリカ戦略の一部を担うものです。 そのうえ,政府は名護市辺野古に垂直離着陸機オスプレイの配備も可能な新基地建設をすすめています。 政府の言う「負担軽減」が全くのまやかしであり,再編が,全国各地に基地被害を拡大し,沖縄に新たな負担を拡大することは,明白です。 法案は,在沖海兵隊司令部8,000人とその家族9,000人のグアム「移転」経費のうち,約60億ドルを日本が財政負担するとしていますが,本来,在日米軍部隊がアメリカの領土に戻る費用はアメリカが負担するのが当然であり,そうした費用を負担した国など,世界のどこにもありません。 日米安保条約・地位協定にも,負担の根拠が一切ないことは,政府自身が認めています。ましてや,アメリカ軍占領下に『銃剣とブルドーザー』で強奪して構築された,沖縄の基地の歴史にてらして,アメリカ軍の撤退費用を負担することは,到底認められません。 新たに導入する再編交付金は,従来の基地交付金などと全く異なり,再編基地強化を受け入れた地方自治体のみを対象にし,交付期間は原則10年限りで,計画の進捗状況に応じて交付額を増やすとしています。 重大なことは,政府が,自治体の受け入れ表明がなくても,再編を拒否していても,日米で合意した再編案を押し付ける方針を表明しながら,その一方で,受け入れ表明したところにだけカネをだすという点です。 これは,カネの力で,基地を抱える地方自治体と住民を分断,懐柔,屈服させて,基地強化を押しすすめようというものであり,まさに住民を愚弄するものと言わざるをえません。 この間,沖縄で,政府が県民の大多数が反対する米軍新基地建設にむけた調査実施のため,こともあろうに自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を差し向けるという,前代未聞の異常な事態がおきました。 政府の姿勢は,基地強化反対の声を,軍艦で威圧し,是が非でも日米合意をすすめようとするものであり,断じて許せるものではありません。 地方自治体や住民が,このような危険極まりない再編計画に反対と懸念の声をあげ,政府の強引なやり方を批判するのは当然です。 再編計画そのものを撤回し,本法案は廃案にすることを求められます。また,国民もこんな自民党・公明党連立政権をいつまでも政権与党でやりたい放題できる議席を与えてはいけません。 夏の参議院選挙では,本当の意味で国民の審判が求められています。
May 23, 2007
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日本原水協と非核の政府を求める会の代表など,広範な各界の人びとの共同提唱で,日本政府に「非核日本宣言」を求める運動が始まりました。日本政府が,「核兵器廃絶の提唱」と「非核三原則の厳守」を内容とする「非核日本宣言」を国会や国連の場でおこない,すべての国に通告することを求めるものです。 この提起は,今日の世界と日本の状況から,極めて時宜にかなったものと歓迎されています。 第一に,日本が被爆国として核兵器廃絶のイニシアチブをとることが改めて強く求められているからです。 2000年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では,核兵器廃絶の「明確な約束」に核保有国も合意しました。しかし核超大国アメリカは「核拡散やテロの脅威」などを口実に,その実行を棚上げするばかりか,新型核兵器の開発や核兵器先制使用政策を進めています。また実際,核兵器拡散の懸念も強まっています。 注目すべきは,大量破壊兵器保有をでっちあげてのイラク戦争の泥沼化と破たんによって,ブッシュ政権が内外で深刻な批判と孤立にさらされ,このもとで拡散問題を打開するためにも核兵器廃絶に進むべきだという声が広がっていることです。かつて核戦略を推進してきた元米政府高官でさえ,アメリカこそ率先して行動せよと提言しています。 問われているのは日本が被爆国政府としてどう行動するかです。日本政府は毎年の国連総会に,「核兵器廃絶の新たな決意」と題する決議を出しています。しかし核兵器廃絶の「明確な約束」の実行もそのための交渉開始も求めず,『看板倒れ』です。このような態度を改め,被爆国政府としての使命を果たすべきです。 実際には日本政府は,北朝鮮の核開発問題などを口実にして,被爆国政府としての使命を果たすどころか,むしろ逆行を強めています。「非核日本宣言」の提唱が歓迎される第二の理由はそこにこそあります。 北朝鮮の核問題をめぐる6ヶ国協議が始まる前,日本政府は,北朝鮮が核兵器開発を放棄しても「核兵器不使用」を約束しないようアメリカに要請し,内外の反核運動家を驚かせました。 日米同盟強化をうたった先日の日米安全保障協議委員会では,日本側の強い要求によって“核・非核の打撃力・防衛能力”による「拡大抑止」つまり「核の傘」の強化が合意されました。アメリカの先制攻撃戦略の中軸であるミサイル防衛システムの日本への前倒し配備も確認しました。 北朝鮮核実験問題の平和解決に世界が一致して動こうというとき,政府・与党高官から核兵器保有論議がもちだされたことも,世界に衝撃を与えました。 被爆国政府が核兵器廃絶どころか核兵器によって「安全」を守るという,核軍拡の悪循環をつくり出した時代錯誤の発想にとらわれていることは明らかです。 「核の傘」からの離脱,非核三原則の完全実施によって,日本を,真に核兵器廃絶へのリーダーシップを発揮する道に進ませなければなりません。 重大な局面を迎えている憲法九条改悪の狙いは,日本を,アメリカの先制攻撃戦争をともに戦える国にすることです。「非核日本宣言」の運動は,被爆国を核兵器使用戦略に組み込むことを拒否し,「反核と九条守れ」の願いを合流する重要な取り組みともなるでしょう。改憲阻止とともに,「非核日本宣言」の実現に力を尽くす必要があります。
May 22, 2007
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日本選挙学会が5月20日まで神戸大学で開かれました。一斉地方選の候補者公約や政治報道などをめぐって12の分科会で議論が交わされました。 参議院選を前に二院制の権能と役割,存在意義が議論になりました。衆議院のカーボンコピーといわれ,一部に参院無用論が指摘されることに対し報告発表では「国会審議において行政のチェック・監視,国民への情報提供,民意の反映が重きを置かれているなかで,衆参二つの議院で審議することに意味がある」との反論が出されました。 別の報告では「参議院はかなり強力な国民代表型民選議院と評価しうる」と指摘され,その根拠に衆議院の小選挙区議席比率62.5%に対し参議院は23.9%で,参議院選挙は衆議院選挙よりも民意反映型構成になっている特徴があげられました。 さらに首相の解散権が及ばない参議院の存在にも触れ報告者は「国民サイドにたてば政治のありように異議申し立てが可能な水路」と強調しました。 参議院が,政治変化の契機となった事例として198年の消費税廃止法案の可決,1994年の政治改革関連法案や2005年の郵政民営化法案を否決したケースが紹介されました。 7月の参議院選挙について「衆議院選(総選挙)で信任を受けていない安倍内閣の信任選挙の意味を持つ」と位置付ける指摘がありました。 「岐路に立つ選挙報道」をテーマにした議論では,小泉政権期の「メディア政治(選挙)」が検証され,ワイドショー番組の分析を通じて小泉首相とマスメディアが相互に依存しながら情報の波を作り出した経過を実証的に浮かび上がらせました。 報告者は「(メディアは)複雑な政治状況を特定の人物や事象の動きに単純化して報道し,政治報道の娯楽化を進めている。報道の単純化は,有権者の政治参加の拡大や政治意識の向上に結びついているとは必ずしもいえない」と結論づけ,メディアの責任も問いました。 多くの人が,小泉政権期の衆議院選挙で,マスメディアに踊らさせ,自民党に今の衆議院での議席を与え,安部首相によって数の論理で,次々と悪法を作られてしまいました。参議院は決して象徴的な存在ではないことが今回の学会で良く分かったと思います。 そのためにも,参議院選挙ではマスメディアに騙され,踊らされることなく,今の自民党・公明党連立与党が押しすすめる政治・社会で良いのか,あるいは自民党・公明党連立与党そして民主党が一緒になって憲法改正して,アメリカと一緒になって戦争ができる国にしようとしていることに対して,きちんと審判する必要があります。
May 21, 2007
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政府が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の初会合を開き,憲法が禁止した集団的自衛権の行使についての検討を開始しました。 安倍首相は「日米同盟がより効果的に機能するようにすることが重要」と強調して,「日本が何を行い,何を行わないのか」の検討を会議に求めました。持ち出した事例は政府がこれまで憲法上許されないとしてきたことばかりです。会議のメンバーも全員,日米軍事同盟強化と憲法改定を主張する論者にしました。明文改憲に先立ち解釈改憲を際限なく広げようという安倍首相の企ては重大です。 安倍首相が示した事例は,『公海上でアメリカ軍艦船が攻撃を受けた場合の自衛隊の武力対処』,『アメリカ本土に向かう弾道ミサイルの撃墜』,『活動をともにしている他国軍隊の武力による救出』,『戦闘と「一体化」した後方支援』,の4つです。「これまでの政府の見解」の見直し対象です。 憲法九条は戦争を禁止しています。そのため政府は,武力行使は「日本防衛」のために限られるといってきました。4事例は「日本防衛」と無関係です。憲法上,アメリカ軍を守りアメリカの本国を防衛するための武力行使に議論の余地などありません。 安倍首相は集団的自衛権の行使が許される場合もあるなどと強弁しています。これはおかしな議論です。 集団的自衛権の行使とは,日本が攻撃もされていないのに,武力を行使してアメリカを助けることです。アメリカが戦っている第三国が日本を攻撃していないのに,日本の方からアメリカ本土やアメリカ軍部隊を防衛するために第三国を先制攻撃するという議論です。 戦争を放棄している日本が「日本防衛」と無縁の国際紛争の解決のため,武力を行使するのは憲法九条一項に明白に反します。安倍首相は集団的自衛権の行使がありうるなどといった憲法を愚ろうする議論をやめるべきです。 安倍首相が明文改憲以前に,解釈改憲を急ぐのはアメリカの要求に応えるためです。2000年にアーミテージ氏(後にアメリカ国務副長官)らがまとめた日米関係についての第一次報告で,集団的自衛権を否定していることが「日米協力を束縛」していると批判して以降,アメリカ政府の改憲要求はむきだしになりました。 この5月におこなわれた日米防衛首脳会談でもゲーツ国防長官が集団的自衛権の行使を容認するよう迫ったと伝えられています。 集団的自衛権の行使について「日米軍事同盟における双務性を高めてこそ日本の発言力は増す」と安倍首相は口にしますが,それはアメリカいいなりの異常さをいい繕うものでしかありません。 アメリカのご機嫌をとりつくろうためには憲法もこれまでの政府見解もふみにじってかまわないというのは,文字通り日本の主権を投げ捨てるものであって,対米追随の恥ずべき態度です。 最近の世論調査はどれも安倍首相の憲法九条改定への反対が増えていることを示しています。集団的自衛権の見直しも,共同通信社の調査では「今のままでよい」が62%です。 日本が他国に対して武力を行使することを禁じた憲法九条はアジアと世界の宝です。日本が集団的自衛権の行使を認め戦争に道を開けば,アジアと世界の国々から信頼されなくなります。異常な対米追随をやめ,明文改憲も解釈改憲も許さない運動がまさに急務といえます。 国民も日本がこのまま戦争参加の道へと進むのを黙ってみてはいけません。他人事ではなく,アメリカの戦争への戦争参加となれば,国民は税負担を含めたそれなりの負担を押し付けられるのは明らかだからです。
May 20, 2007
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文部科学省の委託事業として,改憲をかかげる日本青年会議所作製のアニメ(DVD)をつかう「近現代史教育プログラム」が各地の中学校などで行われようとしていることが発覚しました。5月17日,国会質問で明らかになりました。 アニメのストーリーは,若くして戦死した靖国の「英霊」が現代にあらわれ,自分の子孫である女子高校生に「一緒に靖国神社に行ってみない?」と誘い,日本の戦争は「自衛のための戦争」,「アジアの人々を白人から解放」するための戦争だったと語りかけるものです。 加害の事実には触れず,日本がアジア諸国を助けたと描き,日本人の戦争への反省は「GHQによる洗脳」の結果と説明します。DVDには2人の主人公と靖国神社が印刷され,まさに靖国DVDです。伊吹文部科学相は「私が校長なら使わない」と答弁せざるを得ませんでした。 しかも,この事業はただのビデオ上映にとどまりません。アニメを見たあと生徒にグループ討論を行わせ,そこに靖国史観のテキストで研修した大人たちが加わるようになっています。手引書には論点のポイントが書かれ,自分たちを「先生と呼ばせる」などのノウハウまであります。いかにも洗脳を思わせるやり方です。 政府にこの事業の認可を取り消すことを強く求めるとともに,国民もこのようなやり方を推し進める靖国史観の教育を許してはいけません。 日本やドイツがおこした戦争は不正義の侵略戦争であった。この認識は戦後の国際政治の出発点です。日本もそのことを認めて国際社会に仲間入りしました。 戦後50年のいわゆる村山談話は,「植民地支配と侵略」によるアジアへの「多大の損害と苦痛」への「痛切な反省」を表明しています。教育については,「アジアの国々の国民に多大な苦痛と損害を与えたことを深く自覚し,このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意」が「学校教育にあたって…当然,尊重されるべき」だという1982年の官房長官談話があります。 こうした世界と日本の根本原則からいって,今回発覚した靖国DVDが公教育で使われることは,あってはならないことです。 今回の出来事は偶然ではありません。DVDは,安倍首相が昨冬,「美しい国」で意気投合する青年会議所会頭との会談で手渡され,「教育再生の参考にしたい」と述べていました。 安倍政権の中枢は,靖国史観を本音とする閣僚で占められています。その政権が「戦後レジームからの脱却」といって改憲をすすめようとしています。脱却とは戦前体制への回帰に他なりません。そのもとで国民の心まで支配しようという動きが強まっているのです。 「教育三法案」に「愛国心」などの育成がもりこまれているのはその一環です。市民道徳を重視する立場から,あれこれの「徳目」を立法化することを批判してきました。ときどきの政権の「特定の価値観」を押し付けることは,憲法の「内心の自由」に反するからです。 今や「特定の価値観」が靖国派の価値観であることは明らかです。ここに「教育三法案」の重大問題があります。法案は衆院で可決され情勢は緊迫しています。 国民は安部内閣と自民党・公明党連立与党の暴走をこれ以上許してはいけません。その最後の反撃機会といえるのが,夏の参議院選挙かもしれません。自民党・公明党連立与党そして民主党の改憲を許さないためには,護憲を訴える政党や候補者の票を投じることが重要だと考えます。
May 19, 2007
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5月17日の衆院教育再生特別委員会で,野党議員が取り上げた日本青年会議所作製のDVDアニメ「誇り」。文部科学省が委託研究事業としているその内容は,日本の侵略戦争と植民地支配を正当化する言葉があふれています。 「愛する自分の国を守りたい,そしてアジアの人々を白人から解放したい。日本の戦いには,いつも,その気持ちが根底にあった気がする」。靖国神社の鳥居の前で,過去から来た青年がこう語ります。「戦後その思いは打ち消され『悪いのは日本』という教育がおとなにも子どもにも施され,しょく罪意識だけが日本人の心に強く焼き付けられてしまった」。 DVDでは青年の語りを通して,「日本は自国を守るためにやむをえず戦争した」,「アジアを解放するための戦争だった」との主張が繰り返されます。 朝鮮半島や台湾については「植民地支配」という言葉はなく,「日本はこれらの国を近代化するために道路を整備したり,学校を建設した」と述べています。「従軍慰安婦」や強制連行などの加害の事実には一切触れていません。 DVD 『誇り」は日本青年会議所が地方青年会議所との「協働運動」として進めている「近現代史教育プログラム」の教材です。同プログラムでは学校の総合学習などで中学生にこのDVDを見せたあと,会議所のメンバーがコーディネーターになって詳しい説明を加えながら討論。 子どもたちから「日本を守るためには戦争をするしかなかったのではないか」,「日本が自分の国を守るために戦争したなんて初めて知りました」などの感想を引き出しています。 この内容には,当の青年会議所の関係者からも疑問の声が出ています。同会議所のホームページで内容を知った地方青年会議所の関係者は「子どもたちを洗脳するようなもので,ひどいと思った。やめるべきだと思う」と語っています。 文部科学省はこのDVDを使った教育プログラムを今年度の「新教育システム開発プログラム」の委託事業として採用しました。同会議所はさっそく「協働運動が文部科学省の研究事業に採択」と宣伝。学校の総合学習などの時間に,青年会議所のメンバーが教室に「誇り」のDVDを持ち込んで実践するよう全国的に呼びかけています。 「新教育システム開発プログラム」は,「あるべき新しい教育システムを提言するための調査研究をおこなう」として文科省が2006年度から実施。研究内容を公募し,採択された団体に委託費を提供します。今年度は青年会議所のほか地方教育委員会や大学などの76件が採択され,計約15億円の予算が計上されています。 採択にあたって研究内容の審査をする文科省の有識者会議のメンバーには,青年会議所の池田佳隆前会頭が加わっています。 池田氏は,昨年6月に衆議院の教育基本法特別委員会で参考人として意見陳述をし,「戦後植え付けられたしょく罪国家意識を払しょくするために,近現代史教育プログラムを作成している」,「いまの教科書では自虐的すぎる。そこのところを教育現場が放棄するのであれば我々が買って出る」と述べています。【参考】 DVDが語る主な内容 DVDアニメ「誇り」は,過去の戦争をめぐって高校生「こころ」が,過去から来た青年「雄太」から話を聞くかたちで進行します。2人は靖国神社へも出かけます。雄太が語る戦争の歴史とは…。【日露戦争】「領土拡大戦略として南下してきたロシアと,そのロシアから自分たちの国を守りたかった日本。その後,それぞれの思惑とは別に周囲を巻き込みながら,その後の大東亜戦争にまで発展していくんだ」【日中戦争】「ロシアは,中国大陸における覇権争いをしていた国民党や共産党をたくみに操り,さまざまな謀略を日本にしかけはじめた。そうとは知らない日本は中国大陸で抜けるに抜け出せない,泥沼のような戦いを繰り広げていくことになっていく」【対米戦争】「日本対アメリカを含む連合国軍との戦いを,当時,日本では東アジアの白人からの解放を大義目的にそう(大東亜戦争と)呼んでいたんだ」「日本は亡国の道を歩むか,戦争に突入するか…ふたつにひとつの決断を迫られ,アメリカをはじめとする連合国軍との戦争という苦渋の決断を強いられた」【東京裁判・GHQ(連合国軍総司令部)】 「東京裁判は勝った国が負けた国を一方的に裁く『復讐裁判』だった」 「(GHQは)戦争で残虐行為を働いた凶悪な日本兵というイメージを日本国民に植え付け,洗脳していった」。 靖国神社で,雄太は「愛する自分の国を守りたい,そしてアジアの人々を白人から解放したい,日本の戦いには,いつも,その気持ちが根底にあったような気がする」と語ります。 雄太の話を聞いた,こころはつぶやきます。 「私が今ここにいるのは,過去に日本という礎を築いてくれたたくさんの人たちがいたから…。そして大事なことは,正しい事実をきちんと知ること」。【参考】安部首相「教育再生の参考に」 安倍首相は日本青年会議所の広報誌 『We Believe』 昨年12号で,当時の池田会頭と対談し,DVD「誇り」を受けとっています。 池田氏が,日本青年会議所が「美しき日本」をスローガンにしていることを紹介。安倍首相が「美しい日本」という同じ理念を掲げたことに期待を表明しています。 受け取った安倍首相は「教育再生の参考にぜひ拝見させていただきましょう」と話し,池田会頭は「美しい国づくりに生かしていただければ幸いです」と述べています。
May 18, 2007
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自民党・公明党連立与党が5月17日採決をもくろむなか,衆院教育再生特別委員会は5月16日,中央公聴会を開きました。5人の公述人が意見を述べ,教育三法案の廃案や内容に異論を唱える主張が多く出ました。 ここで公述人の異論を,少し紹介したいと思います。 都留文科大学の田中孝彦教授は「国家が教育目標を設定し,競争を組織し,教師の自主性と創造性を低下させることにつながる法案は廃案しかない。より丁寧で本質的な教育再生論議を行う必要があり,論議の土俵の再設定が必要だ」と三法案の廃案を求めました。 全日本教職員組合の米浦正委員長も「三法案は相互に影響し合って,子どもの成長・発達を助けるという教育の目的を,『愛国心』や『規範意識』を押しつけるものへと変質させ,従わない教員は免許を奪って失職させるなど,教育の国家支配・統制をめざすものだ」と批判し,「三法案の廃案を強く求める」と述べました。 地方自立政策研究所の穂坂邦夫理事長は,教員免許制度導入について,「運用をうまくしないと大変おかしなことになるのではないか」と疑問を呈しました。 東京都教育委員会の木村孟委員長(与党推薦)は,野党議員の質問に答え,「それほど日本の子どもの学力が下がったとは思っていない。教育改革の論議はネガティブな面を出しすぎている。『教育再生』という言葉には賛成しない」と話しました。 どんな問題でも,様々な考えがあるのは当然ですが,最近の自民党・公明党連立与党は,結論先にありきで形式だけの公聴会を開いているように見えます。 どれだけ世論が反対しても,どれだけ異論が多くても「お構いなし」というやり方では,政党・政治家として国民に対する責任を果たしているとは決していえません。こんな政治を許している自民党・公明党連立与党支持者もこれでいいのでしょうか。
May 17, 2007
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5月16日の衆議院教育再生特別委員会では,学校教育法改定案が「我が国と郷土を愛する態度」や「規範意識」など多くの徳目を義務教育の目標に盛り込んでいることについて,既に「規律ある態度」を評価の対象としている埼玉県と広島県の実態を示されました。 野党議員が「態度は評価できないのではないか」と追及したのに対し,伊吹文明文部科学相は「これらを教えるのは道徳や特別活動だが,点数で評価するのは難しいし,そういう性格のものではない」と答えました。 埼玉県では県教育委員会が,「規律ある態度」の達成目標を掲げて,(1) 靴箱の靴のかかとをそろえることができる,(2) 机やロッカーの中の整理整とんができる,(3) 人の集まるところでは口を結ぶことができる,など12項目の達成が各学校に迫られています。クラスの子どもに自己評価させ,向上率を競い合わせているといいます。 広島県のある学校でも「トイレのスリッパを全児童の80%がそろえられる」「手洗い場を全児童の80%以上がきれいに洗う」などを評価基準として達成を迫っています。90%以上ができると「A」となります。 こうした実態を聞くと,学校現場を子どもたちにとって息苦しいものにしていると言わざるを得ません。また今回の法律の改定で,競争にいっそう拍車をかけることになり,子どもの内面・人格を見るというよりも,表面的な教育になりかねないものであると感じざるを得ません。 政府にはそもそも,学校教育はなんなのか改めて考えて欲しいと思います。これで「学力低下」や「不登校」などの問題が解決できるとは思えません。大人の理屈を子どもに押し付けるやり方は,決して『教育再生』にはなりません。 次代を担う子どもの教育は,国家の将来を左右するものだと考えます。長い目で見れば,経済中心ではなく教育中心の国家づくりをすることが,少子高齢化社会を迎える日本が目指すべき国家像ではないかと思います。
May 17, 2007
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850万台,24兆円,2.2兆円。トヨタ自動車が2006年度の決算で発表した世界での販売台数,売上高,営業利益の数字です。いずれも過去最高を更新しました。 トヨタの2007年度の業績見通しによると,70余年にわたって業界世界一の座を占めてきた米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて,世界トップに立つ勢いです。 製品の安全に対しても,環境や雇用など社会に対しても,トヨタの責任は一層重くなっています。 日本企業で営業利益が2兆円を超えたのは初めてです。円安による輸出採算改善,欧米での販売増,「原価改善」の継続で利益を大幅に伸ばしました。好決算は現在のトヨタの国際競争力の強さの証しです。しかし,そこにはユーザーや社会との関係で重大な問題が潜んでいます。 全体としては好調な販売を主要な地域別に見ると,北米と欧州で大きく増やした一方,日本で91,000台,そのほかのアジアでも91,000台のマイナスとなっています。 日本の不振について渡辺捷昭社長は「何よりいい商品を出すこと」と答えています。欧米で激しい競争に打ち勝って売れ行きを伸ばした「いい商品」が,日本で売れないことへの答えにはなっていません。 日本で販売が低迷している大きな原因が,家計消費の低迷にあることは明らかです。貧困と格差の拡大,とりわけ自動車の分厚い購買層になってきた中堅所得層の所得の低迷と将来不安の広がりです。 トヨタの好決算を支える「原価改善」とは,「乾いたタオルを絞る」ように経費を削減してきたトヨタが,さらに「中国コストに勝つ」として近年進めているやり方です。2000年からの3年で30%,2003年からの3年でも30%,2006年からの3年で15%もの経費削減に取り組み,下請け企業へのコスト削減要求は激烈を極めています。 下請け企業は相次いで部品単価の切り下げを迫られ,仕事は忙しいのに利益が上がらない状態です。ここ数年の原材料値上がりが追い打ちをかけ,経営を圧迫しています。トヨタが6年連続で営業利益の過去最高を更新しているのに,トヨタの地元愛知の中小製造業の業況は長期にわたってマイナスに沈んだままです。 こうしたトヨタの姿勢,下請けの経営環境が非正規雇用とワーキングプアを急拡大し,法律違反の「偽装請負」まではびこらせてきました。 トップ企業トヨタの徹底したコスト削減は「トヨタ方式」と呼ばれ,業界の枠を超えて産業界に浸透し,郵政をはじめとする公共部門にまで広がっています。トヨタの奥田碩・前会長は,日本経団連の会長として献金斡旋をテコに,また経済財政諮問会議の主要メンバーとして政府中枢で,弱肉強食の「構造改革」を推進しました。 トヨタの利益第一主義が貧困と格差拡大の推進力になってきたことは見過ごせない事実です。そういう意味でトヨタの日本での不振は,「身から出たサビ」に他なりません。 ゆきすぎたコスト削減は,設計や作業の質を低下させ,ほかのメーカーと比べても突出したリコール件数の急増となって表れています。 「トヨタ方式」は,大企業が果たすべき社会への責任と両立しません。大企業の高収益がつづくなか,トヨタのような利益第一主義を是正し,社会的責任を果たさせることは,重要な課題となっています。
May 16, 2007
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第二次世界大戦後,アメリカの支配下に置かれた沖縄が日本に復帰してから,5月15日で35年を迎えます。復帰後も基地あるがゆえに苦悩を背負わされつづけ,在日米軍再編による新たな強化も狙われている沖縄。 憲法九条を「復帰の原点」にしてきた県民には,改憲手続き法の強行など,憲法改悪を進める安倍内閣の暴走への懸念も強まっています。 那覇空港から,2003年に開業した二両編成のモノレール「ゆいレール」に乗ると,片側二車線の道路の両脇に,真新しい大型ショッピングセンターやマンション,ホテルが立ち並ぶ市街地に着きました。アメリカ空軍住宅跡地に建設された那覇新都心です。 華やかに姿を変えつつある那覇市。しかし,沖縄本島を南北に貫く国道58号を北に向かって走ると,35年前と変わらない,アメリカ軍基地のフェンスが途切れなく続きます。 今も続く爆音被害,アメリカ兵による事件・事故,環境汚染…。2004年8月には,アメリカ海兵隊普天間基地(宜野湾市)所属のCH53D輸送ヘリが沖縄国際大校舎に激突するという重大事故が発生しました。 年間70,000回の飛行回数で国内最悪の爆音被害をもたらすアメリカ・空軍嘉手納基地(嘉手納町など)では,暫定配備されていたF22ステルス戦闘機が5月10日未明の飛行を強行しました。5月13日には,同基地を包囲する「人間の鎖」で抗議の声が響きわたりました。 1995年の少女暴行事件以来,「沖縄にこれ以上基地はいらない」との県民世論は大きく高まりました。一方,日米両政府にとって,イラクやアフガニスタンなど,地球規模の出撃拠点である在日米軍基地の75%が集中する沖縄は絶対に手放したくない拠点です。 過去10年の日米両政府と県民の最大の対決点は,普天間基地に代わる新基地建設の動きです。 日米両政府は1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)最終合意で,住宅地の真ん中に位置する普天間基地に代わり,名護市辺野古沖への新基地建設を決定。1998年には総力を挙げて大田革新県政を倒し,新基地推進の保守県政を誕生させました。 しかし,県民の圧倒的多数は新基地建設に反対の意思を示し続けました。1997年の名護市民投票や,その後の住民による粘り強い監視活動などで,2004年に県が同意した辺野古沖のボーリング調査をついに実施できず,SACO合意は破たんしました。 日米両政府はそれでもあきらめず,2005年10月の在日米軍再編「中間報告」で「(沖縄の)アメリカ海兵隊兵力のプレゼンス」は「決定的に重要な同盟の能力である」と断定し,アメリカ海兵隊キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への新基地建設を決定。2006年5月の「最終報告」では,2014年までにV字形滑走路の新基地を完成させる「工程表(ロードマップ)」を示しました。 新基地建設を許すことになれば,史上初の日本政府による基地建設となります。米軍再編では,アメリカ海兵隊キャンプ・ハンセン(金武町など)やアメリカ空軍嘉手納基地のアメリカ軍・自衛隊の共同基地化も計画され,日米の軍事一体化を推し進めようとしています。 沖縄復帰35年の今,新基地建設をめぐる動きは,重大な局面を迎えています。 沖縄のアメリカ軍基地は37ヶ所,23,668ヘクタール(2006年3月末現在)。沖縄県の面積の約11%,沖縄本島だけでは約19%が基地に占領されています。もっとも大きな割合を占めているのが,地球規模の殴りこみ部隊・アメリカ海兵隊(第三海兵遠征軍)です。 沖縄が返還された1972年以後,日本本土では米軍基地の約60%が返還されたのに対し,沖縄では約18%。沖縄の米軍基地構造に大きな変化はありません。 基地の存在で産業が育たず,沖縄の失業率はつねに全国最悪。今年3月の完全失業率は7.5%で,若年者の場合は約15%に達します。 沖縄の米軍基地の問題は,沖縄県民だけの問題ではありません。国会財政が厳しいと国民に増税・負担増を押し付ける中で,現実的に国民の税金が投入され,グアムの基地建設など総額で3兆円もの税金が使われ,国民の生活を圧迫しています。 また,国民が望んでもいないのに,安部内閣そして自民党・公明党連立与党,民主党などが憲法改正を推し進める異常な事態が起こっています。自民党の新憲法草案でも,規定の曖昧な『有事』の際には,現憲法で規定している国民の権利(基本的人権・所有権・財産権など)よりも『国家の利益に基本的人権が従属する』,『公益および公の秩序』という考え自衛軍(国家)の都合を優先されることになっています。 そんなことになる前に,国民がこれを阻止するためにも,これ以上の自民党・公明党連立与党そして一緒に改憲を進める民主党を支持してはいけません。 民主的な選挙が行われているうちに,国民は彼らを止めなければ,日本の行く末は戦前の日本と同じように,民主主義国家とは程遠い国になる日も遠くありません。 決めるのは国民です。楽観することは既にできない状況になっています。国民に残された機会は,夏の参議院選挙しかないという現実を知って欲しいと思います。
May 15, 2007
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社会保険庁の分割・民営化法案をめぐる審議で,年金保険料の記録ミスなどが次々と明らかになっています。5月11日の衆院厚生労働委員会で厚生労働省は,基礎年金番号が付かず宙に浮いた年金加入記録約5,000万件のうち,生年月日が誤っていたり,記載がないケースが厚生年金で300,675件,国民年金で1,166件あることを明らかにしました。 政府は1997年に加入者全員に基礎年金番号を導入しました。それまでは転職や結婚のたびに別の番号が付けられていたため,複数の番号を持つ人について記録の統合をすすめていますが,未統合の記録が約5,095万件(2006年6月現在)も残されています。 社保庁はこれまで,5,000万件の大半は受給資格のない人や死亡者が占めており,受給確定前に加入状況を加入者が確認する仕組みになっているので順次,解決できると説明してきました。しかし,生年月日が記載されていないため加入者と結びつかない記録が大量に生まれるおそれがあります。 柳沢伯夫厚労相は同日の委員会で「皆無と言いきるのは難しい」と述べました。 年金記録は当初,手書きの書類で管理していましたが,1980年代にコンピューターに入力し直しました。生年月日がないのは,このときの入力ミスか事業所の届け出ミスなどが原因とみられています。 社保庁が昨年からおこなっている年金の特別相談で,加入者から指摘を受けて24万件の納付記録を訂正しました。 旧年金番号で記録が発見されたり,旧姓で登録されていたものを除くと氏名などの入力ミスは27,000件もありました。 未統合の約5,000万件のうち,保険料を払い続ければ受給資格を得られる35歳未満の加入者の記録が160万件にのぼることも判明しており,年金の受給権が失われることのないよう徹底した調査と対応が求められています。 納付記録の訂正について柳沢厚労相は,「保険料の領収書など資料がなくても,状況から納付が確実に行われていると推測できる場合は,記録を訂正する」(5月11日)と答えています。 公的年金は,何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠です。そのため国が直接責任を持って事業を一体的に運営し,専門性や公平・中立性を保つため公務員が担っています。 記録ミスなどがないようにすることは当然ですが,審議中の政府案は,それとは逆に危うくする内容になっています。 社保庁をバラバラに解体し,業務は民間業者に委託。業者は競争入札で数年ごとに替わり,都道府県で業者も違ってきます。職員もその都度替わり,コスト優先のため,不安定雇用労働者が業務をおこないます。 委託業者ごとに運営された徴収・記録管理・給付などの業務を,経験や専門性の乏しい職員が担うことになれば,年金制度が安定的に運営される保障はなくなります。 民間委託によって,個人の年収などプライバシー情報の漏えいや不正利用も指摘されています。 民間委託では年金にかかわる重要で専門的な業務が安定的に継続されるとは考えられません。長い年月,正確な記録が求められる年金業務も,安定的な運営のための収納対策や事業所の適用対策なども,いずれも国の責任でやるべきだと考えます。
May 14, 2007
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主権者・国民の声は聞かずに,採決直前に聞いたのは改憲派・安倍晋三首相の声だった。改憲手続き法案という重要法案で,自民党,公明党の連立与党が5月11日の参議院憲法調査特別委員会でとった行動は,国民の声を聞く中央公聴会を拒否する一方で,議員提案の法案なのに首相に出席を求めて発言させたことでした。 ここに九条改憲のための条件づくりという法案の本質と,改憲スケジュールにあわせて連日審議をごり押しした自民党・公明党連立与党の姿勢が象徴されていました。 民主党も「中央公聴会を開かなければ,憲政史上に汚点を残す」(特別委理事)とまで主張していたのに,最終段階では首相出席と付帯決議を条件に連立与党と妥協,採決日程で合意しました。こうしたやり方こそ憲政史上に汚点を残すものです。 連日審議の過密スケジュールだけでなく,地方公聴会や参考人質疑を無理な日程で設定し,5月採決の環境を形だけ整えようとした与党のやり方もひどいものでした。 ある公述人が関連資料を手にすることができたのは当日朝。当日になって初めて誰が出席するかわかる。自民党推薦の公述人は自分の党の県議会議員…。 こんな事態が続き,公述人からも「準備時間がない」と批判が相次いだのに,自民党・公明党連立与党と民主党は反省することなく突き進みました。そして,ついに5月10日の参考人質疑では,与党推薦の参考人が決まらないまま開かれるという異常事態まで招いたのです。 法案の内容に対しては,各界各層から「国民の憲法制定権を乱暴に踏みにじる教員・公務員規制は撤廃せよ」,「曖昧な規定で主権者・国民を縛るな」という声が寄せられました。 国会での野党の追及で,法案提出者は最低投票率を定めない憲法上の論拠を語れなくなり,有料CM問題についても「財力の多寡による不平等が生じる恐れがある」と認めざるを得なくなりました。 連立与党と民主党が採択した付帯決議は,今後の審議で,『低投票率により憲法改正の正当性に疑義が生じないよう最低投票率制度の是非などについて検討を加える』,『公務員・教育者の地位利用による国民投票運動の規制については,禁止される行為と許容される行為を明確化する』などと本来なら法案に盛り込むべき内容を列挙しました。 法案には徹底審議すべき根本的欠陥があり,採決できるような状況では到底ないことをみずから暴露するものです。 なぜこれほど急ぐのか。手続き法案の成立期限を,在任中の改憲を目指す安倍首相のスケジュールにあわせようとしていることは明らかです。 その改憲の中心は,九条の改憲であり,日本の侵略戦争を正しかったとする“靖国派”の本心をもつ安倍首相が,アメリカに追随して「海外で戦争をする国」をつくるための改憲です。 こんな改憲は国民が認めません。だからこそ,「九条の会 」が全国に草の根でひろがり6,000を超えて増え続け,この間の世論調査でも改憲派が減り,九条守れの声が高まりつつあるのです。 憲法のあり方を決めるのは主権者である国民です。安倍首相や改憲派のもくろみをこえ,“九条守れ,憲法改悪阻止”の声は必ず国民の多数となるものだと信じています。そのためにも,夏の参議院選挙での,国民の自民党,公明党そして民主党への審判は重要なものになると考えられます。 国民の声を聞こうとしない,自民党,公明党そして民主党に対して『 批判票 』としてこれら以外の政党の候補者に票を投じることは何よりも有効だと考えます。
May 13, 2007
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九条改憲と地続きの改憲手続き法案が,参議院憲法特別委員会で,自民党・公明党連立と民主党の合意で採決に付され,連立与党のみの賛成で強行可決されました。慎重な審議を求める国民の声を無視した暴挙に強く抗議します。 衆議院で同法案が採決されたのは4月13日。この時点の各種世論調査では,今国会での手続き法成立を求める声は10%にも満たず,圧倒的な国民が慎重な審議を尽くすことを求めるなか,それを断ち切って強行したものでした。それだけに新たな審議の場となった参議院が「再考の府」としての役割を発揮することがとりわけ求められました。 自民党・公明党連立与党は「ゼロからの審議でなく衆院の足らざるところを」(法案提案者の自民・保岡興治衆院議員)と二院制の根本を踏み外す態度をとり,委員に考える余裕も与えぬ連日審議の超過密日程を押し付けました。審議時間をただ形式的に消化し,採決に持ち込む姿勢は露骨でした。 短い審議のなかでも,国民の80%が必要と認める最低投票率を拒むのはなぜか,自由な国民の意見表明が保障されるべき国民投票運動で500万人もの公務員,教育者の自由な意見表明を制限することが許されるのか,など国民の疑問と野党追及に,自民党・公明党連立与党は答えていません。 財界が金で憲法を買うことになる有料広告,改憲を発議した国会に置かれ中立性を確保できない広報協議会,改憲案づくりを促進する憲法審査会の常設等々,審議をすればするほど矛盾と問題点が浮かび,法案は文字通りぼろぼろの状態です。 地方公聴会や参考人質疑では,改憲や手続き法案への賛否の立場を問わず,慎重な審議を求める声が一致して出されました。重要法案では慣例の中央公聴会も開かれず,審議は尽くされたどころか,生煮えです。 それがどうして採決なのか。議会の民主主義のルールを踏みにじる背景は「在任中の改憲」を公言する安倍晋三首相と改憲派の執念です。 国会で野党議員は安倍首相への質問で,自民党内で作成された改憲へのスケジュール表をつきつけました。今年5月の手続き法成立を起点に2010年夏の改憲案発議,同年秋には国民投票という改憲への工程がこと細かに書かれています。 長くてもあと5年程度の安倍首相の在任中に改憲を実行するためには,今国会での手続き法成立が不可欠というのが,改憲派の切迫した事情です。 改憲派の勝手な都合のために,慎重審議を求める国民の声などおかまいなしで,改憲派に圧倒的に有利な手続き法を押し付けたというのがことの真相です。こんな乱暴なやり方は絶対に許されないものです。 民主党が自民党・公明党連立与党の無理押しする過密審議に抵抗せず,採決日程にあっさり合意したのも重大です。憲法問題でも自民への対抗軸を持たず,九条改憲を競い合う民主党の役割がいよいよ鮮明になりました。 安倍首相が目指す九条改憲の眼目は,アメリカと肩をならべて海外で戦争する国づくりです。そのきな臭さに国民は警戒感を募らせています。手続き法案で示された安倍内閣の強硬姿勢は,世論との亀裂をますます広げるものです。 自民党と公明党の連立与党は5月14日の参議院本会議での成立を狙い,民主党もこれを容認しています。このままこの手続き法案を成立させることがあってはなりません。 自民党,公明党そして民主党のめざす新憲法がどんなものなのか知っているのでしょうか。国民は,国と国民の暮らしの根幹になっている憲法をこんな形で変えてしまおうとする自民党,公明党そして民主党を許してはいけません。 残された可能性は参議院選挙しかありません。選挙争点を見誤ることなくきちんと審判しないと取り返しのつかないことになります。
May 12, 2007
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海外のメディアは5月9日,安倍首相が4月21日に靖国神社の春季例大祭にあわせ供物を奉納していた問題を一斉に伝え,中国,韓国の両国政府の「懸念」や「遺憾」表明にふれて今後のアジア諸国との関係への影響に注目しています。 パリ編集の国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(アジア版)は一面トップで「靖国への小さな供物は,より大きな意味を持っている」との見出しで報道。「表面上は小さなしぐさだが,日本帝国軍隊のアジアへの行軍の記憶が癒やされていない近隣諸国と日本の不安定な関係においてはより大きな象徴的な意味をもたらしかねない」と指摘しています。 イギリス紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)も一面で取り上げ,「安倍首相は中国や韓国との政治的関係を維持する一方で,仲間の国粋主義者が重視する施設に対し明確に栄誉を与えようとした」と述べています。 シンガポール紙・聨合早報は,「安倍,靖国神社に供物送る。日本のメディアは中国や韓国との関係が再び挫折するのではないかと懸念示す」と東京通信員の記事で伝えました。 安倍晋三首相の靖国神社への供物奉納について,5月9日付の韓国の各紙は批判記事を掲載し,靖国参拝に対する海外からの批判を避けるための目くらましだと批判しました。 朝鮮日報は「(安倍首相は)海外の世論を意識して参拝は避けたが,供物奉納を通じ,保守派たちに(参拝したいという)本心を見せた」と指摘しました。 韓国日報は社説で,首相の奉納が「靖国神社への強い情緒的連帯を表明する行為」だった可能性に言及。靖国参拝に「消極的」な姿勢で外交摩擦を避けてきた安倍首相が「『心は常に靖国にある』とのメッセージを投げるなら,その刺激性は参拝よりもさらに大きい」と述べました。 文化日報も社説で,靖国神社には,A級戦犯だけでなく,慰安所を経営し戦犯として有罪判決を受けた民間人も合祀されていると指摘。供物奉納は「戦争責任に対する謝罪と反省の放棄であり,従軍慰安婦の苦難と苦痛を再び無視する誤った所業だ」と断じました。 靖国問題は国内問題にもかかわらず,世界のマスメディアでこれだけ取り上げられるのはどうしてか,安部首相にはそれが分からないのでしょうか。 従軍慰安婦発言に続いて,アジア諸国の神経を逆撫でばかり安部首相ですが,側近たちも事態の重大さが分からずに安部首相に好きなようにやらせるのはどうしても理解ができません。 東アジアでの緊張はアジア全体そして全世界にも,経済的にも悪影響を与えます。大企業も,アメリカも東アジアの緊張を望んではいないはずです。どうして安部首相に好き勝手にやらせるのでしょうか。やはり,安部内閣が短命政権というのでしょうか。
May 11, 2007
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衆議院で社会保険庁「改革」法案の審議が始まりました。法案は社保庁を解体し,新たにつくる非公務員型の「日本年金機構」に年金業務を移して民間委託できるようにします。 「民間に任せればよくなる」という口実で,財界が要求している年金民営化に踏み込む内容です。 法案によると国は年金の財政と管理運営に責任を負うだけで,年金の適用,徴収,給付,記録管理など一連の年金業務は機構に委任します。 機構の理事長や理事には民間人を登用します。内閣官房に「学識経験者」の会議を設置し,その意見を受けてまとめる「基本計画」に従って機構の年金業務を民間委託します。 政府は3年前,社保庁長官に損保ジャパンの村瀬清司副社長を据えました。村瀬社保庁は保険料の納付対象者を減らす本末転倒の納付率競争をあおり,38万件を超える不正処理を引き起こしています。 「民間手法」の名で持ち込まれたのは,架空契約や保険金不払いなど保険会社の無法体質に他なりません。「民間に任せればよくなる」という議論に何の根拠もないことは明らかです。 公的年金は加入状況や保険料の長期にわたる確実な記録・管理が不可欠です。数年ごとに業者が入れ替わる民間委託では国民の不安を広げるだけです。新たな天下りの横行,個人情報の業界流出も懸念されます。 法案は本来国が負担すべき事務費を国民の保険料でまかなう仕組みを導入し,保険料の流用を固定化します。国の責任放棄であり,国の負担は「効率化」しても,給付に回されるべき保険料の効率は低下します。 国民年金の保険料未納者から国保証を取り上げて「短期保険証」に切り替える「収納対策」は,健康を人質に取った陰湿な国民いじめです。 年金は本来,老後の生活を保障する制度です。ところが,いま国民が暮らしの先行きで最も不安を感じているのが年金制度です。 支給開始年齢の繰り延べ,「100年安心」と偽って,保険料の連続値上げや給付水準の一律引き下げを強行した政府,自民党・公明党連立与党の年金「改革」が,不安と不信の大もとにあります。 とりわけ国民年金は,保険料値上げで月14,000円に達した保険料をさらに値上げする上,その保険料を40年間払い続けても支給額は月66,000円にしかなりません。 対象者の40%が国民年金の保険料を払っていないなど,年金制度の深刻な「空洞化」が進んでいます。 根深い年金不信に,社会保険庁の相次ぐ不祥事が拍車をかけ,国民の怒りの火に油を注いでいるのです。 必要なのは社保庁から関連企業への天下りをなくし特定業者との癒着・腐敗を根絶すること,保険料の流用を防止し,ノルマ主義を改めるなど不祥事の根源にメスを入れることです。 不信の大もとである年金の連続改悪をやめ,最低保障年金の導入や支給額の底上げなど,老後の生活保障という年金本来の役割を取り戻す改革に転換することです。 経済同友会は4月に発表した提言で,厚生年金の所得比例部分を民営化し,基礎年金は消費税の増税でまかなうよう求めています。大企業の社会保障負担を減らし,日米保険業界のビジネスチャンスを広げることが狙いです。 「改革」の看板で財界の身勝手な要求の実行に踏み出し,年金不信を一層拡大する社保庁関連法案は国民にとって有害無益です。廃案にするしかありません。
May 10, 2007
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地球温暖化の実態,影響,緩和策をまとめた国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告が公表されました。 温暖化の実態に関する第一作業部会の報告(2月)は,化石エネルギーに頼り,高い経済成長を続ける社会を追い求めれば,今世紀末の平均気温は前世紀末と比べ4度上昇すると予測しました。さらに,温暖化の影響に関する第二作業部会の報告(4月)は,気温上昇が2度-3度以上となれば,世界全域で経済的損失が発生すると指摘しました。 5月4日に公表された第三作業部会の報告は,温暖化の緩和策をまとめました。気温上昇を2度-3度に抑えるには,温室効果ガスの排出量を2050年までに半減する必要があり,そのための経費は2030年時点で世界の国内総生産(GDP)の3%未満と見込みました。 人間が生きてゆくのにほどよい気候や気温を保つために,大気中の二酸化炭素濃度の安定化が必要です。持続可能な経済,社会,環境のための経費も示して温室効果ガス削減の可能性を明らかにしたのです。 温室効果ガス削減のための経費は増えるばかりではありません。報告は,大気汚染の減少は健康によい影響を与え,温室効果ガス削減の経費を相殺するとしています。日本で,自動車の排ガスによる大気汚染の被害者が,健康被害の救済ときれいな空気を求めて,国と自治体,自動車メーカーの責任を追及して闘っていることは,地球温暖化防止にとっても大きな意義があります。 報告は,温室効果ガス削減の技術的な対策として,火力から風力・太陽光発電への転換,ハイブリッド車,バイオ燃料の導入をあげています。日本でも植物からつくったエタノールを混ぜたバイオガソリンの販売が始まったばかりです。 植物は大気中の二酸化炭素がもとになっているから,燃やしても二酸化炭素を増やすことにはなりません。日本では再生可能エネルギーの導入は大きく遅れており,促進が求められています。 報告が,温室効果ガス削減の対策として,政府と産業界との自主協定の締結を挙げていることも注目されます。ドイツでは,両者の自主協定で大幅削減を取り決めています。 日本政府は,国連報告に真剣に向き合う必要があります。「京都議定書」にもとづいて2010年前後までに排出量を1990年比で6%削減するという国際公約の達成が危うい状況です。 二酸化炭素排出量の80%は企業・公共部門からです。このうち産業部門のエネルギー消費(36%)や運輸(14%),業務(16%)が多くを占めています。一方,家庭からの排出は自家用車やごみを含めて20%です。 産業界の取り組みが真っ先に問われます。 日本経団連は,削減ゼロの「自主行動計画」にしがみつき,京都議定書にもとづく排出規制に反対し,先進工業国への新たな削減目標設定に抵抗しています。この産業界の態度と政府の弱腰にマスメディアも「先進国が総排出量削減の道筋を示さなければ,無責任とのそしりは免れない」(「日経」5月5日付社説)と批判しています。 国連の報告は,「2004年に先進国は,世界人口の20%,世界の国内総生産(GDP)の57%,温室効果ガス排出量の46%を占める」と述べ,先進国の責任を明確にしています。 日本政府と産業界は,国際公約を達成しなければなりません。そのためにも日本政府が積極的にリーダーシップをとる必要がありますが,産業界から企業献金をもらっている自民党・公明党連立与党そして民主党がそれを実行できるはずもありません。 そのツケは人類全体に還ってくるものですが,人間が目先の利益の囚われている限り甘んじて受けるしかないのかも知れません。
May 9, 2007
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久間章生防衛相はアメリカの「ヘリテージ財団」で5月2日講演し,武器や技術を外国に輸出することを禁止した武器輸出三原則について,「日米が共同研究,開発をしていこうとすると現在のままでいいのか検討する時期にきている。研究をさせていただきたい」と述べました。 防衛相発言は,弾道ミサイル防衛システムの日米共同開発・生産を三原則の例外にした2004年の決定からさらに踏み込み,広い分野で共同開発,生産,輸出に道を開くのが狙いです。日本を「死の商人」の国にする恐るべき企てです。 武器輸出三原則は,1967年に佐藤内閣が明らかにした方針を1976年に三木内閣が憲法九条の平和原則を受けて発展させたものです。政府統一見解は「平和国家としての我が国の立場から…国際紛争等を助長することを回避するため」,どの国に対しても「武器の輸出を慎む」(1976年2月27日)と述べています。 国会も衆参本会議が,「日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ」政府が厳正に対処するよう求める決議(1981年3月)を繰り返し上げています。 武器輸出三原則は,弾道ミサイル防衛システムの日米共同開発・生産については例外扱いにされたとはいえ,憲法にもとづく平和原則として,アメリカにもその他の諸国にも武器を輸出しない歯止めの役割をしっかり果たしています。 久間防衛相発言は,安倍政権が三原則の見直しを本格化する危険な動きの表れです。防衛相は「武器輸出三原則を考える時期」,「研究することが大事」(3月29日衆院安保委員会)といってきましたが,はっきり「研究する」と表明したのは今回が初めてです。有力なシンクタンク「ヘリテージ財団」で踏み込んだ発言をしたのはアメリカ政府のうけを狙ったものです。 2月発表の第二次米アーミテージ報告は,日米軍事同盟強化の具体的課題を指摘した付属文書で,2004年の武器輸出三原則の「修正」を歓迎しながら,「日本は残る禁止事項を解除すべき」と露骨に要求しています。久間防衛相は講演で「開かれた同盟へ」というアーミテージ報告は「私と同じ」といっており,三原則「研究」発言は,この新たな課題に答える決意表明ともいえます。 アメリカはイラク戦争のように世界各地で軍事介入するのを国家方針にしています。米兵の犠牲を少なくし,大きな効果をあげるため「軍事技術の革新」を強めています。単独ではコストもかかるというのが理由にもなっています。アメリカが侵略のために必要とする武器を日米で研究,開発,輸出すれば,日本がアメリカの戦争を促進し,無差別殺りくに手を貸すことになります。 日本経団連も「タブーへの挑戦」などといって武器輸出三原則の見直しを要求し続けています。武器を世界に売りつけて大儲けすることを認めるわけにはいきません。 アメリカや日本の軍需産業のいいなりになっては,日本は「恐ろしい国」になるだけです。 いま小型武器の規制が国際社会で問題になっています。この問題で外務省の『2004年版日本の軍縮・不拡散外交』は,日本が武器輸出を原則的に行っていないので「国際社会をリードできる立場にある」と述べています。 日本外交にとっても禁輸原則は守るべき宝です。見直しを許さず,守り抜くことが重要です。 本当にやることなすこと,いまの自民党・公明党連立与党政権は恐ろしいことばかり考えているようです。
May 8, 2007
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「再編を着実に進めていく」。昨年5月1日の在日米軍再編「最終報告」から1年を経て,日米両政府は4月27日の首脳会談や5月1日の日米安保協議委員会(2プラス2)で再編の推進を再確認しました。一方,基地強化を強いられる自治体・住民との矛盾も強まっています。 米軍再編「最終報告」は,人口密集地の米軍基地を別の地域に移すことで,「地元による負担を軽減しつつ(米軍の)抑止力を維持する」という方針を掲げています。しかし,この1年で“軽減”どころか,基地強化先にありきの実態が鮮明になってきました。【名護新基地】 「環境アセス」今月にも狙う「最終報告」は,米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる,V字形滑走路の新基地を米海兵隊キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に建設する計画を明記。2プラス2の共同文書では,新基地建設が沖縄における再編の「鍵」だと位置づけました。 日本政府は2014年の完成を前提に,5月中にも建設予定区域の環境アセスメントを計画。既に,事実上の事前調査といえる「シュワブ水域環境現況調査」を4月下旬に実施し,県民の抗議を呼びました。 沖縄県には在日米軍基地の75%が集中していますが,いずれもアメリカ軍や旧日本軍が建設したもの。前例のない,日本政府による新基地建設に県民の大多数が反対しています。 新基地計画を押しつけたい久間章生防衛相や沖縄県の仲井真弘多知事は,わずかな「修正」を画策してきました。しかし,ゲーツ米国防長官は4月30日の日米防衛首脳会談で,「昨年5月の合意通り実現することが重要だ」と拒否し,計画通りの建設を迫る強硬姿勢を示しました。【嘉手納基地】 F22猛訓練で爆音は減らず 年間70,000回の飛行回数で,国内最悪の爆音被害をもたらしている沖縄県の米空軍嘉手納基地。「最終報告」では,同基地に常駐するF15戦闘機の訓練の本土移転が盛り込まれ,3月に航空自衛隊築城基地(福岡県)で訓練が強行されました。 しかし,爆音被害はまったく減らないばかりか,2月に配備された米空軍の最新鋭機・F22ステルス戦闘機12機が,猛訓練で爆音をまき散らしています。同機を運用する米空軍第27遠征戦闘中隊のトリバー中佐は4月27日の記者会見で,「580回の飛行回数を達成した。短期間では特筆すべき飛行回数だ」と誇り,県民の強い反発をかっています。【グアム「移転」】 「返還」計画も大幅に遅れ 「最終報告」では,沖縄の米海兵隊8,000人をアメリカ領グアムに「移転」し,「移転」費用のうち約61億ドル(約7,320億円)を日本側が負担することで合意しました。歴史的にも国際的にも前例のない,アメリカ領土への基地建設費用の負担を可能にするための「米軍再編促進法案」が現在,参議院で審議中です。 4月24日のアメリカ・上院軍事委員会でアメリカ・太平洋軍のキーティング司令官は日米同盟の最重要課題のひとつとして,「沖縄の米海兵隊8,000人のグアム移転」を挙げました。既にアメリカ政府は4月,グアム住民に,海兵隊「移転」に伴う環境アセスメントの第一段階となる「計画通知」を行っています。 「最終報告」は,グアムや名護への海兵隊「移転」に伴い,嘉手納基地以南の6つの基地を,沖縄県内への移設条件付きで返還することを明記。今年3月までに,「詳細な(返還)計画を作成する」予定でした。 しかし,アメリカ軍は内部の調整が遅れているとして,グアム増強計画をいまだに提示せず,「返還」計画の公表も大幅に遅れることになっています。 そもそも,「8,000人移転」とはいうものの,実際には2,000人-3,000人しか移転しない見通しで,仮に計画通りに進んでも,実戦部隊は残り,「負担軽減」にはなりません。【日本政府】 補助金エサに自治体に圧力 政府は補助金などをちらつかせ,再編計画に反対する自治体に圧力をかけてきました。アメリカ原子力空母配備を容認した神奈川県横須賀市など,住民の声を裏切って屈服した自治体もありますが,政府の手法への批判も強まっています。 普天間基地を抱える宜野湾市の市長選(4月22日)では,同基地の即時閉鎖・撤去,県内移設反対を訴えた伊波洋一市長が,大差で再選を果たしました。 また,4月8日には,米海兵隊岩国基地を抱える山口県岩国市で,「米空母艦載機移転ノー」を掲げた日本共産党の久米慶典氏が県議選で返り咲く一方,移転推進派の二人の自民党候補が落選しました。 「最終報告」では,アメリカ海軍厚木基地(神奈川県)に常駐するアメリカ空母艦載機部隊を岩国に移転すると明記。岩国は130機以上が常駐することになります。 「移転反対」を掲げる岩国市に対して,政府は市庁舎建設の補助金をカットするなど,露骨な圧力を加えてきました。これらに対する住民の怒りが選挙結果にもつながりました。 2008年にアメリカ陸軍戦闘司令部の創設が計画されているアメリカ陸軍キャンプ座間。同基地を抱える神奈川県座間市議会で2月23日,「米軍再編促進法案」への意見書が可決されました。 意見書は,同法案のうち,各自治体の米軍再編への協力度に応じて交付する「再編交付金」について,「米軍再編の影響を受ける地方自治体を『交付金』によって賛成へと誘導させようとするもの。こうした手法に大きな怒りと疑義を禁じ得ない」と批判しています。 米軍再編計画の「個別の再編案は統一的なパッケージとなっている」(最終報告)ことから,政府内には,「ひとつが崩れれば全体が崩れる」との危機感があります。 米軍再編の大本にあるブッシュ米政権の「対テロ」先制攻撃戦略もイラクに象徴されるように完全に破たんしました。 「米軍再編へのモチベーションが政府内で低下している。このままでは何年たってもこう着状態が続く」(外務省筋)との“懸念”があります。2プラス2で米軍再編合意を全面的に検証し,「再編案を着実に実施する決意を再確認」したのもこのためです。しかし,自治体・住民との矛盾は深まらざるをえません。【参考】「在日米軍再編」とは ブッシュ米政権は地球規模での軍事行動を効率的に行うため,「アメリカ軍の機動性」,「同盟国との軍事一体化」を2本柱とするアメリカ軍の変革・再編を進めています。在日米軍再編もそのひとつで,アメリカ軍の世界戦略に自衛隊を深く組み込むものです。 日米両政府は昨年5月までに,(1)共通の戦略目標 (2)役割・任務・能力 (3)再編実施のためのロードマップ(工程表)―の三段階で合意。2014年の完了を目指しています。また,再編実施での日本側負担(税金投入)は約3兆円とされています。 具体的には,(1)沖縄・名護の新基地建設 (2)グアムへのアメリカ海兵隊8,000人「移転」 (3)アメリカ空母艦載機部隊の岩国基地移転 (4)キャンプ座間への陸軍戦闘司令部創設 (5)「ミサイル防衛」部隊の配備-といった米軍基地・部隊再編があります。 さらに,日米軍事一体化を強めるため,(1)陸自中央即応集団司令部のキャンプ座間移転,空自航空総隊司令部の横田基地移転など米軍・自衛隊の司令部レベルでの融合・一体化 (2)軍事情報の共有 (3)共同演習の拡大 (4)民間空港・港湾の軍事利用の拡大-などの項目があります。
May 7, 2007
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1年ぶりに開催された日米安保協議委員会(2プラス2)の共同文書は,2005年2月から昨年5月にかけて行われた在日米軍再編合意の進展状況と,「ミサイル防衛」(MD)網配備の到達点を確認した上で,今後の課題を挙げるという構成になっています。 重大なのは,日米の軍事的融合・一体化を新段階に引き上げるため,軍事情報の共有や保護のための措置を挙げていることです。 共同文書は冒頭,北朝鮮の核実験を非難し,アメリカの核能力の一層の展開を意味する「拡大抑止」の重要性に言及。アメリカの核・非核の打撃力が「日本の防衛に対するアメリカのコミットメントを裏付ける」ことを再確認した上で,「秘密を保護するためのメカニズムの強化」に言及しています。 具体的な措置としてあげているのは「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)と言われる協定です。共同文書は同協定について,装備や軍事作戦の情報を共有するため,「情報保全のための共通の基礎を確立する」ものだと述べています。 締結されれば,アメリカが提供した軍事秘密情報の流出防止のため,アメリカと同程度(死刑を含む)の,刑事罰を含む厳しい措置が想定されます。 政府関係者だけでなく戦争政策を追及する国会議員や国民が罰則の対象になりかねません。 日米のMD網配備を円滑に進めるための「包括的な情報共有ロードマップ」策定の合意も,新たな動きです。 在日米軍再編では,米空軍横田基地(東京都)への空自航空総隊司令部の移転や日米共同統合運用調整所の確立で合意。在日米空軍司令部を通じ,ハワイの米太平洋空軍司令部などと,弾道ミサイル情報を共有する枠組みの整備が進んでおり,これを加速させようというものです。 アメリカとの間で高度な軍事情報の共有によって,集団的自衛権の行使や海外での共同作戦が実質的に可能になります。アーミテージ元米国務副長官は「米英同盟を日米同盟のモデルにすべきだ」と提起しましたが,情報共有の面でも日米同盟を米英同盟なみに引き上げようというもの。 しかも,イージス艦の情報漏えい事件をはじめ,自衛隊からの軍事情報漏えいが相次いでいることから,防衛省などには危機感があります。 今回の2プラス2で,「軍事情報保護」の重要性を確認することで,「アメリカと戦争できる国」づくりを加速させようという狙い以外何物でもありません。
May 6, 2007
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施行から60年の節目を迎えた憲法記念日にあたって安倍首相は,「戦後レジーム(体制)」を見直し,改憲に取り組むことを強調した談話を発表しました。憲法擁護義務を負う首相としては全く異例な,文字通り安倍改憲政治の暴走です。 憲法記念日を中心にした新聞などマスメディアの論調も,今年は国会での改憲手続き法の審議が重大段階を迎えていることとあわせ,こうした安倍改憲政治の危険に警鐘を鳴らすものが目立ちました。 全国紙の社説で見れば,「朝日」5月2日付の「戦後からの脱却より発展を」や,「毎日」5月3日付の「平和主義を進化させよう」などが目につきます。 ブロック紙など地方紙には憲法60年をテーマに社説を連打する新聞も少なくありませんが,そうしたなかでも北海道新聞5月1日付の「(上)国家主義への回帰危ぶむ」や東京新聞5月2日付の「(中)統治の道具ではなく」,信濃毎日新聞5月3日付の「(上)論議を国民の手に戻せ」,中国新聞5月3日付の「(上)価値高める道筋探ろう」などがそうです。 自民党内きっての「靖国」派である安倍首相の改憲論は,「戦後レジームからの脱却」ということばが示すように,侵略戦争を肯定し戦後政治の枠組みを全面的に否定するところから出発しているのが特徴です。 「改憲を言うなら,まず『戦後』をきちんと語るのが先だろう」(「朝日」),「(『戦後レジームの脱却』とは)危なっかしい言葉だ」,「あまりに観念過剰」(「毎日」)という各新聞社説の懸念は当然でしょう。 北海道新聞は前出の社説で,「首相の物言いは,民主主義国家として再出発した戦後日本の否定でもある」と批判します。 東京新聞社説は,「安倍晋三首相らの改憲論には,憲法を統治の道具に変える発想があります」と警鐘を鳴らします。 信濃毎日新聞は「今の政治は憲法の問題を任せるには危なっかし過ぎる」と書きます。 「靖国」派が進める改憲の危険を指摘するこうした論調は,安倍改憲政治と立ち向かうことの重要性をいよいよ痛感させるものです。 今年の論調には,こうした安倍改憲政治への批判とともに,改憲そのものに批判的なものが目立ちます。 なかでも,近年,憲法問題で揺らぎを見せていた「朝日」は5月3日付に「提言・日本の新戦略」と題して異例の21本の社説を載せ,そのなかで1年余の議論の結果として,「戦争放棄」の九条を持つ憲法は「変えない」という結論に達したことを明らかにしました。 日米同盟を前提にし,準憲法的な「平和安全保障基本法」を設けて自衛隊を位置づけるという「朝日」の主張は解釈改憲とのかかわりで議論の余地がありますが,いずれにせよ九条を焦点にした改憲の策動が強まる中で,「朝日」がこの時期,こうした態度を打ち出したことの意味は決して小さくありません。 地方紙では以前から改憲に批判的な論調がほとんどでしたが,ことしも前出の各紙や河北新報,徳島新聞,西日本新聞などの連続社説,沖縄の地方紙・沖縄タイムスの「平和の理念揺るがすな」(5月3日付)や琉球新報の「九条を手放していいのか」(5月3日)といったように,憲法の意義を浮き彫りにし,改憲に反対する骨太の議論が健在です。 数少ない改憲支持の地方紙でも,「あまり前のめりにならずに,冷静で現実的な協議を」(北国新聞)などと,慎重さを求めているのが特徴です。 こうした背景には,「九条の会」が全国で6,000を超えて広がるなど,改憲に反対する国民の世論と運動の広がりがあります。各メディアの世論調査でも,「読売」,共同通信,「日経」などの調査で,相次いで改憲支持が減り,九条を中心に憲法を守るという傾向が顕著に現れています。 改憲支持の「日経」社説(5月3日付)も「憲法改正が具体的な政治日程に乗り始めたことの影響だろうか,慎重な意見がやや増えた」と書かざるを得ません。 改憲反対の世論をさらに広げていけば,国民世論でもマスメディアの論調でも,改憲反対が多数派になるのは間違いないとの確信を深めさせます。 国民世論の変化の中で,全国紙のなかで,あくまで改憲に固執する「読売」と「産経」の論調は,異常です。「読売」(5月3日付)の社説は「歴史に刻まれる節目の年だ」と,改憲手続き法の成立を受けて設置される憲法審査会での検討を急げと督促します。 「産経」同日付主張は「新しい国造りへ宿題果たせ」と,安倍首相の改憲政治を後押ししています。 いったいこのふたつの全国紙は憲法をどう考えているのか。国の基本法規である憲法を決めるのは主権者である国民です。 「読売」は自らのおこなった調査で改憲支持が減り,半数を切ったことが明らかになった際にも社説で「『改正』へ小休止は許されない」(4月6日付)と書きました。主権者である国民が望んでいようがいまいが,改憲を進めるというのは,文字通り国民主権を踏みにじるものでしかありません。
May 5, 2007
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この間,海上自衛隊でのイージス艦情報漏れ,情報本部一等空佐の読売新聞記者への情報提供による守秘義務違反容疑問題など防衛省・自衛隊をめぐる「情報漏れ」が相次いでいます。 しかし,今回の「対応要領」は頻発するこうした「情報保全の甘さ」への対抗措置と限定した見方はできません。 防衛省が「情報漏えい」対策強化に乗り出した背景には,イージス艦への迎撃ミサイル導入など,弾道ミサイル防衛をめぐる米軍との高度な軍事機密情報の共有化問題があります。 既に「情報漏えい」事件発覚前の2005年10月,日本政府は,アメリカとの在日米軍再編合意の中で「双方は,共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる」ことを取り決めています。 その追加的措置とは,久間章生防衛相が日米の外務・軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で先日合意した秘密軍事情報保護のための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結です。 同協定は米軍に関する手書き文書からメモ,写真,デザイン,模型,電子メールなどあらゆる表現物を「秘密情報」として保護の対象にし,それを口実に国民を取り締まる軍事秘密保護法です。 憲法九条を改悪し,アメリカと一緒に海外で「戦争する自衛隊」をめざす政府・防衛省の「新たな情報管理強化」の矛先は自衛隊員,防衛省職員にとどまらない危険性を含んでいます。 教育基本法に始まり,憲法まで変えて日本はアメリカと共に戦争をする国へ向かって国民が気づかないうちに少しずつその歩みを進めています。国民が自民党・公明党連立政府がどこへ向かおうとしているのか,注視していく必要があります。
May 4, 2007
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日本国憲法は5月3日,1947年5月3日の施行から60周年の記念日を迎えます。「戦争のない世界」のさきがけとなる決意が込められた九条,先駆的で新しい人権にも対応できる懐深い構造をもった人権条項。 憲法は60年を経ていっそう輝きを増しています。ところが,「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる安倍晋三首相のもと,憲法改悪への暴走が加速しています。「海外で戦争する国づくり」をめざす暴走を許すのかどうか,九条を中心に激しいせめぎあいが続いています。 最近の新聞各紙の世論調査は,憲法九条を評価する声が圧倒的です。「読売」4月6日付は,憲法が「日本に平和が続き,経済発展をもたらした」という意見には87%が「その通りだと思う」と回答。 「朝日」5月2日付も,78%が「日本が平和であり続けたことに九条が役立ってきた」と答えています。 2004年6月に発足した「九条の会」を支持する草の根の「会」が6,000を超え,小学校区単位,丁目単位で広がりつつあります。 宗教者や文化人などの活動も活発です。九条守れの署名活動でも,有権者過半数を達成した自治体が生まれています。 国際社会でも,九条について「国際的な平和と安定に貢献する点で類のない,力強いものだ」(米宗教者・組織連名の書簡)など,国際的な平和秩序の指針としての評価が高まっています。 これに対して,安倍首相は4月24日の「新憲法制定推進の集い」で,「憲法改正を必ず政治スケジュールに乗せていく」と発言。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使容認に向けて有識者会議も設置しました。 自民党内では早ければ2011年に改憲を実現する日程表が資料配布され,その第一歩として改憲手続き法案の成立が狙われています。 「憲法守れ」の闘いは,いよいよ正念場を迎えています。
May 3, 2007
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グローバル化による国際競争の激化を理由に人員削減や工場閉鎖,劣悪な労働条件や低賃金を押し付けようとする多国籍企業。その横暴な振る舞いは,世界で最も手厚い労働者保護法規や強力な労働組合を持つ欧州でも目立つようになっています。欧州の労働者は,「労働者間の連帯」を強めながら,対抗しつつあります。 3月16日,南仏トゥールーズ。欧州4ヶ国が出資するエアバス本社前に,約7,000人が集まりました。同社が2月末に発表した4年間に計10,000人を削減する大リストラ計画に反対する労働者の抗議集会でした。 「欧州一斉行動」と銘打ったこの日,ドイツの主力工場があるハンブルクで20,000人,スペインの7ヶ所の工場・営業所で7,000人がリストラに抗議。イギリスでも昼休みを利用して労働者が集会を開きました。 トゥールーズ本社前に集まった労働者の中には,「連帯」を示すためドイツとイギリスから駆けつけた人もいました。参加者に仏労組「労働者の力」のクネペル代表が訴えました。「行動は,私たちの確固とした決意と連帯を証明する強力な象徴だ」 国境を越えて展開し,労働者同士を競わせ,敵対させることでより多くの利益を得ようとする多国籍企業に対して,欧州の労働者は「労働者の連帯」を正面に掲げ,共同行動をとることで反撃してきました。 欧州最大の自動車メーカー・独フォルクスワーゲン社が昨年,ベルギー・ブリュッセルのフォレスト工場での人員削減を発表した際,労働者への連帯と支援は,欧州連合(EU)を巻き込んで広がりました。 昨年11月末,フォルクスワーゲン社は,同工場の労働者5,370人を,1,500人に削減すると発表。労働者は,すぐにスト入りするとともに,昨年12月初めにはブリュッセルでデモを行いました。デモには,ベルギー以外からの労働者も含めて,約25,000人が参加しました。 EUの主要機関が密集するため「EUの首都」ともいわれるブリュッセルでの大リストラへの衝撃と,労働者の徹底した闘いがEUを動かしました。 欧州議会の雇用社会問題委員会は,人員削減発表の翌日,「産業改編によって生活を脅かされる労働者に連帯を表明する」声明を採択。また,同年11月末の欧州議会本会議では,各政党やEUの執行委員である欧州委員からも,リストラを懸念し,労働者に連帯する発言が相次ぎました。 シュピドラ欧州委員(雇用・社会問題担当)は,「数千の労働者と家族にもたらされる潜在的帰結に懸念を表明する」と発言。同欧州委員は,ベルギーのフェルホフスタット首相とともに,当事者の話を聞き,争議解決に向け尽力しました。 1月7日まで約7週間にわたってストを貫いたフォレスト工場の労働者の闘いは,小さくない成果を生み出しました。労働者は,人員削減を撤回させることはできなかったものの,その規模を縮小させ,退職を余儀なくされる労働者への保障措置を充実させることに成功。 12月末の労使の大枠合意では,失業手当と現在の給与の差の穴埋めや,当面約2,200人,2009年からは約3,000人の雇用が保障されることが盛り込まれました。補償額の規模について,ルーベン・カトリック大学労働科学研究所のデルフィーヌ・ロシェ氏は,欧州労使関係観測所(EIRO)のウェブサイト掲載の論文で,「ベルギーでは歴史的な高さ」と評価しました。 他方,エアバス社の労働者の闘いは今も続いています。労働者は,4月に入ってフランスで二度ストを行うなど,運動を一層強化しつつあります。 貧困と格差が拡大する日本では,自分とは関係ないことと考えないのではなく,労働者全体の問題として労働者が「連帯」して,自分たちの労働環境の改善のために闘い続ける必要があると思います。
May 2, 2007
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自民党が,改憲手続き法案の成立後から2011年夏に国会で改憲を発議し同年秋には国民投票を実施するまでの改憲スケジュール表を作成していることが4月30日までにわかりました。 改憲スケジュール表によると,改憲手続き法成立後に設置される憲法審査会で直ちに改憲の骨子案の作成作業に入り,最短で4年半で改憲を実現するというタイムスケジュール。 国民を無視し,“はじめに九条改憲ありき”で今後さらに暴走を加速する改憲工程表です。拡大図はこちらを参照してください。 改憲スケジュール表は「国民投票実施までの経過と見通し(イメージ図)」として,自民党の憲法審議会および国民投票法にかんする特命委員会(委員長・中川昭一政調会長)などの会合で示されました。 スケジュール表によると,改憲手続き法案は5月に「成立・公布」,参院選挙後の8月ごろ召集される臨時国会で「衆参に憲法審査会設置」。自民党は憲法審査会で「具体的改憲の骨子案の作成など」に入る,としています。 改憲手続き法案は成立した場合,3年後の2010年5月から施行されますが,自民党のタイムスケジュールでは施行後ただちに衆参両院の憲法審査会で「改憲条文案の作成」作業入り。約1年審議したのち,翌2011年夏ごろに衆参両院「2/3以上の賛成で『憲法改正案』を発議」するとしています。 その後,国民投票運動期間をへて投票を実施,同年秋には新憲法が公布される,としています。 自民党のスケジュール表によると,自民党は国民投票運動期間について,改憲手続き法案の60日以後180日以内の規定内ではありますが,最短期間の60日に近い期間を想定していることが読み取れます。 憲法審査会については3年間は「改憲原案」の審査はしないと改憲手続き法案の付則に規定されていますが,自民党のスケジュール表では「具体的改憲の骨子案」という名目でどんどん改憲案づくりを進める方向をあからさまにしています。 国民不在,国民軽視で憲法を改正して,「戦争ができる国」を狙っている自民党・公明党連立与党そして連立与党と同じような憲法を考えている民主党への審判を下さないと大変な事態になることが,秒読み段階になってきています。 国民は,早急な憲法改正を望んでいないのであれば,自民党・公明党そして民主党にこれ以上の議席を与えることは避けなければいけません。 夏の参議院選挙後に,消費税増税の議論と憲法改正の議論は急加速することは今の状況を考えれば,ほぼ間違いありません。どうするのかは国民の1票にかかっているといっても過言ではありません。
May 1, 2007
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