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坂上から見た事故現場。
坂の上に左右に広がる繁華街。
坂の上に左右に広がる繁華街。
韓国旅行中にわざわざイテウォンの群衆事故現場にくる人はいないだろうな。
大きな事故があると事故現場を見て事故原因を推測したくなる。何故かは分からない。。
2022年10月29日の夜。 梨泰院でハロウィンに集まっていた若者の大群衆がこの路地に集中し158人以上が圧死するという悲惨な事故が起きた。
いまダークツーリズムという言葉が出来た。ダーク・ツーリズムとは、戦争や災害といった歴史的な悲劇が起きた場所をたどり、亡くなった人々を悼み、教訓を学ぶという旅のこと。例えば原爆ドームや記念館、ポーランドのアウシュビッツ、水爆実験が行われた第五福竜丸が被爆したビキニ環礁、 アメリカ同時多発テロのワールドトレードセンター跡地など多数の場所がある。事故に遭った知人がいるわけではないけど、どうしてもその現場を見たくてここに来た。
事故の場所には様々な教訓が詰まっていると思うから。
地下鉄の駅から階段を上がって大通りに出る。その先僅か10メートルを右に曲がった位置にある狭い路地で、この坂の上には左右に若者向けの今風の飲み屋街が広がっている。
駅からこの繁華街へ行くにはこの路地を登っていく、それ以外には道は大きく迂回する行き方しかないから、駅に着いた人は、早く楽しい繁華街に行こう!と、どんどんこの坂を登ろうとする。しかし坂の上の繁華街には既に若者が充満して身動きがとれていない。駅から出てくる若者はそんな事は分からないから、地下鉄が着くごとにどんどん坂の路地を上がろうと路地に突っ込んでいく。そうしたわけでこの狭い路地に上と下から3000人から5000人が密集してしまった。
上から2個目の写真の、右の電光看板の居酒屋の前付近で密集した人々の群衆雪崩が発生し、下敷きになった多くの人が窒息死したらしい。坂道に10度の傾斜があるので、1人倒れると躓いて次々に人が倒れてしまうのだろう。
追悼のモニュメントみたいなのがよく見ると有った。
後からは何とでも言えるけど、人手が多くなると慎重に警備態勢を構築し、一歩通行などの対策を取れば、事故は防げた。つまり原因の一つは警備態勢で、混雑する予測が不足していたのだ。しかし実際は、事故の前にはこの坂道は右側通行で上行き、下行きで、片側一方通行で分けていたらしいが、午後21時には人が多過ぎて片側一方通行の意味がなくなったらしい。
事故は偶発的な原因や情緒的な要因が多数重なって起きてしまう。
例えばこの大惨事ではどのような背景だったかというと、、、
・コロナの蔓延により4年ぶりに外出してもよいハロウィンだった。
・イテウォンは六本木の様な外国人も多い若者の街で、そのため付近で多数のハロウィンパーティーが開催されていた。
・コロナ収束で海外からソウルへの渡航者も多くなっており外国人もイテウォンに殺到していた。
・そのためイテウォン駅ではこの日8万人が下車しており、前年比260%だった。
・この付近に有名なインフルエンサーが現れたとSNSで噂が拡散し更に若者が殺到した。(らしい)
(俳優のイ・ジハンさんが実際に亡くなっている)
さて、私はこの事故の直後、日本ではどういう群衆雪崩事故があったのかなと調べた時に、近年の明石花火大会の死者11名は有名だが、昭和31年に、124人が亡くなった弥彦神社事件が最も大きな群衆雪崩事故だったと知って、2023年5月に新潟県の弥彦神社の現場を見に行った。
なぜ1956年にこんなに田舎の広い神社で124人も亡くなるような事故が起こったのか?全く意味がわからなかったけど、こうして現地に来てみるとその事故の様子がわかるような気がしてくる。 弥彦神社なんて知らなかったけど、新潟(越後)では「一の宮」だそう。。神社の最奥の境内は80メートル四方ぐらいありそうだけど、ここに3万人が押し寄せたら広い境内でも収容できない。 1・この年新潟は米が豊作で多くの農家では収入が増えて懐に余裕があった。 2・この年の年末から大晦日にかけて珍しく新潟に雪が降らず晴天が続いた。 3・この年、バス路線や交通網が発達して新潟中から初詣の臨時バスが運行された。 4・弥彦神社では元旦の零時に社殿の屋根からお餅を撒くイベントがあったため、0時までに境内に到着した人は境内に留まり続け、到着していない人は0時までに行かなければならないと皆必死で境内へ突入していったため、押しくらまんじゅう状態になったと思われる。 5.境内を取り囲む石の玉垣が決壊して群衆が数百人まとめて2.5m下の地面に倒れながら落下したため、圧死者が多数出た。 4は毎年の事だけど、1.2.3はこの年に特別そうなった背景である。これはイテウォンの・コロナ渦が開けてリアルでパーティーが開催。・コロナが終わって外国人観光客が増えていた。・有名人に人々が殺到した。などの状況と似ている。 つまり、人が多く来る条件がそろってしまったのである。 想像以上に人が多く集まると密集した人間の圧力が凶器になってしまう。だからイベントの主催や警備を仕切る人は来場者を予測して人の流れを想像して一方通行にしたり、通行止めにして迂回路を作るなど、安全対策を十分に講じなければならないのだ。 (ここには書かないが、イテウォンの事故現場で写真を撮っている時に実に不思議な事が起きた)
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