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この本はいくつかの重要な核心を鮮やかに描き出している。おそらくそれらを実践することが出来ればファーストクラスの常連にまではならないまでもかなり自分のランクを上方修正できるだろうし、そのヒントに溢れた本である。
とはいえ、実践的に自分を高める技術は主に4つぐらいしか書かれていない。人の話を良く聞け(オウム返しなど)・メモを取る効能・姿勢を正しく・人がどう思うかを考える・感謝の気持ち、など、教育関係の仕事をしている私にはどこかで聞いたことがある話ばかりである。しかし、それでも一般の人にとっては非常に有意義だし私もためになる内容だといえる。
著者は17年間国際線のCAを勤め、独立し、ビジネスマナーやCA受験講座を持つ会社を経営しているそうだが、本の中で随所にファーストクラスの方は凄い、特に創業社長は人格が備わっている(←2世が駄目だということか?)反面、ビジネスクラスとエコノミークラスのお客は人格が成ってない的な、客を小ばかにしたような言い回しが多数見受けられ、不愉快な気分にさせられる。論旨は、ビジネスクラスはせっかく乗ったんだからいろいろ無理な注文をしてやろうみたいな「さもしさ」溢れる客が多く、エコノミーはとにかく注文が多くて忙しいし、後ろから声を掛けて来るマナー知らずが多く、比べてファーストは人格者ばかりで楽だ、みたいな感じ。
この著者は最初から人間を3つのランクに分けてしまっている。ファーストに乗る3%は素晴らしい人格者なのだ、だから成功したのだ。それを真似ることによって誰でも人格者になりそれが成功に繋がるのだと述べている。長いCA生活で3ランクに分けて考えることが思考に染み付いてしまったのだろう。
どんなに人格者で成功した人間でも、いちゃもん紛いのクレームをつけてくるエコノミー客でも実は人格的にもあまり差が無いということに気付いていない。こういう人こそ人を階級差別して見る「さもしい」人間かもしれない。
本としては悪くない。
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